グリザイアの果実(ゲーム・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『グリザイアの果実』とは2011年にフロントウィングから設立10周年記念作品として発売されたアダルトゲームである。愛称「グリカジ」。
「私立美浜学園」を舞台に転校生風見雄二が5人の少女との恋愛をしていくものである。少女と仲を深めていくと見えてくる辛く重い過去を主人公が向き合い救済し人生を共にしていく物語が展開される。萌えゲーアワード2011大賞部門金賞受賞作品。PSP版とPS Vita版はファミ通クロスレビューシルバー殿堂入りを果たした。
鹿内元(しかうち はじめ) 小沢洋子(おざわ ようこ) 岡部朋絵(おかべ ともえ)
滝園学園バスケ部部員たち。マイクロバス転落時に死亡。彼女たちの荷物や食料は生存者たちの役に立った。
『グリザイアの果実』の用語
三嶋崎(みしまざき)
物語の舞台である海辺の町である。都心から車で約2時間の距離にあり、湘南近郊の半島内の埋立地に位置している。 町の外からやってきた雄二達は割と田舎の町との印象を抱いてる。三嶋崎駅前には商店街があり、天音や幸は普段の買い物をここでしている。山梨県の山中から徒歩で来た雄二曰く、距離は175kmほどとのこと。
住民は最初「美浜」の設立、やってきた問題のある生徒たちに警戒していたが、今では地域に溶け込もうと努力する彼女たちを受け入れる住民が増えた。
私立美浜学園
雄二が転校することになった学園。三嶋崎の埋め立て地にあることから一部の住民からは「埋立地」と呼ばれることもある。。学校法人榊学園によって経営される全寮制の学園で、理事長である榊道昭が問題行動を起こした娘の由美子を体よく閉じ込めるために、作中の約一年前に創設。全校生徒は女子5人男子1人の計6人と非常に少ない。不自然なほど高くそびえる塀に囲まれる姿から由美子は「鳥籠」と称している。
表向きは優秀な生徒を育成するための学校とされており、入学料は非常に高額である。雄二は特待生扱いなので大幅に減額されている。
問題行動を起こしたなど理由は様々であるが、普通の学校に通えない者が在籍している。
町からの風当たりが強く、設立時の印象は悪かった。
授業は、午前中はクラス全員が受ける共通科目、午後は各々の適正に応じた選択制の科目となっている。学園長である千鶴自身が教壇に立って国語、数学、生物など様々な科目を教えている他にも学外から専門の教員を招くこともある。常任の体育教師や保険医は在籍していない。そのため、軽傷の場合は自身、もしくは付き添いの子に治療してもらうことになる。保健室の薬品などの備品は定期的に業者が来て補充していく。
クラスは人数が少ないため、1年生から3年生までの異なる学年の生徒全員で一つのクラスを成している。留年は8年目まで可能、それ以上は卒業扱いとなる。作中では蒔菜とみちるが留年したことがある。
有限会社アサヒクリーン
有限会社アサヒクリーンは雄二が所属する会社である。雄二はここで清掃のバイトをしている。雄二の保護者であるJBは広報室長を務める。
裏では「市ヶ谷」と繋がっており、清掃と称して暗殺の仕事を請け負う。基本的には専用の携帯電話が支給され、そこに招集命令の連絡が入る。組織としての都合上任務の詳細説明はなく、詮索も許されておらず必要最小限の作戦概要しか与えられない。JBでも養子である雄二にすら概要のみで詳細は一切説明されない。待機だけで一方的に状況終了を告げられ終わる通称「オバケ」と呼ばれる仕事も多い。
特殊な組織であるため辞めるという選択肢が存在せず、別に副業を持つことで身内に隠すことになる。人気なのは招集に応えやすいタクシー運転手。
9029号
雄二の会社のエースナンバーであり、雄二のコードネームである。彼の前任は師匠である日下部麻子(くさかべ あさこ)である。
蒔菜のルートでは彼女もこのナンバーを継ぐことになる。
東浜急行電鉄グループ(とうひんきゅうこうでんてつグループ)
学校法人榊学園の母体となっている関東地方に私鉄網を有する東浜急行電鉄を中心とした巨大企業グループであり、三嶋崎の経済発展に貢献している。現在の総帥は榊道昭であり、先代は道昭の父である幸治郎が務めた。
政財界への影響力が大きく、国土交通省との結び付きも強く、他の企業を強引に取り込むような経営をしているので「盗品グループ」と陰で揶揄されている。東浜急行電鉄は東京と羽田空港を結ぶ主要路線の運営を中心にしている。
旧態然とした企業であり、男子が社長を継ぐと決まっている。そのため、女子に対する扱いが非常に悪い。男子は会社を継ぐための英才教育を施され、その中には女性は子供を産む道具であるなど人を人として見ない非情な教育も含まれている。道昭はこの教育を受けて育ったために、非情な仕事になってしまい人間としての情や、自身の妻や娘に対する愛情をうまく持つことが出来なくなっていた。
アイリスグローバル社
入巣家本家の人間が代々社長を務める会社。現社長は蒔菜の実母である清夏が務める。日用品から軍用品まで様々な商品を取り扱っているため、人生で一度も関連企業商品を使った事がない者が居ないと言われるほどの巨大な企業である。入巣家は戦前から政治、入巣家は戦前から政治、産業、流通に根強く関与する女系一族である。代々、軍需産業を始めとした世界中の政財界の闇に根深く関わっている関係であり、それらと強い癒着関係にある。そして、水増しなどの汚職などにも手を付けていたため蒔菜の父で婿養子だった正孝は、入巣家の闇を知らぬまま汚職の告発をしようとしたため、妻清夏に不要であると判断されたことで、娘蒔菜をエサに謀殺されてしまう。
徹底的に女性の立場が強く、名目上入巣のトップである蒔菜の祖父より、祖母の方が強い発言力を持っているため、清夏に嫌われている。
男子優先の榊家とは真反対の形態をとっている。
滝園学園マイクロバス転落事故
滝園学園とは6年前に天音と一姫が通っていた学校であり、裕福な家庭の子どもが多く通っている名門校である。接客態度や笑顔の練習をする授業もある。
そして、転落事故は2005年8月14日にバスケ部の夏季合宿の帰りに起こる。顧問が運転するマイクロバスがなんらかの金属片がタイヤに引っ掛かりパンクしてしまい崖から転落し、部員13名・顧問教師1名、計14名が行方不明になってしまう。磁場の乱れる樹海故に携帯の電波も届かない中遭難者たちは救助を待つことになる。しかし、本来通るはずだった道から渋滞を忌避してあまり使われていない旧道を利用したことで捜索は困難を極め、2週間後には生存は絶望的として捜索が一旦打ち切られてしまう。
事故発生から18日後に天音が衰弱しきった状態ながらも唯一人自力で下山に成功。極度の空腹からキャベツを貪り食っている所を現地農家に発見、保護されたことで状況が変わる。そして、天音の情報捜索隊が事故現場へ到着したが、そこには損傷が激しくバラバラになった複数の遺体が発見されることになった。その後は各メディアで話題となり、連日報道されることなった。この事件をきっかけに天音は重いトラウマを背負うことになる。
鮮魚超人マグロマン
作中において、日曜日の朝に放送されている特撮ヒーロー番組のことである。マグロの体に人間の手足が生えたヒーロー「マグロマン」が、全国の店を焼肉関連のものに変えて世界征服を企む2足歩行の牛の姿をした「カルビ将軍」と戦いを繰り広げるという内容のものになっており、蒔菜と幸はこの番組のファンである。蒔菜はマグロマンの、幸はカルビ将軍のファンである。放映時には蒔菜と共にテレビを見ている。幸と蒔菜はこの番組を通じてすぐに仲良くなった。共通ルートの「戦え!マグロマン」という話で初登場した後も登場人物間でしばしば話題に上がるマスコットキャラのようなものである。
戦う際に武器は使わず、お互い体の一部を投げあう。マグロマンならトロ、赤身、カルビ将軍はハラミ、タンといったように投げる。最終的に頭と手足を残して骨になってしまうが死ぬことは無く、次回には回復している。
また、番組内ではフロントウイングの過去作「ほしうた」のヒロイン「周防ななの」と「山吹れんげ」も登場している。
『グリザイアの果実』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
「グリザイア」の由来は美術用語からきている
グリザイアという単語は美術用語である「グリザイユ」からきている。白黒で書かれた絵のことを指すことから「灰色」という意味が込められている。
また『グリザイアの果実』というタイトル以外にも「グレースケール」「ワールドエンド」「創世のタナトス」などの案もあった。
蒔菜ルートは映画「レオン」のオマージュである
蒔菜のルートはスナイパーの父、義理の親子の関係から恋愛に発展していくことからリュック・ベンソン監督の名作映画である「レオン」のオマージュであると言われている。
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目次 - Contents
- 『グリザイアの果実』の概要
- 『グリザイアの果実』のあらすじ・ストーリー
- はじまり
- 「私立美浜学園」へ到着
- 翌日の寮のエントランス
- 教室に到着
- 放課後の教室にて
- 由美子ルート
- 由美子ハッピーエンド
- 由美子バッドエンド
- 天音ルート
- 天音ハッピーエンド
- 天音バッドエンド
- みちるルート
- みちるハッピーエンド
- みちるバッドエンド
- 蒔菜ルート
- 蒔菜ハッピーエンド
- 蒔菜バッドエンド
- 幸ルート
- 幸ハッピーエンド
- 幸バッドエンド
- 『グリザイアの果実』のゲームシステム
- 『グリザイアの果実』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 風見雄二(かざみ ゆうじ)
- 攻略可能ヒロイン
- 榊由美子(さかき ゆみこ)
- 周防天音(すおう あまね)
- 松嶋みちる(まつしま みちる)
- 入巣蒔菜(いりす まきな)
- 小峯幸(こみね さち)
- サブキャラクター
- 学園関係者
- 橘千鶴(たちばな ちづる)
- 雄二の関係者
- 春寺由梨亜(はるでら ゆりあ)
- 日下部麻子(くさかべ あさこ)
- キアラ・ファレル
- 地下の教授
- みちるルート関係者
- 「もう一人のみちる」
- みちるの親友
- ニャンメル
- ヒロインの家族
- 榊道昭(さかき みちあき)
- みちるの父親
- 幸の両親
- 入巣清夏(いりす きよか)
- 入巣沙里菜(いりす さりな)
- 入巣正孝(いりす まさたか)
- 入巣の関係者
- 沢田寧子(さわだ やすこ)
- 滝園学園バスケ部関係者
- 坂下啓二(さかした けいじ)
- 鮮魚超人マグロマン
- マグロマン
- 滝園学園バスケ部
- 風見一姫(かざみ かずき)
- 越智義彦(おち よしひこ)
- 坂下千秋(さかした ちあき)
- 桜井美冬(さくらい みふゆ)
- 佐久間みのり(さくま みのり)
- 小出葎(こいで りつ)
- 金田沙彩(かねだ さあや)
- 広岡たまき(ひろおか たまき)
- 古森めぐみ(こもり めぐみ)
- 伊吹春菜(いぶき はるな)
- 鹿内元(しかうち はじめ) 小沢洋子(おざわ ようこ) 岡部朋絵(おかべ ともえ)
- 『グリザイアの果実』の用語
- 三嶋崎(みしまざき)
- 私立美浜学園
- 有限会社アサヒクリーン
- 9029号
- 東浜急行電鉄グループ(とうひんきゅうこうでんてつグループ)
- アイリスグローバル社
- 滝園学園マイクロバス転落事故
- 鮮魚超人マグロマン
- 『グリザイアの果実』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 「グリザイア」の由来は美術用語からきている
- 蒔菜ルートは映画「レオン」のオマージュである
- 天音ルートの過去編の内容はウルグアイ空軍機571便遭難事故がモデルである
- 『グリザイアの果実』の主題歌・挿入歌
- ゲーム版
- OP(オープニング):飛蘭『終末のフラクタル』
- ED(エンディング): eufonius『ホログラフ』(由美子ルート)
- ED(エンディング): 橋本みゆき『HOME』(天音ルート)
- ED(エンディング): 茶太『SKIP』(みちるルート)
- ED(エンディング):佐藤ひろ美『迷いの森』(蒔菜ルート)
- ED(エンディング):NANA『この日のままで』
- 挿入歌:¥Cuスタ平『マグロ・Beautiful』(鮮魚超人マグロマンオープニング)
- アニメ版
- OP(オープニング): 黒崎真音『楽園の翼』(第2話 - 第4話、第6話 - 第12話)
- ED(エンディング):はな『Eden's Song』(第2話)
- ED(エンディング): 南條愛乃『あなたの愛した世界』(第3話、第6話 - 第9話)
- ED(エンディング): 茶太『SKIP』(第5話)
- ED(エンディング):やなぎなぎ『Rainy veil』(第10話 - 第12話)
- ED(エンディング):飛蘭『創世のタナトス』(第13話)
- 挿入歌:飛蘭『終末のフラクタル』(第1話、第13話)
- 挿入歌:eufonius『ホログラフ』(第6話)
- 挿入歌:佐藤ひろ美『迷いの森』(第9話)
- 挿入歌:橋本みゆき『HOME』(第12話)