ポーの一族(萩尾望都)のネタバレ解説・考察まとめ

『ポーの一族』とは、1972年から続くバンパネラ(吸血鬼)の少年・エドガーを主人公とした少女漫画。その耽美さと人間に受け入れられず孤独に過ごさなければならないバンパネラ達の哀愁に、根強いファンがいる。親和性の高い宝塚歌劇団で2018年に舞台化された。エドガーが永遠に歳をとらない少年として各地をさすらい、仲間を失くしながら一人生き延びて行く物語。

大老(キング)ポー

一族の中で最も長く生きていて、最も濃い血を持つもの。
300年以上眠りについていたが、エドガーを仲間に加える際に目覚め、自らの血を分け与え仲間に加える。

エドガーたちと深く交流した人間

リデラード(リデル)・ソドサ

エドガーとアランが気まぐれで育てていた少女。「リデル人形」と呼ばれる。
両親はエドガーによって殺害されているが、本人はそのことを知らない。
10歳の時にリデルの家族を探し出したエドガーたちに本当の親類のもとに預けられ、しばらくエドガーとアランのことを忘れて過ごすが、「永遠に歳をとらない少年たち」に興味を抱いた人間たちに、彼らの記憶を話すこととなる。

エディス・エヴァンズ

エドガーとメリーベルの実の父親、「エヴァンズ伯爵」の子孫。
14歳の時にアランとエドガーに出会って、アランと恋に落ちる。
古物商の娘で、エドガーに面差しがよく似ている。
自宅が炎上した際にアランはエディスを助けようと消滅し、アランの思いを汲んだエドガーに助けられる。

『ポーの一族』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

メリーベルに二度と会わないことを決め、別れを告げるエドガー

ポーの一族に加わることになったエドガーは、成長しないことを不審に思われないようメリーベルともう二度と会わないことを決意する。
しかし唯一の肉親であるエドガーから離れたくないメリーベルは泣いてすがり、自ら一族に加わると決断する。
普段は体が弱く儚げで無邪気な印象で描かれているメリーベルが、一途な気持ちで兄を慕う名場面。

「好きなら好きなほど 愛してれば愛してるほど きみは後悔するんだ 幸福にしてやれないもどかしさに!」

アランが元婚約者の面影を求めメリーベルに好意を持ち近くが、エドガーがそれを牽制するシーン。
メリーベルはバンパネラでアランはこの時まだ人間であり、永遠の時を生きるメリーベルをアランが生涯寄り添っていけるはずがない。
きつい物言いだが、アランが傷つくのを最小限に抑えるためのセリフでもある。

「きみはどうする?…くるかい?」「おいでよ……」

家族を失いひとりぼっちになったエドガーが、アランを仲間に誘うシーン。
普段は生意気なほどに喋るエドガーだが、次々と喪った仲間や妹のことを思い、言葉が途切れがちになる。
アランに一緒に来て孤独を埋めて欲しいという気持ちと、選択をゆだねることで平穏に生きて欲しいという葛藤を込めたシーン。

眠りについたエドガーが今まで出会った人々を思い返すシーン

仲間にしたアランも火事で喪い、またひとりぼっちになったエドガー。
文庫版3巻のラストシーンで、エドガーは長い時を振り返りながら眠りにつく。
ラストシーンの解釈が様々分かれ、「エドガーは眠り続ける派」と「ちょっとしたら目が覚めてまた流浪の旅に出る派」で考察が絶えなかった。
2017年に発表された「春の夢」にてエドガーは目覚め、また旅をすることとなり、この論争には決着がついた。

『ポーの一族』の用語

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