A3!(ゲーム・アニメ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『A3!』(ゲーム・アニメ)とは、スマートフォン向けのイケメン役者育成ゲームアプリ、またゲームアプリを原作としたアニメ作品。キャラクターたちは春組・夏組・秋組・冬組の4つのグループに所属しており、アニメは春組と夏組のストーリー「SEASON SPRING & SUMMER」と秋組・冬組のストーリー「SEASON AUTUMN & WINTER」全24話が放送された。
舞台役者の各キャラクターが物語の中で別の役を演じ、1人のキャラクターの色々な話し方や言い回しを楽しむことができる。

『A3!』の概要

『A3!』(ゲーム・アニメ)とは、スマートフォン向けのイケメン役者育成ゲームアプリであり、ゲームアプリを原作としたアニメ作品。キャラクターたちは春組・夏組・秋組・冬組の4つのグループに所属しており、ゲームのメイン要素となるメインストーリーは主人公であるプレイヤー以外のキャラクターはフルボイスとなっており、画面に触らずにストーリーを進められるオート機能もある。
アニメは春組と夏組のストーリー「SEASON SPRING & SUMMER」と秋組・冬組のストーリー「SEASON AUTUMN & WINTER」全24話が放送された。
ゲームアプリを原作とし、「A3! BLOOMING LIVE」と題した各キャラクターを演じる声優たちによるライブイベントや、2.5次元俳優による舞台「MANKAI STAGE」も行われ、ファンの幅は広がっている。
しかし、アニメ化の際作画崩壊箇所が多くなっており、イケメン役者と設定されているキャラクターの崩れ具合にファンは肩を落とした。

東京郊外にある演劇の街、天鵞絨(びろうど)町にあるビロードウェイ。この通りにはいろいろな劇団の拠点があり、あちこちでストリートACTが行われている。
突然届いた父宛ての手紙を頼りに天鵞絨町にあるMANKAIカンパニーを訪ねた元舞台役者の主人公(プレイヤー)。しかしその劇団は借金まみれでお客はゼロ、劇団員はたったの1名だった。
潰れかけのボロ劇団の主帝兼総監督になり、劇団を立て直す事になった主人公。主人公は劇団寮でイケメン役者と共同生活をしながら春組、夏組、秋組、冬組それぞれの組の劇団員を集め、公演を行い劇団を立て直していく。

『A3!』のあらすじ・ストーリー

SEASON SPRING

第1話「満開の未来へ」

桜並木きれいな河川敷で1人、小説を読みながら芝居をする、演劇が好きな高校生、佐久間咲也。その様子を横目に見ながら、河川敷上の道を歩く咲也と同じ高校の後輩、碓氷真澄。今日は咲也にとって初舞台の日だ。劇場へ急ぐ咲也は天鵞絨(びろうど)町にあるビロードウェイを走っていく。演劇が盛んなビロードウェイではストリートACTが行われており、演劇が好きな咲也は足を止めてストリートACTに見入る。ストリートACTを行っていたのはGOD座の2人だった。ストリートACTが終わった2人に話しかける1人の男性。その男性は寮がある劇団を探しているようだ。男性に声をかけた咲也だったが開演時間が迫っていることに気付き、MANKAIカンパニーの名前を言い残してその場を去った。
ボロボロの劇場前では、以前MANKAIカンパニーの総監督をしていた立花幸夫宛の手紙を持った娘の立花いづみが、劇団に金を貸している古市左京に声をかけられていた。用がないのならさっさと立ち去れと言う左京の背後には、舎弟の迫田が運転するショベルカーが現れた。劇場の看板を取り外しにかかろうとしているところへ、支配人である松川が駆け付けてきた。松川を無視して作業にかかろうとする左京に、これから公演だから待って欲しいと訴える松川。しかし3分後に開演が迫った公演のチケットは1枚も売れていなかった。新人の初舞台だからと泣きつく松川を冷たくあしらう左京。そこへ「客ならここにいる」といづみが声をかけ、劇場では咲也の初舞台が開演した。舞台上にはひどい芝居の咲也とオウム。それでも咲也は楽しそうに演じていた。咲也を見ながらいづみは自分の初舞台だった子供時代の劇を想い出す。
公演が終わるや否や、取り壊しにかかろうとする左京をいづみは止めるが、ここはお遊戯会ではない、プロが金をもらって客を楽しませる場だと話す左京。努力だけで何とかなるものなどないという左京の言葉に、演劇を辞めた時のことを思い出し何も言えなくなってしまういづみ。劇場を出ていこうとする左京を追いかけ、咲也は劇場をつぶさないでほしいと食い下がる。松川も何としても守らなくてはいけないと加わるが、左京はこれまでにも何度もチャンスを与えてきており、改善が見られないため交渉の余地はないと話す。松川は急に姿を消した先任の監督である幸夫が戻ってくるのを待っていたのだ。松川の言葉を聞き、いづみは自分が幸夫の娘であることを伝え手紙を見せた。しかし幸夫は家にも帰っておらず音信不通で、いづみも行方を捜していたと知り、当てがはずれ、がっくりと肩を落とす松川。左京はこの劇場の現状をいづみにも話す。
専用の劇場と団員寮があるため、維持するだけでもかなりのコストがかかっており、その借金は膨れ上がっていたのだ。最盛期には春夏秋冬の4つのユニットが入れ替わりで公演を回し、収益を上げていた。4組そろえてコンスタントに収益を上げていたことで、劇団が成り立っていたのだ。
しかし現状は、昨日入ったド素人の咲也ただ1人。左京が迫田に取り壊しを命じショベルカーが劇場にかかろうとした瞬間、いづみが大声を上げ皆の動きが止まる。「父にもしもの事があったら劇団を頼むと言われていたんだった」と、いづみは棒読みで言葉を放ち、自分がすぐに2人劇団員を連れてくるという。左京はできなければ看板は即取り壊しだと条件を出し日没まで待つと答え、3人は慌てて街へ飛び出す。

劇団員を集めるために街角に立つ咲也と松川。

いづみの言葉が芝居だったことに松川と咲也はがっかりするが、3人は劇団を守るために新しい劇団員を探す。入団試験を行うという題材で松川と咲也がストリートACTを始めると、芝居はうまくないものの注目を集めることに成功。入団試験の課題をだしてほしいという松川によばれいづみも芝居に参加したが、その演技は棒読みでひどく、観客からは「罰ゲーム?」との声が上がるほどだった。
しかし、その演技に足を止めいづみを見つめている青年が1人。その青年は咲也と同じ学校の後輩の碓氷真澄だった。演劇に興味があるなら試しに入らないかと誘ういづみに、「あんたがいるなら入る」と答える。真澄を勧誘する流れでいづみは主宰兼総監督になった。真澄は女子からの人気が高く、演技も卒なくこなし華がある。ストリートACTを松川といづみが見て褒めていたが、真澄はいづみの評価にしか興味がなかった。
日没が迫り時間切れと諦めかけたころ、咲也は昼間に寮のある劇団を探していた男性が歩いているのを見つける。未経験だが脚本を書いてみたいというその男性、皆木綴を役者兼劇作家として勧誘し慌てて劇場へ戻る。約束通り2人の団員を連れてきた事で今日看板が取り壊されることは免れたが、これで劇団の存続が決まったわけではない。
左京は劇団の借金返済を待つ条件を出す。来月中に新生春組の旗揚げ公演を行い千秋楽を満員にする事、年内に4ユニット分の劇団員を集め公演を成功させる事、1年以内に借金を完済する事。1つでも達成できなければ問答無用で潰すと言う。年内になんていくらなんでも無理だと言いかけるいづみを制し、左京は劇団の借金は1,000万円、条件を出して返済を待つのは最大の譲歩だと告げる。そして最後に、いづみが劇団の総監督になることを条件として出した。いづみが総監督になることを拒否しようとすると、左京は「幸夫と同じように逃げるのか、経営が上手くいかなくなり逃げたと聞いてる」と言う。幸夫を非難するような左京の言葉に「幸夫はそんな人ではない、本当に演劇が好きで」と言い返す松川。しかし左京は、劇団の経営は演劇が好きなだけでは務まらないと現実を教える。
それでも好きだから頑張れる、それでだめならもっと頑張る、舞台が好きだから逃げないと咲也が左京の前に出た。咲也に続いて綴、真澄も歩み出る。3人の姿を見て、いづみは自分が総監督をすると覚悟を決めたのだった。

第2話「ロミオとジュリアス」

兄弟たちが走り回り賑やかな皆木家で携帯電話が鳴る。綴が電話で寮のある劇団が見つかり、入ることになったことを報告すると、電話の向こうの弟は快く綴の夢を応援してくれる。
MANKAI寮に来たいづみ、咲也、真澄、綴は寮での部屋を決めていく。未成年である真澄の親にいづみは連絡をとろうとするが海外にいるため、留守電にメッセージを残した。咲也も許可をとっていなかったことが発覚し家に電話をかけたいづみ。しかし電話に出たのは咲也の苗字とは違う女性だった。咲也は両親をなくしており、親戚の家に居候していたのだった。
連絡を済ませ松川が食事を用意するが、それはとても食べられるものではなく、見かねていづみが料理を作り直し夕食は事なきを得た。
翌日さらに団員を勧誘するため、皆はビロードウェイに出てストリートACTを行う。大根役者ぶりに、見ていたひとりの外国人が興味を示す。留学生で演劇の街である天鵞絨(びろうど)町に興味があったのだという男性、シトロンが入団することになった。夕暮れになりそろそろ引き上げようというところで、皆は不動産屋の前で間取り図を見ているサラリーマンと出会う。家を探しているというサラリーマン、茅ヶ崎至をいづみは勧誘。1人部屋ならと至も入団することになった。
至は引っ越しのため一度家に戻ることにし、他のメンバーは寮へ帰る。旗揚げ公演のための演目を決める話し合いを始めたところで、綴は自分が脚本を書きたいと申し出る。1週間で書き上げるという綴に、稽古に出なくてもいいから必ず1週間で書き上げるようにといづみは任せてみることにした。
至が寮へ引っ越しを済ませ、綴を除いた4人は稽古を始めた。終了予定の時間になると、至は翌日仕事があるからと部屋へ戻っていった。
皆が稽古をしている頃、綴は部屋にこもって脚本を書いていた。食事の時間も部屋から出てこない綴を心配した咲也とシトロンが部屋を覗くと、パソコンの前で突っ伏し眠っていた。咲也とシトロンは上着をかけ、メッセージを残した。目を覚ました綴は2人からのエールを受け取り、気合を入れて制作に戻った。

一週間の期限内に書き上げるために制作に没頭する綴。

約束してから1週間後、部屋に戻った至以外の3人といづみは部屋へ様子を見に行く。そこには書き終えて力尽き床で眠る綴と、脚本のデータが開かれたままのパソコンがあった。綴を寝かせたまま4人は脚本のデータを印刷し、稽古場で内容を確認する。初代春組が演じたロミオとジュリエットを元に、"ロミオとジュリアス"という男性2人の友情ものが書き上げられていた。皆が出来上がりに感動していると、血相を変えて綴が駆け込んできた。この脚本を使うことをいづみが伝えると、綴は安堵した。役は宛書らしく、綴が配役を話し出す。主役のロミオは咲也、ジュリアスを真澄、ロミオの友人マキューシオは綴、ジュリアスの兄貴分であるティボルトが至、ローレンス神父をシトロンが演じることになった。日本語があまり話せないシトロンに合わせ、ローレンス神父はセリフが少な目だ。
先に部屋に戻った至の部屋へいづみは台本を届けにいく。返事がないため部屋を覗くと中から怒鳴り声が響く。そこには昼間とは全く様子の違う至の姿があった。驚いたいづみは台本を至に押し付け、慌てて部屋を出たのだった。

第3話「おやすみシアター」

読み合わせ初日、読んできたか確認するいづみに「届けてくれてありがとう」と至はいつもと変わらぬ態度で答えた。真澄は全部覚えたから必要ないと台本を持っていない。すごいと驚くいづみに、真澄は嬉しそうに微笑んだ。
読み合わせを始めると、真澄は卒なくスラスラとセリフを言う、咲也はつっかえながらセリフを読み、綴も所々引っかかりながら台本を読んでいく。進めていくうちに、咲也との掛け合いの多い真澄が引っかかることが多く進まない事を指摘し読み合わせが中断してしまった。いづみが割って入り再開しようとすると、至がまだ体調が悪いため早退すると席を立ち部屋に戻ってしまう。抜けた至の台詞はいづみが読むことにし、読み合わせを続けた。至は稽古場を出た瞬間にスマホの画面を開き、いじりながら部屋へ戻る。
翌日以降、各々でセリフの自主練を行う団員たち。再度全員で台本の読み合わせを行うが、綴は台本を見ながらもセリフを間違え、真澄が指摘。指摘した流れで、2人は言い合いになってしまう。いづみやシトロンが止めに入り休憩をとるが、稽古は険悪な雰囲気に終わった。
その日の夜、咲也とシトロンが自室で自主練をしていると、真澄と同室の綴が不機嫌そうに枕を抱え、ここで寝させてほしいと訊ねてきた。自主練をしていても口を出してくる真澄にイラついている様子の綴に、咲也は学校での真澄の様子を話す。誰に話しかけられても興味がないと有名な真澄だが、稽古が始まってからは皆に意見するようになっている。両親が海外にいて、家では1人だから人とのかかわり方がわからないだけなのかもしれないと咲也はいう。そして、言っていることはきついが、真澄なりに舞台を成功させたいと考えての行動なのではないだろうか。真澄を見返すために朝練を始めようと決意し、綴は咲也たちの部屋で寝るのをやめ、自室に戻ることにした。3人は至にも朝練の事を伝えるために至るの部屋へ向かう。ノックをしても返事はなく、中からはカタカタという音と至の怒鳴り声がする。ドアを開けると、ゲームに熱くなる至の姿があった。3人は明日の朝練の事を伝えドアを閉める。翌日の朝練には、真澄も至も参加した。
練習を重ねるうちに、セリフを詰まらずに言えるようにはなってきたものの、現状の演劇レベルでは圧倒的に時間が足りないといづみは悩んでいた。初代組が使用していた小道具や衣装を片付けている松川に、初代組の人と連絡をとれないかと声をかける。後日、稽古場で練習していると、初代春組の1人だった加島雄三が顔を出した。通しで稽古を見た後、厳しくも的確な指摘をしていく雄三。稽古場を出た後、雄三はいづみにも叱咤の言葉をかけた。
その日の夜、咲也は布団を持って部屋を出た。雄三に言われた言葉を受け止め、演劇についてもう一度考え直そうと劇場の舞台の上で寝てみるという。他のメンバーも布団を持って咲也と共に劇場の舞台の上で寝てみることにした。

舞台の上で布団を敷いて話をする春組メンバー。

舞台に布団を敷き、布団に入る。雄三の言葉をどう思ったか、咲也は皆に訊ねた。ムカつく、うざい、厳しいなどと反発した感想が上がる。しかし咲也は雄三の厳しさは愛情からくるものだと感じていた。監督であるいづみが、自分たちの演技に満足しておらず、悩んでいる様子だったことから、雄三は自分たちの目を覚まさせようとしたのではないかと咲也は話した。皆も咲也の意見に同意した。芝居への気持ちを再確認し、翌日からの稽古に臨むのだった。

第4話「新たな挑戦」

衣装係を募集していたMANKAIカンパニーに、応募者が来た。女の子のような可愛らしい服を着ているが、男の子だ。春組メンバーそれぞれに変なあだ名をつけ、デザインを書いてくると言い残しその子は部屋から出ていった。続けて先代から手伝っているという大道具の哲郎が松川から紹介される。紹介されても表情を変えず無言なことに疑問を持った綴が松川に訊ねるが、松川は無言の認識はなくしっかり会話が成り立っていた。2人の紹介が終わったところで、至が口を開く。劇団を辞めるという申し出だった。もともと演劇には興味はなく、浮いた家賃と食費をゲームにつぎ込むつもりで入った至。脇役なら何とかなるかもと思っていたが、セリフも多く、他のメンバーが一生懸命稽古をする中で自分が場違いだと感じたのだという。それでも少しやめることへの迷いも感じられた至の言葉に、皆はもう少し一緒に続けようと声をかけ退団は一旦保留になった。
買出しに出たいづみとシトロンは、至の話をしていた。すると急に様子がおかしくなり、いづみの手を引いて走り出し路地裏に隠れた。詳しくは話さなかったが、シトロンは国から逃げてきたのだという。そのため、皆に迷惑が掛かるかもしれないという至の気持ちも分かるのだと話すシトロン。それでもみんなは残ってほしいと言うはず、自分もそうだといづみは言う。至は春組のみんなを仲間だと言ったけど、家族のようになれたらいいと思うとシトロンは答えた。

至を引き留めるために朝から芝居をする春組メンバー。

翌日、仕事に出ようとする至を真澄が引き止めるが、様子がおかしい。離婚なんてしないでと、一家を題材にした芝居が始まった。ひどい設定と急な展開の芝居だったが、至は心を動かされとりあえずロミオとジュリアスが終わるまではやると決めた。
練習を重ねるうちに、セリフや立ち回りも自然に出るようになったころ、稽古を見に来ていた雄三からクライマックスに盛り上がりをつけるために簡単な殺陣を入れることが提案された。他の劇団で演出も手掛けている雄三が自ら咲也と真澄に殺陣をつけ練習が始まる。必死に練習する咲也と真澄。しかし咲也は苦戦していた。皆が練習を終えた後も咲也は1人稽古場で殺陣の練習をしていたがふらついて倒れ、翌日の朝練も休むように、学校もあるのだからと休むようにいづみは命じた。
しかし翌日の朝練に咲也は顔を出した。ふらふらと転倒しかかった咲也を見て、いづみは咲也に負担がかかりすぎているため演出から殺陣を外すと言い放つ。綴、シトロン、至の3人はいづみに賛成したが真澄は盛り上がりがないのに、殺陣をやめるのは納得がいかない、ロミオ役を変えればいいと食い下がる。他の人にロミオ役をと言われ咲也は「ロミオは俺の役だ」と感情を露わにした。いづみは無理な練習をしない事を条件に、殺陣を外す事を保留にした。
夜、中庭のベンチで1人考え込む咲也の元へいづみが声をかけた。いづみは咲也に演劇に興味を持ったきっかけを尋ねた。咲也は小学生の頃に学校で見た演劇で、海賊たちが本物のように見えとても引き込まれたと話し出す。しかし劇の途中で火災警報のベルが鳴り響き、海賊の船長が役のまま子供たちに声をかけ、安全に避難をする事が出来た、まるで海賊の一員になったかのようでとてもドキドキしたのだと。役者が舞台から降りても、物語は続いていた。あの時の役者さんのように、咲也は自分だけの役が欲しかったのだ。ロミオ役が交代になってしまうと怖がる咲也に、いづみは「今のロミオは咲也にしかできない」と伝えると咲也は素直に言葉を受け入れ微笑んだ。
2人の話を通路で聞いていた真澄は、咲也の想いや悩みを初めて知ることになった。

第5話「恋について・春」

咲也の胸の内を知りった真澄は、咲也に合わせながら殺陣の練習を始めた。これまで、冷たい態度だった真澄が殺陣を教えていることに驚きながらも、いづみと春組メンバーは嬉しくなった。咲也に殺陣を教えていることを直接いづみから褒められた真澄は、嬉しさで頬を赤らめた。咲也も真澄が教えてくれることがとても嬉しそうだ。稽古が一息ついたところで、綴がチケットはどうなっているのかと口にした。
告知済みだと得意げに松川が見せた劇団の公式サイトは、非常に古臭いデザインだった。皆が呆れる中、綴は高校時代の先輩でWEBやチラシのデザインができる人がいるから聞いてみると手を挙げる。
劇場での稽古の後、綴の先輩は早速劇場にやってきた。非常にテンションが高いその先輩、三好一成はサイトとフライヤーのデザインを引き受けてくれることに。後日、公式サイトのデザインが一新。スタイリッシュになったサイトに負けないようにと気合を入れて練習に挑む団員たち。真澄は家族の事に触れた台詞をうまく言えずに悩むが、いづみのアドバイスを素直に受け止め練習に励む。そこへ衣装を持って幸と松川が現れた。中学生である幸だが、試着をした皆は衣装を作るレベルの高さに驚く。衣装ができてきた事で、本番が近づいてきた事を実感。しかしチケットは松川と哲郎、雄三、そしてオウムの亀吉が購入した4枚しか売れていなかった。もっとMANKAIカンパニーを知ってもらうため、至は5万人超えのフォロワーをもつゲームのプレイ動画を配信しているSNSのアカウントで宣伝をし、シトロンと共に劇団員のブログを開設することに。綴は顔の広い一成に宣伝について相談をし、いづみたちはフライヤーを配ることにした。幸も宣伝にも協力してくれることになった。
咲也と真澄、いづみの3人は街へ出てフライヤーを配るが、通行人の興味を引くことができないでいた。真澄が咲也にむかってジュリアスの台詞を投げ始めると、通行人たちが足をとめだす。その様子を見て、咲也もロミオの台詞を口にする。突然始まった"男同士のロミジュリ"に通行人の足は止まり、注目をひくことができたが、練習でうまくいかなかったセリフで真澄が詰まって終了してしまった。しかし、フライヤーはほとんど配ることができた。また、一成の紹介でテレビに出演して宣伝することもできた。
とある雨の日、真澄はビロードウェイでうまく言えないセリフについて考えていた。「実感をもってその台詞を言えるようになったら、ぐっとよくなる」とアドバイスをくれたいづみの声を思い出す。悩んで天を仰いだ真澄に声をかけたのは買出しに出ていたいづみだった。真澄はいづみのために演じており、いづみの評価だけが気になる。しかしいづみは、それではだめだ、私に褒められるためではなく自分の成長に繋がる目標を持つようにと言った。戸惑っている真澄に、女子高生2人が声をかけ近づいてきた。女子高生に「邪魔」と言葉を発した真澄に、いづみは制止するように声をかける。女子高生たちがいづみに対して暴言を吐き、突き飛ばしたため真澄は怒り手を振り上げたが真澄の手は、女子高生ではなく止めに入ったいづみの頬を叩いた。

落ち込む真澄の話を聞く春組メンバー。

帰るなり塞ぎ込んで部屋にこもってしまった真澄を心配し、春組メンバーが声をかけると「失恋した」と答える真澄。談話室で詳しく話を聞いたメンバーに背中を押され、いづみに部屋へ叩いたことを謝りに訪れた真澄。いづみは自分のために怒ってくれたのだし、気にしてないと答える。しかし、真澄はいづみの「私に褒められるための演技ではだめだ」という言葉で、何のために演技をすればいいのかわからなくなっていた。真澄はいづみの演技が好きで、いづみと同じように頑張っていたのだ。演技で何も残せていなかったと思っていたいづみは、自分の演技を好きだと言ってくれた真澄にありがとうと感謝を伝えた。その姿に、"好き"が溢れてしまった真澄がいづみに詰め寄ったところで咲也が止めに入ると、真澄は「咲也、邪魔」と抵抗。初めて真澄が咲也を名前で呼んだのだ。咲也はとても嬉しかった。外で様子を窺っていた綴、シトロン、至も漏れてくる声に笑みをこぼした。
団員同士の関係も徐々に近づき、演技の実力も確実に成長している。MANKAIカンパニー新生春組のメンバーは、いよいよ公開ゲネプロの日を迎えた。

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