ここはグリーン・ウッド(GW)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

「ここはグリーンウッド」は那州雪絵による少女漫画作品。白泉社「花とゆめ」に連載された。単行本は全11巻。少女漫画ながら男性ファンも多い作品。
私立緑都学園に入学し、変人の巣窟と噂される緑林寮(通称:グリーン・ウッド)に入寮した蓮川一也が、個性的な先輩・同輩に囲まれて過ごす学園生活の日常を描く作品。

『ここはグリーン・ウッド』の概要

「ここはグリーン・ウッド」は那州雪絵による日本の少女漫画作品。白泉社「花とゆめ」にて1986年から1991年にかけて連載された。単行本は花とゆめコミックスから全11巻。累計発行部数400万部。愛蔵版全4巻、文庫版全6巻も発売されている。1991年から1993年にかけてOVAが制作されている。
少女漫画ながら男性ファンも多い作品。
題名の「グリーン・ウッド」は緑都学園の寮、緑林寮の愛称。
「緑林」は漢語で「盗賊」または「盗賊の根城」を表しており、ま「Greenwood」には「悪党の巣」という意味があり、曲者ぞろいの寮生を表している。

胃潰瘍を患い、一ヶ月遅れで私立緑都学園に入学した蓮川一也が、変人の巣窟と噂される緑林寮(通称:グリーン・ウッド)に入寮し、個性豊かな先輩・同輩たちにおもちゃにされ構われながら、たくましく成長していく学園の日々をコメディータッチで描いている。
作中には主人公たちがファンタジー世界で過ごす「ここは魔王の森」、時代劇風の「ここは八百八町」、宇宙船の乗組員になる「ウはうふふのウ」、鏡の世界で男女が逆転している「天国へのハシゴ段」などの番外編や、読者からのリクエストを作中のキャラクターたちが叶えるという番外編も多数描かれている。また頭にNのマークをつけた、作者と思われる人物も登場している。

6巻までは一也が1年生として何度か同じ季節を繰り返したのだが、7巻中頃「春はあけぼの」にて作者が「進級します」と宣言し、7巻以降は話が時系列通りに進むようになる。

『ここはグリーン・ウッド』のあらすじ・ストーリー

入学~1ヶ月遅れの入寮

蓮川一也(はすかわかずや)は小学生の時に両親を亡くし、それ以降は兄である一弘(かずひろ)に育てられた。一弘は兄が通っていた名門男子校・私立緑都学園(りょくとがくえん)を目指し、見事に合格する。しかし兄の一弘が春に結婚し、実家は新婚家庭になってしまっていた。おまけに兄嫁になったすみれは、受験期に一也の家庭教師をしており、密かに憧れていた初恋の人だ。家に居づらくなり寮に入ることを決める。学校が始まるまでの同居は一也にとって精神的負担が多く、一也は胃潰瘍を患ってしまった。そのため、入学式前日に入院となってしまい、入学が1ヶ月も遅れてしまった。

5月に一也が退院報告で園長室を訪れると、学園長に生徒会長の手塚忍(てづかしのぶ)と緑林寮(りょくりんりょう)寮長の池田光流(いけだみつる)を紹介される。2人とも緑林寮の生徒だから兄貴だと思って頼るようにと言われた。穏やかそうな雰囲気と光流の笑顔に、昔の一弘の面影を見出し少し安心する一也。
光流と忍の2人に連れられ緑林寮に案内された一也は、彼らが緑林寮を「グリーン・ウッド」と呼んでいると聞かされた。

一也は 同室の1年である如月瞬(きさらぎしゅん)を紹介される。一也は最初、瞬は事情があって男装をしている女だと聞かされるが、これは 嘘だった。光流と忍の二人が一也が何日間騙され続けるのか、寮内で賭けをしていたのだ。瞬を気遣い生活していた一也はこれに怒り、光流の顔を渾身の力で殴る。しかし殴られた光流は骨のある奴と一也を逆に気に入り、これ以降一也をおもちゃとして可愛がり、次期寮長にすべく鍛えていくことになる。

一方の兄・蓮川一弘は緑都学園の保健医として勤めていた。一也は優等生だった兄が男子校の保健医となったことを不満に思っていた。同じ学校にいることにも抵抗を示し、絶対に兄弟だとばらすなと兄に厳命していた。しかし苗字が同じであることもあり、二人の関係は直ぐに生徒たちにばれてしまう。

夏休みになり、初恋の人のすみれを忘れられない一也は家に戻らず寮に残ることに決める。それに対し、心配したすみれが寮にやってきて、彼に抱きつく。それにより一也は鼻血を吹く。そこで光流は、一也は夏休み中補習があるため帰れないとすみれに嘘をつく。一也が寮に残れるようにするフォローだ。目撃した光景から一也の胃潰瘍の原因を察する寮生たち。兄嫁に横恋慕していることがばれてしまうのだった。

LIVE OFF グリーン・ウッド

冬休みを実家で過ごした一也は、街中で光流と忍の2人と遭遇する。2人は寮母から鍵を預かり留守番を頼まれていたのだが、無責任にも食事を取りに街に出てきていた。
そんな光流たちの後から付いてくる不気味な雰囲気を持つ女性。彼女の正体は新田美恵子(にったみえこ)と言うアイドル歌手であった。写真週刊誌のカメラマンに追われていた所を光流たちに助けられたのである。
美恵子は本来は地味な性格をしているのに、アイドルなどしているので疲れてしまい、仕事から逃げてきたのだという。
美恵子のスクープを狙うカメラマンを撃退し、自分には芸能界は向かないと落ち込む美恵子を励まし、無事マネージャーに美恵子を引き渡した3人。

いい気分で緑林寮に帰り着くが、そこには光流たちが帰ってこないせいで寮から締め出されていた寮生たちが震えながら待っていた。罰としてしばらく暖房に当たれない一也たちだった。

頭の痛いネメシス

冬になり、緑林寮に大雪が降った。寮生たちは総出で雪かきをするのだが、それが原因で引き始めだった風邪を拗らせてしまう一也。そこで一也のために買い出しに行くことにする瞬と光流。買い出し中の2人に、黒塗りの高級外車が突っ込んでくる。静岡で高級旅館を営む会社社長の息子である瞬が狙われていると思った光流はとっさに瞬を庇う。しかし外車から出てきた黒いスーツの男たちは、瞬には目もくれず、光流に薬品をかがせ連れ去った。

瞬は慌てて寮に戻り、忍に報告した。忍は瞬が誘拐犯の特徴から忍の姉、渚(なぎさ)が関わっていると感づいた。出来が良すぎる弟を持った忍の姉・渚は、年末に忍が実家で友人の話をしているのを聞き、忍の弱みになるのではと光流を誘拐したのだ。渚は、兄弟喧嘩を誘拐にまで発展させるような強烈な性格をした人間だった。

弟に復讐しようと光流を誘拐した渚だったが、乗り込んできた忍・一也・瞬に散々痛い目に合わされる。そして忍から今後このようなことをしたら家に連絡すると脅され、硬直して動けなくなってしまうのだった。

正しい兄弟愛

夏になり、瞬や光流が実家に帰省した日。一也は忍にサポートしてもらいながら寮長代理として寮を取りまとめていた。そして部屋に女の子と見まごうばかりの可愛い少年が入り込んでいたことに気づく。その子を捕まえた直後、瞬から連絡が入り、その子が瞬の弟の麗名(れいな)だとわかった。

如月家では諦めていた女の子が12年ぶりに生まれ、後継者誕生に家中が湧いていた。如月家は旅館経営を生業としており、代々女将が社長となっていた。
これまで、女の子が生まれていなかったため、暫定的に長男の瞬が後を継ぐと思われていたのだが、待望の女の子が誕生したため、瞬は次期後継者から外れてしまった。弟・麗名は兄・瞬が跡継ぎになるためにやってきた努力の数々を間近に見ていたため、兄をないがしろにするような会社の空気に反発して家出をしてきたのだという。
瞬が実家から迎えに来るまでの一日の間、一也は麗名の面倒を見る。しかし甘やかされて育った麗名は自分のことが何一つできない。
一也は自分が兄にされたように、厳しく麗名に接する。そして迎えに来た瞬に甘やかすだけではなく厳しく接して弟を鍛えろと叱咤した。

若い力

緑都学園の体育祭は、1年から3年までの縦割りで団が編成される。1年C組では一也がリレーの候補になる。しかし陸上部でもないのに100m11秒のタイムを持つ一也の記録に、陸上部の浦田(うらた)は疑問を持ち、測定ミスだと決めつける。結局、浦田が高い得点を付けられるスウェーデンリレーに出場することになり、一也は補欠として登録される。

緑都学園の体育祭はいつもとても盛り上がり、熱くなる生徒たちも多い。各団の団長は自分の団を鼓舞するため自団の学級を周り、体育祭に向けて気合を入れている。
1年C組に挨拶に来た団長・光流を見た浦田は青ざめた。光流が中学で番長だったという噂を聞いていたからだ。スウェーデンリレーの練習が始まり、浦田は3番走者、アンカー光流にバトンを渡す。しかし、恐怖が先に立ってどうしても光流に上手くバトンが渡せない。浦田は一也に選手を代わってくれと頼み込むが、記録を疑われた上に、実行委員の仕事もしている一也はそれを断った。

体育祭当日、スウェーデンリレーが気になって競技に集中できない浦田は、自身が出場した競技で転倒してしまった。リレーに欠席したい浦田は大げさに演技し、保健室に運び込まれる。一也の兄、和弘はその嘘に乗り、一也がリレーに出場するよう促す。実は、忍が胴元をして、どの団が優勝するのか教職員の間で賭けをしていたのだ。一弘は一也と光流のいるC組に賭けていた。
スウェーデンリレーは4人の走者がそれぞれ100m、200m、300m、400mを距離を増しつつ走る競技である。C組は第2走者にバトンが渡る時点でバトンを落とし最下位となる。第3走者の一也にバトンが渡った時点で7位だったが、どんどん順位をあげ、最後の直線で1位と並ぶ。そしてアンカーにバトンを先に渡したのは、タッチの差で一也だった。その後アンカー光流がトップを守りきり1位はC組、優勝はC組連合が手にすることになった。

一弘が一也について「人の後からゴールする姿を見たことがありません」と語る。一也は前を走るものがいればいるだけ追い抜く負けず嫌いなのだと一弘は言った。
一也はC組連合のMVPとして皆に賞賛され、体育祭を見に来ていた初恋の人・すみれに抱きしめられてそのまま真っ赤になって気絶してしまった。

狙われたアイドル

冬休み前、3年の前寮長・古沢(ふるさわ)の頼みでバイトの代わりを引き受けた光流と一也。それは新田美恵子のコンサートスタッフのアルバイトだった。盛り上がる会場を見た一也と光流は今度は自分でチケットを買って来ようと話していた。

すると、美恵子のマネージャーがやってきて、美恵子が光流に頼みがあるから明日来て欲しいと言ってきた。一也と光流が事情を聞くと、美恵子がドラマの撮影中に不自然な事故が続き、何者かに命を狙われている可能性があると聞かされる。2日間、美恵子の付き人として護衛して欲しいと頼まれた光流。巻き込まれた一也と共にそれを引き受ける。

2人が護衛を開始した後、撮影中に天井のライトが美恵子の居た場所目掛けて落ちてきた。寸前に立ち上がったため、運よく怪我はなかったものの、美恵子の恐怖心は膨れ上がる。一也や光流に励まされ、撮影を無事最後まで続ける美恵子。年内の撮影は終わり、続きは年明けになる。

年明けの撮影も終わり、事務所の車を待っている時、1台の車が美恵子を目掛けて爆走してきた。しかし車のヘッドライトが照明のように感じた美恵子はアイドルの本能で車にダイブ、フロントに手を付き見事車を飛び越えた。車は壁に激突し、犯人が捕まる。

犯人はドラマのプロデューサー・北山だった。メイクの京子を第4スタジオで殺し、車で運んで谷に死体を捨てたという。第4スタジオ方面から青ざめた顔で歩いてきた美恵子を見て死体を見られたと勘違いしたのだ。実際には美恵子は死体など見ていなかった。スポットライトを浴びていない時の美恵子は、いつも青ざめたような血色の悪い顔をしているのだ。

物騒な事件に巻き込まれながらも美恵子は年末に賞を取り、来年も頑張ると決意を新たにしたのだった。

雨やどり

光流と忍の出会いの物語。光流と忍は緑都学園の入試で席が前後になり、顔見知りになっていた。その後、緑林寮に入寮すると2人は同室となった。顔が良く目立つ2人は隣室の悪い先輩たちから目をつけられ嫌がらせを仕掛けられたが、ことごとく返り討ちにしていた。人当たりの良い光流は寮のアイドルのように先輩たちにも可愛がられ、部活の勧誘等も多数受けている。忍も新入生代表を務めるなど成績優秀で家柄も良く、穏やかに見せているため、校内で非常に目立つ存在になっていた。

授業が始まってまだ1週間という時期に、3学年混合のバレー大会が開催された。光流は1年ながら優勝を狙い、気合の入ったプレーでクラスを盛り上げる。一方の忍は、上手いのだが実力をクラスのレベルに合わせ、全力を出さず手を抜いたプレーで2回戦敗退。光流は忍の手抜きを看破し、忍に意見する。忍は光流の意外な洞察力に驚くのだった。

生徒会選挙が始まり、忍は副会長に立候補し、光流に応援演説を頼む。光流はそれに快諾する。生徒会長候補には現副会長で決まりと思われていたが、英語部の部長が突如立候補してきた。それは忍が画策したことだった。忍は生徒会役員となり、自分の思い通りに操れる人物を生徒会長に押し上げ、それを傀儡にすることで学園を牛耳ろうとしていた。そのため、生徒や教職員を調べ上げ弱みを握り、票集めをしていたのだ。このやり口は彼が嫌う父と同じやり口だった。

ある日、忍は彼のやり口に反発した暴漢に襲われる。暴漢を撃退するも、その光景を光流に見られ詰めよられてしまう。忍は自分の策略を洗いざらい話し、生徒会長の最有力候補にはつけ込む隙がないから、敬愛する先輩を人質にして立候補を辞退してもらうと光流に言った。
忍は、自分自身も実家も悪いことをしても天罰のようなものを受けたことは無いと語った。自分はあくどいことをして成り上がるという忍に、光流は何も言わず立ち去った。

翌日、光流は忍を図書室に呼び出し、彼をいきなり殴りつけた。自分の評判が下がることなどお構いなしである。それに衆人環視の中でのケンカをすれば、光流だけでなく忍の評判にも傷が付く。光流はそれを狙っていたのだ。光流は忍とのケンカに勝利し、気絶した忍は保健室に運ばれる。無理に悪党になろうとする必要はない、不幸になろうとしなくていい、光流は忍にそう伝えたかった。その想いは忍の心に突き刺さる。
このことがきっかけとなり、2人は親友となった。そしてそのまま同室での生活を継続する。

忍は兄の婚約者であった六条倫子の下へ行った時に、一里塚について話して聞かせた。昔の街道に一里ごとに作られた一里塚。そこには冬でも葉の落ちない常緑樹が植えられており、旅人たちのひと時の休憩所になっていた。名も知らない旅人と過ごすその場所はとても居心地がよく離れがたい。忍は緑林寮の自室を一里塚に例え、そこがとても居心地のよい空間であり、もう少しの間でいいからこの場にいたいと心から願っていた。
しかし後継者争いに敗れた忍の兄・旭の婚約者だった六条倫子は、彼のそんな幸せを望まなかった。

人を追い落として生きてきた忍は、いずれ実家に戻り、実家のあくどい稼業を継ぐことになるとわかっていた。しかし今この居心地のよい場所を少しでも長く居続けたいと願ってしまうのだった。

蓮川家の一族

一也は何者かに襲われる被害を何度も受けていた。一方、兄・一弘のもとに一人の生徒が放課後通うようになっていた。
一也に危害を加える犯人をみつける忍たち。それは一弘との間にホモ疑惑が噂されている相手だった。その生徒が一弘に思いを打ち明け始め、一弘がそれを受け入れようとするところを一也は見てしまう。それはすみれを裏切る行為だと叫ぶ一也。ところが噂の相手だった生徒は、一也の罵詈雑言の尻馬に乗り、一弘を罵倒し始める。
生徒の正体は一弘の妻・すみれの従兄弟・神田利幸だった。神田はすみれの事が好きだったのだが、海外留学中にすみれが一弘と結婚してしまったため、すみれを蓮川兄弟から取り戻そうとして嫌がらせをしていたという。

翌日、学校の近くで神田に呼び止められた一也は、神田に言われるまま喫茶店についていった。それを目撃した瞬は一弘と光流、忍に知らせ、その後を追った。
神田は一也に一弘の悪口を言いまくり、一也にとっても初恋の相手であるすみれを一弘から離そうと言ってきた。弁護士を目指し将来有望な自分の方がすみれにふさわしいと神田は熱弁をふるう。一弘の職業についても馬鹿にされ、一也は言葉にならない怒りを発し、その場から走り去ろうとする。しかしそこで背後にいた一弘が彼を抱きとめた。

一弘は神田の主張に対し、すみれを交えてちゃんと話そうと提案した。そして彼はすみれの幸せオーラを神田に見せつけ、更に彼女が妊娠していることを彼女の口から聞かせる。一也を傷つけた神田に対する復讐だった。ショックでアメリカに帰る神田、しかし同席していた一也も同じようにショックを受け、瞬の実家の旅館に逃亡した。

瞬の家で、すみれとの出会いから失恋までの辛い思い出を語る一也。そうすることで自分の想いにケリをつけ、生まれてくる子供をきちんと祝福することを一也は初日の出に誓ったのだった。

春はあけぼの

作中に、Nの文字を頭につけた作者と思しきキャラクターが登場し、一也の2年生への進級が告げられる(それまでは3年ほど一也たちは1年生のままで何度か同じ季節を巡っていた)。

緑林寮でも世代交代が行われ、一也は新寮長に任命され、新1年生を受け入れる。光流のような威厳やカリスマ性はなくても、みんなで一緒に役目をこなすスタイルで、新1年生とうまくやる一也。それを見て光流たち3年生は安堵する。

そして第1回目の集会時、光流から入寮の心得と一也の紹介をされ集会は始まり、一也は歌いだす。寮の慣例と聞かされていたからだったが、それは嘘だった。一也が1カ月遅れで入学し、去年のことを知らないのを良いことに騙したのである。一也は光流を思い切り殴りつける。そのままの勢いで賭けの上がりの計算をしていた忍の下に駆け込み、彼の顔面を殴りつけ、掛金を没収した。

王子さまを探せ!

アイドル歌手の新田美恵子に頼まれ、光流が素人枠としてCMに出演することになる。撮影当日、光流は緊張しながらも撮影は進み無事終了した。撮影の見学に来ていた一也たちは、光流が緊張するという珍しい場面を見られて面白がっていた。

そんな時、忍は撮影カメラマンの助手として働いていた兄・旭(あさひ)を発見した。旭は3年前から家を勘当され音信不通だったのだ。忍は旭の元婚約者である六条倫子に旭の行方を知らせた。

しばらくして光流のCMが放送され、彼に対しお祝いの電話等がたくさん入るようになる。しかし、なぜかそれにビクビクする光流。実は光流は実家である光龍寺の前に生後2週間ほどで捨てられていた子供だった。彼は寺の実子であり正十(まさと)と兄弟として育てられたのだが、二人を分け隔てなく育てた両親は長男の光流を寺の後継者としていた。親戚や檀家がそれを問題視しており、それを気にして光流が家をでてしまうことを彼の弟である正十は懸念していたのだ。

光流が中2の時、光流の写真が雑誌に掲載されることになった時も、雑誌を見た光流の本当の親が名乗り出てくるかもしれないとして、成十が激しく反対した。その結果、雑誌掲載の話は流れてしまった。だから、今回のCMでも正十が怒るのではないかと光流は心配していたのだ。

忍から旭の居場所を教えられた倫子は旭を訪ね撮影所を訪れていた。旭が何も言わず失踪した後もずっと待っていた倫子だったが、旭の煮えきれない態度に怒りを覚え、「さよなら」と告げる。そして忍や旭には何も言わずに転居し、行方知れずとなった。

あーらしをーおーこして

totsuki-natsukib3
totsuki-natsukib3
@totsuki-natsukib3

目次 - Contents