
『人間まがい』(にんげんまがい)とは、2013年のアメリカ映画。2013年のトロント国際映画祭で初上映された。大停電に見舞われた田舎町に現れた未確認飛行物体に攫われた一人の男が、人間を襲う宇宙人の手先として戻り、次々に人を手にかけるSFスラッシャー映画。グロテスクな描写でカルト的人気を博した映画『ムカデ人間』シリーズや『武器人間』などに続く「人間シリーズ」のひとつとして知られている。
『人間まがい』の概要

『人間まがい』(にんげんまがい)とは、2013年のアメリカ映画。2013年のトロント国際映画祭で初上映された。「SFにスラッシャー映画を組み込みたい」という監督のジョー・ベゴスは、80年代風SFホラーやスプラッタホラーに対するオマージュをふんだんに込めつつ、スラッシャー要素があることでエイリアンアブダクションものだけでは得られないショック要素を出そうと努めたという。
また、邦題の『人間まがい』は、グロテスクな描写でカルト的人気を博した映画『ムカデ人間』シリーズや『武器人間』などと同じ「人間シリーズ」として分類されてつけられた。
ストーリーに対する評価は賛否が分かれているものの、視聴した人間に新たなショックを与える、ということを追及したベゴスの手腕で繰り広げられる、酸鼻を極めるスプラッタ描写には定評があり、高い評価を獲得している。
田舎町に未確認飛行物体が現れた夜、主人公のセスは友人のマークとその恋人のジェンの家を訪ねていた。興奮気味に経緯を語っていたところ、突然大停電が発生。マークは何かに誘われるように家を出ていき、謎の光に包まれてその場から跡形もなく消えてしまった。
意識とマーク失踪に関わる記憶を失い、それぞれの日々を生きていたセスとジェンだったが、2年後、町はずれの森で裸で倒れていたマークが発見されたことで彼らの平和な日々は崩壊することになる。
『人間まがい』のあらすじ・ストーリー
行方不明になった友人
ある日の深夜、謎の飛行物体と強い光を目撃して怯えるセスは、友人のマークとその恋人であるジェンの家に向かっていた。セスが二人に自分が訪れた経緯を話していると、町中が大停電に見舞われる。
すると、直前まで平然とセスの話を聞いていたマークは何かに操られるように、フラフラと真っ暗な町の中へ出ていってしまった。驚くセスとジェンだが、マークは二人の目の前で謎の光に包まれて姿を消してしまう。
その場に残されたセスとジェンは突然強い頭痛に襲われて意識と記憶を失い、マークはそのまま失踪者として扱われることになる。
再び田舎町を襲う異変
マークの失踪から2年の月日が流れた。マークは行方不明のまま事件は迷宮入りしており、ジェンは新たな恋人と婚約。セスは時を追うごとに体調を悪くし、勤務先でも週に何度も鼻血を出しているという形ではあるが、彼らの元には日常が戻っていた。
そんなある日、平和だった田舎町には再び異変が襲い掛かろうとしていた。2年前と同様、町全体が真っ暗になる規模の停電が発生し、住人が未確認飛行物体を見た、というニュースがテレビで流れる。それを見たセスは引っかかるものを感じ、ジェンの元へ急ぐ。
その頃町はずれの森では、猟師が裸で倒れている男性を発見していた。倒れていたのは失踪していたマークであったが、彼はなぜか猟師に襲い掛かり、あっという間に倒して服を奪い取ってしまう。
猟師を倒した後でガソリンスタンドに入り、そこで客と店員を殺して車を奪ったマークは、かつての自宅へと向かうのであった。
マークの変貌
かつてジェンと一緒に住んでいた家にたどり着いたマークは、出迎えた彼女の婚約者を殺害。そしてここまでの道のりで手にかけてきた遺体を納屋へ運び込んで並べる。
すべての遺体を並べ終えたマークの口からは、粘液にまみれた触手が伸びていた。遺体の口にその触手を押し込み、何かを産みつけるかのような行動に出るマーク。
すると、そこにタイミング悪く帰宅してしまったジェンが入ってくる。
マークはジェンに自分の仲間になるように勧誘するが、断られたことで激昂し、彼女をそのまま納屋に閉じ込めてしまった。
セスはようやくジェンの家にたどり着き、異変が起こっている納屋に飛び込んだ。そこには捕らわれたジェンと、繭のようなものが存在している。
ジェンを納屋から逃がしたセスはマークと戦闘になるが、人類を超越する力を手にしている彼には敵わなかった。マークはセスを拘束し、彼の脳に直接、自身が宇宙人に誘拐されて改造を施された際の映像を送り込む。
セスに映像を見せたマークは満足したのか、家の中に逃げていったジェンを追って納屋を出ていった。セスはマークを阻止しようと納屋から出ようとするが、そこで彼を足止めしたのは繭から孵り、マークと同様の変貌を遂げた遺体たちだった。
侵略の末路
再びジェンを捕えたマークは、彼女を触手で犯そうと押し倒した。悲鳴を上げ、必死に抵抗するジェン。その現場になんとか遺体たちを返り討ちにしたセスが飛び込み、マークの頭をライフルで吹き飛ばした。
何とか危機を乗り越えたかに見えたが、マークは頭を潰されても死ぬことはなく、最後の抵抗と言わんばかりにジェンの口に触手を押し込んだ。
セスはジェンを助け出し、車に乗せて病院へ向かうことにするも、彼女は車内で納屋の遺体と同様の変貌を遂げ、運転中のセスに襲い掛かった。
セスは慌てて車を降り、追ってくるジェンから逃げ回るが、そこに運悪く一台の車が通りかかってしまった。
変貌したジェンは標的をその車の運転手に変えて襲い掛かる。その隙に車を奪うことに成功したセスは、ジェンを背後から撃った。しかし、マークと同様に撃たれても死ぬことがなかったジェンを見て、セスは路肩にあった大きな石で彼女の頭を何度も殴りつける。
しかし数秒後、銃声が響き渡ってセスは倒れる。彼の背後には、現場に駆け付けた警官の姿があった。
セスとジェンが命を落としていたその頃、森の中ではマークとは別の裸の男性が横たわっていた。
『人間まがい』の登場人物・キャラクター
セス(演:グラハム・スキッパー)

本作の主人公。謎の発光体を目撃したことに怯え、友人のマークとその恋人のジェンの家に駆け込んでいたことをきっかけに一連の事件に巻き込まれる。マーク失踪の経緯に関する記憶を失っていたが、2年後に再び同じ事件が発生した際は胸騒ぎが起こり、ジェンの家を訪ねてマークの凶行を阻止する。巻き込まれていたジェンを救助するが、結果としては救うことができず、凶暴な宇宙人に変貌した彼女を手にかけている現場に駆け付けた警官に射殺された。
かつてジェンと交際していたことがある。
ジェン(演:ヴァネッサ・リー)

マークの恋人で、かつてはセスと交際していた女性。マーク失踪の経緯に関する記憶を失っており、彼が失踪して2年が経ってからは新たな恋人と婚約していた。
戻ってきたマークにわけもわからないまま襲い掛かられ、彼と同様に人間を襲う存在として変貌する。
マーク(演:ジョシュ・エシエ)

セスの友人で、ジェンの恋人だった男。未確認飛行物体に怯えたセスが家を訪ねてきた際にフラフラと家を出ていき、そのまま宇宙人に誘拐される形で失踪していた。2年が経過した後で森の中で裸で倒れているところを猟師に発見される。目覚めた時には既に人ならざる何かに変貌しており、すぐに猟師と、ガソリンスタンドに居合わせた店員と客を殺害。口から触手のようなものを伸ばして遺体に何かを産み付け、自身と同じような姿にすることで仲間を増やすことを目論んでいる。