QP(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『QP』とは髙橋ヒロシによる不良漫画で「キューピー」と呼ばれ恐れられた不良“石田小鳥”が更生の道を進み「死神」と呼ばれ恐れられた“我妻涼”は裏社会の道に進んでいくという物語。漫画は石田小鳥、ドラマは我妻涼が主役。連載は『ヤングキング』で1998年~2000年連載で単行本は全8巻。日本テレビ系(内容はQP外伝全1巻)では2011年10月5日~12月28日までにドラマ化され主演“斎藤工”で林遣都、金子ノブアキ、渡部豪太など豪華キャストが出演した。

『QP』の概要

少年院帰りの伝説の不良「キューピー」こと”石田小鳥”が生まれ故郷に戻り更生しようと努力する物語。小鳥は出所後ガソリンスタンドのバイトを始めスタンド仲間と打ち解け更生の道に進むが、親友の”我妻涼”がヤクザとつるんでいることを知り、正しい道に戻そうと小鳥は奮闘する。しかし涼に悪の道に呼び戻されそうになるが旧友やスタンド仲間が支えになり正しい道を少しずつ歩んでいく物語。

『QP』のあらすじ・ストーリー

漫画版

中学校編

桃花中学校1年の、キューピーこと石田小鳥(いしだことり)、我妻涼(あずまりょう)、奈良岡常吉(ならおかつねきち)は強くて有名な不良だった。3人はある日、鈴本幸三(すずもとこうぞう)から「3年の頭”宇田川友信(うだがわとものぶ)”を倒さないか」と誘われる。
大勢を集めて4人を呼び出した宇田川に奇襲を掛け、脳天に牛乳瓶を振り下ろす小鳥。勝負はこの一撃で決まり、桃花中は小鳥の天下になった。

上田秀虎(うえだひでとら)率いる「秀虎会」の四天王である、桃花中学校”宇田川友信”。西沢4中”百田和彦(ももたかずひこ)”。東森中学校”中塚誠幸(なかつかまさゆき)”。倉井中学校”児玉敏(こだまさとし)”達は、誰が宇田川の仕返しに行くかで揉めていた。

”四天王”達は小鳥たちを囲み、河川敷へと連れて行く。4人対大勢での喧嘩の結果、小鳥たちは袋叩きに遭い身ぐるみを剥がされてしまった。

人生初の屈辱に泣いて悔しがる涼の姿に、小鳥が元気づけるつもりで「暴力でのし上がろう」と話すと、涼は「ケンカってーのはやっぱ数だよな…」と呟いた。翌日、小鳥・幸三・常吉は負けて休んだと思われるのが嫌で、意地で登校する。

一方の涼は、1人で中塚と児玉に仕返しをしていた。そして涼は自分たちの暴力軍団を作ろうと企むようになる。
その後、小鳥と秀虎はタイマンを張る。壮絶な戦いの末に小鳥が勝利を挙げるが、小鳥が立っていられたのは体格差があったからだ。小鳥は初めて敗北感を味わうが、悔しさよりも「世の中にはすごい奴がいるもんだ」と納得していた。

高校編

小鳥たち4人が入学すると分かり、梵天高校の校内はハチの巣をつついたような騒ぎになる。だが、梵天高校の新しい頭・双子の梅津金之助(うめづきんのすけ)と銀之助(ぎんのすけ)は小鳥たちを甘く見ていた。

入学式当日、校門で小鳥たちを待つ梅津兄弟を見事な連携プレーで破る小鳥たち。しかしこの頃から皆少しずつ変わり始めていた。
幸三には夢があったし、ケンカより女性と遊ぶ方が楽しかった。常吉は音楽にハマり、小鳥も暴力大魔王から脱皮しようとしていた。だが涼だけは、仲間である幸三もゾッとするような目つきで変わらなかった。

ある日、浅ヶ沼高校との喧嘩で常吉が大けがを負う。小鳥は激怒して浅高に乗り込み、停学になってしまった。
そんな小鳥に涼は「俺に任せろ」と言う。次の日、小鳥への復讐を企てていた浅高2年の藤村(ふじむら)が大怪我を負った。

ピンチを救うべく立ち上がった1年の”国見竜次(くにみりゅうじ)”の前に、数人の男が現れる。男達が案内した廃墟にいたのは、”我妻涼”だった。

涼は「藤村だけじゃなく他の邪魔者も始末した」「浅高が配下に入れば、すぐにでもトップに立てる」と誘う。国見は「自分より弱い男の下にはつかない」と言って涼とタイマンを張るが、結果は涼の勝ち。涼は「石田小鳥はもっともっと強えーぞ!」と、倒れている国見を見下ろしながら叫ぶ。

一方暇を持て余した小鳥は、秀虎の元に通うようになる。
宇田川や中塚、児玉とも仲良くなるが、幼い頃小鳥にやられた過去のある”木場好晃(きばよしあき)”だけは、小鳥にライバル心を抱いていた。

涼は木場も自身の“壱年連合”に取り入れようとするが上手くいかない。国見から「”上田秀虎”がいるからだ」と聞き、天下統一に最も邪魔な男”上田秀虎”を狙う計画を立てる。
小鳥は日に日に秀虎への信頼と尊敬を大きくし、仲の悪かった木場とも親友になっていた。

数日後、児玉と秀虎が国見たちに襲われ病院送りになる。木場は小鳥に敵を討つための協力を求め、小鳥も木場の気持ちに応えると約束する。
木場は国見から頭の名前を聞き出し、秀虎を襲った壱年連合の頭が”涼”であると小鳥に告げる。愕然とする小鳥。

小鳥は壱年連合の拠点の廃ビルに乗り込むと、次々敵を倒す。後を追った木場が着いた頃には、立っているのは小鳥だけだった。
そこに通報を受けた警察官が到着。小鳥は涼に会いたい一心で暴れ、公務執行妨害など数々の罪で少年院に入ることになってしまった。

その後、百田や宇田川たちにより壱年連合は消滅するが、最後まで涼の姿は見つからなかった。

社会人編

少年院から出所した小鳥は、ガソリンスタンドで真面目にバイトしていた。スタンドを襲ってきた不良達から助けたことをきっかけに、仕事仲間の山岡金四郎(やまおかきんしろう)、野口(のぐち)、トオルからも慕われるようになる。

ある日、涼が山田文徳(やまだぶんとく)を連れて小鳥を訪ねてくる。涼は「一緒に暴力でこの街を支配しよう」と嬉しそうに話すが、小鳥は「そっちの世界で生きてく気は無い」と断る。
激昂して「目を覚ませ」と怒鳴る涼に、「眼ぇ覚まさなきゃいけねーのはお前だ」と返す小鳥。
涼は小鳥に昔を思い出させるため、金城勝利(きんじょうかつとし)と河島政春(かわしままさはる)に小鳥を襲うよう命じる。

トオルたちから歓迎会に誘われ、居酒屋へと急ぐ小鳥を金城たちが取り囲む。涼の命令で来たことを察し、二度とスタンドには現れないことを条件に身を差し出す小鳥。だがトオルが巻き込まれた為、小鳥も敵を倒し始める。金城は小鳥の雰囲気にのまれ逃げて行った。

涼が現れ「昔を思い出したか?」と興奮気味に聞くが、小鳥は涼の前を通り過ぎるとトオルを連れてその場を去る。一方金城と河島は、涼が自分たちを捨て駒扱いしていることに気付き不信感を募らせる。涼は文句を言ってきた金城の左手をハンマーで潰す。また文徳は、ヤクザの吉川(よしかわ)と河島が一緒に居るところを目撃する。

涼は吉川のいる組の事務所に来ていた。若頭の原田との面会を反故にし、組長に会わせて欲しいと頼む涼。組長は度胸のある涼を気に入ったようだ。それを聞いた吉川は涼を妬み、関西からトムとジェリーという殺し屋を呼ぶと、必ず涼を殺せと河島に命じた。その夜、河島はトムに文徳を倒させる。

幸三と昔の写真を見ていた小鳥は、涼と涼のおじいちゃんが笑顔で映っている写真を見つけた。小鳥は涼を待ち伏せし「眼を覚ましてくれ」と頼むが、涼は「裏切ったのはおまえの方だ」と怒鳴る。そして祖父の話をする小鳥を遮ると、小鳥に拳銃を向けた。そこにパトロール中の警察官が現れ、2人は慌てて逃げる。

ある大口の闇取引の日。涼は市井(いちい)と河島を従え、取引場所の廃ボーリング場に到着した。取引相手を待っていると、横に立っていた河島が涼に拳銃を突きつける。その頃、小鳥の元に松葉杖をついた文徳がやってくる。文徳に涼を助けてくれと頼まれ、小鳥は涼の元に急いだ。

河島に銃を向けられ威圧されても、涼は動じるどころか更に挑発する。見ていた吉川が涼を撃とうとするが、その吉川に市井が銃を向けた。市井は涼側の人間で、騙されていたのは河島の方だったのだ。

頼みの綱のトムとジェリーも涼に寝返り、河島は絶望する。殺さないでくれ、と懇願する河島と吉川だが、そこに原田が呼び寄せたプロの殺し屋集団「SMOKE-S」が現れる。

吉川と河島は殺され、残る4人は協力して戦いに挑む。市井を失いながらも、なんとか戦いを続ける3人。そこに小鳥が到着。自分を探す小鳥の声を聞いた涼は、大声で「くるなーっ!!」と叫ぶ。
涼の生存を確認した小鳥は、パンチ一発で目の前のSMOKE-Sを倒すと、涼の元へ向かう。涼の元にたどり着くと、既に最後の敵は倒れていた。死体の横に立つ涼は鬼の様な形相だった。

戦いが終わり、帰路に就く4人。涼は小鳥に「これがオレの生き方なんだ。おまえやツネや幸三の幸福を陰ながら祈らせてもらうよ」と言い、立ち去ろうとする。小鳥が涼を引き留めようとした時、発砲音がした。涼と小鳥は、金城に撃たれ倒れる。薄れゆく意識の中、小鳥は小学生時代の涼と肩を組んで笑っている光景を見ていた。

友人達に助けられ、2人は奇跡的に生きていた。だが涼は退院後姿を消し、小鳥たちの前には現れなかった。

ドラマ版

第一話ロードランナー

プロボクサーになるために上京した美咲元(みさきげん)は、試合で拳を壊して選手生命を絶たれ自暴自棄になっていた。
アルバイト先の喫茶店でマナーの悪い不良にイラつくも、成敗する妄想をするだけで実行できない自分にも腹を立てる。すると1人の男が不良に制裁を加える。男の行動に衝撃が走った元は、本能的に男を追いかけた。

辿り着いたのは、ある組事務所だった。男は天狼会組長の”我妻涼”だったのだ。事務所には、トムとジェリーと名乗る男がいた。トムが元に缶ビールを渡し、兄弟の盃を交わす。元の教育係にはヒコが任命された。

涼とトムとジェリーの3人は、横溝組から天狼会に鞍替えさせて欲しいという”朽木(くちき)”に会いに行く。話を聞いた涼はおもむろに拳銃を取りだすと、忠誠心を試すためのロシアンルーレットをさせようとする。
しかし朽木はすぐにその場から逃げ出し、「天狼会にスパイとして入り込むことに失敗した」と横溝組の君塚(きみづか)に電話をかけたのだった。

第二話カーブミラー

横溝組が雇った探偵”佐川(さがわ)”は、トムとジェリーの過去を調査していた。その調査の手は、2人が涼と出会った街にまで伸びていた。

その頃、街には元の写真を片手に元を探す大柄な男が居た。大男の正体は、ヤクザになった元を地元に戻すためにやってきた兄の大三(たいぞう)だった。ヒコと飲み歩いているところを見つかってしまった元。ヒコは「兄貴のもとに帰れ」と勧めるが、元は「我妻涼のもとに残る」と言い張る。

小さい時兄と一緒に食べた「中華そばカドヤ」のラーメンが無性に食べたくなった元は、よく似たラーメン屋が桜町商店街にあるのを見つける。その店は古岩組のシマだった。

桜町商店街では蜂谷兼光(はちやかねみつ)が、商店街を活気づけていた。兼光がラーメン屋に入り「いつもの頼むよ」と注文すると、先客が「さっき商店街で面白かった人よね?芸人の方?」と兼光に話しかける。
店主が「いや。この人ヤクザですよ」と答えたのを聞き、元は食べていたラーメンを吹き出した。

兼光に「お前どこの組?」と聞かれ、口を濁す元。兼光は「天狼会のモンだろ?まぁーあれだ、ラーメン旨いだろ?また食べに来てよ」と言った。元はその出来事をヒコに説明し、なぜ分かったのだろうかと聞く。ヒコは「そんな事もわからないなら、お前にはヤクザとしてのセンスがない」と里に帰るよう促した。

その頃、佐川から君塚に電話があった。「我妻涼を撃った金城勝利を見つけたが、交渉材料のクスリは経費で落ちるか」と聞かれ、君塚は頷く。その頃涼たちはあるコンテナで、天狼会の未来を決める大口の武器取引をしていた。

第四話ウルトラメンソール

金城は佐川にクスリをもらうと、涼がトムとジェリーと仲間になった経緯を佐川に話す。

金城は涼に左手を潰され、その復讐のために機会をうかがっていた。そして、ヤクザの吉川が涼を殺すために雇った殺し屋が、トムとジェリーだった。
廃ボーリング場でSMOKE-Sと戦ったトムとジェリーは涼に寝返り、金城はSMOKE-Sの死体から奪った銃で涼を撃ったのだ。確実に殺したはずの涼が生きていた事に恐怖を覚え、金城はクスリに手を出したのである。

佐川は金城から聞いた話を君塚に電話で報告すると、君塚は「トムとジェリーを金で横溝組に寝返らせることも可能か」と尋ねる。佐川はトムとジェリーの寝返り作戦を企てる。

第五話ラッキーナンバー

トムは車で涼を待ちながら、あの廃ボーリング場での戦いを思い出していた。

あの時トムは「いっそ我妻涼と盃を交わさないか」とジェリーに提案したが、ジェリーは「奴は誰一人信用してないから止めとけ」と答えていた。
トムは「我妻はんの見方について昔と変わってないか?」と再びジェリーに尋ねる。ジェリーは「昔、同様辞めといたほうがいい。誰一人信じてない」と答える。トムは昔の記憶と一緒だと笑った。

トムの携帯にはラビットフットというキーホルダーがついていた。ジェリーが「なんでそんなもんつけとんねん?」と尋ねると、トムは魔除けだと言い「お前の分もあるで」と勧める。だがジェリーは「夏なのに暑苦しい」と断った。

トムとジェリーの待つ車に乗り込み移動していた涼は、偶然死んだ祖父に似た人物を見つける。急いで車から降り、後をつけると辿り着いたのは桜町商店街の饅頭屋だった。祖父に似たその男は、涼に見張られて怖くなり兼光を呼ぶ。
やってきた兼光に話しかけられ、ペースに飲まれそうになった涼はその場を後にする。兼光は涼の後を追いかけ「調子に乗り過ぎた」と謝るが、涼は兼光の顔にナイフを突きつけた。

その頃、ちょうど元とヒコは桜町商店街のラーメンを食べに来ていた。涼が兼光にナイフを突きつけるところを目撃した2人は、古岩組と抗争かと聞くが涼は二人に「帰れ」と指示する。
兼光は古岩組組長に涼の事を伝え、性格が掴めず珍しいタイプと話した。一方涼は兼光のことを情報屋のエイジに聞きに行く。

横溝組の喜多嶋(きたじま)が、天狼会と一騒ぎ起こそうと企てていた。しかしちょうど酒を飲みに出ていた横溝組の幹部たちは元たちと鉢合わせになり、殴り合いの結果倒されてしまう。喜多嶋は、君塚に小出(こいで)と羽山(はやま)を預け仕返しの指示を出す。

第六話シマブクロ

翌日、元は横溝組幹部小野寺(おのでら)と舎弟の羽山と小出と揉めた事をトムとジェリーに謝る。だがトムは「ようやった。ヒコにもよう伝えといてくれ」と褒める。
小野寺は天狼会がわびを入れに来ない事に激怒するが、喜多嶋は「詫びに来られて、下っ端に横溝組の幹部がやられたと知れ渡る方が問題だ!」とドスのきいた声で言う。

トムとジェリーは車中で再び回想していた。すると朽木(くちき)が窓をノックした。会わせたい人がいると言われ、案内された先には君塚の姿があった。その頃、殺し屋“シマフクロウ”の元に暗殺依頼が入る。シマフクロウは一般人に変装して街にとけ込んでいた。

喜多嶋の命令で、羽山と小出は元たちに仕返しに行く。羽山と小出はドスを持って現れ、元はドスにビビっていつものように戦えない。1人で戦ったヒコは腕に大怪我を負ってしまった。
救急車を呼ぼうとしたが、ヒコが嫌がったため車を取りに駐車場に向かう元。

そこに殺し屋シマフクロウが現れ、ヒコの体に何発も弾を撃ち込む。元は銃声を聞いて急いで戻るが、ヒコは瀕死の状態だった。
元は救急車を呼ぼうとするが、ヒコは「もう手遅れだ」と言い「心配してくれている人がいる里に帰れ」と告げる。元は泣きながら頷く。
その姿を確認するとヒコは「警察が来るから逃げろ!」と元に最後の命令を出し、元は夜の街に走るのだった。

第七話クロスロード

天狼会事務所に入るなり、元は「ヒコさんを撃った殺し屋を雇ったのは誰だ!」と叫んだ。
羽山と小出が失敗した後に殺し屋が来るという事は、横溝組とは違う人物が雇った事だと思ったからだ。

しかしトムは「ヒコをやったのは誰か聞く覚悟はあるのか?」と、逆に詰め寄る。涼は弾を一発だけ入れた拳銃を元にむける。元はビビりながらも涼に殴りかかろうとするが、涼が天井に向かって発砲した。
元は銃声に腰を抜かした所を涼に蹴られ、走って逃げだした。

元はヒコが殺された現場に戻る。現場では通報を受けた警察が捜査をしていた。事件の事情を探っていた兼光は、元の姿を見つけ事情を聞く。話を聞き終わった兼光は、ヒコの遺言を守れと夜行バスに元を乗せる。
しかし元は走り出すバスの中でヒコとの短くて太い思い出を思い出し、バスを降りて来た道を戻る。

第八話ファイヤーフライ

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