色づく世界の明日から(アニメ全話)のネタバレ解説まとめ

『色づく世界の明日から』とは、P.A.WORKS制作のオリジナルアニメである。
2078年の長崎県に住む少女・月白瞳美は、魔法使いの家系でありながら魔法を嫌悪しており、幼い時に色が視えなくなったことで、他人に心を閉ざしていた。ある日、祖母の琥珀の魔法によって、突然60年前の2018年に送られ、月白家に居候しながら同い年の祖母と共に高校生活を過ごすことになる。
心を閉ざした魔法少女が仲間たちとの交流で変わっていく学園青春ファンタジー作品。

『ごめんね…。』(第9話)

あさぎは瞳美が将に告白されたことを知り、将にずっと好意を抱いていた自分は失恋したのだと思い込む。瞳美はあさぎの気持ちに気づかずに告白の返事をどうするか悩んでいることを相談してしまい、優しいあさぎは自分が将のことを好きだということは伝えず、瞳美にアドバイスをした。しかしその後、瞳美があさぎに話しかけた時に、あさぎは自分がずっと将のことを好きだったことを打ち明ける。その事実が瞳美にとってどんな残酷なことか分かっているのに、あさぎは嫉妬心から瞳美に打ち明け、瞳美の反応も見ずにその場を去ったのだ。
後であさぎが、ずっと将のことが好きだったことを瞳美に打ち明けたことを後悔し、誰もいない公園で涙を浮かべながら呟いた言葉。
普段は優しくて穏やかなあさぎが初めて見せた負の感情が溢れだした場面の後、やはり瞳美への友情と優しさを捨てきれないあさぎの素直な性格がよく表れている場面だ。

『お母さんのバカって、言えばよかった…。私のバカ…。私のバカ…!』(第10話)

葵は瞳美と琥珀の魔法の力で絵の中に入った時に、1人ぼっちの幼い瞳美に出会った。そのことを瞳美に話すと、瞳美は自分の辛い過去を葵に打ち明けた。
月白家は代々魔女の家系だが、瞳美の母には魔法の才能が受け継がれず、瞳美に魔法の才能が隔世遺伝した。まだ幼かった瞳美は、母が魔法を使えないと悩んでいることに気づかず、母を喜ばせようと思って魔法を使っていた。しかし瞳美の優しさは母には届かず、母は黙って瞳美の前から居なくなってしまった。後に瞳美は、自分が魔法を使えたせいで母は苦しんで出て行ったのだと思い込み、魔法の才能と自分自身を大嫌いになった。
見出しのセリフは、それを聞いた葵から「いいよ。瞳美は、もっと怒っていい。」と言われ、瞳美が初めて涙を流しながら自分の本当の気持ちを話した時の言葉である。
魔法も自分のことも嫌いな瞳美の過去に何があったのかを視聴者が初めて知る場面であり、瞳美が胸の内に押し込めていた想いを吐き出すことができた時であった。

『大丈夫よ、みんなの力を借りればいい。瞳美を助けたい人たちと協力すれば、大きな魔法をきっと成し遂げられる。あなたならできるわ、琥珀。そこそこすごい魔法使いの私が言うんだから、間違いないわ。ね?』(第11話)

瞳美にかけられた時間魔法に綻びが出始め、琥珀が時間魔法で瞳美を2078年に帰さなくてはいけない時が迫っていた。しかし大がかりな魔法を使ったことがない琥珀は、本当に時間魔法を使えるかどうか不安に感じており、浮かない顔で思い詰めていた。そんな琥珀に柚葉がかけた言葉だ。
1人で重責を背負い込む琥珀に周りの力を借りるという新しい視点を与え、茶目っ気たっぷりな様子で琥珀を元気づける柚葉の優しさが垣間見える場面である。

『私…、帰りたくない…。』(第12話)

未来に帰るための気持ちの整理がつかない瞳美が、2人きりで葵と会った時に零した本音の言葉だ。
それまで未来に帰らなくてはいけない現実に落ち込んでいた瞳美が初めて口にした本音であり、その相手が葵であるということから、葵と瞳美の距離が他の誰よりも縮まっていることが分かる場面である。

『俺たちはきっと、お互いの未来に色を取り戻すために出会えた。』(第13話)

瞳美を2078年に戻すための時間魔法の儀式の最中、突然別の魔法が発動し、瞳美と葵は2人だけの空間に閉じ込められた。そこで2人はお互いに「好きだ。」という想いを告白する。すると瞳美が見る世界に色が戻った。瞳美は色づく世界に感激し、葵のおかげだと感謝した。一方で葵も瞳美から、自分の絵に対する自信や将来絵に関する仕事をしたいという希望に気づかせて貰ったことを瞳美に感謝していた。その意味を込めて、葵が瞳美に告げた言葉。
別れが迫る中で、好意を寄せあう2人がそれぞれの想いに気づき、出会った意味を知った瞬間の言葉だった。

『未来で待ってる。必ず生まれてきてね!』(第13話)

時間魔法が発動し、瞳美が2078年に戻される直前に琥珀が瞳美に語りかけた言葉。
2018年に来た瞳美を未来の祖母として見守って来た琥珀が、最後に瞳美にかけた言葉であり、琥珀が瞳美をどれほど大切に思っているのかがよく分かる場面だ。

『私の願いは、魔法で人を幸せにすること…。でも、一番親しい人たちを、幸せにすることができなかった…。許してちょうだい…。』(第13話)

2018年の琥珀は「魔法で人を幸せにしたい。」と言っていたが、実際は自分に魔法の力があったせいで魔法の才能がなかった娘を追いつめ、その結果、孫娘の瞳美の元から娘は去ってしまった。そのことを琥珀は気に病んでおり、2078年に帰って来た瞳美に謝罪した時の言葉だ。
理想と現実との違いを思い知っても、他の誰も責めずに自分だけを責める琥珀の優しさや、家族への深い愛情を垣間見ることが出来る場面である。
琥珀のこの言葉に対して、瞳美は「私、もう大丈夫よ。」と答えた。瞳美が自分の魔法の力のせいで母親が家を出て行ってしまったトラウマを乗り越え、人間的に大きな成長を遂げたことがよく分かる場面だ。

『海が青くてよかった…。空が青くてよかった…。あなたがくれた色…。私の明日には、たくさんの色がある。』(第13話)

2078年に戻った瞳美は、過去に負った傷を癒し、他の人とも積極的に関わるようになった。そんな瞳美が展望台から長崎の海を見下ろして、心の中で呟いた言葉。
どこか似ている景色の2018年の長崎で起きた出来事を振り返り、その記憶を大切にしながら未来を歩き出そうとする瞳美の清々しい決意が表現されている場面だ。

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