キメツ学園（鬼滅の刃スピンオフ）のネタバレ解説・考察まとめ

黒死牟（こくしぼう）

鬼舞辻に仕えている秘書。本名や年齢は不明で、長髪を結んだ髪形にサングラスをかけている。ガタイが良すぎるため、秘書というよりはボディガードと勘違いされることが多い。アメリカの特殊部隊にいた、居合いの達人、素手で人を殺せるなどの噂がある。

稲玉獪岳（いなだまかいがく）

鬼舞辻がキメツ学園に送り込んでいるスパイ。高等部の3年生。

音川鳴女（おとがわなきめ）

キメツ学園の教頭でありながら、鬼舞辻のスパイでもある女性。目は長い髪で隠れている。校長の産屋敷あまねとは犬猿の仲のようでバチバチしている。

中高一貫!!キメツ学園物語（原作漫画単行本収録）のあらすじ・ストーリー

キメツ学園一礼儀正しい男（原作漫画6巻収録）

中高一貫のキメツ学園は、問題児ばかり集まる学園。
風紀委員として服装をチェックするため、嫌々ながら我妻善逸が校門に立っている。そこに、ピアスをつけた竈門炭治郎が登校してくる。

「あっちょっと ピアスだめだよ」と話しかける善逸。しかし炭治郎はピアスを取ることはなく、バッと頭を下げる。
「校則違反は承知の上です 申し訳ありません」と頭を下げながら言う炭治郎に、善逸は（承知の上でやぶるなよ…礼儀正しくやぶるなよ…）と困惑する。
さらに「父の形見なんです」と続ける炭治郎。善逸は涙を流しながら「見逃してやるから行けよ…」と言うのであった。

少女美少女主人公、可哀相な善逸（原作漫画6巻収録）

■少女美少女主人公
炭治郎の妹・竈門禰豆子が通りかかる。フランスパンを噛みながら歩いている姿に、善逸はキュンとしている。
そこに「おはよー禰豆子ちゃん！」と挨拶する真菰。すると禰豆子は「がっ フガッ ンガッ ンガンガンゴッ」と挨拶を返す。
善逸はその様子に「少女漫画の主人公みたいだな 可憐だ…」と見とれていた。

■可哀相な善逸
また校門で服装チェックをしている善逸。
制服の前ボタンを全部開けている嘴平伊之助を注意すると、逆ギレで腹に頭突きされる。
毬（まり）を持ち込んだ朱紗丸に注意すると、笑いながら顔面に毬をぶつけられる。

ボロボロになりながら「俺もうやめたい…」と、生活指導の体育教師・冨岡義勇に嘆願する善逸。
しかし、冨岡は「髪黒くして来いって言っただろうが！！」と善逸の顔を殴る。「自毛なのに！！」と叫ぶ善逸であった。

バンド結成（原作漫画11巻収録）

炭治郎たちと美術教師の宇髄はバンドを組むことになった。

炭治郎はボーカル。神経逆撫でヴォイスを持つ音痴。
善逸は三味線。絶対音感を持つも、彼女ができない怨念を三味線に込める。
伊之助は太鼓。音痴なうえに太鼓も経験がないため滅茶苦茶に叩く。
宇髄はハーモニカ。こちらも絶対音感を持つが、化け物級の肺活量のもと、爆音を響かせる。

バンド名は「ハイカラバンカラデモクラシー」。デビュー曲は「爆音の肌とモダンな嗅覚のメランコリック」。
この演奏・歌唱を聴いた者は、めまいと吐き気が止まらなくなるのであった。

バンドの別楽曲「前世の罪」の歌詞が載っている。作詞作曲はzenithu☆A（おそらく善逸）

なんでお前に彼女がいて俺にいない
何が悪かった
前世か？なんか罪犯したか

なんかもう虫とか動物とかに
生まれてたら良かったか
もっと頭悪かったら
プライドなんてなかったら
純粋な気持ちで女の尻を追いかけ回して
いつも幸せで

ヒツメで蹴られたって
ブーンと飛んで逃げられたって
全然平気頭悪いから
そんなふうになりたい
動物でいい虫でも
女の子に触りたい
嗅ぎたい

なんでお前に彼女がいて俺にいない
何が悪かった
前世か？なんか罪犯したか

冷たくしないで
それ拳銃で腹撃つのと一緒だから
きもいとか無理とか
やめてそれナイフで刺してるよ
言わないで！察するから
空気は読めるんだ俺

つーみー（コーラス）

炭治郎の自由研究、禰豆子の水着（原作漫画20巻収録）

■炭治郎の自由研究
何かのイラストが描かれたノートが出てくる。
ヒゲ、上毛、口角毛、肉球の様子のイラストや、甘みは感じない！などの情報が書かれている。
観察日記のようだが、不気味な形状をしており、なんなのか分からない。

炭治郎にそれを見せられていた、1年筍組の担任・悲鳴嶼。
「何だこれは…つちのこ…？深海魚か…？」と問う悲鳴嶼に、炭治郎が「猫です」と答える。
猫好きの悲鳴嶼は「なんてことだ…」と絶句するのであった

■禰豆子の水着
禰豆子が水着を着て、浮き輪を装着して海辺に立っている。髪は可愛く2つ結びにしている。
その様子に善逸は大騒ぎ。「ギャアアアアアアかあわいいいいいギャワイイイイ！水着ィィィキィエエエエ！」

静かにするようたしなめる炭治郎だが、善逸は止まらない。叫び続け、ついには「ゲハアアアッ」と吐血した。
「善逸ーーっ！！！」と泣き叫ぶ炭治郎。善逸は（幸せだったよねずこ…来世でも添い遂げよう また夫婦になろう…）と語り、遠くへ行ってしまった。
それを禰豆子と伊之助が真顔で見つめていた。

中高一貫☆キメツ学園物語（小説収録）のあらすじ・ストーリー

中高一貫☆キメツ学園物語!!（鬼滅の刃 しあわせの花 収録）

我妻善逸は、昼休みの校舎裏で竈門炭治郎に「風紀委員を辞めたい」とボヤいている。善逸は委員会決めの際に休んでいたために、本人の意思とは関係なく風紀委員にされていたのだった。最初は立場を利用して女子の服装チェックを楽しんだりもしていたが、クセの強い生徒たちから反感を買いボコボコにされるなどしており、もううんざりしていた。

そんな善逸を「俺は善逸は風紀委員に合ってると思うけど。なんだかんだでやさしいし」と励ます炭治郎。炭治郎は父の形見であるピアスをつけていたが、善逸の協力もあって見逃してもらっていたのだった。しかし、善逸はそんな優しい言葉をかけてくれる炭治郎をキッと睨む。「じゃあお前やれよ！？俺の代わりに風紀委員！！」とすがるが、「俺は朝は実家の手伝いがあるし…」とやんわりと断られてしまう。炭治郎の実家はパン屋で、毎朝1000個ほどのパンを焼いているため炭治郎は早起きして家業を手伝っているのだった。

ならせめて風紀委員を無事辞められるように手伝ってくれと頼む善逸。炭治郎はなぜ風紀委員の顧問である冨岡義勇先生に言わないのか疑問に思うが、善逸は「あの人が素直に聞いてくれるわけないじゃん！」と憤慨する。冨岡先生は善逸の金髪（地毛）を問題視しており、善逸と話すたびに「髪を黒くして来いって言っただろうが」と殴ってくるため、善逸は冨岡先生を話が通じないやつだと考えていた。それでも先生には話さないと食い下がる炭治郎だが、善逸は譲らず、ついには冨岡の名前を口に出しただけで胃の中のものをもどしそうになるほどであった。その様子を見て、善逸の気持ちを理解した炭治郎は「冨岡先生の機嫌がいい時に言いに行こう。俺もついて行くから」と提案。善逸は「機嫌のいい時？そんな時あんの？」と疑問に感じる。給料日？プレミアムフライデー？デートの日？考えを巡らす善逸に、炭治郎は「鮭大根だ」と告げる。

炭治郎が言うには、冨岡先生は炭治郎の実家であるパン屋の常連であり、別の常連さんたちの噂話から「好物は鮭大根」「鮭大根を食べた時だけちょっと微笑む」という話を聞いたことがあるそう。さらに冨岡先生は毎日、学食の日替わりお魚定食を食べており、本日のおかずはちょうど鮭大根。これを食べるご機嫌なタイミングに攻めるべきと炭治郎は提案した。善逸は微笑む冨岡先生を想像し気味悪く思うも、炭治郎の提案を名案だと褒めちぎる。さっそく学食に向かった善逸と炭治郎。窓際に1人で座る冨岡を発見した善逸は、意を決して「冨岡先生！お話があります！！俺、もう風紀委員を辞め…」と話しかけるが、その瞬間かつてない速さで繰り出された冨岡の右ストレートが、善逸の頬にキマった。「お前はいつになったら髪を黒くしてくるんだ！！」そこには、鮭大根の幸福感は微塵も感じられない。意識が朦朧とする善逸が最後に見たのは、慌てて駆け寄ってくる炭治郎と、冨岡の目の前のトレイに乗った「鰤（ぶり）大根」だった。

保健室に運ばれた善逸を迎えに来た炭治郎は、深々と頭を下げて謝った。実は良い鮭を仕入れられなかった学食が、急遽おかずを鰤に変えていたのだそう。善逸は自分の運が悪かったんだと力なく笑うが、その姿を気の毒に思った炭治郎はさらなる提案をする。「冨岡先生以外に相談してみないか？」と。他に相談するならどの先生が良いか、と考える2人。美術の宇髄先生は善逸が嫌っているので却下。音楽の響凱先生は音痴の炭治郎のことを苦手としているので却下。そこで2人が行きついたのは、歴史の煉獄杏寿郎（れんごくきょうじゅろう）先生であった。煉獄先生は教育熱心で歴史愛、生徒愛に溢れた教師で、学園内では人気No.1の教師であった。

相談相手が決まるも、煉獄先生がどこにいるのか見当がつかないと話す2人。すると、保健室のベッドから「煉獄先生なら図書室にいたぞ」という声が飛んできた。声の主は愈史郎という生徒で、校医である珠世の側にいたいあまりに保健室に入り浸る姿から「保健室の主」と呼ばれていた。珠世との時間を邪魔されるのを嫌う愈史郎が、情報を与える代わりにさっさと消えろオーラを出してきたため、善逸と炭治郎は慌てて保健室を飛び出した。2人が図書室に着くと、煉獄先生がちょうど図書室から出てくるところであった。2人が話しかけると、煉獄は明るい笑顔で答えるが、その腕に抱えられた「目指せ！お弁当男子」「激ウマ弁当365日」「子供がよろこぶ♡お弁当」という本の方が気になってしまう2人。意を決して炭治郎がその本はなんなのかを聞くと、どうやら母の仕事が忙しいため、弟・千寿郎の弁当を代わりにつくってやろうと思い、喜んでくれるようにと借りてきたのだとのこと。

善逸と炭治郎にも、家に来てご飯を作らないかと誘う煉獄。しかし2人は相談に来たわけで、善逸は相談内容を切り出す。「俺、風紀委員を辞めたいんですけど冨岡先生が全然話を聞いてくれなくて…」と学食での一件を説明する善逸に、煉獄は珍しく難しい顔をしながら話に聞き入っていたが、突然「鮭大根もいいな！」と朗らかに叫んだ。煉獄は善逸の相談のうち、ご飯に関する部分しか聞いていなかったのである。さっそく鮭大根をつくってみようと、2人に買い物の指示を出す煉獄。炭治郎も思わずその話に乗ってしまう。「俺はただ単に風紀委員を辞めたいだけなんだって！！」と叫ぶ善逸なのであった。

「煉獄先生があんなに他人の話を聞かないとは」と、キメツ学園から近い「定食屋アオイ」でうなだれている善逸。結局、煉獄のご飯づくりに付き合わされた善逸と炭治郎であったが、煉獄は実は料理がとても下手であり、死を覚悟するような味の食べ物を食べさせられたり、煉獄の父にはついでということで剣道教室でしごきを受けるなど散々な目にあったのだった。結局問題が解決していないことに憤り、泣き言をこぼす善逸。

そこに、お店の看板娘の神崎アオイが、その先輩の胡蝶しのぶを連れてお店に帰ってくる。キメツ学園2年のアオイは華道部で、しのぶはフェンシング部と薬学研究部に所属する3年。どちらも整った顔立ちをしており、特にしのぶは芸能事務所からスカウトが来るうえに成績は学年トップ、フェンシングの大会でも優勝するなど美人かつ才女である。しかし、しのぶには「ヤバイお薬をつくっている」という噂もあり、ごく一部で「毒姫」というあだ名で呼ばれていた。しかし、善逸は可愛い女性に目がないため、そんな噂はまったく信じていなかった。善逸たちと同じテーブルに座ったしのぶは、善逸の浮かない顔を見て「どうしたんですか？浮かない顔して。私でよかったら話してみてくれませんか？」と聞く。その優しい声に、鼻の下がデレーッと伸びる善逸。事の顛末をしのぶに話すと、しのぶはうんうんと親身に聞いてくれたのち「冨岡先生は善逸君に期待しているんだと思います」と言う。これまでの風紀委員は全員すぐに辞めてしまったが、善逸は残っているため本心では嬉しく思っているはずだと。その言葉に、暴力で支配されているだけだとまだ懐疑的な善逸だったが、「前に冨岡先生がポツリと言っていました、『我妻はよくやってる』って」というしのぶの言葉に少しその気になり始める。

さらにしのぶは「風紀委員は大変ですが、善逸君たちがいるからこの学園の平和が保たれているんです。頑張ってください、善逸君。一番応援してますよ」と続けた。しのぶの美しさ、シャンプーやフレグランス的な良い匂い、重ねられた手、そしてしのぶの応援の声に善逸は「ハイッ！！！！！！！！！！！！！！！！」と鼻血を出さんばかりに興奮し、「この善逸におかませくださいな！！」と言い間違いも気にせずに奮起する。心中では（幸せ！！うわあああ幸せ！！）と幸せを全力で噛みしめていた。その様子を見ていた神崎アオイが、微妙な表情をしながら「今月に入ってしのぶ先輩に『一番応援』された方は善逸さんで13人目です。あまりまともに受け取らない方が…」と善逸にささやくが、もはや幸せの絶頂にいる善逸にそんな声は届かなかった。炭治郎にもアオイの忠告は届かず「よかったな善逸。やっぱり風紀委員に向いてるんだ。頑張れ」とニコニコしており、アオイはやれやれといった表情。善逸は（よし、やってやる！！）と決意するのであった。

翌朝、「冨岡先生！！」と校門の前で服装チェックをしていた冨岡に駆け寄った善逸。しのぶの応援パワーで突き進む善逸の顔には笑顔すら浮かんでいた。そして朗らかに「先生っ！！俺、美容院の予約入れました！！！黒髪に染めてより一層、風紀委員の仕事を頑張ります！！！！これからもご指導ご鞭撻の程よろし…」と冨岡に宣言するが、すべて言い切る前に「うるさい！！！」と冨岡からまさかの一撃を喰らう。「！？」と驚きながら吹き飛ぶ善逸。そして冨岡は静かに「校内で大声を出すな」とつぶやいた。善逸はもはや涙すらこぼれず、（何、この理不尽…）と思いながら崩れ落ちるのであった。

「炭治郎おぉぉぉぉ！！！俺、もう風紀委員辞めたい！！！！！もう嫌だっ！！！」と、昼休みに炭治郎に叫ぶ善逸。しのぶ応援パワーはすっかり尽きてしまったようである。炭治郎はただただ哀れそうに「善逸…」と言うのみ。後日、「貴重な人材の流出を止めてあげたんですから、来月からうちの部の体育館の使用割合を上げてくださいね？冨岡先生」と教師を脅すしのぶの姿が目撃されたと聞いた善逸は、三日三晩寝込んでしまったのであった。今日も中高一貫キメツ学園は、善逸一人を除き、それなりに平和である。

中高一貫☆キメツ学園物語!!～パラダイス・ロスト～（鬼滅の刃 片羽の蝶 収録）