スペースバグ(Space Bug)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『スペースバグ』とは、「タイムスクープハンター」で知られる中尾浩之による監督・脚本、「Mask Masters」や「Hello Carbot」で知られる韓国のアニメ制作会社W.BABAによるアニメ作品である。
舞台は広大な宇宙。主人公は小さな虫たち。人間が実験のために宇宙ステーションへ置き去りにした、昆虫たちの大冒険が描かれる。彼らは地球に帰ることができるのか。家族みんなで楽しめるファミリー向け作品だ。

宇宙ステーションのバッテリーが切れるとわかったとき、ミッジがハカセとマルボに言ったセリフ。電気がなくなったら空気の供給も止まり、自分たちも干からびてしまう。故郷である地球に帰ると言いだすミッジ。ハカセは「わたしたちは、ここで生まれたんだ。この宇宙ステーションが故郷だ」と反論する。ミッジは「じゃあずっと、ここにいればいいさ。オレは帰るぞ。オレは人間の実験道具なんかじゃない、地球の大自然で生きる虫なんだ」と人間の都合を押し付けられたことに対する怒りとともに、虫としての権利を強く主張した。

「彼らを残して、ここを離れられない。死ぬ時はここでみんなとって、決めているから」

一緒に地球へ戻るため、宇宙船へ行こうとミッジに誘われたエレンだが、「彼らを残して、ここを離れられない。死ぬ時はここでみんなとって、決めているから」と言って彼女は辞退する。地球には青い空に綺麗な水、森も草木もたくさん残っていて、ビルばかりではないとミッジは語った。しかし惑星E2で生まれ育ったエレンの知る地球は、空気が汚れ、人間の作った建物ばかりというものだった。例えミッジの話が本当であっても、亡くなったエレンの両親と仲間は、地球に見切りをつけて惑星E2にやってきた開拓生物。だから、その仲間たちを残して、自分だけ地球へ行くことなどできないという決心があったのだろう。

パイロットとの脱出

墜落した補給船で、宇宙服を着た人間を目にしたエレンとミッジ。その人間は死んでおり、胸の部分に穴が空いていた。たくさんのバグバスターが出現したところを見ると、このパイロットはバグバスターに殺られたのかもしれない。さらに自爆ボタンの蓋が開いており、パイロットは脱出ボタンに指を伸ばしている。以上のことから、パイロットはバグバスター諸共、補給船を爆発させて脱出しようとしたのかもしれないと推理された。二匹はパイロットの行動を引き継ぎ、パイロットの亡骸とともに宇宙船から脱出することに成功。小さな虫が、人間の残した意思をやり遂げたことが、まさに快挙である。

涙を浮かべるカエルたち

宇宙ステーションを脱出する乗り物にするため、ドクター・ハンプティを改造したゲロッパ、イトー、カトー。彼らはハンプティを自分たちに都合のいい、ただの道具として扱ってきた。しかし、ゴミ捨て場で資源回収ロボットがハンプティを分解するのを見た彼らは、「やめろ、よせ!オレたちのハンプティだぞ!」と涙を浮かべる。普段は虫を食べることばかり考えている残忍なカエルたちだが、航海を共にしてきたロボットに対しては、いつの間にか親近感が芽生えたのかもしれない。両生類がコンピューターに打ち解けた瞬間だった。

「冷凍カエルのできあがり」

漂流していた宇宙ステーションに乗り込んだミッジたちは、待ち伏せしていたカエルたちに捕まってしまう。そして食べられそうになったところを、生き残りのハツカネズミに助けられる。
武器を持つハツカネズミだが、彼はカエルたちを通路の一角に閉じ込め、宇宙ステーションの機能を使って瞬時に固めるという方法をとった。今まで苦労して逃げていたミッジたちと比べ、カエルたちの動きをあっさりと封じたハツカネズミの手際の良さが引き立つ。また冷凍してしまうという発想が、まるでイタズラをしているよう。さらに、「よし、これでオッケー。冷凍カエルのできあがり」と言うハツカネズミの口調が、コミカルで印象的だ。

「自分の力で生きていきたいっていう、気持ちがある!」

宇宙ステーションの偵察に出かけたミッジが、もういない人間のための実験を続けるハツカネズミと対立したときに言い放ったセリフ。
「人間たちはもういないぜ」と教えるミッジに、そのハツカネズミは、「いないからって、それがなにか?」と答えた。必要のない実験を続けるハツカネズミに、自由になることを勧めるミッジ。ところがハツカネズミは、実験のために体を差し出すことが実験用動物の生き方で、ミッジの考えはあるまじき思想だと反発する。元は実験用動物だったミッジにとって、心外なことを言われたショックと苛立ちが込められている。

マルボのアクロバット

クモとしてのプライドが高いマルボに、フンコロガシという言葉はタブーである。ハツカネズミにフンコロガシ呼ばわりされて怒ったマルボは、糸を出してハツカネズミの目を塞ぎ、体当たりしてハツカネズミを倒した。マルボは、はずみで食虫植物ウツボカズラの中へ落ちそうになるが、近くの葉を伝ってウツボカズラから逃れる。しかし今度は、モウセンゴケの上に落ちそうになり、掴んでいた葉を揺らして自身を遠くへ飛ばすことで、モウセンゴケから逃れる。いつも動きの鈍いマルボにしては、珍しくアクティブな動きを見せた。

『スペースバグ』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

実写に近い演出

現場ではセリフを先行して収録し、後から絵を合わせるという「プレスコ」を行なっていた。
中尾浩之監督は声優に、言葉尻も「~です」じゃなくて「~だ」と言い切ってしまった方が感情が表現しやすい場合は、語尾を変えてもいい。
自分がどう感じるかというのを、自由に表現してくださいと話をした。また、アドリブをオーダーしたりと実写の演出に近いような収録になった。

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