誰も眠らない森(映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『誰も眠らない森』とは、2020年に公開されたポーランド制作のホラー映画である。監督・脚本はバルトシュ・M・コヴァルスキである。あらすじは、ネット依存を克服するためのオフラインキャンプ「アドレナリン」に参加した少年少女たちが、キャンプ中に不可解な事件に巻き込まれていく。森には人を食べる殺人鬼が住んでおり、次々と参加者が殺されていく。そんな中、恐怖に立ち向かい、なんとか山奥から脱出するため、少年少女たちは行動を起こしていく。

『誰も眠らない森』の概要

『誰も眠らない森』とは、2020年に公開されたポーランド制作のホラー映画である。監督・脚本はバルトシュ・M・コヴァルスキ。
本作は公開直後から大きな話題を集め、月刊誌『キノ』の情報では、Netflixの最も視聴された映画部門のトップ10の中にランクインするほどであった。2021年には本作の続編が公開されている。

スマホ依存症を克服する三日間のプログラムに参加した少年・少女たちは、それぞれスマホやタブレットを預けていくつかのグループに分かれ、森の中を歩いていた。途中不自然な死に方をした野生動物の死体が発見されるが、一行はそのまま進みキャンプを開始する。しかし森に棲む殺人鬼は、彼らのすぐそばまで迫っていた。

なんとか山奥から脱出するため行動を起こしていく少年少女たちの姿と、執拗に迫ってくる大男たちの緊迫の逃走劇が作品の見どころの一つだ。

『誰も眠らない森』のあらすじ・ストーリー

脱スマホ依存プログラム

ネット依存を克服するためのオフラインキャンプ「アドレナリン」に参加した少年少女たちが、キャンプ中に不可解な事件に巻き込まれていく。森の奥にあるキャンプ場までの移動手段はバスであり、キャンプ場付近ではネットや電話も圏外となる、閉ざされた空間が舞台だ。

バスを降りると携帯電話は没収され、5~6人ずつにグループ分けがされる。そして各グループに1人のトレーナーが担当となり、3日かけてのハイキングが開始される。グループのリーダーはイザ、キャンプ参加者はゾーシャ、ユレク、ダニエル、バルテク、アニエラの6人グループだ。

森の中を歩き続け、1日目のキャンプ地を見つけたグループ。各々がテントを張り、夜は焚火を囲みそれぞれのことを話しはじめる。ユレクは、ネットにはまり高校を中退。現在はポーランドで2位のゲーマーであり、韓国の大会に出場予定であったところ親にネット依存だとゲームを取り上げられ、キャンプへ参加することとなった。キャンプの参加者はなにかしら問題を抱えているとイザは言い、消灯することとなる。

消える人々

みんなが寝静まった頃、キャンプを抜け出すダニエルとアニエラ。二人は湖のほとりで会話するうちに、一見遊び人に見えるダニエルは経験がないことがわかる。それを知ったアニエラはダニエルを誘惑し、身体の関係を持つことになる。

その後アニエラはキャンプへ戻るが、ダニエルは隠し持っていた携帯電話を触って過ごす。その時、ダニエルは何者かに襲われ、行方不明となる。
翌朝、ダニエルがいないことに気付く他の参加者たち。警察を呼ぶにも電話が通じない状況であり、イザ、ゾーシャ、ユレクの3人は捜索に向かうことにする。森の中で家を見つけた3人は、住人に助けを求めるため家の中に入る。

庭や家は廃れており、空き家に見えた為出ようとした時、地下室の扉を見つけ中に入っていく。するとそこには見知らぬ女とダニエルの2つの死体を見つける。驚き地下室から出ようとしたとき、何者かが家に入ってくるのを感じ、慌てて地下室に隠れる3人。

殺人鬼の恐怖に怯えながら、唯一の窓から脱出するが、その時ダニエルのポケットにある携帯電話が鳴る。救助を呼ぶために携帯電話を取りにイザが戻るが、殺人鬼に殺されてしまう。パニックになりながらもなんとか逃げだしたゾーシャとユレク。森の中を歩き回り、ある一軒の家を見つけ、そこに住む銃を持つ老父に助けを求める。

イザを殺した恐ろしい大男の話をすると、老父は「ふたり」を知っていると話す。大男は2人おり、数年前に遭遇した時は両足を怪我したと話す。

双子の変貌

この森には母親と双子の家族が住んでおり、彼らは貧しいが仲が良く、幸せな家族だったという。しかしある日の午後、森の中に何かが墜落したのを見かける。そこには隕石のような黒い石があり、双子の兄弟は隕石の一部を家に持ち帰ったのだ。母親に見つからないようベッドの下に隕石を隠して眠ると、夜中に隕石から血液のような謎の液体が噴出し、近くにいた双子を襲う。その時から、別の何者かになってしまったのだ。

翌朝、母親は双子が可愛がっていた愛犬を殺して地下室で食べているところを発見し、恐ろしくなり双子を地下室に閉じ込めたのだ。監禁してから、母親は食べ物を与えて匿い、そして精神を病んだのだという。おそらく地下室にあった女の死体は母親とのことだ。助けが来ない状況を抜け出すため、ゾーシャとユレクはダニエルの携帯電話を取りに双子のいる家に戻ることにした。

終わらない恐怖

残ったアニエラとバルテクは3人が戻るのを待つが、突然アニエラが襲われ、頭から食べられてしまう。森の中を必死で逃げるバルテクは、森の中の教会に逃げ込み神父に助けを求める。しかし携帯電話は繋がらず、固定電話はあるが最近嵐があったため、使えないとのこと。絶望的な状況に悲しむバルテクを神父が慰めていると、使えないはずの固定電話が鳴る。驚いて神父を見た瞬間、頭を殴られ気絶するバルテク。

目を覚ますと椅子に縛られているバルテクと、バルテクを気に入った様子で笑みを浮かべている神父。外で物音がしたため神父が確認しに外に出ると、そこには例の大男が立っている。瞬く間に神父を掴みあげ、庭にあった粉砕機に入れて殺してしまう。その隙に拘束を解いて逃げ出すバルテク。果てしない森をさまようと、ある家にたどり着いたバルテク。助けを求めて家に入ると、なんと射殺されてしまう。そこは双子の大男を殺そうと銃を持っていた老父の家であったのだ。

ゾーシャとユレクが双子の家に戻った時は大男は1人であり、ユレクが囮となり怪物をおびき出す。しかし失敗しユレクは舌を噛みちぎられ、腹部を刺され重体の状態となった挙句、2人とも掴まってしまう。そしてゾーシャは何とかダニエルの携帯電話を取ったが、電池切れで助けも呼べず、絶望する。そして死なせてくれと頼むユレクに応え、ゾーシャは腹部に刺さっていたナイフを更に突き刺し、ユレクは絶命する。

なんとか拘束をといたゾーシャは窓から脱出しようとするが、殺された仲間の恨みを晴らすため、双子を殺すことを決意する。地下室にあった鉈を持ち、地上に上がるゾーシャ。そこには昼寝をしている大男を見つけ、何度も鉈で刺し、殺した。

大男を殺すと、森の中を走り助けを求めていたところでパトカーを発見する。しかし警察に向かう際中、パトカーは人身事故を起こしてしまう。なんとパトカーで引いた相手はもう一人の双子の大男であり、慌てて車の外に出た警察官は殺されてしまった。警官は殺されゾーシャも斧で襲われるが、パトカーで大男を轢き、何とか大男から逃げ切ることができた。

ゾーシャは大男2人を殺し逃げ切ったと思っていたが、森を歩く警察官2人がたまたま事故現場に通りかかると、大男が目を覚ました。そして鉈で刺された大男も目を覚ますシーンで終わっている。

『誰も眠らない森』の登場人物・キャラクター

キャンプ参加者

ゾーシャ・ヴォルスカ

夏休みの家族旅行に行く車に乗っている最中に事故に会い、家族を失う。助手席に乗っていた母親が、運転中の父親と写真を撮ろうとし、対向車と接触してしまったことから、自撮りやネットに因縁がある様子。妹が名づけたウォラス大佐という人形をネックレスにしている。いつも左手首にハンカチを巻いているが、事故の時の怪我なのか、リストカットなど他によるものなのかは不明。グループメンバーで身の上話をしていた際、なぜかイザはゾーシャの話はやめて強制的に消灯した。その後、みんな何かしらの問題を抱えているとイザは話している。大男から逃げられる状況でも逃げず、家に戻り大男を殺したシーンやパトカーで逃げられる状況でも逃げていない。大男を轢いたシーンがあり、家族の事故以外にも何か問題を抱えていると予想できる。両親と妹の4人家族である。

ユレク

ネットにはまり高校を中退している。ポーランドで2位のゲーマーであり、ユーチューブで動画配信もしている。登録者は90万334人。韓国で開催される世界大会に出場予定であったが、ネット依存だと親にゲームを取り上げられキャンプに参加することとなった。消極的で保守的な言動が多いが、なんだかんだゾーシャについていっており、ゾーシャには積極的に話しかけている。ゾーシャが殺されそうになると、怯えながらも大男を攻撃し、ゾーシャを無傷で守った。映画の話やセリフを引用することがある。ゾーシャ以外とはあまり話さない。運動が苦手であり、周囲もその認識がある。

バルテク

バルテク(右)

当初はダニエルをゲイ呼ばわりしてからかっていたが、実はバルテク自身がゲイであるとアニエラに打ち明けている。父親には理解されていないことが悩みである。ネット依存については触れられていないが、マッチングアプリ等を使用しているのが父親に見つかったのではないかと推測する。

アニエラ

アニエラ

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