チックタック:二人のための物語(Tick Tock: A Tale for Two)のネタバレ解説・考察まとめ

『チックタック:二人のための物語(Tick Tock: A Tale for Two)』とは、デンマークのインディーズスタジオOther Tales Interactiveが開発した、2人用の協力型脱出パズルアドベンチャーゲームである。主人公であるプレイヤー2人は、天才時計職人アマリー・ラブンが作った時計仕掛けの世界に吸い込まれてしまう。不思議で奇妙な世界から脱出するため、そしてアマリーの妹であるレアケ・ラブンの行方不明事件の真実を見つけるため、世界をくまなく探索して謎を解き明かしていく。

『チックタック:二人のための物語』の概要

『チックタック:二人のための物語(Tick Tock: A Tale for Two)』とは、協力型脱出パズルアドベンチャーゲームである。
開発はデンマークのインディーズスタジオOther Tales Interactive、2019年3月7日から海外で発売され、2019年12月7日から日本向けにリリースされた。
対応しているハードとしてNintendo Switch、Steam、App Store、Google Playで展開されている。
ゲームをプレイするには2人のプレイヤーとそれぞれ2つのデバイスが必要だが、プレイ時にインターネット接続は必ずしも必要なく、ゲーム自体はオフラインで楽しむことができる。
CERO規程はA、対応言語は日本語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、韓国語、ポルトガル語、中国語(簡体字)、中国語 (繁体字)と幅広い。
平均プレイタイムは2.5時間と短く、簡単操作でやりがいのあるパズルが充実しており、ゲーム初心者でも気軽にプレイできる。
Steamのレビューでは非常に好評が6,000件以上もついている人気ゲームである。

『チックタック:二人のための物語(Tick Tock: A Tale for Two)』は、プレイヤー2人が協力して謎解きして進めていく2人用の協力型脱出パズルアドベンチャーゲームである。
プレイヤー2人がお互いの画面に映し出されるヒントをもとに知恵を出し合い、会話を交わして謎を解いていくのだ。
本作ではプレイヤー2人の協力が必要不可欠なのである。
お互いの画面上には異なるヒントとなる情報が映し出されるため、相手に伝えてばらばらに散らばっている情報を1つに組み合わせることで謎を解き明かすことができる。
またクロスプラットフォームが採用されているため、2つのデバイスと音声通話環境があればどこでも遊ぶことができる。
対面で顔をつき合わせながらプレイしても良し、離れた場所にいてもインターネットに繋げて電話やオンラインチャットなどで会話しながら楽しむことができる。
ゲームを楽しむために特別なスキルは必要なく、必要なのはこの世界から脱出するための謎解きに協力してくれるパートナーだけだ。
誰でも直感的に遊べる内容のため、友だち、家族、恋人を誘って気軽に謎解きアドベンチャーをわいわい楽しめる。

本作の舞台は時計仕掛けの奇妙な村である。
主人公たち(プレイヤー2人)は時計職人アマリー・ラブンという人物から送られた時計を受け取ったことで、彼女が作った世界に吸い込まれてしまう。
アマリーは行方不明になった彼女の妹であるレアケ・ラブンの行方を探してほしいという。
プレイヤーたちは迷い込んだ過去の奇妙な村で、レアケの行方不明事件の真相と自分達の脱出の手がかりを見つけるべく、謎に満ちた世界をくまなく探索していく。
脱出しようと探索する中で、行方不明事件の全貌が少しずつ明らかになっていく。
天才時計技師であるアマリーは、永遠の時間を手にするためとある時計を開発していた。
その時計は時間抽出という方法を使って他者から生きる時間を奪い、自分の生命の時間に加えることができるという。
アマリーが時計を作ったのは自身の妹であるレアケのためだった。
アマリーは自分とレアケが他者から奪った時間を使い永く生きられるようにしたのだ。
しかし完成した時計にヒビが入っていたせいで不具合が起こり、レアケは時計の中に吸い込まれてしまった。
実は主人公たちに送られたのがまさにアマリーが作ったその時計であり、主人公たちはレアケと同じように時計の中に吸い込まれてしまったのだ。
アマリーは主人公たちにレアケを探させ、さらに主人公たちの時間さえも奪おうとした。
主人公たちは無事に謎解きを終わらせて、時計の中の世界から脱出するため時間を進めていく。

本作は北欧の童話世界を思わせるナラティブな世界観が魅力である。
優しい手書きのようなイラストで穏やかなモノクロの世界が、深みのあるストーリーをより雰囲気のあるものにしている。
静かでどこか心地よく、しかし少し不気味な世界での探索はよりゲームプレイが楽しくなる要素となっている。

『チックタック:二人のための物語』のあらすじ・ストーリー

はじまり 2000年

主人公たち宛に不思議な荷物が届く

主人公と主人公の友人(プレイヤーたち)は不思議な荷物を受け取った。
荷物の差出人の名前はアマリー・ラブン、受け取った箱には金色に鈍く光る古い時計と一通の手紙が入っていた。
手紙にはアマリーから主人公たちに宛ててこう記されていた。
「親愛なるプレイヤー1へ。この時計はゲームの一部であり私が妹のために作ったものです。友達とともにプレイし、読んだり見たりしたことをお互いに教えあって謎を解き進めていってください。私の妹を見つけたら、私が会いたがっていると伝えて下さい」
「親愛なるプレイヤー2へ。あなたとあなたの友人に、時計を1つずつ送りました。これからゲームをプレイするのであれば、友人と一緒に過去を探ってください。時計のネジを巻くのをお忘れなく」
この手紙が入っていた封筒には新聞の切り抜きが同封されており、そこには彼女の妹であるレアケ・ラブンが行方不明になったという記事が載っていた。
どうやら手紙の差出人アマリー・ラブンの妹、レアケが行方不明になったのは本当らしい。
次に主人公たちは金色の時計を調べてみる。
時計の蓋を開けてみると表面のガラスにはヒビが入っている。
主人公たちが時計に触れていると急に時計の針が勢いよく逆回りに回り出し、主人公たちは時計に吸い込まれてしまった。

第一章 1927年

ラブン時計屋の店内ラジオで、村で起こっている行方不明事件のニュースを耳にする

暗い背景に白く、アマリーの独白が浮かび上がる。
「これは、私とレアケがかつて生きていた世界の複製を、私が作ったものです。レアケは1937年に失踪しましたが、全てが始まったのはその10年前でした」

主人公たちが目を覚ますと、そこは1927年のとある奇妙な村だった。
1927年の村の様子はひどく静かで、駅、一軒の家、井戸、ラブン時計屋のみがひっそり佇み、静かで閑散とした雰囲気だ。

主人公たちが村を探索すると、ラブン時計屋の店内のラジオからとあるニュースを耳にする。
「先月警察はペットたちが行方不明になっているという複数の報告を受け始めました。そのほとんどは、年寄りの猫や犬だそうです。すべてのペットたちがすぐに見つかりますように」
「ラブン家の長女アマリーは素晴らしい時計職人であり発明家でもあります。彼女の痕跡はいつも、彼女の作品のひとつひとつに散らばっています」
「ラブン家は先月ここに引っ越しをし、昼夜も問わず必死に働いていました。そして本日18日に、彼らの時計屋をオープンする予定のようです」
「また夜の間にペットが盗まれる事件がありました。今回はジェンソン夫人の心優しい農場犬だそうです。犯人が見つかるまでは家の施錠をしっかりするよう用心してください!」
「奇妙な出来事が起こりこの村がショックに陥っています。命を落とした鳥の群れが見つかり、その群れは森の地面いっぱいに広がっていた模様です」
「珍しい白色のカラスはラブン家の末娘に懐いているようです。このカラスが他のペットのように行方不明にならないよう祈るばかりです」
先月から村のペットたちが行方不明になったり森の鳥が不思議な死を遂げたりと、多くの動物が姿を消しているようだ。
またこの先月からラブン家がラブン時計屋をオープンしたという。
時計屋のオープンと動物たちの失踪とはなにか関係があるのだろうか。

さらに村を探索すると、駅に列車が到着し主人公たちを次の時代へと運んでいく。

第二章 1932年

時計が動き出し白いカラスが吸い込まれてしまう

また暗い背景に白く、アマリーの独白が浮かび上がる。
「実験のための動物を見つけるのが困難になってきたけど、簡単に手に入る動物がまだ一匹だけいるわ。私はレアケために時計を作っていると伝えたけど、レアケは興味がなさそうだった。あのバカな鳥と遊ぶのに夢中だったから」

主人公たちは先程から5年後の1932年に移っていた。
5年後の村は草臥れており、駅や家の外壁には植物が這っている有様だ。
村には駅、一軒の家、ラブン時計屋、そして郵便局が新設されていた。

主人公たちはまた村をくまなく捜索する。
すると一軒の家でレアケからアマリーに宛てた手紙を入手する。
「アマリー、これが時計屋への鍵よ。仕事が終わったら、私のカラスを探すのを手伝ってくれない?〜レアケ」
レアケは仲の良い白いカラスを見失ってしまったようだ。
手紙には時計屋のタグがついた鍵も同封されていた。
主人公たちはこの鍵を使い、閉店後のラブン時計屋に忍び込むことにした。

主人公たちがラブン時計屋に入ると、まず部屋の壁に飾られた額縁に入った手紙が目に入る。
「親愛なるアマリーへ。あなたが私の見習いとして選ばれたことをお知らせできること、とても光栄に思います。あなたの時間抽出の実験は、実に画期的ものです。我々の人生のスパンが短くそれが不公平だと言う意見には賛成です。我々のように世界を改善し、向上させていく者たちにとっては特にです。スイスであなたの実験の手助けができることを、とても楽しみにしています。腕時計職人マスター クラリッサ・シャー」と記されていた。
アマリーは時間抽出という実験を行っており、主人公たちはアマリーはただの時計技師ではないと気づく。
次にアマリーの作業机をみると、机の上にはレアケが探している白いカラス、本、作りかけのである金色の時計がある。
どうやらアマリーがカラスを使って実験をしていたようだ。
本を開き中をのぞいてみると、時間の抽出できる自動装置の作成など聞きなれない単語が並んでいる。
主人公たちは試しにこの本の内容通りに改造途中であろう時計を組み立てていく。
時計を完成させると急に針が回り始め、机の上にいた白いカラスが時計の中に吸い込まれてしまった。
アマリーが行っていた実験通りに主人公たちは時計を動かしてしまったのだ。
そしてこれまでの動物たちの失踪事件はアマリーの仕業だったことに気づく。

さらに村を探索していると、また駅に列車が到着し主人公たちを次の時代へと運んでいく。

第三章 1937年

時計台の門が開き、主人公たちを中へ誘う。

また暗い背景に白く、アマリーの独白が浮かび上がる。
「レアケが時計の中に入った人たちを傷つけたくないのは分かっていたわ。だから彼らを出してあげることにした。動物から時間を抽出する事は思ったよりも簡単だったわ。あとは人間で同じことをやる必要があるわね」

主人公たちはさらに5年後の1937年に移っていた。
村は5年前とは打って変わり栄えており、村のいたる所が明るく電球に照らされている。
村には駅、一軒の家、ラブン時計屋、郵便局、そして時計台が新設されていた。

一軒の家には真新しい電話が設置されていた。
主人公たちがダイヤルが押すと、アマリーがレアケにあてたメッセージを聞くことができた。
メッセージはこうだ。
「ハロー、レアケ、やっと電話をとってくれて嬉しいわ。ずっとメッセージをたくさん残していたのよ!待って!あなたがまだ怒っている事は知ってるわ、でもまだ切らないで。知らせたいことがあるの。私が出る前に、あなたが退屈しないよう相手になってくれるモノを作っておいたの。もっと早く伝えておけば良かったんだけど…まぁいいわ。ねぇ、まだそこにいる?行方不明になったカラスがいるじゃない、あなたがkolと言う名前をつけたあのカラス。あなたに新しいの作ってあげたの。上の階にあるから。それに、新しいのはもっと良くなってるわよ、これは不死身なの」
どうやらレアケは白いカラスや動物たちを使った実験をしていたアマリーに対し怒っているようだ。
しかしそんなレアケのためにアマリーは新しいカラスを用意したという。
主人公たちが上の階に行くと、鳥籠に入った機械仕掛けのカラスがおり、カラスの目はチカチカと不規則に点滅している。
確かに機械仕掛けの鳥ならば死なず不死身だろうが、あの白いカラスの代用として成り立つのだろうか。
主人公たちはアマリーは完璧な命に固執していることに気づく。

次に主人公たちはラブン時計屋に向かい、店内ラジオで最新のニュースを聞いた。
「ヒルバエクの介護ホームから3人の患者が夜中に突然いなくなりました」
「才能豊かなアマリー・ラブンがスイスから戻ってきました。彼女はラブン時計を再オープンして栄光を取り戻そうと心に誓っています」
「警察は昨夜の事件当時にこの介護ホーム付近にいた人を探しています。行方不明になった患者を探すため助けを求めています」
「介護ホームのこの悲しい事件が村の古傷を再び開いてしまいました。私たちはこれらの行方不明事件が5年前の事件のように未解決のままにならないよう祈ります」
「突然のことでしたが新しい時計台に寛大な寄付をしたクラリッサ・シャーは先月亡くなりました。来週のオープンセレモニーで彼女の追悼を行います」
アマリーがこの村に戻ってきたとたん、介護ホームから3人の患者が行方不明になったようだ。
主人公たちはアマリーはついに実験対象を人間に移したのだと気づく。
先月のクラリッサ・シャーの死が彼女に実験の熱意を加速させたのか、はたまたクラリッサ・シャーの死も彼女の仕業なのか。

主人公たちはすべての手がかりを持ち、時計台の前へやってきた。
時計台は大きくて頑丈そうな門で閉ざされている。
これまでに探した手がかりをもとに仕掛けを解除すると、大きな門がひとりでに開き主人公たちを中へ誘った。

エンディング

時計盤が淡く光り、アマリーのメッセージが浮かび上がる。

主人公たちは大きな時計台の中へ入る。
時計台は大きいが中身は何もなく、建物の中はガランとし汚く寂れている。
主人公たちは梯子を伝い最上階へ向かう途中でアマリーの独白を目にし、レアケの行方不明事件の真相を知る。
「スイスでの長年の働きが、この時計の完成を可能にしたわ。レアケの時計をもう一度確認したけど、しっかり動いていたわ。ガラスのヒビが問題になるなんて、全く思ってもみなかったわ。何年もかけて、私たちのために時間を集めていたんだもの。私たちの生命に加える時間はね。でもその代わりに彼女が時計の中に消えてしまって見つからないの」
「私の中のレアケの最後の記憶は、彼女の怪訝そうな顔なの。彼女は最初、この時計を欲しがらなかったの。彼女は、私のプレゼントにはもうウンザリだって。だからとにかく彼女にそれを持っていったの、彼女には私も側にいてもらう必要があったから。彼女には、盗んだ時間の事は言わなかったわ。その時計が私たちを永遠の存在にすると言う事だけは伝えたのだけど。彼女がその時計に触れてから、彼女に会えていないの」
アマリーは時間抽出の時計を完成させ、その時計を使って自分たちの生命に加える時間を集めていた。
しかしレアケはそんな姉に嫌気がさしていたのだ。
アマリーはレアケに自分にそばにいてもらうために時計の秘密は隠してレアケに触れさせたが、ヒビが入った時計はレアケに生命を与えるのではなく、逆に彼女を取り込んでしまった。
アマリーが主人公たちを時計を贈ったのは、レアケが吸い込まれた方法と同じ方法で時計の中に送り、中にいるであろうレアケを探させるつもりだったからなのだ。

建物の中を上っていく途中青い光が灯った瓶が無数に転がっている。
瓶の表面には数字がかかれたラベルが貼られており、主人公たちはきっとこれが他者から奪った時間なのだと気づく。

主人公たちが最上階にたどり着くと、壁いっぱいの大きな時計盤と中央に一際大きな空っぽの瓶が置いてあった。
主人公たちが瓶に触れると、体から青い光が立ち上り瓶の中へ入っていく。
そして瓶の表面のラベルに数字が現れる。
ラベルに書かれた数字は主人公たちがこの世界で過ごした時間だった。
すると壁の大きな時計盤が光り出しアマリーの最後の独白が浮かび上がる。
「出口を見つけたのね。あなたはこの出口のありがたみを感じてくれているといいんだけど」
「ゲームをクリアしたのね。残念、集めた時間が無駄になってしまったのね」
とたんに画面がブラックアウトし、主人公たちはこの世界から脱出できたのだった。

『チックタック:二人のための物語』のゲームシステム

遊び方

プレイヤー選択

プレイヤー選択画面

ゲームプレイ開始時、まずプレイヤー2人でプレイヤー1かプレイヤー2かを選択する。
プレイヤー1と2はゲーム内で表示される情報や画像が異なるが、どちらを選択しても楽しく遊べるシステムになっている。

操作方法

maple12
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