零〜濡鴉ノ巫女〜(Fatal Frame V)のネタバレ解説・考察まとめ

『零~濡鴉ノ巫女~』は任天堂発売の和風ホラーゲーム『零』シリーズの第6作目(通算9作目)である。キャッチコピーは「死の山、幽婚、神隠し すべては水でつながっている。」。不来方夕莉、雛咲深羽、放生蓮の3名が操作キャラクター。日上山という水をご神体として崇める霊山が舞台。夕莉は消えた恩人や依頼人を、深紅は母を、蓮は死者を写した弔写真を追い、それぞれの事情から怨霊が徘徊する日上山へ踏み込んで怨霊との戦闘や探索をくり広げる。映画さながらの美麗グラフィックと陰鬱な雰囲気がファンを集めている。

CV:種田梨沙
影見の能力に目覚めた少女。他の家族全員が死んだ事故をきっかけに、過去の幻影や死者の姿などありえないものを日常的に見るようになって周囲から孤立した。一度は失踪し夕焼けの断崖から投身自殺を試みたが黒澤密花に止められ、以来彼女が経営する骨董・喫茶「くろさわ」に身を寄せる。霊や他人の色々な感情が見えてしまう恐怖から極力他人との接触を避ける控えめな性格になった。その為「くろさわ」の手伝いも掃除や後片付け、密花不在時の留守番など限定的で接客には向かない。元々は真面目で優しい少女であるが故に、その人の秘密までも覗き見る能力に苦しめられている。趣味はサイクリング。理由は一人であることが自然に思えてくるから。
一時期霊を見聞きする現象を精神疾患と誤解され、精神病院に収容されていた。医師の勧めで日記を書き始めるなど夕莉なりに改善に向け努力していたが、霊媒体質への理解を示さない周囲に好奇の目で見られて失踪した経緯がある。
密花の失踪後は恩人への想いと、彼女がやり残した仕事を引き継いだ責任感から春河や深羽の捜索を続けるうちに日上山の儀式に深く関わり、現地で多くの死を看取った事で逢世の孤独と共鳴する。

雛咲深羽(ひなさき みう)

CV:内田真礼
行方不明の母を捜し日上山に入り、神隠しに遭った少女。幼い頃からとりわけ霊感が強く、霊の存在や触れた人の考えている事が見えた。
3歳の時に母親が失踪、養母に引き取られるが霊媒体質に悩んで家を飛び出す。自分と同じように霊が見え、時に死者と会話できた母の話を聞き、彼女なら最大の理解者になってくれると縋るような一念で日上山に踏み入る。
養母の家を飛び出した後に芸能事務所にスカウトされるも、女優の仕事より大胆な水着で写真を撮られるグラビアモデルの需要が多く、周囲への当たりが強い勝気な性格が災いして職場でも軋轢を起こしていた。
心の奥底では母を恋しがっているが、いざ対面した深紅の、娘より兄を選んだ身勝手さをなかなか許せずにいる。
しかし最後には和解し、夢ノ通路エンドにおいては射影機の力で現世に留まった深紅と抱き合って添い寝している。

放生蓮(ほうじょう れん)

CV:鈴木達央
作家。取材を元にフィクションを構成する作風は一部で有名だがお世辞にも売れているとは言えない。そのスタイルから取材と執筆に時間を要し、収入を得る為に別名義の仕事も請け負っている。
ものぐさで大雑把、温厚な性格。次回作のテーマに弔写真を選び、さらなる現物を求めて密花に影見を頼んだ。密花とは資料を探している時に懇意となり、以降は資料の骨董や古本の調達などを度々打診している。
幼い頃祭りの最中に少女を殺した記憶に苛まれており、そのせいで女性が苦手。特に目を見詰められると挙動不審になる。
麻生邦彦の分家の出身で子孫にあたる。逢世の弔写真を入手した際、先祖が残した未練に憑かれ日上山の儀式に関わることになった。
実は祭りで白菊を殺したのは蓮の実体験でなく、実家の蔵で白髪の束に触れた幼少時に麻生の記憶を引き継いでいた。容貌は若き日の麻生邦彦そっくりで、そのせいで白菊や逢世に本人と誤解された。生まれ変わりか隔世遺伝かは本作では明言されてない。

サブキャラクター

鏡宮累(かがみや るい)

CV:坂本真綾
蓮の身のまわりの世話をする少年助手で彼の家に居候している17歳。出版社の紹介で雇用した。横着で生活能力の低い蓮は、殆ど累に依存している。
蓮のことを先生と呼び尊敬しているが、直感で飛び出していきがちな蓮を窘めたり、また蓮も彼の言う事は素直に聞いて反省するなど最も親しい存在と言える。蓮に同行して日上山に入るようになってから言動がおかしくなり始めた。
実は男装した女性で蓮に恋心を抱いている。しかし女性が苦手な蓮にどうしても真実を話せず、報われない片想いに苦しんでいた。その葛藤を白菊に見透かされ動揺した事が、怨霊に付け入る隙を与えてしまった。最終的には自分が選ばれなくても最期まで蓮と一緒にいたいと願うなど、想い人の幸せを祈る健気さを見せ、全てを終えて日上山をおりた蓮を笑顔で迎えた。

黒澤密花(くろさわ ひそか)

CV:田中敦子
骨董・喫茶「くろさわ」の経営の傍ら影見の力を使って人捜しを引き受ける女性、23歳。天涯孤独の夕莉を居候させ、彼女に影見のコントロールを教える良き理解者。理知的な性格で常に穏やかだが、過去に失踪者・成海あかりに自殺されたトラウマを抱えている。夕焼けの断崖から飛び降りたその少女と夕莉が重なり、彼女もいずれ失ってしまうのではと心の奥底で不安に怯えていた。
彼女が所持する射影機は同じ影見の老婆の遺品として譲り受けたもの。
影見としての力は実際夕莉ほど強くなく看取りはできない。
あかりの事件以降彼女を救えなかった罪悪感から新しい依頼を受けるのに躊躇していたが、以前から店の常連で面識があった冬陽の親友が消えた事、日上山周辺で最近失踪者が続出している事態を危ぶみ、夕莉を残して捜査に向かった折に逢世に憑かれ箱へ押し込められる。抱擁エンドにおいては夕莉が自殺に惹かれる過去の呪縛と死の誘惑を振り切った事で、密花もまた救済された。
逢世と同じ姓だが関係は不明。

氷見野冬陽(ひみの ふゆひ)

CV:今井麻夏
密花に親友の捜索を依頼した少女。高校時代に他の友人四人と日上山で入水自殺を図ったが、春河と共に生き残ってしまった。行方不明の春河の捜索を密花に頼んだが、密花もまた消えた事で焦燥に駆られて自ら日上山へ赴く。その後一度は夕莉に発見されるが、濡鴉ノ巫女の怨霊に操られ自殺を強制され怨霊化。

百々瀬春河(ももせ はるか)

CV:戸松遥
冬陽の幼馴染で親友。密花が趣味で行う占いめあてで骨董・喫茶「くろさわ」に通っていたが、高校時代の自殺の失敗から姿を見せなくなる。冬陽とは共依存ともいえる親密な間柄だが、一度目の自殺の失敗時に禍津陽を見てしまったのが原因でずっと死への誘惑に取り憑かれていた。夕莉に助け出されるが冬陽の怨霊に取り込まれて再び日上山へ行き、結局殺されて怨霊化。

白菊(しらぎく)

CV:高森奈津美
形代神社に出没する幼い少女。白い髪と赤い瞳のアルビノ体質。幼少期の麻生邦彦とよく遊び、彼に仄かな恋心を抱いていた。
日上山近在の陽炎山(かぎろいやま)の幼巫女であったが、その異様な容姿から長生きは絶望的と見なされ7歳になる前に人柱にされる宿命だった。柩籠に入る際に麻生に遺髪を寄香として渡し、将来幽婚で結ばれる事を約束した。

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