新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION(第1期)のネタバレ解説・考察まとめ

『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』とはTBS系列『アニメサタデー630』の枠内で全76話放送されたアニメ作品である。鉄道に関する細かな設定が忠実に再現されており、子供向けアニメにも関わらず、大人の鉄道ファンにも人気の高い作品となっている。
鉄道が大好きな主人公・速杉ハヤトはひょんなことから巨大人型変形ロボ「シンカリオン」の運転士の適合者に選ばれる。仲間と共に日本の平和と安全を守る為、謎の巨大怪物体と戦っていく物語である。

『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』の概要

『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』とは、TBS系列『アニメサタデー630』内で2018年1月6日から2019年6月29日まで全76話が放送されたテレビアニメである。
本作はタカラトミーから発売されている、新幹線からロボットに変形するプラレールの玩具シリーズ『新幹線変形ロボ シンカリオン』を基に制作された。玩具シリーズ『新幹線変形ロボ シンカリオン』はジェイアール東日本企画・小学館集英社プロダクション・タカラトミーの3社によってプロジェクトが立ち上がり開発がスタートした。その為、実際に運行されている新幹線がモデルとなっており、幼児向けの玩具であるが鉄道好きの大人にも人気が高い商品となっている。
アニメ自体も実際にある日本の鉄道や駅、地方の名産品や特徴を忠実に再現されており、子供だけでなく一緒に視聴する大人も楽しめる作品に仕上がっている。2018年5月までアニメ『新世紀エヴァンゲリオン』とコラボした500系新幹線「500type-eva」が新大阪と博多を1日1往復するスケジュールで運行されていたことから、アニメ本編でもエヴァンゲリオンとコラボした回(第31話)が放送された。
アニメ本編をベースに『てれびくん』でコミカライズ連載されたり、アーケードゲーム『新幹線変形ロボ シンカリオン カードがもらえる! 超シンカバトル』が稼働される等のメディア展開していた。他にも、実際に東日本新幹線に乗って各駅を回るスタンプラリーや、アニメ本編にも登場する大宮の鉄道博物館でイベントが開催された。

鉄道(特に新幹線)が大好きな小学生・速杉ハヤト(はやすぎ はやと)は父親であるホクトが務める鉄道博物館を訪れる。その地下に迷い込んでしまったハヤトは謎の巨大怪物体と戦う秘密機関「超進化研究所」があることを知る。そこで巨大な新幹線変形ロボ「シンカリオン」と出会い、ハヤトはシンカリオンE5はやぶさの運転士に選ばれる。父親の役に立てるならばとシンカリオン運転士になったハヤトは、同じくシンカリオン運転士として選ばれた仲間達と共に「漆黒の新幹線」が生み出す巨大怪物体と戦い日本の平和と安全を守ることになった。
その戦いはやがて、地上で暮らす人類と地底でひっそりと生き延びていた種族キトラルザスとの、互いに生き延びる為の大きな戦いへと発展していくのだった。

『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』のあらすじ・ストーリー

シンカリオンとの出会い

本作の主人公・速杉ハヤト(はやすぎ はやと)は、新幹線をはじめとする鉄道が大好きな小学5年生。ハヤトは新幹線デビューを果たす為、父・ホクトと共に東京駅から「E2系やまびこ」に乗り宇都宮を目指していた。初めて乗る新幹線に興奮気味のハヤトだったが、ホクトは職場から急な呼び出しを受けて急遽自宅のある大宮駅に引き返すことになってしまう。
大宮駅でホクトと別れたハヤトだったが、ホクトが職場のパスを忘れていったことに気付き、慌てて後を追いかける。ホクトの仕事は大宮にある鉄道博物館の職員だった為、ハヤトは鉄道博物館のスタッフ専用入口から中に入る。地下へと続く階段を降りると、そこには緊迫した室内で忙しそうに何かの対応を行うホクトの姿があった。
実は鉄道博物館の地下には「超進化研究所・大宮支部」というものが極秘に造られていた。正体不明の巨大怪物体と対抗すべく設置されたこの研究所では、大型の新幹線変形ロボット「シンカリオン」が開発されていたのだった。
ホクトは表向きは鉄道博物館の職員だが、実際はこの超進化研究所の指導長であった。この大宮支部の格納庫に捕らえられていた巨大怪物体が突如として動き出した為、ホクトに緊急招集がかかり、指令長・出水シンペイ(いずみ しんぺい)とその対応にあたっていた。ホクトの様子を隠れて見ていたハヤトは、車掌型ロボット・シャショットに見つかり侵入者として警報を鳴らされてしまう。ハヤトは慌ててシャショットを抱きかかえると、ハヤトのシンカリオン「E5はやぶさ」の適合率が96.5%という高い数値であることが判明する。現状を打破することができるのは適合率の高いハヤトだけと分かるが、指令員の三原フタバ(みはら ふたば)は「子供を危険にさらせない」と反対する。しかし、ハヤトは「お父さんの役に立てるのなら」とシンカリオンに乗ることを決意する。ハヤトは初出撃にも関わらず、僅か10秒で敵を撃破してしまい、正式にE5の運転士となる。

ハヤトが運転士になった後、日本全国にいる運転士適合者の勧誘が進められる。ハヤトは各地に赴き、「E6こまち」の運転士・男鹿アキタ(おが あきた)、「E7かがやき」の運転士・大門山ツラヌキ(だいもんやま つらぬき)、「E3つばさ」の運転士・月山シノブ(つきやま しのぶ)を大宮支部の仲間に迎える。敵は次々襲い掛かって来るが、ハヤト達は「リンク合体」という新たな技術を取り入れながら撃破していく。
そんな中、今まで敵とは違い会話や意思疎通を試みようとする巨大怪物体が出現する。その敵はゲンブと名乗り、「地の底より這い上がりし種族のエージェント」だと自己紹介した。ハヤト達が今まで戦ってきた敵は全てゲンブをはじめとするビャッコ、スザク、セイリュウというキトラルザスが創り出しており、シンカリオンの実力を測る為に仕向けたものだった。
ゲンブの強さはこれまでの敵とは比べ物にならない程強く、ハヤト達は苦戦してしまう。しかし、そこへ新たなシンカリオン「N700Aのぞみ」の運転手・清洲リュウジ(きよす りゅうじ)が救援に駆けつけ、なんとかゲンブを撤退させることに成功する。ゲンブはシンカリオンが戦いの中で仲間と協力するのを見て、仲間同士で協力することで大きな力を引き出せることを学ぶ。そして、ゲンブはこの事件以降、仲間と協力して今まで以上に強い巨大怪物体を創り出してシンカリオンに仕向けるのだった。
その後、「H5はやぶさ」の運転士・発音ミク(はつね みく)や「800つばめ」の運転士・大空レイ(おおぞら れい)も仲間になる。また、この頃から敵が出現する際に「黒い粒子」が観測されており、サンプルを採取して研究が進められる様になる。

ブラックシンカリオン

敵の攻撃が激しくなっていることに備えて、大宮支部では運転士達の合同訓練が開始された。訓練が一段落した頃、漆黒の新幹線の出現を確認する。いつも巨大怪物体が出現する前には漆黒の新幹線が現れていたので、今回も巨大怪物体が出現と予測していた。
しかし、漆黒の新幹線は途中で停止すると、「ブラックシンカリオン」へと姿を変えた為、ハヤト達は驚く。ブラックシンカリオンにはセイリュウというキトラルザスの少年が乗っており、単機でハヤト達に襲い掛かる。
激しい攻撃にハヤト達は苦戦するが、突如ブラックシンカリオンの足元から黒い光が現れると「戻れ、セイリュウ」という謎の男の声と共にブラックシンカリオンは消え去ってしまった。キトラルザスの住む地底世界では、「イザ」と呼ばれるエージェント達のリーダーが、「時が来るまでブラックシンカリオンの出撃は待て」とセイリュウの勝手な行いを咎めるのだった。

地上では、子供だけに危険な戦いを強いる訳にもいかないと考えていた超進化研究所が、大人でも乗れるシンカリオンの開発が進めていた。そして京都支部に異動になったホクトはそこで「500こだま」の運転士となり、ハヤト達と共に戦う様になる。また、新たに「クロス合体」という技術を取り入れ、シンカリオンの強化も行える様になった。
そんな時、ブラックシンカリオンが再び姿を現す。ブラックシンカリオンは新たな力として「バーサーカーモード」を取り入れて、ハヤト達を苦しめる。しかし、ハヤト達はブラックシンカリオンを大宮支部の地下試験場に誘導して閉じ込め、総力戦へと持ち込む。京都支部から駆けつけたホクトの協力もあり、E5は500とクロス合体してブラックシンカリオンの猛攻を止めるのだった。
ブラックシンカリオンは大きなダメージを受けるが、それでも戦う意志を見せていた。しかし、イザはセイリュウに「今は引くのだ」と命令し強制的に地底アジトへと送還してしまう。セイリュウは自分の負けを認めながら、「ブラックシンカリオンに勝てて嬉しいか」とハヤトに問う。ハヤトはシンカリオン同士の戦いを望んでいないことを告げると、今度はハヤトがセイリュウにブラックシンカリオンに乗る理由を問う。セイリュウは何も答えないまま地下試験場から姿を消したのだった。
ハヤト達はキトラルザスが戦う理由を探る為、対話の道を模索し始める。しかし、対話を行う為には相手にこちらの強さを見せつける必要があると考え、新たなに「シンカリオントリニティー」というシンカリオンを開発する。シンカリオントリニティーは「N700みずほ」「700のぞみ」「700ひかりレールスター」の3機が合体することで完成する特殊な機体であった。それぞれの運転士として、霧島タカトラ(きりしま たかとら)、五ツ橋ギン(いつつばし ぎん)、五ツ橋ジョウ(いつつばし じょう)の3人が新たなに仲間として加わった。

ブラックシンカリオンとの激闘から1か月以上が経過した頃、超進化研究所ではこれまでのシンカリオンの戦果について会議が行われる。その会議では、10年前に「ファーストエネミー」と呼ばれる敵が初めて人類と接触したことで、シンカリオンの開発が進められたことやエージェントと名乗る敵の考察について話しがされた。
時を同じくして、地底では休息を取っているセイリュウの下にトラメという名の新たなエージェントが訪れる。トラメはセイリュウ達とは別行動を取っていたキトラルザスの1人だった。トラメはカイレン、ソウギョクという2人に付き従っていた強硬派のキトラルザスで、セイリュウ達の戦い方に不満を持っていた。また、10年前にファーストエネミーとして地上に攻撃を仕掛けたのもトラメ達であり、しばらく地球を離れている内にシンカリオンという戦力を得ていた人類に対して再度攻撃を仕掛ける様になる。さらに激化する戦いに備えて、超進化研究所でも新たなシンカリオン「ドクターイエロー」が開発され、その運転士にリュウジが抜擢された。
一方、セイリュウは人間に興味を持ち始め、人間について知りたいと思う様になっていた。そこでスザクはセイリュウを人間の姿に変身させて、人間社会へと送り出す。セイリュウは、地上でハヤトの幼馴染みでシンカリオンについても知っている少女・上田アズサ(うえだ あずさ)と知り合い交流を重ねていく。感情の乏しいキトラルザスにとって、人が何かを好きになって夢中になるという行為は不思議なものであったが、セイリュウは人間社会に触れて少しずつ関心を高めていった。
セイリュウの考えとは裏腹に、仲間のビャッコはシンカリオンとの決着を望み、自らのアジトの入口である鹿児島県桜島の火口へとハヤト達を招き入れる。ビャッコはキトラルザスが生き残る為に戦っていることを明かすと、ハヤトは共存の道を提示する。しかしビャッコは、「全ての人間が異種族との共存を受け入れることはできないだろう」と意見し戦う意志を見せる。それでも武力による抑え込みではなく対話による解決を求めるハヤト達は、ビャッコの持つ剣を折るととどめを刺すのではなく手を差し伸べるのだった。
しかし、ビャッコがその手を取る前にトラメに妨害されてしまいそのまま別れることになってしまう。シンカリオンに敗北したビャッコは地底に戻るとカイレンによって石化させられてしまい、そのまま機能を停止してしまった。

ビャッコの石化後、カイレンとソウギョクは武力による地上制圧に乗り出そうとする。しかし、それを阻止する為にゲンブは単身地上に赴き、自らがシンカリオンと戦うことでシンカリオンや人間の強さを証明しようとする。ゲンブは自分の体を巨大怪物体化させてハヤト達と対峙すると、お互いに全力で戦うことを頼む。ハヤト達はゲンブの頼みを受け入れて戦い、苦戦しながらもゲンブに勝利する。
ゲンブは自ら超進化研究所の保護下に入り、人間社会に触れる機会を得る。ハヤト達が本気でキトラルザスとの対話を望んでいることを知ったゲンブは、仲間であるスザクとセイリュウを地上に呼ぶ決意をする。しかし、それはソウギョクの手により阻止されてしまう。ソウギョクがゲンブを暴走させてハヤト達を襲わせたのだった。
ゲンブは操られていることをハヤト達に伝え、自らの弱点を教えると攻撃して止めることを依頼する。その結果、ゲンブは「セイリュウを頼む」と言い残してハヤト達の前で石化して機能停止してしまう。ハヤト達は自分達を守る為に自ら石化したゲンブの気持ちを知り、号泣するのであった。

セイリュウとの和解

地底では、ソウギョクがスザクとセイリュウにゲンブの石化を知らせる。人間に関心を持ち始めていたセイリュウだったが、大切な仲間を2人も失ったことで人間達に怒りを覚える様になっていく。しかし、ハヤト達がゲンブを一方的に攻撃したとは考えられず、セイリュウは確認する為に地上に上がりハヤトと接触する。ハヤトはゲンブの石化は自分達の責任であることを認め、その背景を説明しようとする。
しかし、セイリュウはハヤトの説明を聴く前にソウギョクの作戦によって地底に呼び戻されてしまう。ソウギョクはセイリュウに人間に恨みを持つ様に仕向けており、ブラックシンカリオンで地上を征服しようと考えていたのだった。
その後、セイリュウはゲンブの仇を取る為にブラックシンカリオンでハヤト達に勝負を挑む。その戦いの中で、ハヤトとセイリュウはお互いの気持ちを吐き出す。ゲンブを石化させた理由を再度尋ねるセイリュウに対し、ハヤトは「セイリュウにわかってもらえる答えは出せない。でもゲンブはシンカリオンが好きな俺達の仲間だ」と答える。セイリュウは自分に初めて生まれたビャッコとゲンブが倒されて悲しいという感情とハヤトの言葉に混乱する。そこにイザから「見たものを信じろ。お前の判断こそが種族の歩む道だ」と声が届く。セイリュウはハヤト達のことを信じることを選択し、ゲンブの石化には説明の難しい事情が絡んでいることを悟り自ら敗北を選ぶ。
戦闘の後、セイリュウはハヤト「俺もシンカリオンが好きだ」と伝えると、ハヤトは嬉しそうに笑うのだった。

セイリュウはハヤト達との一戦以来、地底に戻らず人の観察を続けてみようと決意していた。そこで、面識のあったアズサを通して、ハヤト達がゲンブとどんな会話をして、キトラルザスのことをどう思っているのか探っていた。ハヤト達は異種族であるゲンブとお互いの好きなものを共有し合い親睦を深めたことで、ゲンブのことを仲間だと思っていることを知る。
一方地底では、地上を征服する為にブラックシンカリオンを利用しようと考えていたソウギョクとトラメが、セイリュウが地底に戻らないことに慌てていた。そこで、セイリュウを排除する名目を得る為に敵を地上に送り込む。敵の出現にハヤト達が出現すると、そんなハヤト達を助ける様にセイリュウもブラックシンカリオンに乗って加勢するのだった。
セイリュウが人間側に就いた事実を作り上げたソウギョクは、トラメを差し向けてセイリュウの排除に乗り出す。トラメはセイリュウと接触すると、ゲンブ石化の真実を伝え、全てはソウギョクの策略だったことを知り激怒する。そしてセイリュウはハヤト達を巻き込ませまいとトラメとの一騎打ちに挑むのだった。
そんなセイリュウの意図を感じ取ったハヤト達は「種族は違えど、セイリュウは同じシンカリオン好きの仲間だ」と理由を付けて救援に駆けつける。ハヤト達の協力を得たセイリュウはトラメの撃破に成功すると、そのままハヤト達の仲間として迎え入れられるのだった。

セイリュウが超進化研究所の仲間として正式に迎え入れられた頃、長らく空席となっていたN700Aの運転士として、リュウジの弟・タツミが任命される。新たな戦力も加わり、ハヤト達はキトラルザスとの共存に向けて動き始める。しかし、カイレンやソウギョクは共存の道を否定して相変わらずシンカリオンに戦いを挑んでいた。
戦いの中で、セイリュウはブラックシンカリオンの適合率を次第に上昇させていくと、「ブラックシンカリオン紅」へと姿を変え、より強力になる。そして、仲間を次々に失い寂しさを感じていたスザクを人間の世界に招き入れるのだった。

ある日、シンカリオンの初代開発責任者である八代イサブロウ(やつしろ いさぶろう)とセイリュウ達のリーダーであるイザが同一人物であることが判明する。それを知ったハヤトは出水とホクトを連れて地底へ向かい、カイレン達の妨害を潜り抜けてイザとの対面を果たす。
イザはハヤト達の様な子供に未来を預けることを決意して、密に用意していたE5 MkⅡをハヤトに与えた。ハヤトはイザの意志を継いでE5 MkⅡで地上に戻ると、仲間達と協力してカイレンを倒すことに成功する。
カイレンを倒したことで、人類の滅亡を防いだハヤト達は自分達の戦いと役目を終えたと喜び合った。そして、運転士達はそれぞれ今までの地元に帰り、元の生活に戻っていくのだった。

新たな謎の新幹線

カイレンとの戦いを経て平和を取り戻したハヤト達は4月を迎えて進級していた。しかし、ハヤトは1年間学校でも一緒に過ごしてきたアキタとツラヌキが帰ってしまったことで寂しい思いもしていた。人間社会で暮らすことを決めたセイリュウはアズサの自宅で居候していたが、シンカリオンに乗る機会がなくなったことでハヤトと同じく元気をなくしていた。
そんなある日に2人は出掛けた先からの帰り道で、ブラックシンカリオンとは別の漆黒の新幹線を線路上で目撃する。超進化研究所も漆黒の新幹線出現を察知しており、ハヤトとセイリュウは超進化研究所から新たな漆黒の新幹線の正体を掴んでほしいという任務が与えられた。
2人が調査すると、カイレンやソウギョクの他にも、人類を狙う危険なキトラルザスの生き残りが1人残っているということが判明した。新たな敵の登場に動揺するハヤトだったが、後ろから聞き慣れた声がして振り返る。そこには1か月ぶりに会うアキタとツラヌキの姿があり、ハヤトは再会を喜びながら、これからやって来るであろう新たな敵に備えることになった。

それから何度か漆黒の新幹線が生み出す巨大怪物体との戦いがあったが、敵の目的は一向に掴めないまま時が過ぎていく。
ある日、漆黒の新幹線の出現を知らせる警報が鳴った為いつもの様にハヤト達がシンカリオンに乗って出撃すると、そこには5機のブラックシンカリオンとソウギョクが待ち構えていた。ソウギョクはセイリュウの乗るブラックシンカリオン紅に攻撃を集中させると、そのままブラックシンカリオン紅の機体を奪って撤退していった。
運転士のセイリュウは脱出していた為無事ではあったが、攻撃による大きなダメージとブラックシンカリオン紅を奪われたショックで一時的に記憶喪失となってしまう。ハヤト達はスザクの協力を得て、なんとかセイリュウの記憶を取り戻すことに成功する。そんな時、謎の男が姿を現して、「シンカリオンの進化がイサブロウの想像を凌駕している」と褒めた上で近い内に直接会うことを予言して姿を消した。指令室でその様子を見ていたスザクは男性の名前は「キリン」であると明かし、キトラルザスの中で最初に地上に姿を現した先遣隊であることが判明した。

キリンの存在が明らかになってから数日後、アズサが突然「自分はシンカリオンに乗れるほど適合率が高くない」との発言をして周囲を驚かせる。超進化研究所ではシンカリオンの適合率について研究が進められていたが、解明されていないことがほとんどだった。
アズサの発言は、超進化研究所と繋がりを持つ日本を代表する重工業企業「クラシキ重工」のCEO・倉敷イズモ(くらしき いずも)とその息子・ヤクモの耳にも入った。アズサは意見を提供する為にクラシキ重工の所有する研究機関に向かうことになる。
丁度その頃に、漆黒の新幹線が出現した為、ハヤト達はシンカリオンで出撃する。すると、漆黒の新幹線は見たことのない黒いシンカリオン「ブラックシンカリオンオーガ」の姿があった。
キトラルザスの生き残りであるキリンが乗るブラックシンカリオンオーガは、圧倒的な力でハヤト達を追い詰める。そして自分の強さを見せつけた後、ハヤト達に自分の計画の為に仲間になることを要求して直接会いに来る様に声をかけると、とどめを刺さずに去っていった。

戦いを終えて大宮支部に帰還したハヤト達だったが、アズサから研究機関に到着したことを知らせるメッセージに添付されていた写真に人間の姿をしたキリンが写っていたことに気が付き、アズサのいる所へ急いだ。ハヤト達はキリンと対峙するが、キリンは争う意志がないことを説明すると共にハヤト達に仲間になることを要求してきた。
キリンの目的は人間とキトラルザスの共存であり、全ての人間達を従わせる為にシンカリオンを利用しようと考えていた。しかし、ハヤトは人間とキトラルザスの共存に関しては賛成したが、シンカリオンによる武力支配には反対していた。その為、ハヤトはキリンの要求を拒んでしまう。
交渉決裂と判断したキリンは、無言で部屋を出るとブラックシンカリオンオーガに乗って上空から新宿にある都庁へ攻撃を仕掛けた。ハヤト達は急いでシンカリオンに乗り込むとキリンを止める為に追いかけていった。
ソウギョクによって奪われていたセイリュウのブラックシンカリオンは、キリンの指示で研究機関内部に安置されていることをヤクモが教えた為、セイリュウはブラックシンカリオンを取り戻してハヤト達と合流する。セイリュウは同族のキリンが人間達の世界に迷惑をかけていることに責任を感じていた。その為、セイリュウはわざとハヤト達を攻撃して戦線から離脱させると、単身キリンに勝負を挑んでそのままキトラルザスの本拠地である地底世界へと引きずり込んだ。
応戦していたシンカリオン各機はそれぞれの支部に帰還すると、キリンに動きがあるまで待機することとなった。キリンの奇襲が公になった今、総合指令部にも政府の圧力がかかり、キリンとの交渉権を超進化研究所に今後一切与えない決定が下された。シンカリオンの存在やその戦いについては国民だけでなく多くの政治家達も知らない事実であった。その為政府は、独自に対策を講じることになり別命が下るまで超進化研究所は、動くことはできなくなってしまった。
ハヤトはこの事態を招いたのは自分だと責任を感じて悔しがるが、その様子を見ていたフタバは「大人とは違う子供達の純粋な目で物事の奥にある大事な物を見る力が必要なんだ」とハヤトを励ます。フタバの言葉を聞いたハヤトは自分のこれまでの判断が間違いではないことを知り、なんとかして地底世界で戦うセイリュウの救出に向かえないかと考える。出水はハヤトの考えを酌んでシンカリオンの出撃許可を取ることを約束した。
しかし、地底世界への入口はキリンが地上に逃げることを封じる為にセイリュウが塞いでしまっていた。スザクもシンカリオンを地底世界まで送り届けるだけの力を持っていなかった為、地底行きは困難を極めた。
そんな時、ヤクモからフタバに電話が入り、品川から西へ向けて長いトンネルを開発中でそのトンネルは地底世界と繋がっているという情報が入る。ハヤトはヤクモから教えられたトンネルを通ってセイリュウの救援に駆けつける。ハヤトの覚悟を知って、セイリュウは協力してキリンを倒すことを決意するのだった。

最終決戦

ヤクモの知らせたトンネルは名古屋に繋がっていた為、ホクトはブラックシンカリオンオーガを名古屋支部の地下試験場に転送して捕捉することを提案して実行に移す。出水は各支部からシンカリオン各機を名古屋支部に集結させようと指示を出した。
しかし指令員達は、シンカリオンの存在がこれ以上公の目に触れれば大事になり政府が気が付くのではないかと心配していた。そこでアズサは、今まで撮り溜めてきたシンカリオン関連の動画をネット上にアップして、シンカリオンの存在を多くの国民に知ってもらうことを提案する。今までの活動記録を知れば、国民はシンカリオンを非難するどころか応援するだろうと考えたのだ。
出水はアズサにシンカリオンの活動内容をまとめた動画をネットにアップすることを許可する。アズサの公開したシンカリオンの動画は瞬く間に話題となり、その動画を見てシンカリオンを知った人達は名古屋支部に向かう運転士達に手を振って応援するのだった。
ハヤト達がキリンを地底世界から名古屋支部地下試験場への転送に成功すると、全てのシンカリオンも地下試験場へと集結する。全機でブラックシンカリオンオーガに総攻撃を仕掛けるが、キリンの優位性を崩すことは叶わなかった。
キリンは隙を見て名古屋支部を爆破し、東京へ向けて逃走を図る。キリンを追いかける為、ハヤトはキトラルザスの持つ黒い粒子を利用して空中にシンカリオンが通れる線路を敷くことを提案する。スザクは超進化研究所の仲間達をはじめ、多くの人間の力を借りて黒い粒子を増幅させると、東京から名古屋まで届く光の線路を空中に敷くことに成功した。シンカリオン全機はこの光のレールを通ってキリンに追いつくと、再び総攻撃を仕掛けてブラックシンカリオンオーガを失速させる。出水はそのタイミングでブラックシンカリオンオーガを捕縛フィールドで捕捉し、キリンを保護することに成功するのだった。

キリンとの戦いを終え、ハヤト達は日本の平和を守りきれたことに安堵する。セイリュウをはじめとするキトラルザス達は人間と共存する道を選びつつも、移住できる星がないかい調査することになった。
シンカリオン運転士達も戦いを終えて、それぞれが自分の目指す夢に向けて歩み出すのだった。

『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』の登場人物・キャラクター

シンカリオン運転士

速杉 ハヤト(はやすぎ はやと)

CV:佐倉綾音
学年:小学5年生→小学6年生(第65話以降) / 誕生日:2007年10月17日 / 所属:大宮支部
本作の主人公。
埼玉県さいたま市大宮区出身。
シンカリオン E5はやぶさ・E5はやぶさ MkIIの運転士。
幼い頃から新幹線をはじめとする鉄道が大好きで、乗り鉄。「新幹線好きに悪い奴はいない」という考えの持ち主である。鉄道に関することはどんな些細なことでも知っており、物事を新幹線や鉄道に例える癖がある。鉄道の話題になれば、年の差等はまったく気にせず友達になれる。
父・ホクトの所持しているタブレットに入っていたシンカリオンのシュミレータアプリ「シンカリオン・シム」をただのゲームだと思いプレイしたところ、信じられない程の高得点をたたき出す。適合率が高いことでE5に訓練なしで搭乗して巨大怪物体を倒してしまったことで、後に正式にE5の運転士となる。
正義感と責任感が強く「俺は時間と言ったことは守る男、だからね!」が口癖。
得意科目は理科と社会で、将来の夢は新幹線の運転士になること。

男鹿 アキタ(おが あきた)

CV:沼倉愛美
学年:小学5年生→小学6年生(第65話以降) / 誕生日:2007年7月8日 / 所属:大宮支部
秋田県北秋田市出身。
シンカリオン E6こまちの運転士。
実家が先祖代々マタギの家系で、父や祖父から厳しく育てられた。その為、常に冷静で大人びた雰囲気があり、物事の理解が早い。スポーツで競技ビームライフルをやっており、その腕前は全国レベル。普段は標準語で話すが、同じ東北出身のシノブや母・モミジと一緒の時は秋田の訛りが出てしまう。
ゲームセンターに置かれているアーケード版の「シンカリオン・シム」で高得点をたたき出すが、個人の特定がされていなかった為、ハヤトが秋田県まで探しに行った際に偶然知り合う。東京行きの新幹線で偶然ハヤトと隣の席になる。アキタのスマートフォンをハヤトが借りている時に巨大怪物体の出現があった為、アキタのスマートフォンを持ったままハヤトが仙台駅で下車し、それを追いかけたアキタがシンカリオン E5に誤って乗り合わせてしまう。
シンカリオンの存在とハヤトの正体を知り、アキタがアーケード版「シンカリオン・シム」のハイスコアラーであることが判明すると、超進化研究所はアキタを運転士にスカウトする。アキタは最初は自分の夢を叶える為に運転士を辞退するが、ハヤトの「誰かが街を守るから、誰かの夢が繋がっていく」という言葉に感化されてE6の運転士になる。
物事を理解した時に「話は読めた」と言うのが口癖。
将来の夢は競技ビームライフルで世界一になること。

大門山 ツラヌキ(だいもんやま つらぬき)

CV:村川梨衣
学年:小学5年生→小学6年生(第65話以降) / 誕生日:2007年11月27日 / 所属:大宮支部
石川県金沢市出身。
シンカリオン E7かがやきの運転士。
金沢にある「大門山建設」の跡取り息子であり、従業員からは「若(わか)」という愛称で呼ばれている。トンネルやお堀の様な建築物が大好きで、地形マニア。
義理堅くて正義感の強い性格で熱血漢。目上の人に対して役職やさん付けではなく「出水の旦那」や「フタバの姉ちゃん」等の様に親し気な愛称で呼ぶ。
「シンカリオン・シム」で高得点を出したことで出水がスカウトするが、先代の社長であった父親を亡くし、女手一つで自分達兄妹を育てる母・ミスズのことを気にして一度は断る。しかし、ハヤトに「本当にやりたいことが知りたかった」と言われたことで「シンカリオンに乗って戦いたい」という自分の本心に気付き正式に運転士となる。
アキタとは寮で相部屋で、当初は意見のすれ違いから喧嘩が絶えなかったが、一緒に戦っていく内に打ち解けて喧嘩することはなくなった。
物事をよく四字熟語で例える癖があり、「全くもって~だ」と言う口癖がある。
将来の夢は大門山建設を継いで日本屈指のゼネコンにすることで、「金沢の土木王」を自称している。

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新幹線変形ロボ シンカリオンZ THE ANIMATION(第2期)のネタバレ解説・考察まとめ

新幹線変形ロボ シンカリオンZ THE ANIMATION(第2期)のネタバレ解説・考察まとめ

『新幹線変形ロボ シンカリオンZ THE ANIMATION』とはテレビ東京系列で全41話放送されたアニメ作品である。『新幹線変形ロボ シンカリオン THE ANIMATION』の続編であり、前作同様、子供だけでなく大人の鉄道ファンにも人気の高い作品となっている。オカルトが大好きな主人公・新多シンは姉のアユと共に碓氷峠鉄道文化むらを訪れ、そこで偶然「シンカリオンZ」の運転士適合者に選ばれる。シンは仲間と共に世界の平和と安全を守る為、謎の巨大怪物体と戦っていく物語である。

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