『旅猫リポート』とは、有川浩による長編小説、およびそれを原作とした絵本、演劇、ラジオドラマ、映画、朗読劇などのメディアミックス作品である。元野良猫のナナと、ある事情からナナを手放す決意をした飼い主のサトルが、新しい飼い主を探す旅に出る物語。銀色の車で旧友を訪ね歩く一進一退の旅路を通じ、一人と一匹の深い絆が猫の視点を交えて描かれる。結末に待ち受ける切なくも温かい奇跡は多くの読者の涙を誘い、猫愛好家のみならず幅広い層から「泣ける物語」として支持されている作品である。
『旅猫リポート』の概要
『旅猫リポート』とは、2012年11月15日に発売された有川浩による長編小説、およびそれを原作とした絵本、演劇、ラジオドラマ、映画、朗読劇などのメディアミックス作品である。
第4回ブクログ大賞の受賞や吉川英治文学新人賞へのノミネートなど、多方面で高い評価を得ている。原作の表紙イラストや絵本のイラストを担当したのは村上勉。
物語は「吾輩は猫である」という名作を意識したコミカルな書き出しで始まり、元野良猫のナナと、ある事情から彼を手放さざるを得なくなった飼い主のサトルによる、新しい飼い主を探すための旅が描かれる。銀色の車でかつての友人たちを訪ね歩く二人の道中は、単なるペットと飼い主の絆を超えた深い愛情に満ちており、物語の終盤に待ち受ける結末は多くの読者の涙を誘う。
2021年には外伝2編を含む短編集『みとりねこ』が発売されるなど、本編完結後も根強い人気を誇る。猫の視点を通した愛らしくも鋭い洞察と、人間たちの不器用な優しさが交錯する本作は、猫愛好家のみならず幅広い層に感動を与える、現代を代表する「泣ける」感動作として広く親しまれている。
本作は幅広いメディアミックスが展開されている。有川浩と阿部丈二のユニットスカイロケットによる舞台版が、2013年4月3日から7日にかけて紀伊國屋サザンシアターにて上演された。2014年にはNHK FMにて舞台版と同じキャストによるラジオドラマも放送されている。また、2017年には朗読劇が上演された。
2018年10月26日には、福士蒼汰が主演し、脚本を原作者の有川浩が担当した映画版『旅猫リポート』が公開された。ナナの声は高畑充希が担当している。
『旅猫リポート』のあらすじ・ストーリー
運命の出会い
誇り高い野良猫のナナは、人の言葉を理解することができる猫である。ある時、交通事故で瀕死の重傷を負ったナナは、自分を気にかけてくれていた心優しい青年・サトルに助けを求める。一命を取り留めたナナはサトルの飼い猫となり、二人は「家族」として幸せな5年間を過ごした。しかしある日、サトルはどうしても抗えない事情により、ナナを手放す決意を固めることになる。
新しい飼い主を探す旅
サトルはナナを愛車の銀色のワゴンに乗せ、かつての友人たちを訪ねる旅に出る。小学校、中学校時代の友人、高校時代の友人夫婦などを順に訪ね歩くが、サトルと離れたくないナナは、ゲージから出ようとしなかったり、先住犬に喧嘩を売ったりと、必死の抵抗を試みる。お見合いが失敗するたびに、サトルはどこか嬉しそうな表情を浮かべるのだった。一人と一匹の旅は、サトルの幼少のころから現在までの人生を、時間を追って再確認する旅でもあった。
別れと再会
旅の終着点として、サトルは幼少期からお世話になっている叔母・ノリコのもとを訪ねる。そこで明かされたのは、サトルが重い病に侵されているという事実だった。サトルが入院し、二人の時間は刻々と削られていく。ナナは病院を脱走してまでサトルのそばに寄り添い続け、最期の瞬間、法子の機転によって病室への入室を許される。ナナに見守られながら、サトルは静かに息を引き取った。
つながる命
サトルの死から数年後、ナナはノリコと共に穏やかな日々を過ごしていた。やがて自らも寿命を感じ始めたナナは、新しくやってきた子猫に狩りや処世術を教え込み、次世代へバトンを繋ぐ。かつてサトルと共に見た美しい花畑の記憶を胸に、ナナは最愛の飼い主が待つ場所へと旅立つ準備を整え、物語は幕を閉じる。
『旅猫リポート』の登場人物・キャラクター
主要人物
ナナ(演:トム)
CV:高畑充希
物語の主人公。誇り高い元野良の雑種(雄)だったが、交通事故で右足を骨折した際、救いの手を差し伸べてくれたサトルの飼い猫となった。
特徴的な鍵尻尾の形が数字の「7」に見えることからその名がついた。5年以上にわたりサトルの無二の相棒として生活を共にしており、人間の言葉を深く理解している。爪を器用に使ってケージの鍵を自力で開けてしまうといった、知能の高さと手先の器用さを併せ持つ。
サトル/宮脇 悟(みやわき さとる)(演:福士蒼汰)
物語のもう一人の主人公。ナナの飼い主である30代の男性。深い愛情を注いできたナナを、ある避けられない深刻な事情から手放さざるを得なくなり、新しい家族を探す旅に出る。
かつて愛猫を飼っていた経験から接し方に長けており、周囲からは筋金入りの「猫バカ」と評される。自らが過酷な運命に直面しても、決して他人を羨んだり憎んだりすることのない、極めて穏やかで純粋な心根の持ち主。
幼少期は、プール教室で水底から突然飛び出して周囲を驚かせるなど、いたずら好きなひょうきん者で、仲間内からは「カッパ」という愛称で親しまれていた。
サトルの友人たち
コースケ/澤田 幸介(さわだ こうすけ)(演:山本涼介)
サトルとは小学校時代からの幼馴染。幼い頃にサトルと共に子猫のハチを保護した経験を持つ。
現在は実家の写真館を継いでカメラマンとして活動しているが、少々気弱な面があり、厳格な父親には昔から頭が上がらない。行動力に溢れるサトルに対し、子供時代から何かと振り回されがちであった。
ヨシミネ/吉峯 大吾(よしみね だいご)(演:前野朋哉)
目次 - Contents
- 『旅猫リポート』の概要
- 『旅猫リポート』のあらすじ・ストーリー
- 運命の出会い
- 新しい飼い主を探す旅
- 別れと再会
- つながる命
- 『旅猫リポート』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- ナナ(演:トム)
- サトル/宮脇 悟(みやわき さとる)(演:福士蒼汰)
- サトルの友人たち
- コースケ/澤田 幸介(さわだ こうすけ)(演:山本涼介)
- ヨシミネ/吉峯 大吾(よしみね だいご)(演:前野朋哉)
- スギ/杉 修介(すぎ しゅんすけ)(演:大野拓朗)
- チカコ/杉 千佳子(すぎ ちかこ)(演:広瀬アリス)
- サトルの親族
- ノリコ/香島 法子(かしま のりこ)(演:竹内結子)
- 動物
- ハチ
- モモ
- 虎丸
- 『旅猫リポート』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- オスなのに「ナナ」
- 舞台・絵本化
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