東京マグニチュード8.0(アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『東京マグニチュード8.0』とは2009年7月から9月までフジテレビのノイタミナ枠で放送された防災や家族愛を描いたテレビアニメ。平成21年度文化庁メディア芸術祭アニメーション部門において優秀賞を受賞している。巨大地震により甚大な被害を受けた東京の街を舞台に、1人の少女と被災者の視点で物語は進んでいく。夏休み初日、弟悠貴のお守りでお台場のロボット展を訪れた小野沢未来は最大震度7の大地震に突如襲われる。当たり前だと思っていた家族との日々を大切に感じるヒューマンドラマ系アニメ。

『東京マグニチュード8.0』の名言・名ゼリフ/名シーン・名場面

真理「そうだよね、置いて行けないもんね」

出典: tokyo-m8.com

遅れる自分を置いていかなかった誠司に惹かれる真理。左から真理、誠司。

真理は自身の働くバイク便の事務所に辿り着いた際に、疲労や心労から倒れた。その後、まだ幼い娘や家族のことを優先して先に行って欲しいという同僚の声をよそに、真理は倒れている間に姿が見えなくなった未来たちを探していた。未来たちは見つからず、途方に暮れる中で真理が思い出したのは亡き夫がツーリングで遅れていた自分に言った「誘ったのに、置いていけないだろう」という言葉。こんな時、夫なら同じことを言うと思った真理は、「そうだよね、置いて行けないもんね」と呟き再び探しに行く。

孫を亡くした古市の悲しみ

優しい表情で穏やかに被災者に接する古市さん。

未来たちが避難場所として訪れた六華女学院で、震災で孫を2人亡くしながらも「こんなことしかできませんが」と言って今できる最大限のことするボランティアの古市。そんな彼の孫が亡くなったことを知った未来が泣きながら「大変なのに」と言うと、死ぬべきは自分だったと少し俯いて呟いた古市が切実に伝えたのが「生きてほしい。お若い方に」という言葉だった。愛する人を亡くした悔しさと悲しさが俯く古市の暗い表情によく見え、穏やかで優しいいつもの様子とは異なる素の感情が垣間見える名シーンでもある。

悠貴を想う未来の涙

家までのトラックで未来に笑いかける悠貴。

震災から1ヶ月ほど経ち、未来の元に真理が悠貴のリュックを届けに来た際に一緒に持ってきた未来の携帯に悠貴がメールを送っていた。歩き続けても中々家につかず、携帯で誰とも連絡もつかないためか苛立っていた未来に、悠貴がいつの間にか真理の携帯から送信していたものだった。「だから、がんばってあるこうね」と結ばれた文章を読んで未来は、嫌いな食べ物が多いのに文句も言わずに環境に慣れようとしたり、具合が悪いのにギリギリまで心配させまいと我慢して頑張って歩いていた悠貴を思い出して「会いたい」と涙を流した。未来と一緒にその文章を見て、彼女を抱きしめていた真理も大切な人の死を夫の死で知っているためか共感し涙を流す。いくら会いたいと願っても会うことができない死を実感させられ、未来の悠貴に対する大きな愛情を感じた名場面でもある。

『東京マグニチュード8.0』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

防災のスペシャリストたちへの取材

本作の監督を務めた橘は、地震の研究者たちに会いに行き、災害規模や都市災害への対策を聞いた。また消防や自衛隊、海上保安庁にも取材に頻繁に向かい、リアルさを追求している。その中でも芝公園に下水に直結したマンホールトイレが設置されていたりと、認知が広がっていないだけで災害対策が行われていることが印象的だったと語っている。また、大学で建築科を卒業したスタッフの助言もあり、建物の崩壊もきちんと地震による倒れ方を再現している。

実写ではなくアニメでやる意味

橘監督は、「アニメは実写と違ってゼロから作っていくため、見る側が自分の想像をのせることができる」と話す。アニメを視聴者が頭の中で実写にしていくことで、より鮮明かつ身近に災害が感じられる。また、そのためにも絵の情報量が少ない方がいいため、キャラクターデザインもシンプルに仕上げてある。

等身大の中学生を表現

本作の主人公は中学1年生の女の子で、自分の見える範囲が世界の全てであるこの年頃の被災という点にもスタッフはこだわって制作している。自分が守られている存在だと考えることが難しい頃に、震災によって大人たちから知らないうちに差し伸ばされていた手がなくなる。未来自身が小さく、守られていたということを強調するためにも作中には自分勝手だったり乱暴な大人も出てくる。しかし、そういった人間もいる点を漏らさずに描いていることが、よりリアリティを高めている。また、真理も含めて全員が窮地の状態でも未来たちのような子どもに手を貸してくれる大人も存在しており、そういった大人のおかげで自分たちが生きていると未来は実感する。橘監督は未来の中学生といった年齢も丁寧に掘り下げて、一つ一つの場面での心の動きや感情の変化を見逃さず制作していると語った。

『東京マグニチュード8.0』の主題歌・挿入歌

OP(オープニング):abingdon boys school『キミノウタ』

ED(エンディング):辻詩音『M/elody』

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