スペースバグ(Space Bug)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『スペースバグ』とは、「タイムスクープハンター」で知られる中尾浩之による監督・脚本、「Mask Masters」や「Hello Carbot」で知られる韓国のアニメ制作会社W.BABAによるアニメ作品である。
舞台は広大な宇宙。主人公は小さな虫たち。人間が実験のために宇宙ステーションへ置き去りにした、昆虫たちの大冒険が描かれる。彼らは地球に帰ることができるのか。家族みんなで楽しめるファミリー向け作品だ。

『スペースバグ』の概要

キャラクターデザインは、MARVEL作品、ピクサー作品などでコミックアーティストとして活躍するグリヒル。
1940年代から世界で始まった本格的な宇宙開発では、人間以外の生物が宇宙へ送られた。1947年ミバエ、1957年イヌ、1970年ウシガエル、その他にもクモ、コオロギ、ネズミ、メダカと様々な生物たちが実験のために宇宙へ旅立った。彼らがもし宇宙に取り残されたら、どんな気持ちになるのだろう、というところから発想を得た物語である。

『スペースバグ』のあらすじ・ストーリー

宇宙ステーションEISSからの脱出

地球から遠く離れた宇宙に漂う宇宙ステーションEISSの中でクモのマルボは昼寝をしていた。すると側にあった小箱が急に動き始めた。マルボは慌ててコオロギのハカセの下へ知らせに行く。小箱の中にいたのはネムリユスリカのミッジだった。ミッジは地球から持ち込まれて3年5ヶ月16日に目を覚ましたのだ。ミッジは見知らぬ場所で目覚めたことに首を傾げる。そんなミッジにハカセは状況を説明した。

宇宙ステーションEISSは、宇宙開発事業を行なっていたクワティ社が作ったものである。人間達は宇宙開発を進めるためにこの宇宙ステーションを作ったという。しかし突然一切の宇宙開発計画が中止に。この宇宙ステーションEISSも放棄され、実験用に持ち込まれた虫などの生き物を残したまま人間達は地球に帰ってしまった。ハカセとマルボはこの宇宙ステーションEISSで生まれ、ここで行きていく術を模索していた。しかしステーション内にある畑は既に壊滅。このステーションもバッテリー電力が尽きれば酸素の供給などもすべて停止して、マルボもハカセもミッジも死ぬことになる。

そこでミッジは宇宙ステーションEISSを脱出して地球へ帰ろうとマルボとハカセに提案する。地球を知らない2匹のためにミッジは地球の素晴らしさを説明した。3匹は宇宙ステーションEISSへの補給を行うための宇宙船ストークがある場所を目指す。途中、カエルのイトーとカトー、そしてそのボスのゲロッパが邪魔をしてきたが、3匹は力を合わせてストークに辿り着くことができた。3匹はストークに乗って宇宙ステーションEISSの脱出に成功した。

みつばちの少女・エレンとの出会い

ミッジ、ハカセ、マルボを乗せた宇宙船ストークは順調に宇宙の旅をしていた。しかしミッジ達を追うゲロッパ達が迫りくる。ゲロッパ達は宇宙ステーションEISSのサポートロボットであるドクター・ハンプティに乗って、宇宙ステーションEISSから脱出していたのだ。ミッジ達はゲロッパ達と交戦。なんとかゲロッパ達を撃退することに成功した。

しかしホッとしたのも束の間、今度は磁気嵐に遭い、砂だらけの惑星に不時着することになってしまった。ミッジ達は宇宙船ストークにこの惑星の情報を表示するように言う。しかしストークからの返事はない。不時着した時にストークのコンピュータが壊れてしまったのだ。ミッジ達はストークに搭載されていたオペレーションロボットにそれぞれ乗り込み、惑星を探索することにした。

道中、ミッジ達はみつばちの少女エレンと出会う。エレンの両親はこの惑星をテラフォーミングを行うため(地球のように人間が住める環境の惑星を作ること)にやってきた。しかし事故が起こりテラフォーミングは失敗。バグバスターという害虫駆除マシンのせいでエレンの両親や仲間は皆殺されてしまったという。ミッジはエレンに一緒に地球へ行くことを提案。しかし両親から地球が生きづらい場所であると聞かされていたエレンは頑として首を縦に振らなかった。しかしミッジの語る地球の素晴らしさにエレンは次第に心を動かされていく。そしてエレンは地球に一緒に行く決意を固めた。しかし肝心の宇宙船ストークが動かない。途方に暮れるミッジ達にエレンは別の宇宙船があることを伝えた。ミッジ達はその宇宙船から部品を調達し、ストークを修理。新たな仲間・エレンを加え、ミッジ達は再び地球を目指す旅に出発した。

クマムシ・ワンとの出会い

ミッジ達はエレンのいた砂の惑星を出発し旅を続けた。その途中、宇宙船ストークは人工ブラックホールに吸い込まれてしまう。ミッジ達はその中で100年以上生きているというクマムシのワンに出会った。ワンもまた実験のために宇宙に連れてこられ、不要になったから宇宙に捨てられたのだ。宇宙のゴミ捨て場に行くはずだったワンは、思考をフル回転させ、人工ブラックホールの中で自分の意思の世界を確立。考え続けることでその世界を維持し100年生きてきたという。しかしもう考え続けることにワンは疲れていた。そこでミッジ達が地球に行こうとしていることを知り、もう1度恋をしてみたいから連れて行ってほしいと申し出る。ミッジ達に断る理由はなかった。

ミッジ達は人工ブラックホールからの脱出に成功した。しかしその先は元いた宇宙ではなく、ワンが捨てられるはずだった宇宙のゴミ捨て場だった。ゴミ捨て場には電気を食らう電クイ虫や資源回収ロボットなどはウロウロしていた。宇宙船ストークもそれらのロボットに狙われてしまう。さらに間が悪いことに、ミッジ達を追っていたカエルのゲロッパ達の人工ブラックホールに吸い込まれてゴミ捨て場に落ちてきた。ミッジ達はゲロッパやロボット達に苦戦を強いられたが、なんとか切り抜け、再び宇宙に旅立つことに成功するのだった。

実験用動物としての生き方

人工ブラックホールから脱出したミッジ達は、宇宙ステーションを発見した。その宇宙ステーションはミッジ達がいた宇宙ステーションEISSと同じように人間に放棄されているようだった。取り残されている生き物がいるかもしれないとミッジ達はその宇宙ステーションに立ち寄ることにする。そこでミッジ達はハツカネズミ達に出会った。ハツカネズミ達はミッジ達を歓迎し、食べ物をごちそうしてくれた。しかしハツカネズミ達にはミッジ達に実験の手伝いをさせるという思惑があった。

ハツカネズミは実験用動物。実験のために生き、実験のために死ぬ。ハツカネズミ達は人間達がいなくなった後も実験に従事しており、その実験のためにミッジ達、虫の力が必要だった。ミッジは人間はもういないのに実験を続ける意味がないとハツカネズミ達を説得する。しかしハツカネズミ達の考え方は変わらなかった。ミッジ達はハツカネズミに無理やり実験の手伝いをさせられそうになったが、なんとか逃げ出すことができ、そのまま宇宙ステーションを後にするのだった。

惑星イエロでの大冒険

宇宙船ストークの外壁が故障していることがわかり、ミッジ達は修理をしていた。するとスペースドローンが飛んできて、ハカセに激突してしまう。そのスペースドローンが運んでいた小箱から出てきたのは大きな豆だった。豆の中にはホセとクラウディアという虫がいて、プラネットロカから惑星イエロへ向かう途中だったという。しかしスペースドローンはハカセとぶつかった衝撃で壊れてしまっていた。ミッジ達はお詫びにホセとクラウディアを惑星イエロに連れて行くことにする。

惑星イエロは氷の惑星だった。ホセとクラウディアはこの惑星イエロのセタグ種子貯蔵庫に用があるとのこと。何か特別な種を手に入れるために保管室へと行かなけれなならなかった。しかし種子貯蔵庫はたくさんのバグバスターによって守られていた。雪崩が発生する恐れがあるため迂闊に攻撃することもできない。ミッジ達はなんとか貯蔵庫に侵入し、保管室へと辿り着く。そして種の管理を任されているDr.シードに出会った。そして目的の種を手に入れる。そしてプラネットロカへと帰還するのだった。

プラネットロカでの事件

惑星イエロを出発し、ミッジ達はプラネットロカへと到着する。入口を開けてほしいと通信するが、プラネットロカから応答がない。不審に思ったミッジ達はプラネットロカの監視カメラにアクセス。中では何か事件が起こっているようだった。ミッジとエレンは2匹だけでプラネットロカへと入り、そこで倒れているスルコスキーという虫を助け出す。宇宙船ストークで目を覚ましたスルコスキーは、ホセとクラウディアがいない間に起こった事件について話し始めた。

プラネットロカの中にあるプランツドームには、マザーツリーと呼ばれる巨大な木があった。その根本に落ちていた「negum13(ネガム サーティーン)」という物質は、酸素に触れると膨張し続けるという危険な物質だった。そんなものが側にあったマザツリーが怪しいとミッジとハカセは考え、調査をしようとした。しかし危険だから近づかないようにとエレンとマルボが反対。ミッジとハカセは2匹に見つからないようにマザーツリーへと出かけた。

調査の結果、マザーツリーは木ではなく、金属の塔だったことがわかった。その中にはバグバスターがおり、昆虫型ロボット・スケルトンBというプランツドームのボスがいた。スケルトンBは「忍者計画」という謎の計画を遂行しようとする。ミッジ達はそれを食い止めることができた。

宇宙ハイウェイ・エプシロン

ミッジ達はプランツドームの面々に別れを告げ、再び地球に向けて出発。ワープトンネルを使うために宇宙ハイウェイ・エプシロンへとやってきた。しかしゲートが封鎖されており、使用できない様子。そんな時ミッジ達はドーム型の水槽に住むエビのランスロットと出会った。ゲートを開けてもらうには火星への通信が必要だと聞かされたミッジ達は、無線機がある惑星イズカワに向かう。そこで今度は営業ロボットのセバスチャンと出会い、火星への通信を試みてくれることになった。しかしミッジ達はその間にランスロットから地球が既に滅亡したという事実を聞かされる。

ミッジ達は地球が滅亡しているという事実に絶望した。だがそれでも地球へ向かおうと意思を固めて再出発を決める。そんな時、セバスチャンが火星との通信に成功した。ワープトンネルを使うためにミッジ達は再び宇宙ハイウェイ・エプシロンへとやってきた。ゲートを開くためにはコントロールパネルからパスワードを入力しなければならないのだが、その周辺にはバグバスターがうようよ。ミッジ達はなんとかバグバスターをやり過ごし、パスワードの入力に成功。ワープトンネルを使って、ついに太陽系まで辿り着くのだった。

地球滅亡の真実

太陽系までやってきたが、ミッジ達は皆ランスロットの地球が滅亡したという言葉を気にしていた。そんな時、サルのゴードにミッジ達は出会う。ゴードは地球滅亡の真実が映っているビデオテープを持っているという。しかしそのテープを見せる代わりに宇宙船ストークを寄越せとゴードは要求してきた。ミッジ達は考えたが、地球滅亡の真実が気になったためゴードの要求を飲むことにした。ゴードの船の機械にビデオテープを入れたが、映像が一向に再生されない。ミッジ達は再生する機械が壊れていたことに気がついた。しかし時は既に遅く、ストークはゴードに持ち去られてしまっていた。

ワンの活躍によってストークをゴードから取り返すことができたミッジ達は、ビデオの中身がやはり気になっていた。ハカセがビデオを調べた結果、このビデオはカエルのゲロッパ達といる宇宙ステーションEISSのサポートロボットであるドクター・ハンプティが再生できることがわかった。ミッジ達はゲロッパ達をおびき出すために衛星エンケラドゥスに着陸。ゲロッパ達を罠に閉じ込めることに成功し、ミッジ達はビデオの中身を見ることができた。映し出された地球は生物が住めるような環境ではなかったが、それでもミッジの地球へ帰りたいという決意は揺らがない。一行は引き続き地球を目指すことにした。

一方、罠を抜け出したゲロッパ達は謎の宇宙船に連れ去られてしまうのだった。

火星大決戦

ゲロッパをさらったのは火星にいたゴキブリの軍隊だった。ゲロッパを害虫駆除のために送り込まれてきた生き物だと勘違いしたからだ。ゲロッパの部下であるイトーとかトーはゲロッパを助けるためにミッジ達と一時同盟を結ぶ。そしてゲロッパを救い出すことに成功した。

ミッジ達はゴキブリの軍隊の隊長であるジャンから、火星で起こった害虫駆除作戦の話を聞かされる。この作戦をきっかけに全宇宙で害虫駆除作戦が展開され、至る所にバグバスターが配置されることになったのだ。そしてバグバスターに命令を出しているアンテナが火星にあることを知る。ミッジ達はそのアンテナを破壊するためにゴキブリ達と火星へと向かった。

アンテナを守る多数のロボットと戦い、ミッジ達はアンテナの破壊に成功した。そしてアンテナの下にある地下通路の先で、火星地球化計画を司る人工知能コンピューター「グレートコンサルタント」と出会う。そこでミッジ達は「グレートコンサルタント」から、ロボット達が生物殺戮マシンと化してしまった理由を聞かされるのだった。

『スペースバグ』 の登場人物・キャラクター

ミッジ

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