色づく世界の明日から(アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『色づく世界の明日から』とは、P.A.WORKS制作のオリジナルアニメである。
2078年の長崎県に住む少女・月白瞳美は、魔法使いの家系でありながら魔法を嫌悪しており、幼い時に色が視えなくなったことで、他人に心を閉ざしていた。ある日、祖母の琥珀の魔法によって、突然60年前の2018年に送られ、月白家に居候しながら同い年の祖母と共に高校生活を過ごすことになる。
心を閉ざした魔法少女が仲間たちとの交流で変わっていく学園青春ファンタジー作品。

『色づく世界の明日から』の概要

『色づく世界の明日から』とは、『Charlotte』『花咲くいろは』などを制作した「P.A.WORKS」のオリジナルアニメである。2018年10月より放送されており、監督は『黒執事』『RDG レッドデータガール』で有名な篠原俊哉で、シリーズ構成は『はたらく細胞』『ちはやふる2』を手掛けた柿原優子。
「P.A.WORKS」は少女たちが中心となる物語のオリジナルアニメを多く手掛けており、美しい作画がアニメファンの間では好評で、『色づく世界の明日から』も、PV映像が公開された時からストーリーと映像美に対する期待の声が高まっていた。

女子高生・月白瞳美は、魔法が当たり前に存在する西暦2078年の長崎県に住んでいた。瞳美は幼い時に色が視えなくなり、他人と同じ景色を共有できないことから心を閉ざした。また、瞳美は魔法使いの血を引いていたが、魔法を嫌悪していた。
そんなある日、瞳美は魔法使いである祖母・琥珀にかけられた時を遡る魔法によって、西暦2018年の世界に送られてしまう。祖母から「高校生の時の私に会いなさい。」とだけしか伝えられていない瞳美は、苦労しながら当時の月白家に辿り着き、居候することになる。元の時代に帰る方法が分からないため、瞳美は高校に通って学園生活を送り、同年代の友だちに囲まれる中で次第に心を開いていく。
独特の世界観の中で等身大の高校生たちの心の成長を描く学園青春ファンタジー作品。

『色づく世界の明日から』のあらすじ・ストーリー

色を失った少女の時間旅行

2078年。魔法使いの一族に生まれた高校生の月白瞳美(つきしろ ひとみ)は、母の失踪などの幼い頃の過酷な経験から無意識に自分で自分に魔法をかけてしまい、世界から“色”を認識できなくなっていた。ある日祖母の月白琥珀(つきしろ こはく)に呼び出された瞳美は、彼女から「高校生の頃の私に会ってきなさい」と不思議なことを伝えられ、60年前にタイムスリップさせられてしまう。
気が付くと瞳美は見知らぬ民家の中におり、どうすればいいのか分からないままここを逃げ出す。あてもなく町を歩く内、彼女は同年代の少年が絵を描いている様を発見し、その絵だけは色がついて見えることに気付く。

その絵を描いていたのは、葵唯翔(あおい ゆいと)という少年で、瞳美がこの時代で最初にいた部屋の持ち主だった。「絵ばかり描いて女っ気のない葵の部屋から見知らぬ女の子が出てきた」という話は学校でも驚きを持って迎えられ、葵の必死の否定も虚しく生徒たちは「葵の彼女」について盛り上がる。
自分がやってきたのが、60年後も自分が暮らしているのと同じ町だと知った瞳美は、他に行くあてもなく月白家を頼る。事情を聞いた月城家の人々(瞳の高祖母や曽祖母)は、瞳美の話を信じると共に「娘の琥珀がこの時代にあなたを送ったことには何か意味があるはずだ」と、帰る方法が見つかるまで学校に通うことを提案する。

魔法写真美術部の仲間たち

この時代の地元の高校に通い始めた瞳美は、葵を含む写真美術部の面々から特に興味津々に迎えられ、ここで改めて葵とは恋仲でもなんでもないことを説明する。それでいて自分が唯一色づいたものとして認識できる葵の絵に対する興味はあり、瞳美は彼と少しずつ交流を重ねていく。
そんな折、イギリスに留学していた琥珀が帰国。「自分の孫が未来からやってきた」と聞いて、物見高い彼女は居ても立ってもいられずに留学を取りやめたのだった。琥珀は瞳美を自分の孫だと認めた上で同年代の友人として接し、「必ずあなたを未来に返す魔法を見付けてみせる」と約束する。

一方、破天荒な性格で知られる琥珀の帰還に、学校の生徒たちは辟易した様子を見せる。瞳美が最近出入りしている写真美術部に顔を出した琥珀は、自分と瞳美もここに正式に所属することを決めた上で、その名前を「魔法写真美術部」に変更する。
もともとそれぞれがマイペースに活動していた写真美術部の面々は「どうせ琥珀は止まらない」と抵抗を諦め、彼女たちを新たな仲間として受け入れる。行動力の塊である琥珀が次々とイベントを企画したり、奇妙な事件を起こす一方、ごく控えめな性格で彼女に振り回されている瞳美に、部長の山吹将(やまぶき しょう)は心惹かれていく。

恋とタイムリミット

琥珀の「瞳美を元の時代に返すための魔法」の研究にある程度の目途が立った頃、瞳美は将と共に写真の練習のために出掛け、その帰りに彼から告白される。驚きつつも「気になる人がいる」と断る瞳美だったが、将の幼馴染で魔法写真美術部の仲間である風野あさぎ(かざの あさぎ)は彼が告白したことを知り、瞳美と距離を取るようになってしまう。
あさぎが将に好意を抱いていることに気付いた瞳美は、この時代でできた友人と仲違いしたままでは帰るに帰れないと考え、あさぎを説得。自分たちの間に生じたわだかまりを解消し、彼女の恋を応援するようになる。

この出来事は、瞳美に「恋」というものへの認識を促し、少しずつ交流を重ねていた葵との関係について考えさせるようになる。葵もまた自分の絵を初めて正面から受け止めてくれた瞳美のことを特別な存在として意識していたが、「彼女は近い内に本来生きるべき時代へと帰る」との想いからそれを打ち明けられずにいた。
文化祭が近づく中、琥珀はついに瞳美を元の時代に戻すための方法を確立。最後の記念に魔法写真美術部の部員全員で思い切り文化祭を楽しんでから、瞳美を未来に送り返すこととなる。

優しい色に満ちた世界

瞳美と葵が惹かれ合っていることは、魔法写真美術部の面々も概ね察しており、気を使った彼らは文化祭を楽しんでくるよう2人を送り出す。様々な出し物を楽しむ中で、瞳美は葵の描いた絵本を見て一時的に色が見えるようになり、「おばあちゃんがこの時代に私を送り出したのは、この絵本に合わせるためだったんだ」と理解する。
打ち上げられる花火を葵や琥珀たちと共に楽しんだ瞳美は、いよいよ未来と帰る儀式を始める。魔法写真美術部の面々と1人1人別れの言葉を交わした瞳美は、最後に葵と話をして、互いに相手のことを忘れまいと約束する。

2078年に戻ってきた瞳美は、高校生の琥珀ではなく自分の祖母である琥珀と再会。「おばあちゃんではなく、あの時のように琥珀と呼んでほしい」と微笑む彼女に連れられて、魔法写真美術部の仲間たちのその後の様子を聞く。そんな中、瞳美は幼い頃に自分が大好きだった絵本が大人になった葵が描いたものであること、その絵本が魔法写真美術部の面々からの自分へのエールであることを知り、その不思議な縁と彼らの優しさに涙する。
自分で自分にかけていた魔法を克服した瞳美は、色覚を完全に取り戻し、「色づく世界」に想いを馳せる。葵が与えてくれた明るい世界は、彼女の前途を優しく彩っていた。

『色づく世界の明日から』の登場人物・キャラクター

主要人物

月白瞳美(つきしろ ひとみ)

CV:石原夏織
西暦2078年に生きる高校2年生の少女。幼い頃に色を見ることが出来なくなり、周りの人と同じ光景を共有することが出来ないため、他人に心を閉ざすようになった。魔法使いの家系で本人にも大きな魔法の力がある。しかし、魔法の力がない母親が強い魔法の力を持つ瞳美の存在にプレッシャーを感じて家を出てしまったトラウマから、自分の魔法の才能を嫌悪するようになった。
祖母である琥珀から突然「高校2年生の私に会いに行きなさい。」と言われて時間を遡る魔法をかけられ、2018年の長崎にタイムスリップしてしまう。慣れない世界で何とか当時の月白家に辿り着き、元の時代に帰るまで居候しながら高校に通うことになった。
常に左耳に2078年の通信機器のデバイスであるイヤリングをつけている。また、イヤリングには月白家に代々伝わる青い石・アズライトをつけており、大切にしている。
2018年にタイムスリップした後、17歳の祖母・琥珀や魔法写真美術部のみんな、初恋の相手である葵と出会い、「勝手に決めつけて他の人と関わることを勝手に諦めるのは止めよう」と思い、積極的に周囲の人々と関わる明るさを取り戻した。

月白琥珀(つきしろ こはく)

2018年の琥珀。

2078年の琥珀。

CV:本渡楓(2018年)、島本須美(2078年)
瞳美の祖母であり、大きな魔法を使うことが出来る大魔法使いでもある。瞳美を2078年から2018年にタイムスリップさせた張本人。
瞳美が2018年に来た時には、イギリスに魔法を学ぶために留学しており、長崎には不在だった。
破天荒で魔法を使ってよくトラブルを起こし、教師たちには問題児扱いされているが、本人は魔法の才能を使って人を幸せにしたいと考えている優しい性格の持ち主でもある。実際、琥珀のことを苦手とする人もいるが、大部分の周囲の人々は琥珀が起こす愉快な出来事を楽しんでいる。
2018年で瞳美と出会った後、瞳美を未来の自分の孫だと受け入れ、時に暖かく時に厳しく接する面倒見の良さも見せる。また、瞳美が時のあわいに突如消えてしまった時には、瞳美を無事に未来へと帰すために奔走した。

写真美術部

葵唯翔(あおい ゆいと)

CV:千葉翔也
南ヶ丘高校3年生の男子高校生。母子家庭で育った。写真美術部のメンバーの中で、唯一絵を描いている部員。
2018年に瞳美が葵の部屋で目覚めて2階から逃げ出したところを複数人に目撃され、瞳美と恋仲だと誤解されている。そのため、葵の部屋に落ちていたアズライトを探し来た瞳美のことを、当初は不審人物ではないかと疑っていた。
葵が描いた絵だけは何故か瞳美にも色が見える。
母子家庭のため絵を生業とする不安定な職業につくことを諦めていたが、好意を寄せる瞳美が自分の絵を特別だと言ってくれたことで大好きな絵を続けることを決意した。2078年の瞳美に、魔法写真美術部のみんなをモチーフにした絵本を残した。

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