少女ファイト(日本橋ヨヲコ)のネタバレ解説・考察まとめ

『少女ファイト』とは、日本橋ヨヲコにより講談社イブニングで連載されている、高校女子バレーボールを題材にした漫画作品である。女子バレー界で20年に一人の逸材と謳われた姉の事故をきっかけとし、心を病んでしまった主人公大石練。そんな彼女が高校進学を転機に、仲間達を通して大きな成長を遂げ、春高優勝に向けて力を合わせていく青春物語である。ブロスコミックアワード2008大賞受賞作品。2009年10月にはOVA化もされている。

黒曜谷高校女子バレー部

私立黒曜谷高等学校は東京都練馬区にある私立高校。
経営者である犬神了子の趣味により、併設している遊園地「しじまえん」の増設のついでに設立された。
校舎はいわゆる悪魔城風。

数年前にスポーツ特待生制度を導入し、スポーツ科学科を新設。
その理由は大石練と同学年である三國家の長男、智之の入学のためであった。
実力のある生徒に門戸を開く。

女子バレー部はキャプテンの犬神鏡子を含めた9人メンバー。
鏡子から「ストレイドッグス(野良犬たち)」と呼ばれている。

練の姉・大石真理の代では春の高校バレー(春高)で優勝を飾っている。
しかし、その後は廃部状態になり、長らく女子バレー界から姿を消していた。

鏡子が1年生だった頃、試合に出場できる人数が集まって復活を果たすが、部員の相次ぐ退部により試合が続行不可に。
1年生が入ってくるまでは3人での活動を余儀なくされていた。

過去の教訓からやる気のない部員を集めることは無意味だと感じ、積極的に勧誘はしてこなかった。
しかし笛子が、練や長谷川留弥子など少し癖が強くて扱いが難しい生徒に目をつけ、今年度からスカウトを始める。

奈緒の賭けバレー騒動以降、インターハイ辞退を下されて他校から悪役扱いされている。
鏡子たち2年生もかなりの実力者で、学外でも「魔女」と呼ばれて恐れられている。
鏡子をセッターに、沙羅と由佳がセンターを務める姿は「風神雷神」と呼ばれていた。

監督である陣内笛子は部活を引退してからの人生を考えた上で、文武両道を部の方針に置いている。
これは、自身が足を故障した時の体験を戒めるため。

大石 練(おおいし ねり)

CV:水樹奈々。

本作の主人公。黒曜谷高校スポーツ科学科1年。
旭谷小学校でキャプテンを務め、その後私立白雲山学園に推薦受験し、現在は黒曜谷高校にスポーツ特待生として進学した。

背は158cmと低いながらも、人並み外れた運動神経とバレーセンスを持ち合わせている。
体力も申し分ないのだが、本気でプレーし過ぎると疲労でダウンしてしまう。

勉強は苦手だが、映像記憶の特技を持っているので暗記は得意。
さらに、バレーでもその特技は生かされており、過去に対戦したチームのスコアを覚えている。
そのためか、たまに嫌な思い出のフラッシュバックが起きてしまう。

本人も無自覚の共感能力の高さから、極度に相手の気持ちにシンクロしてしまうので精神面は脆い。
そのため、コーチの由良木政子に不安材料だと言われ、注意されていた。
しかし、仲間との生活でその後大きな成長を遂げ、自らヒール役を買って出るまでになる。
また、他者の素晴らしいプレーを見ると、見惚れてしまって集中力を切らす癖もある。

式島滋のことは幼い頃から好きだったが、滋は姉の真理のことが好きだと長らく誤解していた。

実家は銭湯「おおいし」。誰に言われずとも風呂掃除をしてしまう癖もある。

姉の形見の、四つ葉のクローバーをかたどったネックレスを肌身離さず身につけている。
ミニチュアの建物が好きで、コツコツ制作している。

小学校時代から「狂犬」というあだ名がついており、他人から怖がられたり嫌われたりすることもあるが、根は非常に優しく人懐っこい。
人を惹きつけて離さない、不思議な魅力のあるキャラクター。

小田切 学(おだぎり まなぶ)

CV:能登麻美子。

黒曜谷高校スポーツ科学科1年。ポジションはセッター。
旭谷小学校出身で大石練とは元同級生。

小学校時代は肥満体型を理由に男子にいじめられていたが、そこを練に助けられて以来憧れを抱くようになる。
(現青磁の1年で元同級生だった雨宮摩耶がイジメの原因だった)

趣味は漫画を描くことで、練を主人公にしたバレー漫画を長年描いていた。
しかし、絵は下手である。

旭谷中学校時代は式島未散と同級生だった。
学力はトップクラスで学年首位、超進学校である開布高校も余裕と見られていたので、黒曜谷高校進学時は担任からかなり惜しまれた。
ちなみに在学中、高熱で倒れて断食した際体質が変わり、現在は178cmの高身長に体重が61kgしかない。

黒曜谷高校進学理由は家の近くのスポーツ科学科に通いたかったから。
練と同級生になったのはまったくの偶然だった。

女子バレー部マネージャーを希望していたのは練主人公のバレー漫画の参考にと考えていたため。
しかし、その時点でマネージャーが式島滋に決定していたこと、部員が10人以下で人手が足りなかったこと、さらに練に「経験より目的がはっきりしている奴が優先」と言われ、入部を決意。

ポジションは素人には絶対に任されないと言われているセッターに選ばれた。
体力はないが、頭脳と判断力、178cmの高身長を上手く生かして努力を重ねていく。
今では黒曜谷高校1年の精神的支えに。

人とあまり打ち解けない練も学に懐き、姉の真理の面影を見ている。
唯隆子の存在を恐れている未散のために形だけ恋仲になるが、後に正式に未散からお付き合いを申し込まれている。
練や食えない性格の隆子と心を通わせていることから、式島兄弟に密かに憧憬のような恐れを抱かれている。

延友 厚子(のぶとも あつこ)

CV:渡辺明乃。

黒曜谷高校スポーツ科学科1年。ポジションはレフト。
城南小学校バレー部キャプテンを務め、その後栄中学校を経て黒曜谷高校に進学した。

早坂奈緒とは小学校3年生の頃から親友。
男遊びの多い奈緒のストッパー役だった。

性格も容姿も男勝りで、中学当時に父の再婚でかなり荒れていた。
当時、唯一心を許せる奈緒の母親以外の大人に心を開かなかった。
なので、黒曜谷では家族から離れて寮で暮らしている。

小学校の頃から大石練のことは知っており、過去に負かされた経験から練を敵視している。
だが、その後練のことを認め、次第に尊敬の念を抱くようになる。

元々頑固な性格だが、協力関係になるとその人を受け入れるタイプ。
なので、不慣れなライトの練習をしていた時に特訓をしてくれた継母の知花のことも認められるように。

プレーは攻撃型だが、打ち分けは苦手。
奈緒の賭けバレー騒動の際、電車内でチケットを買うように迫られている三國広之を女と勘違いして助ける。
それ以降、厚子の人柄に惚れた広之は厚子に交際を申し込むようになった。

早坂 奈緒(はやさか なお)

CV:世戸さおり。

黒曜谷高校スポーツ科学科1年。
容姿も中身も「コギャル」で恋多き少女。

親友の延友厚子が父親の再婚でグレ始めた時に合わせ、男遊びが激しくなった。
付き合う相手はダメな男ばかりで、いつも厚子に怒られている。
厚子によれば「付き合う友人によって、性格や素行が影響されていく」。

高校に入ると再婚の件で厚子も落ち着き、チームメイトとの交流や現彼氏の本間豪徳と付き合いだしたことで、元の天真爛漫で優しい性格を取り戻した。

厚子とは小学3年生以来の付き合いで、バレー部を選んだのも厚子がいたため。
栄中学校を経て、黒曜谷を受験した。

豪徳元締めの賭けバレーでメンバーの欠員が出たことから、いけないと知りつつ黙って参加した。
心配した黒曜谷女子バレー部が助けに現れ、結果的に夏のインターハイ辞退という重い処分を受けることに。
他校からヒールとして扱われる原因となり、それを長らく後悔していた。

その後、豪徳は三國広之の提案でベットバレーを合法化する。
彼にも妹の心臓病の手術代を稼ぐ事情があり、今も普通に交際して豪徳を支えている。
豪徳との猛特訓のお陰でバレーが上達しており、ベットバレー以降は真面目に部活に取り組むようになる。

「やる気にムラがあるしサボり魔だが器用で穴がない」と厚子が言うようにユーティリティープレイヤーの面を持ち合わせ、プレーはメンバーの中つなぎが得意。

伊丹 志乃(いたみ しの)

CV:ゆかな。

黒曜谷高校スポーツ科学科1年。ポジションはリベロ。
身長は159cmと低いが、技術力は1年生の中で一番。

かなりの努力家だが、プライドが高く1年2年問わず見下すような発言が目立つ。
蜂谷由佳からは当初「包容力が足りない」と評される。
冷静な場面では実力が高いが、頭に血が上ると対応できなくなる。

母方の祖父は菱巻組というヤクザの組長であり、関西のバレー界隈では「ヤクザの孫娘」という悪評が流れている。
クリーンな会社に勤めていた父がインサイダー取引に巻き込まれて逮捕されたり、父の逮捕の元凶だったヤクザの幹部がバレーの応援に来て場を荒らしたりということがあり、中学時代は八百長疑惑が流れてずいぶんと肩身狭く過ごした。
浅葱高校に進学予定だったが、中学のチームメイトたちが悪評に巻き込まれないようにと進学を断念、黒曜谷に進学した。
春高優勝は、中学時代に八百長だと散々イジメてきた連中を見返すため。
関西出身なため、激怒した時に関西弁が出る。

大阪遠征中では、犬神鏡子と言い合いになり練習を飛び出してしまう。
その時追いかけてきて、慰めてくれた三國智之を見直し、気になり始める。
その後好きとお互い自覚し、春高中に三國からどういう男性が好みかと迫られる。
三國家の智之と、ヤクザの孫娘である自分に隔たりを感じていた志乃は、素直になれず「日本一バレーが強い男がいいわ」と言う。

入学当時は、チームで一番の要であるセッターを希望していたが、上手いセッターに慣れてチームが成長しないのを恐れた陣内笛子、由良木政子の方針によりリベロへの転向を言い渡される。
やる気が削がれ、練習をサボりがちになった志乃は智之の勧めで、弟の広之のいる開成中学校でリベロの特訓を受ける。
広之の「リベロこそ真の司令塔」という弁舌に言い負かされる形でリベロ転向を決意する。

長谷川 留弥子(はせがわ るみこ)

CV:小林ゆう。

黒曜谷高校スポーツ科学科1年。ポジションはセンター。
本作でも屈指の美少女キャラ。
飴屋中学時代はキャプテンを務め、世間ではアイドル選手として京極小雪と人気を分けていた。

速攻やブロックの実力は抜群だが、守備やオープン攻撃が苦手。
中学時代、蜂谷千代の代理で出場していた大石練を試合で見つけ、そのバレーの実力を見抜いて興味を抱いた。

かなりミーハーなところがあり、小雪と対面した際にその美貌にはしゃいだり、沙羅と初対面時に「大ファンです」と公言し、目に見えて動揺させた。

一人称は「ルミ」で周りにもそう呼ばせている。
人懐っこい性格をしており、伊丹志乃などを筆頭によく抱きつく。
黒曜谷では寮に入っていて、志乃と相部屋。

過去作「G戦場ヘヴンズドア」のキャラクター。
母親は女優として人気をはせている久美子で、父親は「少年ファイト」の編集者をしている鉄男。

留弥子が生まれた当時、久美子と鉄男の仕事の忙しさや体裁を考え、公表はされなかった。
しかし、6年前隠し子報道で世間に騒がれイジメを受ける。

その時クラスのリーダー的女子に助けてもらうが、バレーを始めて他の友達ができた途端にその女子からさらにひどいイジメを受ける。
そして「バレーやるのあきらめたらいじめるのやめてあげる」と言われ、カッとなり女子グループを血の海に。転校を余儀なくされた。
それ以来「あきらめる」という言葉を聞く度に正気を保てなくなる。

「エドガワ排球団」作者である堺田町蔵に恋心を抱くが、町蔵は鉄男と久美子と同じ年なのでのらりくらりとかわされている。

春高優勝を目標としているのは、町蔵に結婚条件として掲示されたため。
父と町蔵の影響もあり、かなりのマンガ好きで「エドガワ排球団」の大ファン。
「エドガワ排球団」に出てくるキャラクター「巌」の元ネタは留弥子。

犬神 鏡子(いぬがみ きょうこ)

CV:大原さやか。

黒曜谷高校スポーツ科学科2年。
黒曜谷のキャプテン。ポジションはセッター。

チームメンバー全員の最高到達点や踏切位置を把握していて、どこからボールをとってもベストなポジションにコントロールできる特技を持つなど、相当の実力者。
しかし、虚弱体質と喘息持ちのせいでプレーは1ローテーションがやっと。

試合では重要な場面でしか出場しない。
そのため、鏡子が1年の頃に辞めていった、元チームメイト達から散々にこき下ろされた過去を持つ。
だが、決して楽をしているわけではなく、自宅の体育館で日夜鎌倉沙羅と一緒に練習に励んでいる。

基本マイペースな性格。いつも冗談か本音か分からないような軽口で周囲を煙に巻くが、時にはその軽口で試合中の極度の緊張を解いたりと精神的支えになっている。

沙羅と千石雲海とは幼少時からの幼馴染。
お嬢様らしくない性格だが、それには雲海の存在が大きい。
沙羅も雲海も比べられないくらい大事な存在で、どちらを優先すべきかで揺れ動いている。

幼少時沙羅を傷つけた槌家(沙羅の父)を憎んでおり、槌家のいる朱雀学園に勝つことに執着していた。

雲海のことは女として好き。
当初、雲海の足を引っ張ると了子に危惧され、三國智之との結婚を強いられていた。
しかし、二人は内緒の恋仲になり、最終的には恋仲を許した了子の画策によって強豪校視察時に晴れて恋人同士になる。

よくヘンテコなアイテムを自作するが、それは喘息で眠れない時に気を紛らわすため作成している。

veckn2313
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