ザ・スイッチ(映画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ザ・スイッチ』とは『ハッピー・デス・デイ』や『パラノーマル・アクティビティー 呪いの印』を手がけたクリストファー・ランドン監督によって製作されたスリラー映画作品。連続殺人鬼と女子高校生の体が入れ替わってしまうことで繰り広げられる新感覚ホラーである。コロナ禍に上映された映画にかかわらず2週連続で全米初登場NO.1を獲得するほどの人気ぶりだ。また、第一回Critics Choice Super Awardsでは殺人鬼のブッチャー役を演じたヴィンス・ヴォーンがホラー映画部門最優秀男優賞を受賞した。
『ザ・スイッチ』の概要
『ザ・スイッチ』とは、2020年にアメリカで公開され、日本ではコロナウイルスの影響で2021年から劇場公開されたホラー映画作品である。ホラーやサスペンス映画で『ゲット・アウト』や『透明人間』などの数々のヒット作を手がけているブラムハウス・プロダクションが製作。監督を務めたのは『ハッピー・デス・デイ』や『パラノーマル・アクティビティー 呪いの印』の演出も担当したクリストファー・ランドン監督。アメリカで公開されてからは、2週連続で全米初登場NO.1を飾るほどの大ヒットを見せている。更に、最も優れている作品や役者に贈られる第一回Critics Choice Super Awards(批評家協会賞)で殺人鬼のブッチャー役を演じたヴィンス・ヴォーンがホラー映画部門最優秀男優賞を受賞した。
女子高生ミリーは、内向的な性格で同級生から嫌がらせの標的にされてしまい、友人は黒人のナイラとゲイのジョシュの2人のみ。また、父親が他界してからアルコールを浴びるように飲むようになった母親と警察官の姉との関係も上手くいかないようになる。アメフトの試合が行われた夜、悲劇は起こる。ミリーは母の迎えをアメフトのグラウンドで待っていたところに殺人鬼ブッチャーが現れる。そしてブッチャーがミリーの肩を短剣で突き刺した瞬間、2人の体は入れ替わってしまう。元の姿に戻るには24時間以内に短剣で元の体を再び刺すしかない。今までにないような視点で描かれた新感覚ホラー映画作品だ。
『ザ・スイッチ』のあらすじ・ストーリー
伝説の殺人鬼ブッチャーの登場
11日水曜日の出来事。
1997年からアメリカの小さい田舎町に伝わる連続殺人鬼「ブリスフィールド・ブッチャー」の伝説。毎年学園祭で生徒の大量殺人を行なっていた。しかし、ブッチャーの犯行は90年代から行われておらず単なる都市伝説で信じる者も少なかった。
その噂について語る4人の若者は、もちろんそんな都市伝説を信じることはなくお酒を飲みハメを外していた。そんな若者の前に再び殺人鬼ブッチャーが現れ、瞬く間にその4人を殺害する。ブッチャーが侵入した家には様々な骨董品が置いてあり、その中には「ラ・ドーラ」と呼ばれる短剣が飾られていた。短剣「ラ・ドーラ」はブッチャーに向かって「お前は選ばれしものだ」と呼びかけ短剣を持ち出すよう指示する。
冴えない女子高生ミリー
女子高生のミリーはオシャレとは言えない服装と内気な性格から学校では嫌がらせを受けている。授業に参加しても先生からは冷たい目で見られるようになる。更に一年前には父親を亡くしており、夫が全てだったミリーの母親は大きなショックを受けた。そこからミリーは家族からの期待に応えようと精一杯でより内気な性格に変化したのだ。友人といえるのは、黒人のナイラとゲイのジョシュだけ。親友たちと話す時間、そして密かに恋心を寄せている同級生のブッカーだけがミリーにとっての唯一の癒しである。
そんな中、携帯に「学生4人が惨殺され、犯人は未だ逃亡中」という警告が流れてくる。ミリーはその4人のうちの一人に2日前に会っていたため、より不安に感じる。友人のナイラとジョシュと、殺人事件について話し合う。ナイラが「ブッチャーはただの伝説だ」と言い張るのに対し、ジョシュは「4人も殺されているから実在するに決まっている」と意見は半々だ。
そしてその日は学校でアメフトの試合があり、応援に行くことになっていた。ミリーが通うブリスフィールド高校のアメフトチームは「ビーバーズ」。ミリーは応援としてビーバーの着ぐるみを着て踊っていた。
アメフトの応援も終了し、家に帰ろうとするがミリーの迎えの車は遅刻していた。時間は遅く、既に学生たちはミリー以外全員帰宅。ミリーは一人で迎えを待っていた。ミリーが母親に連絡するが、母親はお酒で酔いつぶれていたため、代わりに警察官の姉シャーリーンに迎えを頼もうとした時に携帯のバッテリーが切れる。
その途端グラウンドを照らしていた照明が落ち、目の前に見知らぬ人が現れる。
ミリーは「ブッチャーじゃありませんように」と祈ることしかできない。その人に向かって「もうすぐ警察官の姉が迎えにくるわ、彼女は銃を持っているわよ」と叫ぶがむしろ逆効果。勢いよくこちらに向かってくるのでミリーは急いで逃げ、隠れるがすぐに見つかってしまう羽目に陥る。
悲劇的な瞬間
ミリーは追い詰められ、ついにはブッチャーに捕まってしまう。そして、短剣でミリーの肩を刺したところに、姉シャーリーンが到着するがブッチャーは逃亡してしまう事態に。
そのまま姉に連れられ警察署に到着したミリーだが、全てが変な感じである。グラウンドに放り捨てられた短剣は証拠品として警察署で保管することに。そのまま家に帰り、眠りにつくミリー。しかし、眠っている間に「ラ・ドーラ」が「朝までそのまま眠れ」と呟く声がミリーを襲う。
そして日にちが変わって13日の金曜日に事件は起こる。殺人鬼ブッチャーは不思議そうにしながらベッドから起き上がる。そこに心配するようにミリーの母が駆け寄る。なんとブッチャーはミリーの姿になっていたのだ。
一方で、ミリーは汚いマットレスから起き上がり見たことのない部屋に驚きながら起床。自分の声がいつもと違うことに違和感を感じ、鏡を覗いてみるとミリーは殺人鬼ブッチャーの姿になっている。二人は入れ替わってしまっていたのだ。
ミリーは自分が殺人鬼の姿になってしまっていたことを受け入れることができず走り出す。
ミリーの姿になってしまったブッチャーは逆にこの事態を好都合に思い、学校へ向かう。
体が入れ替わった殺人鬼と女子高生
ブッチャーの起こした犯行は瞬く間に町中に広がり、ニュースでも放送される。そんなことも知らずに、ブッチャーの姿をしたミリーは町で助けを求めようと知人に声を掛ける。しかし、殺人鬼の姿をしているために町中の人に怯えられる。
その間にも、ミリーの姿をしたブッチャーは普段のミリーなら絶対に着ないような服装で学校に悠々と向かう。普段の姿と一変したミリーの姿を見て、親友のナイラとジョシュは心配するがブッチャーはお構いなし。いつもミリーを揶揄っているライラーはいつも通りミリーに近づき質問攻めをする。そんなライラーを鬱陶しく思ったブッチャーは「二人きりになれる場所へ連れて行け」と命令し、殺害しようと目論む。
そして更衣室で二人きりになったライラーとブッチャーだが、なんとそこにはブッチャーの姿をしたミリーがシャワーを浴びに訪れていたのだ。ブッチャーの姿を目撃したライラーはパニックを起こす。そこでミリーの姿をしたブッチャーが「隠れた方がいい」と提案し医療用の急速冷却機にライラーを閉じ込める。冷却機が−300度に達したところでミリーは冷却機が起動していたことに気づく。扉を開けるとそこには氷のように固まりすでに殺害されたライラーがいた。
親友に助けを求めるミリー
ブッチャーが自分の姿で人殺しを行なっていることに気づいたミリーは親友のナイラとジョシュに助けを求める。しかし、ブッチャーの姿を見るや否や逃げ惑う二人。ミリーの話を聞こうともしないのであった。追いかけてくるブッチャーの姿をしたミリーに攻撃をして抵抗する二人を落ち着かせて話を聞かせることに成功。信じてもらうためにブリスフィールド高校の応援ダンスを踊ってみせ、二人からの質問にも的確に答えてみせたミリーはついに二人から信じてもうことができた。
そして入れ替わってしまった経緯を説明することに。ミリーは「ラ・ドーラ」という短剣で刺されたと二人に言うとジョシュがインターネットで検索をし、古代アステカの時代に生贄の儀式で使用されていたことがわかる。またそこには生贄の儀式に失敗し、魂が入れ替わって24時間が経過してしまえば元に戻すことはできないと記載があった。元の姿に戻るには24時間以内に「ラ・ドーラ」を使って入れ替わった相手の体を再び突き刺さないといけないのだ。
その事実を知らないブッチャーはミリーの体で好き放題。ブッチャーの次のターゲットは授業中に嫌味を言った技術教師のベルナルディ先生だ。いつものように殺人をしようとするブッチャーだがミリーのか弱い体ではそう簡単に男性教師を倒すことはできなかったが、技術室に設置されていた木工用グラインダーを利用して殺害する。
ブッチャーの悪事を止めようとするが…
ベルナルディ先生を殺害したブッチャーは技術室から退出。その時、目の前に警察官が通るがもちろんミリーの姿をしているためブッチャーのことはスルー。警察が自分をスルーしたことに感激していたブッチャーだったが、次は目の前にブッチャーの姿をしたミリーが現れる。ミリーはブッチャーに向かって「そこで待っていなさい」と指示するが、ミリーの姿をしていることを良いことに「ブッチャーがいる!誰か助けて!」と叫び、学校を巡回していた警察に追いかけさせた。
ジョシュが所持している車で逃げるが、警察も追いかけてくるためスーパーに顔を隠すための仮面を買いに入店する。そこの試着室で姿を隠すミリー。そして偶然スーパーで働くミリーの母親がミリーの隠れている試着室の前に現れる。試着室には見知らぬ男性が入っていると思い込んでいるミリーの母親は、突然旦那が逝去した話、それから娘が内気な性格になってしまった話など心の内を明かした。母の本音を聞いたミリーの心は次第に変化していくようになる。
仮面を手に入れてジョシュの車に戻り、同級生のSNSを確認するとブッチャーが男子生徒に囲まれていた。普段とは違う雰囲気のミリーに魅了されている男子生徒たちだが、ミリーが片想いしている相手のブッカーはそんなミリーに違和感を抱いていた。ミリーが人気のないところに行くのを目にしたブッカーは密かに後ろからついて行ったが、ブッチャーはそれを良いことにブッカーを殺害しようとする。
タイミング良く、ミリーがブッチャーのいる場所に到着する。防犯カメラに映る二人を見てブッカーの危険を感じ、助けに行く。助けに行ったは良いものの、ブッチャーの姿をしているミリーを見てブッカーは大慌て。警察を呼ばれないようにするため、ブッカーを気絶させた。
「ラ・ドーラ」を取り返せ
ブッチャーと気絶しているブッカーをジョシュの家へ一旦連れていくことになる。
ブッチャーが暴れ出さないよう椅子に括り付け拘束する。そこでブッカーが目を覚まし、ブッチャーの姿をしているミリーに再び大混乱。それを見たブッチャーは「信じないで!私を助けて!」とブッカーを惑わせる。ブッカーに信じてもらうためにミリーはブッカーに匿名で送った詩を読んでみせた。ミリーの言っている事が真実であるとわかったブッカーは魂が元に戻るように短剣を取り戻す手助けをする。
ジョシュの家から短剣が保管されている警察署までは往復40分。出発する前の時刻は午後8時前のため午前12時までには時間があった。しかし、学園祭がブッチャーの住処である製粉場で行われることを知り、ブッチャーが学園祭に向かわないようにするためジョシュが仕方なく監視係に回ることに。残りの3人で短剣を取り返しに警察署へ向かう計画だ。
警察署にはミリーの姉シャーリーンがいるため、無闇に短剣に近づく事は不可能。ナイラはいい案があると言い、ミリーとブッカーを車に残し警察署へ向かった。そしてシャーリーンに向かって「ブッチャーに脅され仕方なく車を運転した。今もブッチャーに追いかけられていて、彼はここの近くにいる」と伝え、シャーリーンを外に出て行かせた間に短剣を持ち出そうと試みる。無事、短剣を取り出すことに成功したナイラ。しかし、ジョシュから「ブッチャーが逃げた」と連絡が入る。その瞬間にシャーリーンが外にブッチャーはいないと警察署に戻ってきてしまい、短剣を取り上げられてしまう。
連絡があったジョシュの家では、ジョシュの母親は1週間帰ってこないはずだったが、予定より早く帰宅してしまいジョシュがミリーを拘束しているところを目撃されてしまった。ジョシュが母親に「彼は殺人鬼のブッチャー!」と説明するが、話を聞いてくれずブッチャーの拘束を解こうとした。その時、ブッチャーは自力で拘束されていた縄を解き包丁を持ってジョシュとジョシュの母親を追いかけ殺害しようとするが、ミリーの体では力が入らず、殺害を諦め外に逃げてしまったのだ。
一方で、車に残されたブッカーとミリー。ミリーは「普段のか弱い自分とは違って、入れ替わったことで自分が強く感じるの。」とブッカーに打ち明ける。ブッカーは「強さはサイズで決まるものじゃない。君は十分に強いよ。」とミリーを励ます。また、ブッカーは詩を送ってくれたことに対して「ミリーが送ってくれた詩だといいなと思っていたよ」と呟く。なんとブッカーとミリーは両想いだったのだ。想いを止められなくなった二人は姿に構わずキスをしようとするが、その時、警察署に入っていくブッチャーを目撃する。
絶体絶命
警察署に入ったブッチャーを見て、続けてミリーも後を追い警察署に入るがブッチャーの姿をしているためシャーリーンに銃口を向けられる。ミリーの姿をしたブッチャーにシャーリーンは逃げるよう指示し、「ラ・ドーラ」を奪い取りその場からブッチャーは出て行ってしまう。
シャーリーンはミリーの話を聞こうともせず、牢屋に入るように促すが隙を見てシャーリーンを制圧し、ブッチャーを探すためパーティー会場へと向かう。
地獄のパーティー
パーティー会場に到着したブッチャーは男子生徒に呼び出され、殺害の絶好のチャンスを迎える。ブッチャーを呼び出した男子生徒3人はミリーを襲おうと考えていた。油断していた3人はブッチャーにお酒の瓶を渡してしまい1人はその瓶で頭を殴られ死亡。もう一人は瓶の破片で喉を掻っ切られてしまう。最後の一人は近くに置いてあったチェーンソーで殺害されてしまう。3人が殺されたことを聞きつけたミリー達はやっとの思いでブッチャーを見つけることができた。
午前12時まであと僅か
パーティー内ではブッチャーを探して警察官が巡回。そこにジョシュが「ミリーが殺されちゃう!」と大声でナイラとブッカーに伝えてしまい、警察官が3人のことを追いかける。
他方、ブッチャーはミリーを殺そうと勢いよく襲いかかるが力の差から全く歯が立たず隠し持っていた短剣を落としてしまう。落ちた短剣を拾い上げ、ブッチャーを突き刺そうとするもこのタイミングで警察官が現れ武器を再びブッチャーに奪われてしまう。
ブッチャーが逃げた先にはナイラとジョシュがいたため押さえつけてもらい、ついに短剣でブッチャーを刺す準備が整ったその時、午前12時にセットしたアラームが鳴り響く。
ブッチャーは「間に合わなかったようだな」と笑ってみせたが、何かがおかしい。午前12時を指す鐘が鳴っていないのだ。実は、度々授業に遅刻していたミリーにブッカーが「時計を5分早く設定しておくといい」とアドバイスしていたのだ。そのアドバイスをミリーは実践していたため時刻は午前12時ではなく、午後11時55分だった。
元に戻った二人
目次 - Contents
- 『ザ・スイッチ』の概要
- 『ザ・スイッチ』のあらすじ・ストーリー
- 伝説の殺人鬼ブッチャーの登場
- 冴えない女子高生ミリー
- 悲劇的な瞬間
- 体が入れ替わった殺人鬼と女子高生
- 親友に助けを求めるミリー
- ブッチャーの悪事を止めようとするが…
- 「ラ・ドーラ」を取り返せ
- 絶体絶命
- 地獄のパーティー
- 午前12時まであと僅か
- 元に戻った二人
- 最終決戦
- 『ザ・スイッチ』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- ブリスフィールド・ブッチャー/バーニー・ギャリス(演:ヴィンス・ヴォーン)
- ミリー・ケスラー(演:キャサリン・ニュートン)
- ミリーに関係する人物
- ナイラ・チョーンズ(演:セレステ・オコナー)
- ジョシュ・デトマー(演:ミシャ・オシェロヴィッチ)
- ブッカー・ストロード(演:ユリア・シェルトン)
- ライラー(演:メリッサ・コラーゾ)
- ベルナルディ先生(演:アラン・ラック)
- コーラル・ケスラー(演:カティ・フィナーラン)
- シャーリーン・ケスラー(演:ダナ・ドロリ)
- サンドラ(演:エミリー・ホルダー)
- ジニー(演:ケリー・ラモア・ウィルソン)
- エヴァン(演:ミッチェル・フーグ)
- アイザック(演:ニコラス・スタージェル)
- フィル(演:マグナス・ディール)
- ブレット(演:エズラ・ジェブ・セクストン)
- ダニエルズ(演:アロンゾ・ウォード)
- 『ザ・スイッチ』の用語
- ブリスフィールド
- ビーバーズ
- ラ・ドーラ
- 『ザ・スイッチ』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 入れ替わりのシーン
- ジョシュ「黒人とゲイじゃムリよ!」
- ミリー「私は上玉だから」
- 『ザ・スイッチ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- クリストファー・ランドン監督の前作『ハッピー・デス・デイ』との共通点
- 時間
- 家族関係
- 名作ホラー映画をオマージュしたシーン
- 13日の金曜日
- キャンディマン
- おじさんが演じる女子高生の役作り
- 『ザ・スイッチ』の主題歌・挿入歌
- ED(エンディング):Haiku Hands「Suck My Cherry」