刀使ノ巫女(とじのみこ)のネタバレ解説・考察まとめ

『刀使ノ巫女』とは、studio五組が製作するアニメ。日本刀を使って戦う「刀使(とじ)」と呼ばれる少女たちの、戦いや日常を通して友情を紡いでいく様を描く。魅力的なキャラクターや日本文化を色濃く反映した世界観などが人気を呼んでいる。ストーリー面は二部構成になっていて、少女たちが逃亡劇を繰り広げながら、刀使を陰で操る敵と戦う「波瀾編」、少女たちの日常を絡めながら新たな戦いを描く「波瀾編」に分かれている。

古来より刀使を束ね、御刀を管理してきた一族。刀使に対して絶大な権力を持つ。現在の当主は紫。

折神紫親衛隊

刀使の中でも特に優秀な人材。折神紫の護衛・補佐を行うほか、通常の荒魂討伐も行う。現メンバーは第1話の時点で、第1席が獅童真希、第2席が此花寿々花、第3席が皐月夜見、第4席が燕結芽。全員がノロを体内に受け入れている。

舞草(もくさ)

折神紫がタギツヒメに操られることを知り、タギツヒメに対抗するために作られた組織。折神朱音やフリードマン、紗南、累、エレン、薫などが所属し、後に可奈美たちも所属するようになった。潜水艦を保有している。

近衛隊

タギツヒメの配下の刀使たち。綾小路の刀使たちで組織されている。体内にノロを投与することで身体能力を高めているのと同時に、タギツヒメを神とあがめるように洗脳されている。

スペクトラムファインダー

荒魂の出現を検知できるスマホアプリ。刀使たちが刀剣類管理局から支給されているスマートフォンに装備されている。
実は折神紫による細工が施されており、親衛隊に投与されたノロから生まれた荒魂には反応しない。また、反応する対象を荒魂から御刀に変更することで、刀使の動きを探索することも可能。

スペクトラム計(すぺくとらむけい)

スペクトラムファインダーが開発される以前に使用されていた、荒魂を検知するための装置。方位磁針のような容器に微量のノロが入っており、荒魂が出現すると反応を示す。
現在はほとんど使われることはなく、刀使の授業で使われる程度で、骨とう品扱いされている。姫和は母親が使っていたスペクトラム計を使っている。

S装備

正式名称はストームアーマー。荒魂殲滅用の特殊装備で、装着者の身体能力と防御力を向上させるが、長時間の稼働はできない。折神家の決戦時に可奈美たちが着用した。

相模湾岸大災厄(さがみわんがんだいさいやく)

20年前に相模湾で大荒魂「タギツヒメ」が暴走した事件。多くの犠牲者を出している。折神紫や藤原美奈都、柊篝ら刀使らの活躍でことを収めたように見えたが、この一件で美奈都と篝は寿命を削り、早逝してしまう。さらに、倒したと思われたタギツヒメも実は折神紫に憑依しており、そのことが一連の事件へとつながっていった。また、大荒魂を鎮めた方法や、美奈都と篝が特務隊にいたことは、タギツヒメに乗っ取られたゆかりの手によって記録から消されている。
原因はノロを軍事転用研究のためにアメリカに移送する際、一か所に集めたものが結合したこと。フリードマンは人間がノロの扱い方を間違えたために起きた「人災」と言及している。

鎌倉特別危険廃棄物漏出問題

第12話で姫和がタギツヒメを隠世に送った際に大量のノロを関東各地にばらまいた事件の、世間一般での総称。「特別危険廃棄物」とはノロのことを指す。
この一件以降、関東では荒魂の出現が頻発するようになり、刀剣類管理局は世論の非難にさらされ、折神朱音は国会で参考人招致を受けている。
一方で、可奈美たちはこの一件以降大荒魂を討った刀使として、ほかの刀使たちから一目置かれるようになり、内里歩のように可奈美にあこがれる刀使も出てくる。

三女伸(さんじょしん)

第12話でタギツヒメから3つに分離した大荒魂たちの総称。人類への復讐心を抱く傲慢なタギツヒメ、人類を支配しようとする合理的なタキリヒメ、自らの存在意義を模索するネガティブなイチキシマヒメの3体。
もともとはタギツヒメを名乗る1つの荒魂だった。しかし、高度な知能を獲得したため、ほかの荒魂同様に人類への怒り・憎しみを抱き復讐しようとする思考、人類を愚かな存在と見下して、自分が神として君臨・支配することで人類を導こうとするのが最も合理的という思考、自身は御刀を生み出した際の不純物・この世界に不要な存在と考えて存在意義を求める思考の相反する3つの志向が生まれ、論理矛盾においちいる。自己の中の論理矛盾が修復不可能と判断したタギツヒメは、姫和の手によって隠世に送られる際に三つの思考にそれぞれ人格を与えて放出した。三女神はそれぞれ戦いあい、勝ったものが他の物を取り込み、最終的に隠世にある本体を取り込むことを目的とする。
人類を滅ぼそうとするタギツヒメ、人類を支配しようとするタキリヒメ、存在意義を求めた結果人類との同化にたどり着きノロの人体投入の技術をもたらしたイチキシマヒメ、どれが勝ち残っても人類にとって好ましい状況ではないため、三女神が戦いあったまま膠着状態となることを刀剣類管理局側は望んでいる。

『刀使ノ巫女』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

「そんな魂のこもってない剣じゃ、何も斬れない!」(衛藤可奈美 第3話)(糸見沙耶香 第22話)

出典: pbs.twimg.com

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立川の累の家にかくまわれていた可奈美と姫和だったが、そこに雪那の命令を受けた沙耶香が襲撃。可奈美は沙耶香と戦う。二人が戦うのは御前試合に続いて二度目。しかし、御前試合の時は沙耶香の剣にワクワクしていた可奈美だったが、立川では「伝わってくるものがない」と感じてしまう。

可奈美にとって剣術は戦いを通したコミュニケーションの手段であり、相手の動きを「よく見る、よく聞く、よく感じ取る」ことで、相手の剣術に思いをはせることが可奈美の剣の根底にある。自分で考えることもせず、相手のことも考えず、命令されたとおりにしか動かない沙耶香の剣は、可奈美にとっては「魂のこもっていない剣」にしか感じられなかった。可奈美はこのセリフを言いながら沙耶香の御刀を奪い取ることで、沙耶香を斬ることなく戦いを終わらせる。

それまで、ただ命令通りに相手を斬るという生き方に疑問を持たなかった沙耶香だったが、この言葉を機に、彼女の心に人間らしい感情が芽生え始める。やがて、舞衣と出会うことでその感情は大きくなっていき、沙耶香は自分の意思で舞衣や可奈美たちとともに行動する道を選ぶ。

時は流れ、タギツヒメとの最終決戦。タギツヒメのもとへと向かう可奈美を妨害する近衛隊の歩だったが、沙耶香が歩との戦いを引き受け、可奈美を先に行かせる。ただ強さのみを求める歩に対し、沙耶香は「私はあなたの先輩のようなもの」と告げ、「沙耶香はノロを体内に入れることから、強くなることから逃げた」と罵る歩に対し、「もっと大切なものを見つけただけ」と返す。沙耶香は歩の動きを見て、動きの先を読んでかわすという、可奈美を彷彿とさせる戦い方をする。そして、ただ強さのみを求めて周りが見えなくなった歩に対し、「今度は私が助ける番」と言い、かつて可奈美に言われたセリフと同じセリフを歩にぶつけ、斬り捨てる。

沙耶香が空っぽだった自分を変えるきっかけとなった言葉を、今度は誰かを助けるために使う。作中の誰かの名言を別のキャラクターが受け継ぐということは、単にその言葉がかっこいいだけでは成り立たない。最初に発したものと受け継いだもの、可奈美と沙耶香の間にある物語がしっかりとしたものでないと、この「セリフの引継ぎ」は成り立たない。このセリフのカッコよさは、可奈美の言葉を沙耶香が受け継ぐことで初めて成立する。

その後、歩は「わかった気がします」といい、沙耶香は「きっとあなたにも…この熱はある」と言う。その後の描写を見ると、この時を機に歩が自信の行いを反省していることがわかる。

最終回よりずっと後のことだと思うが、いつか歩が誰かを助けるために、今度は歩がこの言葉を投げかける日が来るのではないか。

spica31734
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@spica31734

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