87CLOCKERS(エイティセブン・クロッカーズ)のネタバレ解説・考察まとめ
『87CLOCKERS』とは、とは二ノ宮知子による日本の漫画作品。集英社「ジャンプ改」の創刊号2011年6月から2014年11月号まで掲載された。「ジャンプ改」休刊後は「週刊ヤングジャンプ」にて連載された。
音大生・奏は、一目惚れした美女・ハナと接点を持つため、パソコン界のF1競技、オーバークロックの世界に飛び込んだ。その世界の個性豊かな人々との出会いで成長する物語。
FPS値(フレームパーセカンド=フレーム毎秒)
一秒間に表示できる画像の枚数のこと。60fpsあれば滑らかな映像が再現できるとされ、15fpsに満たない場合はカクカクと動く映像になる。
OS (オペレーティングシステム)
コンピュータ全体を管理する基本ソフトウェア。ハードウェア(PC本体)とゲームなどのアプリケーションプログラムを繋ぐ橋渡し的な存在で、多くのプログラムはOS上で動作する。OSがインストールされていないPCはただの箱。
ラジエーター
水冷PCにおいて、熱源であるCPUやビデオカードから送られてきた冷却水を循環させて冷却する装置。通常は冷却ファンの風を当てて冷却を補助する。
ポット
液体窒素を入れる金属製の筒。一般的にポットと呼ばれているが、CONTAINER、日本では枡と呼ばれることもある。材質には熱伝導と保冷に優れた銅を用いることがほとんどだが、アルミなどの素材を用いたものも存在する。CPUやビデオカードなどの発熱の激しい箇所を冷却する目的で使用するが、その際は熱伝導グリスを挟み強く圧着させておかないと効果が半減する。
ドライバのチューニング(ドライバソフトウェアの微調整)
PCにビデオカードを指した場合、カードが問題なく快適に動作できるように、通常はカード専用のドライバソフトが自動で最適な設定をしてくれるが、ベンチマークのスコアがより高くなるように手動で切り替え細かくドライバソフトの設定を変更していくこと。使用するベンチマークソフトによって最適な数値はそれぞれ違ってくるので、ドライバのチューニング一つで大きくスコアが変わってしまうこともある。
BIOS
マザーボードを制御するためのプログラムで、基板に搭載されているROMチップに内蔵されている。BIOSのバージョンプログラムは定期的に更新されており、マザーボードメーカーのWEBサイトから誰でも容易に入手できる。その為、BIOSの色々なバージョンが存在し、BIOSのバージョンが変わればPCの性格が大きく変化してしまうことも珍しくない。例えば、PCの速度は落ちてしまうが安定性を重視したバージョンや、速度は上がるが安定性を犠牲にしているバージョンなど、その特性は様々なので、オーバークロックの競技において、BIOSは非常に重要な要素と言える。
『87CLOCKERS』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
奏がハナにミケと別れて自分と組んで欲しいというシーン
アパートの前に裸足で佇んでいた美女・ハナに一目惚れした奏は、ハナと接点を持つためにオーバークロックを始めることにした。ハナがサポートしている相手は、世界でトップを走るオーバークロッカーのミケ。ミケをトップ居させるためには自分の支えがなくてはいけないとハナは言う。しかし、ミケのハナに対するひどい態度に憤慨し、ハナにミケと別れた方がいいと奏は言うが、ハナは聞く耳を持たない。ミケは一番でなければいけないと言うハナに、自分が一番になったら、ミケと別れて自分と組んで欲しいと奏は頼んだ。
人と争うことが苦手で闘争心というものがなく、家族や友人たちからも草食系というよりもはや植物とまで言われていた後ろ向きだった奏が、一目惚れしたハナを得るために人と争う決心をしたシーン。
引用:87CLOCKERS 1巻
上海の大会で、マシンから温度計のコードが抜けても諦めずに競技を続けるシーン
上海で行われるオーバークロックの世界大会に奏は出場したのだが、牧場主・丸田の代わりにパートナーになった庄野は3Dはできないと言い、協力をしてくれない。言葉を尽くしても動いてくれない庄野に奏は間違ったふりをして液体窒素をひっかけるという暴挙に出た。しかしそれにより、そこまでして勝ちたいという奏の気持ちを汲み取った庄野が動き、奏の日本チームもタイムを伸ばしてきた。デンマークチームがワールドレコードを出し、残り30分となった時、どのチームも心が折られ諦めはじめてきたが、カナでの集中力は高く、最後まで食らいつく。残り時間が少ない中、液体窒素を補充しようとした奏の手が当たり、冷却用のポットから温度計が抜けてしまった。この温度コントロールがうまくいかないと、良いタイムを出すことはできない。温度がわからなくなってはもはや競技は続けられないと誰もが思ったが、奏は音楽で鍛えた研ぎ澄まされた聴覚を駆使し、ポットの収縮の音で温度を判断するという音大生ならではの離れ技をやろうとしていた。
会場にいた誰もがその試みは無謀と感じたが、諦めずに食らいつく奏に会場中が協力し、奏が音を聞き分けやすいように息を殺して見守った。会場の協力と奏の集中力で、シビアな温度コントロールは上手くいき、奏は最高スコアを出すことに成功した。
奏の最後まで諦めない闘志に、誰に言われるでもなく会場中が協力し、ワールドレコードを出した名シーン。
引用:87CLOCKERS 7巻
ミケがハナへの気持ちをのぞかせたシーン
火切俊充という協力者を得たため、ハナのサポートは要らないとハナを切り捨てたミケ。ハナはミケに捨てられたため奏にミケを破るタイムを出してもらおうと奏にオーバークロックを教え込んでいた。ハナが奏とともにパーツを探していたことが秋葉原で噂になり、ミケが懇意にしている技術者たちはミケを心配していた。早くハナを呼び戻せと忠告した技術者に、ミケは自分の心情を話した。「あいつはまだ何にだってなれるんだ。金持ちの男どもに好かれて将来は選びたい放題、あいつはもうオーバークロックなんて関わらないほうがいいんだ。俺に乗っかる必要なんて全然ない」
ミケは、パイナップル工場でハナを働かせ、食事の世話からパーツのデータ取り、機材のメンテナンスなど全てをハナに任せていたが、いい教育を受け、いい大学に通い、高スペックな男達に好かれているハナには、自分ではなく他の男を選んだほうが幸せになれるとあえて突き放したミケの本心が溢れたシーン。
引用:87CLOCKERS 8巻
俊充が、大好きだったハナの間違いを正すシーン
火切俊充は小学生の時からハナが好きで、何を言われても何度ハナに振られようともハナに好かれようと努力をし続けてきた。高校卒業を機にアメリカに渡り、大学在学中にアプリ会社を起業し、もう親のすねかじりではないと自信を持ってハナに会いに帰国した。普通に勉強して大学に通っていると思っていたハナはオーバークロックのトッププレイヤーミケのサポートをしていることを知った俊充は、オーバークロックに興味を持ち、奏が出場した大会を見学した。その時、メーカー所属のオーバークロッカーがミケの持つ世界記録を破り、観戦していた観客も既にミケの時代ではない、と話しているのを聞き、同じ日本人として悔しい気持ちを持った俊充はミケに協力を申し出た。
ミケのサポートをするようになり、ミケの部屋の片付けをしていた時、ハナが書いた大量のノートを発見した。各パーツのデータを細かく書き記してあるそのノートは、ミケの役に立ちたいというハナの気持ちがよくわかるものだった。
しかし、ミケに突き放されたハナは、俊充との結婚を拒否するため、奏の子を妊娠していると父親に嘘をつき、本当に奏と付き合い始めてしまった。ミケの家に残された大量のノートでハナの強い気持ちを知った俊充は、奏と付き合い始めたハナに「がっかりした」と告げた。自分が選ばれなかったからではなく、自分の気持ちに嘘をついて奏と付き合い始めたハナを俊充は非難した。
何を言われても嫌いになれなかったハナに対して、はじめて俊充が意見したシーン。ハナの幸せを願う俊充の思いが伝わる名シーン。
引用:87CLOCKERS 9巻
ミケのピンチに奏がハナを送り出すシーン
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目次 - Contents
- 『87CLOCKERS』の概要
- 『87CLOCKERS』のあらすじ・ストーリー
- オーバークロックとの出会い
- ジュリアとの出会い
- ミケの力
- ハナの事情
- 上海大会
- サポート役解任
- 『87CLOCKERS』の登場人物・キャラクター
- 一ノ瀬 奏(いちのせ かなで)
- 中村 ハナ(なかむら はな)
- ミケ
- 火切 俊充(ひきり としみつ)
- 鈴木 珠理亜(すずき じゅりあ)
- 『87CLOCKERS』の用語解説
- オーバークロック
- CPU(Central Processing Unit)中央演算装置
- マザーボード
- 2D (2Dベンチマーク)
- ファン
- 3D (3Dベンチマーク)
- FPSゲーム
- ビデオカード
- FPS値(フレームパーセカンド=フレーム毎秒)
- OS (オペレーティングシステム)
- ラジエーター
- ポット
- ドライバのチューニング(ドライバソフトウェアの微調整)
- BIOS
- 『87CLOCKERS』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 奏がハナにミケと別れて自分と組んで欲しいというシーン
- 上海の大会で、マシンから温度計のコードが抜けても諦めずに競技を続けるシーン
- ミケがハナへの気持ちをのぞかせたシーン
- 俊充が、大好きだったハナの間違いを正すシーン
- ミケのピンチに奏がハナを送り出すシーン