Detroit: Become Human(デトロイト ビカム ヒューマン)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『Detroit: Become Human』とは、クアンティック・ドリームの開発によるアクション・アドベンチャーゲーム。PlayStation 4専用ソフトとして発売され、その後PC版も配信された。
2038年、人間そっくりのアンドロイドが普及したデトロイトでは、アンドロイドによる殺人事件が多発していた。本作は、そうした世界を背景に、試作最新型アンドロイド「コナー」、家庭用アンドロイド「カーラ」、アシスタント用アンドロイド「マーカス」の3人の物語を、膨大な分岐と選択肢で描く。

『Detroit: Become Human』の概要

『Detroit: Become Human』とは、クアンティック・ドリーム開発、ソニー・インタラクティブエンタテインメント発売によるPlayStation4専用ソフトである。2018年5月にパッケージ版、PlayStation Storeにてダウンロード版(通常版)が発売されたほか、さまざまな追加特典を同梱した「デジタルデラックス・エディション」も発売されている。また、2018年11月には廉価版である「バリュー・セレクション」が発売されている。2019年にはEPIC storeにてPC版がダウンロード配信された。ゲームジャンルはアクションアドベンチャーゲームで、3人の主人公を操作する形となっている。

本作の特徴は、なんと言ってもその選択肢の多彩さだろう。3人の主人公は誰もがそのストーリーの中でさまざまな選択を迫られる。時にはその選択が、彼らが辿る物語を大きく変え、エンディングに大きく影響を及ぼす。さらに一部のキャラクターにはそれぞれの主人公に対する好感度が設定されており、それらの好感度もキャラクターの行動やシナリオの変化に影響を及ぼすため、プレイヤーの行動次第で物語はまったく異なる展開を迎える。
選択肢や物語の展開で主人公が死亡したとしても、そのままストーリーは進行するため、実質的にゲームオーバーは存在しない。その選択肢の豊富さと展開の多彩さは、このゲームをプレイしたプレイヤーをして、「同じゲームをプレイした人と話をしているのに話が噛み合わない」と言わしめるほど。

本作は、西暦2038年という、未来だが手の届かないほど遠くはない時代にて、アンドロイドが当たり前に普及した世界を描いている。街中ではアンドロイドの普及によって職を失った人々がデモを起こし、店には「アンドロイドお断り」の掲示が貼ってある。本作におけるアンドロイドは、科学技術の粋を集めて作られた夢の存在であるとともに、ある種の社会的弱者としても描かれている。そんな中で、3人の主人公はそれぞれ違う形で自我に目覚めることで、それぞれの物語を歩み始める。「自我を持った機械と人間の違いはなにか」というのは、SF作家フィリップ・K・ディックの代表作「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」でも問われてきたSFの古典的命題のひとつだ。本作は「それは命か、それともモノか」というキャッチコピーとともに、この時代にもう一度そのテーマを問うた作品であると言える。

西暦2038年、デトロイト。増加傾向にあるアンドロイドによる殺人事件の裏には、「変異体」と呼ばれる自我に目覚めたアンドロイドの存在があった。最新型試作アンドロイドRK800「コナー」は、アンドロイドによる殺人事件の捜査に導入される。変異体の起こす事件を追っていくうち、コナー自身の中にも自我が芽生えつつあった。

『Detroit: Become Human』のあらすじ・ストーリー

1章:人質(主人公:コナー)

最新型試作アンドロイド、コナー。暴走したアンドロイドによる殺人事件の交渉役として導入された。

デトロイト市内のアパートメントにて、家庭用アンドロイドによる殺人事件が発生。通報を受けたデトロイト市警は、一家の娘エマを人質にして屋上に立てこもったアンドロイド「ダニエル」との交渉のために、最新型試作アンドロイドRK800「コナー」を送り込む。コナーはアパートの室内を調査しダニエルの身元を割り出すと、その情報を元にダニエルとの交渉を開始する。どうやらダニエルは、一家が旧型のモデルである彼を捨てて新しいアンドロイドを買おうとしていたことに恐怖を覚え、自我に目覚めたアンドロイド「変異体」となったらしい。コナーが卓越したコミュニケーション能力でダニエルの敵意を抑えたことでチャンスを得たSWATは、人質を救出することに成功する。しかし、ダニエルは射殺されてしまう。任務に成功したコナーは冷徹な表情を崩すことなくその場を後にする。

2章:色あふれる世界(主人公:マーカス)

家庭アシスタント用アンドロイド、マーカス。老画家カールと家族同然の暮らしを送っている。

マーカスは老画家カール・マンフレッドと暮らす家庭アシスタント用アンドロイドだ。今日もマーカスはカールのために、いつもの店に画材を買いに来た。支払いを済ませたマーカスは帰途につく。街ではアンドロイドの追放を求めるデモが行われている。アンドロイドが普及したことで職を失う人びとが急増し、そうした人々によってアンドロイドが暴行を受けたり破壊されたりする事件も増えてきていた。デモの声を背に、マーカスは帰りのバスに乗る。そのバスの中でもアンドロイドと人間の席は分かれていた。

3章:新たな我が家(主人公:カーラ)

家事手伝い用アンドロイド、カーラ。所有者であるトッドの暴力によって何度も破壊されている。

家事手伝い用アンドロイド・カーラは、修理を終えて所有者であるトッド・ウィリアムズの家へと戻ってきた。実はカーラはこれまでにも数回トッドの暴力によって破壊されていたが、その度にメモリーを消去されていたのでそのことを覚えていない。トッドの家へと戻ってきたカーラは、命令に従って家事をこなす。トッドの家には、彼の娘であるアリスがいたが、アリスもまたトッドから虐待を受けていた。

1階の掃除を終えたカーラは2階へと向かう。トッドの部屋は雑然としており、引き出しの中には抗うつ剤の容器があった。どうやらトッドは精神的に不安定な状態にあるようだ。続いてアリスの部屋へと入ると、部屋の隅にアリスがうずくまっていた。笑顔で声をかけるカーラだが、アリスは逃げてしまう。しかし、その際にアリスは大切な宝物を仕舞っている宝箱の鍵を渡してくれた。宝箱を開けると、そこにはまだ幸せだった頃の一家の写真が収められていた。またそこには、トッドがカーラを暴行している絵や、ばらばらにされたカーラの絵も一緒に入っていた。

2階の掃除を終えて1階へ戻ると、トッドが発作的にアリスを怒鳴り散らしていた。椅子やテーブルを蹴倒して喚き散らすトッドだったが、今度は泣きながらアリスに謝り始める。典型的な情緒不安定の状態だったが、感情を持たないアンドロイドであるカーラには、何も感じることはなかった。

4章:画家(主人公:マーカス)

マーカスの所有者である画家、カール。マーカスのことは家族同然に思っている。

バスを降り、自身の所有者である画家・カールの元へと戻ってきたマーカス。カールは世界的な画家で、現在はデトロイト郊外の豪邸に隠棲している。マーカスはカールを起こし、朝食の準備やスタジオの片づけを行う。朝食を終えたカールは、スタジオにてマーカスに絵を描かせる。戸惑うマーカスに、「頭に思い浮かべたものを描くんだ」とアドバイスする。マーカスが1枚の絵を描き上げたとき、スタジオに何者かが入ってきた。入ってきたのは、カールの私生児であるレオだった。レオは麻薬中毒者で、たびたび麻薬を買うためにカールに金を無心していた。今回も金をせびるレオだが、カールはこれをきっぱりと断る。レオは捨てゼリフを残してスタジオを去っていった。

5章:相棒(主人公:コナー)

アンドロイドによる殺人事件操作のパートナーとなる刑事、ハンク。

引き続き、自我に目覚めたアンドロイド「変異体」の引き起こす事件の捜査を命じられたコナーは、パートナーとなる刑事、ハンク・アンダーソンの姿を求めて、彼がいつも飲んだくれているというバーを訪れた。周囲の怪訝な視線を意に介する事なく、コナーは店内にいる人間の顔をスキャンし、ハンクを特定する。ハンクはアンドロイドを嫌っていたが、コナーはハンクをなんとか説得して、変異体が起こしたらしい殺人事件の現場へと向かう。

現場へ到着した二人はさっそく現場検証を始める。コナーはその卓越した分析機能で現場を調べ、犯人と思しき変異体は建物の外へは出ていないことを突き止める。コナーはさらなる調査により変異体が屋根裏部屋へと逃げた可能性を指摘する。屋根裏部屋へと上がったコナーは、全身に返り血を浴びた変異体を発見する。

6章:夜のあらし(主人公:カーラ)

トッドの家を脱出し、つかの間の休息をとるカーラとアリス。

嵐の夜。トッド宅ではアリスがトッドからの暴行に怯えていた。一方トッドは、違法ドラッグ「レッドアイス」を摂取していた。食事の時間になり、テーブルに着くトッドとアリス。だが、トッドが突然激高しアリスに暴力を振るい始める。アリスは2階へと避難するが、トッドは今にも彼女を追いかけて行きそうだ。アンドロイドであるカーラは、トッドに「そこを動くな」と命令されたせいで動くことができない。しかし、カーラの中では自我が芽生えつつあった。そしてカーラはついに、アンドロイドに人間の命令を遵守させるプログラムである「マインドパレス」を破壊し、自由意志を得る。カーラはすぐさま2階へと移動し、アリスを保護する。そして、追いすがるトッドをなんとか退け、二人はトッド宅を脱出した。そこへちょうど着いたバスに乗り込み、二人はあてのない逃避行に身を投じる。

7章:失意(主人公:マーカス)

マーカスもまた自我に目覚める。

パーティに出席していたカールは、マーカスとともに自宅に帰ってきた。酒の用意をしていたマーカスは、スタジオの明かりがついていることに気付く。すぐに警察を呼び、スタジオに向かうマーカスとカール。そこにいたのは、スタジオに置いてあった絵を漁っているレオだった。レオと口論になるカール。レオは、実の息子である自分を差し置いて、カールの愛情を受けているマーカスを激しく憎んでいた。レオはマーカスに暴言を吐き、挑発する。その態度に、マーカスの中に怒りが芽生え始める。そして、自分の行動を抑制しようとするマインドパレスを破壊し、マーカスもまた自我に目覚める。

さらに挑発を続けるレオに対し、反撃するマーカス。想定外の行動にとっさに反応できなかったレオは倒れ、その拍子に頭を強く打ったショックで動かなくなってしまう。その姿を見たカールも発作を起こし倒れてしまう。そこへ運悪く先ほど呼んだ警察が駆けつけてくる。マーカスは弁明の間もなく撃たれてしまう。

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