ここはグリーン・ウッド(GW)のネタバレ解説・考察まとめ

「ここはグリーンウッド」は那州雪絵による少女漫画作品。白泉社「花とゆめ」に連載された。単行本は全11巻。少女漫画ながら男性ファンも多い作品。
私立緑都学園に入学し、変人の巣窟と噂される緑林寮(通称:グリーン・ウッド)に入寮した蓮川一也が、個性的な先輩・同輩に囲まれて過ごす学園生活の日常を描く作品。

光流の中学時代の後輩・五十嵐巳夜(いがらしみや)が夜、緑林寮にやってきた。巳夜は不良グループに付け狙われていて、家にも学校にも行けない状態で、光流を頼ってきたのだ。しかし既に寮長でもない光流が女子を寮内に連れ込んでしまったら、光流だけでなく寮長である一也の責任にもなってしまう。光流は巳夜を家に帰そうとするのだが、一也は自分の責任で巳夜を匿うと宣言した。

一晩彼女を寮に泊めた後、巳夜から事情を聞く。彼女の学校の女生徒が、愛誠学院の不良グループの縄張りで勝手なことをして、不良グループの反感を買ったらしい。巳夜の学校の生徒たちが不良グループに捕まり、総番に話を付けると言われ、巳夜の名前を出されたことが原因だった。本来巳夜は総番なんてものではないのだが、生贄にされてしまったのだ。

仲間を集めて人数が揃った状態で不良の呼び出しに応じるようにしたいとする巳夜。一也たちが学校に行っている間、巳夜は昔の仲間に声をかけ人数を集めることにし、夕方寮近くのファストフード店で光流と落ち合うことになった。ところが、光流は風邪をひき、待ち合わせ場所に行けなくなってしまう。待ち合わせ時間を一時間も遅れて一也が迎えに行くが、仲間が全く集まらなかったことを泣きそうな顔の巳夜から聞かされる。

光流の風邪がひどい状態なため、巳夜は一度、家に帰ることにする。その帰り道で、一也は巳夜は幼馴染である小泉典馬(こいずみてんま)に嫌われたくて不良をやっていることを知る。典馬は巳夜を好きだと言っていて、巳夜も彼のことを嫌いではないのだが同時に釣り合わないと思っているのだ。巳夜を可愛いと感じていた一也は、彼女を不安な気持ちにさせてしまっている典馬に対し憤りを覚えた。

巳夜の家に着くと、そこには昼間はいなかった愛誠学院の不良グループが張り込んでいた。彼女たちは無理やり巳夜を連れて行こうとするが、警察を装った忍の声が響く。その声に驚いた不良グループたちは、巳夜に場所と時間を告げて逃亡する。それに対し、巳夜は自分で蒔いた種だから落とし前をつけるとして1人で行くことを決意する。

指定された橋の下に巳夜が辿り着く。そこには愛誠学院の不良グループの他に、男子が数人、巳夜をいたぶろうと待っていた。そこに事情を聴いて女装して駆け付けた光流が合流する。さらに瞬や忍が集めたOBや寮生が助っ人が大勢かけつけ、それに怯えた不良グループは逃亡するのだった。

こうしてこの騒動は決着がついた。その夜、緑林寮に小泉典馬が現れ、巳夜を連れ帰った。巳夜と典馬の不自然な関係に納得がいかず、帰り際、振り返った巳夜の表情がどうしても忘れられない一也だった。

権謀術数体育祭

体育祭の時期となった。一也の所属するE組は一也をスウェーデンリレーのアンカーに配置し、高得点を狙っていた。しかし体育祭当日、E組の期待を背負い最終種目のスウェーデンリレーに臨もうと思った一也の靴に蜂が入り込み刺されてしまう。

一也不在のリレーでE組は勝つことができず、逆転負けを喫してしまった。怒り狂うE組の生徒から一也が逃げている途中、なぜか巳夜にばったりと出くわす。巳夜はそのまま逃走し、一也はE組の生徒達に捕まり彼女の後を追うことができなかった。

体育祭の情報を知り、巳夜は一也に以前のお礼を言うために来たのだが、一也の顔を見たら思わず逃げてしまったのだ。巳夜は自分でもなぜ逃げたのかわからず、一方の一也も相手が居る巳夜のことは忘れなければいけないと思いつつも、忘れられずに悶々としていた。

愛は勝つ

冬休みになり、光流の実家の光龍寺の大掃除を手伝いに行った一也。そこで光流は家族には何の不満も無いが、血の繋がりのない自分は高校を卒業したら家を出るつもりだと語る。それに弟の正十は「どうしてそう他人になりたがるんだ!?」と光流を責めるが、光流は冷静に自分は他人だと言い切った。血は繋がっていない他人だけど、「他人は兄弟よりもおちるかな」という光流に一也は大切なのは愛だと励ます。
光流の家から帰る途中、一也と光流は最寄駅で巳夜と典馬に出会う。その時の巳夜の様子から一也にもチャンスがあるかもしれないと感じた光流は、巳夜の家の電話番号を一也のポケットに忍ばせた。

正月に熱を出し寝込んでいた一也は、兄・一弘に好きになった子に相手がいたらどうするかと尋ねてみた。すると一弘からは「おまえは自分が悪者になることを恐れているにすぎない」と指摘される。更にすみれの一押しもあり、一也が意を決して巳夜に電話するが、巳夜には「ごめんっ…!」の一言で電話を切られてしまう。

諦めきれない一也は、巳夜に直接会おうとするがすれ違いが続いてしまう。そこで手紙を出し、彼女を呼び出すが、待ち合わせ場所に現れたのは典馬だった。巳夜が困るようなことはするなと釘を刺す典馬に一也は、自分が巳夜を好きなことを告げる。偶然にもそれを聞いてしまい、立ち去ろうとする巳夜。そんな彼女には一也は「なんで逃げるんだ五十嵐!」と叫ぶ。その言葉を聞いて自分の本心が分からず迷う巳夜。典馬との交際は二人だけの関係でなく、親も賛同している話だと言うのも彼女を悩ませている。しかし典馬が彼女を引き留めようと言った言葉「変わらなくていい。これからも守ってあげる」、その言葉が逆方向に彼女の背を押した。一也が好きだと言う本心に気づいた巳夜はそれを告げるのだった。

1月22日の雨が降りしきる中、校門で待っていた巳夜。典馬や母親と喧嘩してしまったが一也に会いたかった、そしてちゃんとした人間になりたいと巳夜は言う。一也は巳夜の肩をしっかりと掴み、巳夜は一也の胸に頭を預けた。その一部始終を見ていた緑都学園の生徒たちは傘を投げ出し大歓声をあげるのだった。

ホリディ

ある日の休日、仕送りを引き出しに行く暇がなく、所持金が乏しくなってしまった光流と忍。次の日の放課後まで、2人合わせて132円で過ごさなくてはいけなかった。緑林寮では朝・夕の食事しか出ないため、昼食は自腹で調達しなければならない。寮内でいつも光流たちにからかわれている一也は光流たちの窮状を知り、それを寮内に放送で知らせた。光流が隣室にお金を借りに行ってもみんな固く扉を閉めて金を貸してくれる生徒はいない。この時代にはコンビニにATMなどもなく、休日に預金をおろすのは難しかった。

仕方なく2人はパチンコで所持金を増やそうと画策する。年齢を誤魔化すため、サングラスで顔を隠した光流は順調に所持金を増やす。しかし一弘に見つかってしまい、パチンコ玉を没収されてしまう。代わりに菓子パンを渡してくれる一弘。それをパチンコ屋の前で食べようとした所で、小さな女の子がそのパンに食いつく。少女の母がパチンコに夢中になっていて、お腹がすいているようだ。女の子の母親がやってきて、パンの代わりにと、500円玉を渡す。

所持金が増えたと喜ぶ2人の前に、その500円玉を頂戴、という女性が現れた。その女性は車の中にキーを置いたままにしてしまったので、車を置いて帰ろうというのだ。忍は針金で女性の車を開錠し、女性はそのお礼にごちそうしてくれるという。元彼から手切れ金を渡され振られた彼女は、お金を楽しいことにパッと使ってしまいたいのだという。彼女に気に入られた2人は彼女に誘われるまま野球観戦や買い物などに付き合った。そして夕食をご馳走になっている最中、昼間パチンコ屋の前で見つけた女の子が見知らぬ男に手を引かれているのを目撃する。女の子に話しかけ、その男が誘拐犯であることに気づく二人。見事に捕まえる。その素晴らしい活躍を見て、男に振られた女性も前向きな気持ちになるのだった。

ほぼ無一文で出かけたにも関わらず、豪遊してきた光流と忍の運の強さに緑林寮の寮生たちは呆気にとられた。
2人で自室に戻ると、忍は光流に卒業後どうするのかと問いかけた。光流はさも当然のように「家賃折半として9万以下のとこな。おれ、それ以上出せねぇから」と言った。2人で9万は狭いと思いながら、忍の頬は緩んでしまうのだった。

『ここはグリーン・ウッド』の登場人物・キャラクター

蓮川 一也(はすかわ かずや)

CV:佐々木望

私立緑都学園1年生。緑林寮に入寮している。出身地、東京。身長161cm。体重48kg。血液型A型。特技は虚弱だが足が速いこと。

幼い頃に両親を亡くし、兄・一弘に育てられた。模範的な優等生であった兄に憧れ、兄が通っていた名門男子校である緑都学園に入学することを目標としていた。
受験期の家庭教師だった木谷すみれに淡い想いを抱いていたが、受験直前にすみれから「一也くん、私…一也くんのおうちにお嫁に来てもいい?」と言われ、一瞬自分のことが好きなのではと勘違いしたのだが、すみれの背後で頭を抱えていた兄の様子を見て、兄とすみれの結婚の事だったと初めて気づいた。
新婚家庭となった家に身の置き所がなくなった一也は学園の寮に入ることを決意。しかし、入学式前日に胃潰瘍を発症し入院、1ヶ月遅れの入学となってしまった。

緑林寮入寮後、同室の如月瞬が女性であると騙され、戸惑いながらも瞬を気遣いつつ生活していたのだが、入寮3日目の午後、とうとう瞬が男であると気づき、この一連の騒動が寮長・池田光流と寮生で生徒会長の手塚忍が黒幕だったと知った。怒り狂った一也は光流の部屋に押し入り思い切りその顔を殴った。殴られた光流は一也を気に入り、これ以降一也をおもちゃとして構いつつ、次期寮長として育てることにした。
何でもそつなくこなす兄を尊敬していたのだが、兄が男子校の保健医になったことに対し反感を抱き、兄に対して反抗的な態度を取るようになっている。

非常に素直で騙されやすい性格。頑固で負けず嫌いでもある。運動は得意で体育祭のスウェーデンリレーでは300m走るうちにトップとのおよそ100m差を縮めトップでアンカーにバトンを渡すほどの瞬足を見せた。
精神的疲労がたまるとすぐに鼻血を出したり、胃が弱かったりと虚弱体質に悩んでいる。
元々猛勉強してようやく入学できるレベルだったのだが、さらに1ヶ月も入学が遅れたため授業についていくのが難しいが、光流や忍に勉強を見てもらいなんとか授業についていっている。
2年の体育祭で一弘の同僚で陸上部顧問の生物教師・村上司郎に目をつけられ、無理やり陸上部に入部させられてしまう。
2年進学時に緑林寮寮長就任。
光流を頼り緑林寮に現れた五十嵐巳夜が心に残り、惹かれるようになる。
五十嵐には既に親公認の相手・小泉典馬がいたのだが、巳夜と典馬の関係がまだ入り込める隙があるとして彼女に告白をする。巳夜も典馬とは築けなかった関係を一也となら築けるとして一也を選んだ。

池田 光流(いけだ みつる)

CV:岩田光央

私立緑都学園2年生。緑林寮寮長。出身地、東京。3月2×日生まれ。血液型A型。身長176cm。体重58kg。視力右2.0、左2.0。色覚異常なし。珠算検定2級所持。
面倒見がよく後輩思いだが、悪のり悪ふざけも多く、一也のことをよくおもちゃにして遊んでいる。容姿端麗のため、年齢を問わず女性からモテるが女運は悪い。
緑都学園入学当時は補欠の一番で入学したのだが、その後の勉強により学年でも上位クラスの成績になった。
部活はブラスバンド部に所属(楽器はトロンボーン)しているが仮死状態と部長に言われている状態(もうちょっとで幽霊部員)。
実家は寺で長男。弟がいる。実は寺の前に生後2週間ほどで捨てられていたのだが、寺で引き取り養子となった。養父母は実の息子である弟と分け隔てなく育て、光流自身も家族に愛されていると感じているし、家族に対し親愛の情を持っている。しかし、光流は一応寺の長男であるがゆえに檀家や親戚から実子の弟とどちらを後継とするか問題視されており、そのため光流は高校卒業と同時に家を出る決心をしている。
兄を大切に思っている弟は光流のその決断を察して、憤りをあらわにしている。拾い子であることは近所中に知られているため、幼い頃からいじめや、からかいにあっていた。しかし、黙ってやられているような性格でもなかったため、やり返していたのでかなり喧嘩慣れしている。体中にたくさんの傷跡があるが、顔だけは傷を負っても数秒で治るという特技を持っている。

手塚 忍(てづか しのぶ)

CV:関俊彦

私立緑都学園2年生。生徒会長。長野県出身。身長175cm。体重58kg。血液型AB型。
クールな美貌を持つ。人当たり良く見えるが実は腹黒。学業成績は常にトップ。スポーツもそつなくこなす。特に柔道や剣道などの武道は強く、柔道部から試合に出て欲しいとの依頼がくるほど。地方の名家の息子。兄と姉がいるが、忍の実力が高いため次男の忍が跡取りと期待されている。
抜群の統率力から学園を支配しており、学園の生徒、教師までも弱みを握られている者が多い。
瞬曰く忍は「神様みたいな人(何でもできるのに、ただでは何にもしてくれない所がそっくり)」と言われている。
同室の光流とは入試の時に偶然席が前後になり知り合った。人当たりがよくいつもニコニコとしている光流を、表面的には友好的に取り繕っていたが、内心ではよく思っていなかった。しかし、1年時の生徒会選挙の時に、忍が行った汚い票集めに対し光流が反発し、殴り合いのケンカにまで発展。それをきっかけにして2人は親友となった。
名家のため婚約者候補が複数人おり、3人程と付き合っている。
兄の婚約者であった六条倫子とは特異な共存関係を保ってる。
霊感が強く、作中の幽霊騒動では幽霊に先手を打って相手を金縛りにし、殴られた腹いせに一也に呪いをかけて悪夢をみさせたりしている。

如月 瞬(きさらぎ しゅん)

CV:坂本千夏

私立緑都学園1年生。一也のルームメイト。静岡県出身。身長164cm。体重50kg。血液型AB型。
腰まであるストレートの長い髪が特徴。声が高く顔も可愛らしいためよく女の子に間違えられている。これを利用して、一也が入寮時には光流から女のフリをするよう命令されて一也を騙していた。
性格は男らしく主義主張がはっきりとしており、新入生ながらズケズケとモノを言う図々しさを持っている。
実家は有名旅館で跡取り息子のはずだったが、後に妹・唯が生まれ、跡取りではなくなった(如月家は女社長の家柄のため)。
同じく可愛らしい顔をした弟・麗名がいる。

蓮川 一弘(はすかわ かずひろ)

CV:井上和彦

蓮川一也の兄。私立緑都学園の保険医。緑都学園出身。
容姿端麗で頭も良く、何でもできる兄は一也の憧れだった。しかし、一弘が職業に緑都学園の保健医を選択したため、それを不満に思っている一也から嫌われている。
11歳の時に父が病死し、高校2年の時に母が事故死したため、それ以降は大学に通いながら弟の面倒を見ていた近所でも有名なしっかり者だった。
本人は一也を溺愛しているのだが、好きな子ほどいじめたくなる、という性格のため、いじられまくっている一也は迷惑している。
大学時代に後輩・木谷すみれから告白されるが、その当時一也を育てることに精一杯で付き合えないと言い断っている。
しかし、天然なお嬢様であるすみれを放っておくことができず、交際をすることになった。
すみれの大学卒業を待って結婚。
後にすみれとの間に第1子となる緑が生まれている。

蓮川 すみれ(はすかわ すみれ)

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