死亡遊戯(香港映画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『死亡遊戯』とは、1978年に公開されたロバート・クローズ監督、ブルース・リー主演の香港映画である。
スター俳優のビリー・ローはシンジケート組織からの契約を迫られるが、それを頑なに断る。ある日の撮影中に、ビリーは銃弾を浴びて銃弾を受けて殺害されたと思われたが、実はビリーは死んでおらず、単身でシンジケート組織へ戦いを挑む。
1972年にアクション場面を撮影後、ブルース・リーが急逝。
数年後に代役スタントマンを起用して追加撮影したうえで1978年に制作された。

組織のアジトにやって来たビリーに対し、棍棒使いパスカルが対抗武器として用いた武器である。その後ビリーもまたヌンチャクを取り出し、パスカルに攻撃を仕掛ける。最後はビリーがスキを突いて、ヌンチャクでパスカルの首を締めたところで勝負がつく。
パスカル役のダニー・イノサントは、ブルース・リーがテレビドラマ『グリーン・ホーネット』(1966年〜1967年)出演時で派手なアクションをする事でカメラからはみ出るという事から、ヌンチャクを教えた。また、映画『ドラゴン怒りの鉄拳』(1972年)撮影中にアクション俳優の倉田保昭が訪ねてきてブルース・リーにヌンチャクをプレゼントしたところ、殺陣師のハン・インチェ(『ドラゴン危機一発』(1971年)のボス役)に気に入られて使用される事となったというエピソードがあるとの事。以降、出演作品には必ず出る程に、ヌンチャクはブルース・リーの「代名詞」となった。

トラックスーツ

出典: stat.ameba.jp

ビリーがアンを助けに行った際、手下達と戦った後に、手下の一人から奪い着用した服。そのまま組織のアジトに向かい、手下の格闘家達と激闘を繰り広げる。本作品を観た多くのブルース・リー及び映画ファンの目に焼き付いた、黄色に黒の線が入った衣装である。トラックスーツは多くの映画に影響を与え、『少林サッカー』(2001年)ではトラックスーツ姿のブルース・リーそっくりの男が現れ、『キル・ビル』では主演のユマ・サーマンが、このトラックスーツをモチーフにした衣装を着用している。

撮影スタジオ・控え室

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ビリーの控え室。

本作品にて、度々出てくるのが撮影スタジオや控え室であり、ビリー、彼の叔父、そしてランドの手下カールが使用する場として出てくる。これらは、物語の展開に関連する様に表現されている。

『死亡遊戯』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

アン・モリス 「どうしてあなたたちは意気地なしなの!組織がやったと分かってても、それを口に出す人がいないんだから!」

ビリーが銃撃され、彼の葬儀が執り行われる。ビリーの「死」を悲しむ多くのファンと共にアンの姿があった。そんななか、スタイナーとカールの姿を見たアンが、彼等に詰め寄り唾を吐きかける。それにカールは怒るも、直ぐにジムがやって来て、彼女と共にその場を立ち去る。ジムは気持ちを落ち着かせる様に説得するも、アンは「どうしてあなたたちは意気地なしなの!組織がやったと分かってても、それを口に出す人がいないんだから!」と泣き叫ぶ。恋人のビリーを殺害した者が分かっていつつ、何もできない現状に対し、アンのやり場のない怒りがストレートに表現された言葉である。

ビリー・ロー「お前の負けだ、カール!」

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カール(写真右)に蹴りを浴びせるビリー(写真左)。

空手選手権にて優勝したカールに対し、祝いの場が行われる。カールはシャワーを浴びてくると一同に告げ、一人で鍵が掛かったロッカールームへ向かう。カールの前に一人の老人が現れ、カールは老人に出ていけと話す。すると、カールの目の前で鬘と付け髭を外し、正体がビリーであると分かる。カールは、その場でビリーと一対一の格闘を始める。カールはビリーの両腕を掴んで動けなくするが、それをビリーは空中回転蹴りで解く。更にビリーは、連続蹴りをカールに浴びせる。ふらつくカールに対し、ビリーは「お前の負けだ、カール!」と告げ、カールをロッカーへ蹴りつけた。カールとの勝負がついたことを表すだけではなく、組織への復讐の序曲を意味する言葉と受け取れる。

ビリー・ロー「ランドはどこだ!」

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手下にランドの居場所を聞くビリー。

ランドがアンを手下達に誘拐させ、ビリーは一人で倉庫へ彼女を助けに行く。そこでアンを助けつつ、次々と襲撃してくる手下達を撃退。そしてビリーは、最後の一人の胸ぐらを掴み、「ランドはどこだ!」と訴える。その手下が場所を話し、そのままアジトへと向かう。ビリーの、組織に対する復讐決行の強い意志が伝わって来た一言である。

『死亡遊戯』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

元々の題は『死亡的遊戯』だった

出典: i.ytimg.com

本作品でカットされた、ジェームス・ティエン(写真右)、チェン・ユアン(写真中央)出演場面。

本作品は1978年に『死亡遊戯』という題で公開されるも、主演のブルース・リーが生存中、かつ撮影時の題は『死亡的遊戯』だったとの事。何故その後、『死亡遊戯』という題となったかは不明だが、2000年に未公開フィルムを用いて編集し制作されたドキュメンタリー作品では『死亡的遊戯』という題(『Bruce Lee in G.O.D 死亡的遊戯』)となっている。
「塔の各階で待ち構える格闘家と対戦する」というシンプルで漠然とした内容の原案で撮影を始めると同時に、台本執筆も行われていたと言われる。そして『燃えよドラゴン』(1973年)の撮影終了後に完成したとされる台本の所在は明らかとなっていない。またブルース・リーの他に、ジェームス・ティエンとチェン・ユアンらと共に三人で塔内での場面が撮影された。その5年後にジェームス・ティエンとチェン・ユアン(前年である1977年に死去)が、再開となった本作品の撮影に参加不可となった為、ブルース・リーが塔内での戦いを行ったかの様に編集処理(ジェームス・ティエンは本作品にて「組織により殺された俳優」として設定のうえ、1シーンのみ登場)された。

ロケ地に使われたレストランが2020年に閉店

香港の「南北楼(ザ・レッドペッパーレストラン)」。

本作品にて、組織のアジトのロケ地として使われたのが、香港の銅鑼湾(コーズウェイベイ)にある「南北楼(ザ・レッドペッパーレストラン)」であり、多くの観光客からも知られていた。しかし、2020年の大みそかをもって閉店、その約40年の歴史に幕を閉じる事となった。

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