家栽の人(漫画・ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ
『家栽の人』は1988年~1996年に『ビッグコミックオリジナル』で連載された毛利甚八作・魚戸おさむ画の裁判を扱った人情物青年漫画、及び本作を原作としたテレビドラマである。家庭裁判所の裁判官桑田義雄が裁判を進めていく中で裁判に関わる人々の心情を書いた人情系漫画。多くの悩みや問題を抱えて裁判所にやってくる人々を桑田が裁判を通じて救っていく。また、桑田に様々な感情を持ちながら桑田と関わっていく裁判所の個性的な職員たちも魅力的だ。
栄中学校に通う二年生の生徒だが、改造制服を着ていることを理由に校門で追い返されていた。恐喝をしたことと、学校の格技場への放火を疑われて、教師たちに麻袋に入れられて縛られて沼に沈められるという体罰を受ける。その後学校に行かずシンナーを吸っていた時に守と出会い、大人がいないと沼で泳ぐことを許されていないので一緒に来てほしいと頼まれる。二人で沼にいたところに川上もやってきて、桑田も加わり沼で多くの時間を過ごすようになる。一方町では被告側の弁護士である英と出会い、英に不良でいることがお前の真の姿だと言われ、迷うことになる。実は学校が認識している以上の不良であり、何度も恐喝を行っている。兄は学校を卒業するまで町では有名な不良だったという。事件終盤で勝俣に重傷を負わせたことで少年院に入ることになるが、そのころには気持ちの整理がついており、面会に来た母に「先生達を許してやりなよ」と話した。少年院から出た後は保護司の元で真面目に働いている。
町田(まちだ)
栄中学校の二年生で寺尾の友人。寺尾と一緒に恐喝を行い沼に沈められる体罰を受けるが、親は妹が中学校に上がった時に教師にいじめられることを心配して逆に教師に謝っていた。事件の後は学校に通っているが、タバコを持っていることを発見され足立に殴られる。その後、寺尾に誘われて沼の小屋作りに参加した。
川上明(かわかみあきら)
栄中学校の二年生。成績優秀で家庭教師も太鼓判を押す程。テストの予習を忘れた日に柔道の授業を病欠して保健室で勉強していたところを足立に見つかり、足立に目を付けられて本気で技を掛けられるようになって以来、柔道のある日は腹痛が起こって病欠している。アクアリウムが趣味で沼に水草採集に来た際に守と寺尾に出会い、自身も沼に通うようになる。実は格技場に放火した犯人であり現場を勝俣に見られたことから脅迫を受けていた。自分を助けてくれた寺尾を助けるために、法廷で放火の事実を告白する。その後祖父のいる東京に引っ越すことになる。
横内篤(よこうちあつし)
不登校の生徒。家が農家で、沼の小屋を作る際に守たちに誘われて協力する。
栄中学校教師
緒方(おがた)
栄中学校の教師で、寺尾、町田、川上、横内の担任。生徒達を信じており放火が疑われた寺尾、町田を更生させようと自宅で焼き肉を食べされたりするが、その日の夜に二人が恐喝をしたことに怒り、体罰へ参加してしまう。そのことを非常に後悔し、裁判で学校に不利な証言をしたため学校でも居場所がなくなってしまい沼で自殺を図るが、守達に助けられる。その後川上の代わりに足立にの柔道の補習に出て、足立の暴力を楽しむ態度に学校を変えて見せると決意する。
足立(あだち)
栄中学校体育教師。柔道五段で国体で三位になったこともある。風紀を乱すものには容赦なく体罰を行い、寺尾と町田を沼に沈める体罰を弦巻と共に主導した。事件後も反省する様子が無く、裁判に打って出た寺尾の母に怒りを露わにしている。柔道の授業では強い生徒には本気で技を掛ける他、川上のように気に入らない生徒にも本気で技を掛けており、そのことを緒方に糾弾される。最終回で二年後に寺尾と再会した際にはバイク事故で足を怪我して松葉杖を使っており、一転人が変わったように穏やかな性格になっていて、寺尾と和解する。
弦巻(つるまき)
栄中学校の教師。足立と共に生活指導を担当しており、毎朝校門で服装点検をして目を付けた生徒だけを追い返している。緒方や足立と共に沼の体罰に参加。事件後も反省する様子はなかった。寺尾に大声を出されてビクつく等本来は気弱な性格で、荒れていく学校を放っては置けないと体罰をするようになった。娘がいるが、弦巻の鬼教師との評判から嫌われている。裁判の後は他校に転勤し、強面の教師を演じているようだ。
関良治(せきりょうじ)
栄中学校の校長。三か月前に赴任してきたばかりである。教師が体罰を行ったことを知り、教育の難しい現状と問題をひた隠しにしてしまう教育委員会を憂いて、新聞社に体罰事件のことを伝えて問題を大きくした。それ以降体罰賛成の校長を演じて事件が和解にならずに裁判となるようにして、裁判の終盤でそのことを告白した。これが裁判の決定打となり、原告の勝訴となる。
高原地方裁判所職員
薬師寺新伍(やくしじしんご)
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目次 - Contents
- 『家栽の人』の概要
- 『家栽の人』のあらすじ・ストーリー
- 緑山家庭裁判所編
- 単行本1巻「タンポポ」
- 単行本2巻「スミレ」
- 単行本3巻「ユリ」
- 岩崎地家裁春河支部編
- 単行本4巻「コスモス」
- 単行本5巻「ナノハナ」
- 単行本6巻「ヒマワリ」
- 単行本7巻「サザンカ」
- 単行本8巻「モモ」
- 単行本9巻「サルスベリ」
- 単行本10巻「ゴデチア」
- 単行本11巻「モクレン」
- 単行本12巻「カサブランカ」
- 高原地方裁判所編
- 単行本13巻「ウツギ」
- 単行本14巻「グミ」
- 単行本15巻「オランダナデシコ」
- テレビドラマ版『家栽の人』
- 『家栽の人』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 桑田義雄(くわたよしお/演:片岡鶴太郎・時任三郎・船越英一郎)
- 緑山家庭裁判所職員
- 山本博(やまもとひろし)
- 篠原繁蔵(しのはらしげぞう)
- 伊藤りさ(いとうりさ)
- 兼松所長(かねまつしょちょう)
- 浜口所長(はまぐちしょちょう)
- 桐島宏美(きりしまひろみ)
- 緑山警察署
- 細川右近(ほそかわうこん)
- 岩崎地家裁春河支部職員
- 鳥海和友(とりうみかずとも/演:斉藤洋介)
- 倉本哲(くらもとあきら)
- 戸井隆三(どいりゅうぞう)
- 高崎又二(たかさきまたじ/演:山谷初男)
- 渋谷直正(しぶやなおまさ/演:柄本明)
- 大滝信(おおたきまこと/演:風間トオル)
- 今西恭子(いまにしきょうこ/演:仙道敦子)
- 丸山功(まるやまいさむ)
- 目黒留吉(めぐろとめきち)
- 久保一騎(くぼかずき)
- 石嶺渉(いしみねわたる)
- 岩崎地方検察庁春河支部
- 東山整史郎(ひがしやませいしろう)
- 徳川政治(とくがわまさはる)
- 弁護士
- 三越三郎(みつこしさぶろう)
- 谷川悟(たにがわさとる)
- 吉良松之介(きらまつのすけ)
- 英憲太郎(はなぶさけんたろう)
- 栄中学校生徒
- 寺尾保(てらおやすし)
- 町田(まちだ)
- 川上明(かわかみあきら)
- 横内篤(よこうちあつし)
- 栄中学校教師
- 緒方(おがた)
- 足立(あだち)
- 弦巻(つるまき)
- 関良治(せきりょうじ)
- 高原地方裁判所職員
- 薬師寺新伍(やくしじしんご)
- 佐伯祐介(さえきゆうすけ)
- その他の人物
- 松門吉徳(まつかどよしのり)
- オバケ屋敷の森に住む学者
- 石嶺セーラ(いしみねせーら)
- 桑田守(くわたまもる)
- 須藤(すどう)
- 寺尾の母(てらおのはは)
- 勝俣(かつまた)
- 『家栽の人』の用語
- 緑山家庭裁判所
- 岩崎地家裁春河支部
- オバケ屋敷の森
- 高原地方裁判所
- 高原市立栄中学校
- 『家栽の人』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 桑田「どんなに長い処分を与えても、少年は社会に戻って来るんです。誰かの隣に住むんですよ。その時……その少年が笑って暮らしている可能性を探すのが裁判官の仕事じゃないんですか」
- 桑田「町が育てなければ誰が少年達を育てるんですか?」
- 桑田「あなたの子供が今、ここに立っていることが、あなたの教育の結果ですよ。これをどう償うつもりですか?彼を、これからどう育てるか答えて下さい」
- 桑田「私達がこうして集まっているのは、その10歳の子を育てるためですよ。たとえ10歳でも自分自身の世界を持っているんじゃないでしょうか?」
- 桑田「私たちが少年に対してできることは、小さなことです。だけど小ささを恥じて、それをしまい込む人が多すぎるんです」
- 渋谷調査官が母親を息子に会わせるために背負って運ぶシーン
- 仕事中に暴行を受けた少女が帰り道に傷ついた男の子と出会うシーン
- 桑田「あなたは知らないだけですよ。その恐ろしい輪の中から抜け出した時に…人がどんな顔で笑うかを」
- 『家栽の人』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 福岡家庭裁判所のマンホールに「家栽」の文字
- 植物「以外」のタイトル2つ
- 異色回「ホオズキ」
- 原作者・毛利甚八の遺作『「家栽の人」から君への遺言 佐世保高一同級生殺害事件と少年法』
- 『家栽の人』の主題歌・挿入歌
- TBS版ドラマ主題歌:大貫妙子「春の手紙」