人間の不安定な精神世界を描いた衝撃映画まとめ!『チャイルドコール 呼声』など

ここでは不可解な心理状態・不安定な精神世界を描いた衝撃映画をまとめた。夫のDVから子どもと共に逃れた女性が疑心暗鬼に呑まれていく『チャイルドコール 呼声』、カルト教団から脱走した女性が教団に植え付けらえた別人格に苦しめられる『マーサ、あるいはマーシー・メイ』などを紹介している。

▼『チャイルドコール 呼声』

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"不安定な精神世界を見せつけられる、北欧産の傑作サイコ・サスペンス!"

北欧ノルウエーの新鋭ポール・シュレットアウネ監督、オリジナル版「ミレニアム」シリーズで主演のリスベットを演じたノオミ・ラパス主演による2011年の作品。ノルウェーはオスロに住むアンナと8歳の息子は、度重なる夫の暴力から逃れるため、政府の保護施策でアパートに引っ越してきた。保護下に置かれても尚、不安に苛まれるアンナは、息子が寝ている間も監視が出来る音声モニター、チャイルドコールを設置する。ある日、チャイルドコールから聞こえてきた悲鳴を耳にした彼女は、息子の部屋へ駆けつけるが、何も変わったところは見られなかった。しかし、疑心暗鬼に陥った彼女は、徐々に精神的に追い詰められていく...。

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夫からの暴力から逃れるために政府の監視プログラムで守られているアンナとその息子だったが、彼女は精神的に不安定な状態に陥り、そしてほんの些細な出来事にすら過敏になっていき、そして...。

主演を務めるのは、北欧スウェーデン出身のノオミ・ラパス。あのスウェーデンが生んだ大ヒット作で、デヴィッド・フィンチャーによりリメイクもされた『ミレニアム』シリーズのリスベット役でブレイク、『プロメテウス』の主役に抜擢された人。難しい精神状態の主人公を見事に演じ切っている!

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監督は1997年の長編第1作『ジャンク・メール』が絶賛された、ノルウェーの新鋭ポール・シュレットアウネ。今作は、2005年の監督作品『隣人 ネクストドア』の世界観を更に推し進めた内容となっている。

「チャイルドコール 呼声」予告編

北欧の無機質な雰囲気はミステリアスな作品にピッタリで、ワタシは終始、怯えるアナ寄りに観ていくことができ、人間心理の迷宮に入り込んでしまった。

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出口の見えない迷宮に迷い込んでいく独自の世界観にはぐいぐい引き込まれてしまうスリリングさ。人間心理の奥底が炙り出されていく。アイデアも面白く、演技派2人の演技もいうまでもない。

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常に不穏な空気を漂わせ、観客にも落ちつかない居心地の悪い気分を抱かせたまま映画は進行します。途中から、どれが真実で何が非現実なのかが判らなくなって行きます。

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▼『マーサ、あるいはマーシー・メイ』

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”カルト集団を脱走した女性が、精神不安定に陥る。そして衝撃のラストが...”

2011年に制作されたアメリカ映画。初の長編となるショーン・ダーキンが監督。こちらも初の映画主演のエリザベス・オルセン、ジョン・ホークスが出演。長らくカルト教団に所属していた女性が、自らの意思により教団から脱走、姉夫婦に保護されて普通の女性としての生活に戻るハズだった。しかし、彼女の精神世界には、マインド・コントロールにより別人格で生活していた頃の記憶が頭から離れず、現在と過去、現実と幻想の区別がつかなくなってくる。彼女の中には別人格での記憶が巣食っていたのだった...。

不安定で狂気すれすれの精神状態を、淡々とした映像で表現、美しくも危うい。

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マーサを演じたのは、エリザベス・オルセン。アシュレーとメアリー=ケイトのオルセン姉妹の妹ではあるが、それを表に出さずに、インディペンデントな女優として活動。今作での体当たりの演技が評価され、以降『サイレント・ハウス』『レッド・ライト』、そしてスパイク・リーがリメイクした『オールド・ボーイ』やリメイク版『ゴジラ』などの出演が決まっている!

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カルト教団の教祖を演じたのは、ジョン・ホークス。『ウィンターズ・ボーン』の主人公の叔父ティアドロップス役で注目され、アカデミー助演男優賞にノミネート。受賞は逃したが、その演技が高く評価された。その後『マーサ、あるいはマーシー・メイ』、『コンテイジョン』を経て、スティーヴン・スピルバーグ監督の『リンカーン』に出演している!

『127時間』『ブラック・スワン』『(500)日のサマー』『スラムドッグ$ミリオネア』といった作品を発掘、最近では『イノセント・ガーデン』が記憶に新しい、フォックスのインディペンデント部門「フォックス・サーチライト」が配給。サンダンス映画祭でプレミア上映されるや評判となり、同賞の監督賞を受賞、カンヌで「若者の視点賞」、他にも様々な映画賞を受賞して絶賛された。本国では限定公開だった。

『マーサ、あるいはマーシー・メイ』予告編

集団からマインドコントロールを受けたマーサの過去の日々が重なっていく。集団での決まり事や常識は、ふつうの日常では理解されない。そのズレがドラマの推進力となって、見る者を牽引していく。

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物理的にはカルト集団から抜け出したマーサだったが、心理的にはまだまだ囚われており、2年間で植え付けられたカルト集団内の常識が彼女にとっては“当たり前”になってしまっているようだ。

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マーサの現実を過去が侵食する頻度はだんだんと高まり、現在のリアルは忌わしい過去の記憶によって支配されてゆくのである。

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