色づく世界の明日から(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『色づく世界の明日から』とは、P.A.WORKS制作のオリジナルアニメである。
2078年の長崎県に住む少女・月白瞳美は、魔法使いの家系でありながら魔法を嫌悪しており、幼い時に色が視えなくなったことで、他人に心を閉ざしていた。ある日、祖母の琥珀の魔法によって、突然60年前の2018年に送られ、月白家に居候しながら同い年の祖母と共に高校生活を過ごすことになる。
心を閉ざした魔法少女が仲間たちとの交流で変わっていく学園青春ファンタジー作品。

琥珀「瞳を逸らさないこと。せっかく行くんだから、楽しんで行ってらっしゃい」

琥珀は突然、孫である瞳美に「あなたは今から、高校2年生のあたしに会いに行きなさい。魔法であなたを過去へと送ります。」と告げた。それを聞いた瞳美が理由を尋ねると「それは…行けば分かる!まぁ友だちや恋人と別れたくないとか、そういうのあるだろうけど。」と琥珀は返事をした。すると、瞳美は俯いて「別に…。そういうの、どうでも良い。」と呟き、瞳美の呟いた言葉を聞いた琥珀が瞳美を抱きしめて言った言葉。
2018年に瞳美をタイムスリップさせたのも恐らく瞳美のためであり、他人に心を開かずあくまで1人でいようとする瞳美への琥珀の心配と愛情が伝わってくる場面だ。

柚葉「それに、本当の方が素敵でしょ?こうして孫の孫に会えるなんて」

琥珀の祖母で瞳美の高祖母にあたる柚葉は、瞳美が未来から来た琥珀の孫だと知ると、自分たちの家族として家に居候することを瞳美に提案する。柚葉の提案を聞いた瞳美は遠慮して戸惑う様子を見せる。そんな瞳美に、柚葉は瞳美のことを家族だと思っており、本来なら会えないはずの自分の子孫に会えて嬉しいのだという気持ちを込めて言った言葉。
柚葉の懐の広さと瞳美に対して芽生えた愛情がよく分かる場面だ。

瑠璃「琥珀が帰るまで、ゆっくりホームステイしていって」

月白家に一泊した後の朝、お礼を言う瞳美に、琥珀の母親で瞳美の曾祖母にあたる瑠璃が言った言葉。
瑠璃も自分の曾孫である瞳美のことを娘のように受け入れており、瞳美が月白家で肩身が狭い思いをしないようにと気にかけていることが伝わる場面だ。

葵「また見せてよ、魔法。星とか出せるの、結構すごいと思うよ。俺の絵なんかよりも凄いって、絶対に」

瞳美の高校生活初日に、放課後の屋上で葵が瞳美と別れる時に言った言葉。
瞳美が葵の彼女だと誤解されている時には瞳美に冷たい態度を取り続けていた葵だが、瞳美が葵の絵を特別だと言ってくれたことを嬉しく感じた。同時に、昼休みの時に、自分のお願いを聞いて瞳美が嫌いな魔法を使ってくれたことへの負い目も感じていた。
瞳美が魔法を嫌っているのを分かった上で、瞳美が葵の絵を特別だと思ってくれたように、葵も瞳美の魔法を特別だと思っていたのだ。そのことを伝えたくて、葵は瞳美にお願いという形で瞳美を元気づけている。
葵の優しい性格がにじみ出ている場面だ。

瞳美「あんな風に言われるなんて、思ってもみなかった。私の魔法を喜んでくれる人がいるなんて…。魔法なんて、大嫌い…」

瞳美の魔法は凄い物だから、また魔法を見せてほしいと葵にお願いされたことは、瞳美にとっては思いがけないことだった。今まで言われたことのない賞讃の言葉に、瞳美は自分が認められたような気がして嬉しさを感じている。
この瞬間から、瞳美は今まで大嫌いだった自分の魔法を、少しだけ好きになれるような気がした。葵との交流が瞳美にプラスの影響を与え始めた場面だ。

葵「色のない世界なんて、上手く想像できないよ」

写真撮影会や部活体験で瞳美が描いた絵の色使いから、葵はもしかして瞳美には色が見えていないのではないかと考えた。2人きりの時に瞳美にそのことを確認すると、瞳美は色が見えず世界がモノクロにしか見えないこと、色覚異常のことを誰にも知られたくないことを葵に打ち明けた。そのまま瞳美は去ってしまい、葵は瞳美が見ている世界を想像しようとしてみたが、色が見えない世界が想像できずに、この言葉を頭の中に浮かべた。
今まで写真美術部の部員たちに対しても瞳美は隠している色覚異常という壁を作っていたが、葵がその壁を乗り越えて、瞳美の心に寄り添おうと努力する最初の人物になったことを表現している場面だ。

瞳美「ちゃんと顔を合わせて、ちゃんと話をしなきゃダメ。魔法と一緒、思い込みが肝心」

先日の部活体験イベントの失敗は自分のせいだと思い込んだ上に、葵に色覚異常のことがばれてしまった瞳美は、次の日は写真美術部の面々に顔を合わせられずに避け続けていた。しかし、それではダメだと思った瞳美は、放課後に屋上で大好物のポポッキーを食べながら自分にこの言葉を言い聞かせた。
今までは「1人になりたい。」とずっと思っていた瞳美が、初めて誰かと正面からちゃんと向き合おうと自分から考え、勇気を振り絞っている。瞳美の変化を伺うことができる場面である。

葵「そういや将、お前の写真って、モノクロだよな。それなら、月白さんにも出来るんじゃない?」

先日の部活体験イベントの後の瞳美との会話で瞳美の色覚異常のことを知った葵は、周りに色覚異常のことを知られたくないと思うと同時に、瞳美が本当は色がついた世界を見たいと願っていることにも気付いていた。そのため、写真美術部の他の部員たちに瞳美の色覚異常のことを悟られないように、遠まわしに瞳美が写真美術部で出来ることを教えた時の言葉だ。
葵のこの言葉を聞いて、瞳美は写真美術部で自分にも出来ることがあると知り、すぐに「入部させてください!」と将にお願いしている。葵のさりげない優しさと瞳美の気持ちに寄り添おうとする気持ちが垣間見える場面だ。

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