死亡遊戯(香港映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『死亡遊戯』とは、1978年に公開されたロバート・クローズ監督、ブルース・リー主演の香港映画である。
スター俳優のビリー・ローはシンジケート組織からの契約を迫られるが、それを頑なに断る。ある日の撮影中に、ビリーは銃弾を浴びて銃弾を受けて殺害されたと思われたが、実はビリーは死んでおらず、単身でシンジケート組織へ戦いを挑む。
1972年にアクション場面を撮影後、ブルース・リーが急逝。
数年後に代役スタントマンを起用して追加撮影したうえで1978年に制作された。

CV:藤本譲
ビリーの叔父で京劇俳優である。ビリーが楽屋に訪ねて来て、組織に狙われて契約を迫られている事を話す。それに対し、役者にとって何より大切なのは客だと話し、ビリーはその言葉を胸に組織と戦うと答える。またビリーが、恋人のアンも組織からの危険が及ぶ可能性があると告げたのに対し、暫く彼女と距離を置いた方がいいと助言を述べる。ランドの手下達の襲撃があり、ビリーを逃がしつつ他の劇団員達と共に手下達に対抗した。
ヘンリー・ロー役を演じたロイ・チャオは、1960年代から俳優として注目される。映画『燃えよドラゴン』(1973年)での少林寺の高僧という印象的な役や、『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)のギャング役等、中華圏にとどまらずハリウッドにも進出し活躍の場を広げた。1999年4月に死去。

『死亡遊戯』の用語

ヌンチャク

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ヌンチャクを持ち構えるビリー。

組織のアジトにやって来たビリーに対し、棍棒使いパスカルが対抗武器として用いた武器である。その後ビリーもまたヌンチャクを取り出し、パスカルに攻撃を仕掛ける。最後はビリーがスキを突いて、ヌンチャクでパスカルの首を締めたところで勝負がつく。
パスカル役のダニー・イノサントは、ブルース・リーがテレビドラマ『グリーン・ホーネット』(1966年〜1967年)出演時で派手なアクションをする事でカメラからはみ出るという事から、ヌンチャクを教えた。また、映画『ドラゴン怒りの鉄拳』(1972年)撮影中にアクション俳優の倉田保昭が訪ねてきてブルース・リーにヌンチャクをプレゼントしたところ、殺陣師のハン・インチェ(『ドラゴン危機一発』(1971年)のボス役)に気に入られて使用される事となったというエピソードがあるとの事。以降、出演作品には必ず出る程に、ヌンチャクはブルース・リーの「代名詞」となった。

トラックスーツ

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ビリーがアンを助けに行った際、手下達と戦った後に、手下の一人から奪い着用した服。そのまま組織のアジトに向かい、手下の格闘家達と激闘を繰り広げる。本作品を観た多くのブルース・リー及び映画ファンの目に焼き付いた、黄色に黒の線が入った衣装である。トラックスーツは多くの映画に影響を与え、『少林サッカー』(2001年)ではトラックスーツ姿のブルース・リーそっくりの男が現れ、『キル・ビル』では主演のユマ・サーマンが、このトラックスーツをモチーフにした衣装を着用している。

撮影スタジオ・控え室

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ビリーの控え室。

本作品にて、度々出てくるのが撮影スタジオや控え室であり、ビリー、彼の叔父、そしてランドの手下カールが使用する場として出てくる。これらは、物語の展開に関連する様に表現されている。

『死亡遊戯』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

アン・モリス 「どうしてあなたたちは意気地なしなの!組織がやったと分かってても、それを口に出す人がいないんだから!」

ビリーが銃撃され、彼の葬儀が執り行われる。ビリーの「死」を悲しむ多くのファンと共にアンの姿があった。そんななか、スタイナーとカールの姿を見たアンが、彼等に詰め寄り唾を吐きかける。それにカールは怒るも、直ぐにジムがやって来て、彼女と共にその場を立ち去る。ジムは気持ちを落ち着かせる様に説得するも、アンは「どうしてあなたたちは意気地なしなの!組織がやったと分かってても、それを口に出す人がいないんだから!」と泣き叫ぶ。恋人のビリーを殺害した者が分かっていつつ、何もできない現状に対し、アンのやり場のない怒りがストレートに表現された言葉である。

ビリー・ロー「お前の負けだ、カール!」

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カール(写真右)に蹴りを浴びせるビリー(写真左)。

空手選手権にて優勝したカールに対し、祝いの場が行われる。カールはシャワーを浴びてくると一同に告げ、一人で鍵が掛かったロッカールームへ向かう。カールの前に一人の老人が現れ、カールは老人に出ていけと話す。すると、カールの目の前で鬘と付け髭を外し、正体がビリーであると分かる。カールは、その場でビリーと一対一の格闘を始める。カールはビリーの両腕を掴んで動けなくするが、それをビリーは空中回転蹴りで解く。更にビリーは、連続蹴りをカールに浴びせる。ふらつくカールに対し、ビリーは「お前の負けだ、カール!」と告げ、カールをロッカーへ蹴りつけた。カールとの勝負がついたことを表すだけではなく、組織への復讐の序曲を意味する言葉と受け取れる。

ビリー・ロー「ランドはどこだ!」

出典: 4.bp.blogspot.com

手下にランドの居場所を聞くビリー。

ランドがアンを手下達に誘拐させ、ビリーは一人で倉庫へ彼女を助けに行く。そこでアンを助けつつ、次々と襲撃してくる手下達を撃退。そしてビリーは、最後の一人の胸ぐらを掴み、「ランドはどこだ!」と訴える。その手下が場所を話し、そのままアジトへと向かう。ビリーの、組織に対する復讐決行の強い意志が伝わって来た一言である。

『死亡遊戯』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

元々の題は『死亡的遊戯』だった

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