愛の不時着(韓国ドラマ)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『愛の不時着』とは、日本で2020年2月にNetflixで配信されるとTOP10入りをキープし続け、第4次韓流ブームとも呼ばれる今、絶大な人気を誇っている韓国ドラマである。不慮の事故により北朝鮮に不時着した女性とそこで出逢ったエリート軍人が、命を狙われ守り合いながら愛し合う。韓国・北朝鮮・スイスを舞台に、敵同士の国に住む人々との友情、陰謀や復讐など、複雑に絡み合うストーリーにハマり、見終わると”『愛の不時着』ロス”続出と、今もなお日本中にその魅力を広げ続けている注目の作品だ。

『愛の不時着』の概要

『愛の不時着』とは、韓国のケーブルテレビ局tvNで放送され、最終回視聴率が全国で21.7%を記録し、同局で最高視聴率20.5%を誇る『トッケビ〜君がくれた愛しい日々』を超えた大ヒット作品である。
脚本は、『星から来たあなた』『青い海の伝説』のパク・ジウン。ロマンティックコメディが得意な女性脚本家の新作で、本作では敵対する国同士の緊迫した情勢を背景に、切ない恋模様はもちろん北朝鮮での生活やその地で懸命に生きる村人たちとの温かい触れ合い、国境を越えた友情、陰謀や復讐と、笑いも涙もあり過ぎるほどの見どころ満載のストーリーとなっている。
制作は、第92回アカデミー賞で作品賞ほか計4冠を制覇した『パラサイト 半地下の家族』の出資配給会社CJ ENMを親会社に持ち、多くの人気作品を輩出している韓国トップクラスのスタジオドラゴン。
主演は、『私の名前はキム・サムスン』『シークレット・ガーデン』で絶大な人気を博し、2011年には訓練が最も厳しいとされる海兵隊に志願しての入隊が話題となったヒョンビンと、日本で韓国映画の興行成績トップとなった作品『私の頭の中の消しゴム』『四月の雪』に出演したソン・イェジン。
二人は2018年公開の映画『ザ・ネゴシエーション』以来、本作で二度目の共演を果たしており、二度にわたり浮上した熱愛説については否定していたが、2021年1月1日、「本作終了後に恋愛に発展した」と双方の事務所が交際を認めた。
祝福されている二人とともに、ますます目が離せない話題作である。

財閥令嬢で実業家のユン・セリは、ユン家の後継者に任命された翌日、不慮の事故によりパラグライダーで北朝鮮に不時着する。まさか北朝鮮にいるとは思わず、偶然出会った軍人リ・ジョンヒョクにスパイだと疑われ逃げ回わるうち鉄線を越え韓国に戻れなくなってしまう。ジョンヒョクは、通報して取り調べを受けることになるセリの身を案じ、このままかくまい秘密裏に南へ帰国させようとする。
一方、軍人の立場を利用し無数の悪事を働いていたチョ・チョルガンは、上官に対しても毅然とした態度のジョンヒョクが気に入らず目をつけていた。ジョンヒョクが友人であり邪魔者だったリ・ムヒョクの弟だと知ると、リ家を失墜させるためジョンヒョクの周りの人間を巻き込みながら執拗に陥れようとする。
ロシアから一時帰国していたソ・ダンは10年来の婚約者ジョンヒョクに会いに行き、セリと鉢合わせしてしまう。同志だと言うジョンヒョクのセリを見る眼差しに違和感を感じ、セリに敵意を持つ。
父の復讐をするためユン家に近づいた詐欺師のク・スンジュンは、本性を見抜ぬかれセリとの見合いが破談、セリの兄ユン・セヒョンから大金を騙し取り中国経由で北朝鮮に逃げ、偶然出会ったダンと親しくなっていく。
セリは北での生活に馴染み始め、ジョンヒョクの部下であるピョ・チス、パク・グァンボム、キム・ジュモク、クム・ウンドンと一緒に過ごすうちにどんどん親しくなり、セリを疎ましく思っていた村の女性たちとも次第に仲良くなっていた。ジョンヒョクは7年前の兄の事故死の真相を調べながら、セリの帰還に手を尽くしていた。
そんな中、チョルガンは帰国しようとしていたセリの車を追突して殺そうとし、ジョンヒョクはセリを守ろうと阻止するも銃弾に倒れてしまう。セリはジョンヒョクの命を助けるため帰国を断念し、病院へと急いだ。セリの輸血で命が助かったジョンヒョク。二人は互いに相手への想いを伝え合う。
韓国では、セリが北朝鮮で生きていることを知ったセヒョンが、後継者になるためにセリの帰国を妨害しようと画策していた。セヒョンに命を狙われたスンジュンも、自分の身を守るためセヒョンに協力しようとし、ジョンヒョクとの結婚を急ぐダンに手を組もうと話を持ち掛けていた。チョルガンがジョンヒョクのいる病院へ押しかけた時、セリから連絡をもらったスンジュンは病院へ行きセリを連れ出す。セリの存在がジョンヒョクにとって安全ではないと説得し、セリもスンジュンのプロポーズを受け入れ偽装結婚して出国することがジョンヒョクのためだと思い、ジョンヒョクから離れようとする。ジョンヒョクはセリのそんな気持ちを受け止めようとしたが、突然別れの言葉を残し姿を消したセリが危険にさらされていると知り必死に探すも、チョルガンの策略により収容所に入れられてしまう。ジョンヒョクはダンが父リ・チュンリョルに頼みセリを拐ったことに気づく。高官の息子である立場を利用して収容所から釈放されるよう仕向けたジョンヒョクは、その足で実家へ向かいチュンリョルに向かってセリを守れなければ自分の人生は地獄になると声を荒げ訴える。ジョンヒョクに迷惑はかけられないとかばい続けるセリとジョンヒョクの強い気持ちに心打たれた母キム・ユニは二人を会わせる。ジョンヒョクは涙を流しながらセリの無事に安堵した。その夜、ジョンヒョクの部屋にあったピアノでセリはある曲を弾いた。それを聴いたジョンヒョクは、自分が兄へ贈った曲だったことに驚き、二人はスイスで同じ時に同じ場所にいたことを知る。そして、ジョンヒョクはセリを安全に南へ戻すため、スンジュンに協力を頼み隊員たちと前哨地の勤務へ戻り、セリを無事に韓国へ帰すことに成功する。
セリと別れ落ち込んでいたジョンヒョクだったが、兄の死の真相を知りムヒョクが残したチョルガンの悪事の証拠を手に入れた。裁判にかけられ重い判決を下されたチョルガンは、自分が乗った輸送車を襲撃させ死亡したものと欺き北から脱出、セリを狙い韓国へ侵入していた。ジョンヒョクはセリを守りチョルガンを捕らえるため一人後を追う。隊員たちもジョンヒョク救出のため南に向かった。
セリはジョンヒョクを想い眠れない夜を過ごしていた。チョルガンに狙われる中、やっとセリを見つけたジョンヒョク。セリも驚き立ち尽くす。隊員たちもジョンヒョクとセリの情報を掴むことに苦戦していたが、ついに会うことができた。皆で抱き合い涙ながらに再会を喜び、韓国で一緒に過ごす時間を楽しんだ。北でのお礼にと買い物をし、セリの誕生日をみんなで祝い、出来るときにやろうと別れの挨拶を何度もした。ある日、ジョンヒョクは偶然セリのデスクでボイスレコーダーを見つけ、それがスイスで録音された遺言だったことを知る。そして、留学していたスイスの橋の上で何かを呟いていた女性に写真撮影を頼んだことを思い出し、その女性がセリだったと確信する。そのことを聞かされたセリは橋の上でのやり取りが蘇り、あの時ジョンヒョクの隣にいたのがダンだったことを知る。セリは驚きながらも、ジョンヒョクと出逢えた幸せを噛み締めた。
しかし、ジョンヒョクはついにチョルガンの居場所を突き止め応戦となり、セリがジョンヒョクを守ろうとチョルガンの撃った銃弾で重症を負い昏睡状態となる。病院の外から見守ることしかできないジョンヒョクと隊員たちは、セリが目を覚ますとすぐさま病室に駆け込み泣きながら喜んだ。ジョンヒョクはやっとセリに愛してると伝えることができた。
セリを排除しようと動いていたセヒョンの妻コ・サンアの密告でジョンヒョクの正体が明るみになり、国家情報院の捜査官に追われながらもジョンヒョクはチョルガンの隠れ家に向かっていた。捜査官に包囲されチョルガンは射殺、ジョンヒョクは連行される。セリと病院にいた隊員たちも連行され、セリは泣きなが見ていることしかできなかった。その後、尋問での証言が食い違うジョンヒョクとの対面調査に出向いたセリだったが、セリを守るため嘘をつき続けるジョンヒョクを説得することができず、無理をして病院を出たこととショックが重なり敗血症で危篤状態となる。セリの前でも冷たい態度を貫いていたジョンヒョクだったが、容態を知り病院へと駆けつける。セリの母ハン・ジョンヨンは、ジョンヒョクの存在がセリにとって大事だからセリのそばに居させて欲しいと捜査官に懇願する。
北では、家族にセリ妨害がバレてしまったセヒョンが保身のためスンジュンを捕らえようと送った男たちがダンを拉致していた。セヒョンの追手から逃れるためヨーロッパに発とうとしていたスンジュンは、ダンを助けるため一人で男たちと戦い銃弾に倒れる。搬送される救急車の中、すでにスンジュンに惹かれていたダンはスンジュンが迎えに来るまで待つつもりだったと伝え、ダンを愛するようになっていたスンジュンも、ずっと気になっていたダンの言葉の真意を聞くとそのまま息絶えてしまう。
許可が下りたジョンヒョクは集中治療室でセリを見守り続け、心肺停止したセリがどうにか一命を取り止めると静かに病院を去った。北への送還の日、ジョンヒョクを追いかけ軍事境界線まで来たセリは、涙ながらにジョンヒョクと隊員たちを見送った。
スンジュンを失い寝込んでいたダンは復讐を誓い、スンジュンを逃したチョン社長の協力を得てセヒョンの犯罪の証拠をセリに届け、セヒョンは逮捕される。ジョンヒョクとは正式に破談となり、ダンは自由に生きていくことを決意する。
ジョンヒョクが去った後、ジョンヒョクからメッセージが届くようになったセリは、彼の願い通りこれまでよりも幸せに楽しく過ごすよう努めた。そして1年後のセリの誕生日、贈ったエーデルワイスの花が咲く国で会おうというメッセージが届く。その頃、ジョンヒョクは軍を除隊し、国立交響楽団で演奏をすることになっていた。セリもクラシック音楽を支援する奨学財団を設立し、年に1度スイスでコンサートを開催してジョンヒョクが気づくよう努力していた。
セリは何度かスイスに行ったが、ジョンヒョクは一度も現れなかった。それでも諦めず、必ず自分を見つけてくれると信じ、またスイスを訪れた。
パラグライダーの着地に失敗したセリが嘆きながら体にまとわりついた翼を払いのけると、目の前にジョンヒョクが立っていた。驚きながらもジョンヒョクに抱きつくセリ。ついに再会を果たした二人は、スイスの広大で美しい大自然の中、穏やかに幸せに一瞬一瞬を大切にしながら時を共に過ごした。

『愛の不時着』のあらすじ・ストーリー

南から北へ

高い木の上に絡まったパラグライダーから慌てて降りようとし、ジョンヒョクの上に落ちてしまうセリ。

ユン・セリは、「セリズ・チョイス」の経営者。この日は新商品であるパラグライダーのテスト飛行の日。セリは以前スイスを訪れた際にパラグライダーの資格を取得していたので、自ら飛行テストに参加。しかし、その矢先、巨大な竜巻が現れ、セリも飲み込まれてしまった。
一方、北方限界線から1キロの非武装地帯。勤務中だったリ・ジョンヒョクと隊員たちは、突然銃声が聞こえ現場へと向かう。そこには、道に迷った北朝鮮人がいた。ジョンヒョクはこの3人を調査すると韓国軍に誓う。

竜巻に遭ったセリは、木の枝にぶら下がっていた。トランシーバーで呼びかけるが全く通じない。その時、見回りをしていたジョンヒョクが、木の上のセリを発見し銃を向ける。銃を向けられていると分かると、セリは慌ててベルトを外した。セリはバランスを崩しジョンヒョクの真上に落ちてしまう。セリは自分が北朝鮮にいることに気が付く。さらに、地雷原の川に足を踏み入れ逃げるセリ。ジョンヒョクは、セリを追うが、誤って地雷を踏んでしまった。部下のパク・グァンボムに地雷を解除してもらったジョンヒョクは、他の部下たちに挙動不審者を見つけたら撃たずに逮捕するよう命令した。しかし、部下のピョ・チス、キム・ジュモク、クム・ウンドンは全くセリに気付かない。

まだ薄暗い早朝、セリはやっとのことで民家を見つける。その家はジョンヒョクの家で、二人は再会する。セリは不時着した場所に戻して欲しいと隊員たちに頼むと、船渡しをしている叔父の船で逃げるのはどうかと提案するジュモク。セリは渋々と彼らに従うと約束した。

平壌駅に着いたジョンヒョクは、盗掘者が死亡した事故について疑いをかけられる。責任副官のコ・ミョンソクが慌てて尋問中の部屋の中に入り、局長に「彼は総政治局長の一人息子だ」と告げた。解放されたジョンヒョクは、全ての事故にロシア車が関わっていること、兄の死の真相もそこにあると話し、ミョンソクに事故車両を探して欲しいと頼む。

チョルガンは、ジョンヒョクの住む村で夜間の抜き打ち訪問調査を行い、庭に隠れていたセリを発見する。両手を上げたまま銃を向けられるセリだったが、そこへジョンヒョクが到着する。ジョンヒョクはセリが婚約者だと嘘の説明をし、セリが南から来た11課の所属で、党の機密事項のため詳しいことは話せないと告げた。

チョルガンは盗聴室にいるチョン・マンボクを呼び出すと、ジョンヒョクがリ・ムヒョクの弟だと告げ、ジョンヒョクを盗聴するよう命令する。マンボクは7年前、ムヒョクの会話を盗聴しチョルガンに報告していた。その直後、ムヒョクの乗る車が黒い車に追突され命を落とした。セリの出発の夜、マンボクはチョルガンにセリが今夜韓国へ戻ることを報告した。
セリと船着場に到着したジョンヒョクは、一緒に船に乗り込む。そこに警備船がやって来て船が停止させられてしまう。二人は船の下へ降りて行き隠れるも、地下への扉が空いた瞬間、ジョンヒョクはセリにキスをする。

帰国準備

警備艇長は二人に、引き返すよう言い残した。乗り替えの船を目の前にして、セリ達は陸に戻った。
家に戻ったセリはジョンヒョクの昇進が帰国のチャンスに繋がると閃き、ジョンヒョクの上官である大佐の妻がマ・ヨンエの祝賀会に行くことにした。ヨンエに気に入られたセリは、大佐に口添えをしてもらえるよう頼むことができた。

韓国では、セリの失踪で次男ユン・セヒョンが会社を任されることになっていた。セリの義母ハン・ジョンヨンは、代わりを決めるのはまだ早いと意見した。
日が暮れた頃、セリが市場ではぐれてしまったと聞いたジョンヒョクはすぐさま走り出す。一人取り残されたセリは道の真ん中で立ちすくんでいた。顔をあげると小さな明かりが見え、一歩ずつ踏み出す。その光はロウソクを高く掲げてセリを探しているジョンヒョクだった。

ジョンヒョクの婚約者、ソ・ダンはジョンヒョクの家の前で待っていた。ク・スンジュンは、以前破談になったセリとの見合いを思い出していた。
ジョンヒョクは総政治局長である父リ・チュンリョルに国際陸上大会に参加する選手団にセリを紛れ込ませるよう頼んでいた。セリはパスポート用の写真を撮りに平壌に行くことになり、身支度で市場へ買い物に行った際、質店でブランド物の男性用時計を見つけ驚く。

チョルガンは戻ろうとするマンボクにムヒョクの時計の行方を尋ね、あれがジョンヒョクの手に渡れば自分たちは終わりだと言う。
セリとジョンヒョクは平壌へ向かう列車の中にいたが、停電で突然停車してしまう。眠り込んでしまったセリに、自分のコートをかけるジョンヒョク。翌朝、列車は走り出し、平壌へ着いた二人は写真館へ向かう。

写真館を出ると、セリはスンジュンに腕を掴まれた。ジョンヒョクはセリに追いつくと、セリはスンジュンにボディーガードだと説明する。
一方、ダンはジョンヒョクが女とホテルにいると教えられ、すぐにホテルへ向かった。セリへの不快感をあらわにし、今夜食事会をすることをジョンヒョクに約束させる。
一方、セヒョンは、セリが生きていると知り、オ課長に北朝鮮からセリを出国させないよう依頼する。

出発の日。盗聴していたマンボクは、チョルガンにセリの出発を報告する。
セリはグァンボムが運転するトラックで空港に向かっていた。すると後ろから黒いトラックが猛スピードで追ってくる。セリたちは後ろからトラックに追突され急いで降りようとしたその時、目の前をバイクに乗ったジョンヒョクが横切った。ジョンヒョクはトラックを爆発させた後セリの無事を確かめたが、セリをかばい撃たれ、そのまま意識を失ってしまう。

兄の時計

一度だけでもジョンヒョクを守りたかったからと帰国のチャンスを断念したセリにキスをするジョンヒョク。

セリは、空港ではなく病院へ向かった。その頃、選手団はギリギリまでセリを待っていたが、時間になり出発してしまう。目が覚めたジョンヒョクは、飛行機に乗らなかったセリを責め、なぜ残ったのか尋ねた。一度くらいあなたを守りたかったと言われたジョンヒョクは、セリを見つめキスをした。

チョルガンはジョンヒョクの居場所を突き止め、病院へ現れたが、そこに政治局長のチュンリョルが現れ、チョルガンは渋々退散した。そこにダンと母コ・ミョンウンも駆けつけた。ジョンヒョクはセリに好意を持っていることをダンに伝えた。ダンは、彼女を好きでも構わない、結婚は予定通り進めると言い残し病室を出て行った。

チョルガンが到着する直前、セリはスンジュンの隠れ家に向かっていた。
韓国ではセリの死去が報道され、セヒョンが経営権を握ることとなった。
セリは英国籍のパスポートを持つスンジュンの妻となり一緒に出国しようと、偽装結婚を提案されプロポーズされていた。

退院したジョンヒョクは、雪が降る中、やっとスンジュンの隠れ家を見つけるが、しかし、セリはジョンヒョクにスンジュンのプロポーズを受けたと聞き、無言で立ち去った。ジョンヒョクの体が心配なセリは、車で後を追いかける。
本当に結婚するのかと聞くジョンヒョクに、書類上だけだと言うセリ。ジョンヒョクは熱にうなされながら、スイスに留学する出発のとき国際コンクールの賞金で買った腕時計を兄に贈ったことを夢に見ていた。

家に戻ったジョンヒョクとセリ。セリは以前見かけた男物の時計をジョンヒョクにプレゼントしようとしていた。セリは市場の帰り道、銃を持った男たちに連れ去られた。
その時、保衛部がジョンヒョクの家を捜索していた。チョルガンを殴ったジョンヒョクは、手錠をかけられ連行されてしまう。
マンボクは息子のウピルからセリが連れ去られたことを教えられる。ウピルはセリが落とした箱を渡す。箱の中にはムヒョクの時計が入っていた。
勾留所にいるジョンヒョクは、自分が総政治局長の息子だと噂を広めるようチスたちに指示を出し、大佐が勾留所から出してくれるよう作戦を練っていた。大佐は噂を聞くと、すぐさま保釈するため動いた。

セリが連れてこられた部屋にあった本は、ジョンヒョクが持っていた本に似ているものばかりだった。目の前の女性がジョンヒョクの母キム・ユニだと気付くセリ。
保釈されたジョンヒョクは実家へと急ぎ、父にセリの居場所を問いただす。セリの手をひき二人を会わせるユニ。ジョンヒョクはセリの無事が分かり涙をぬぐい、セリはジョンヒョクの顔の傷を心配する。
セリは、知っていたら教えて欲しいとスイスで自分を救ってくれた曲を弾き始めた。ジョンヒョクは自分が作曲した曲を弾くセリと、スイスで同じ場所にいたことを知る。
ジョンヒョクは保釈された直後、大佐に勤務交代を頼んでいた。それはセリと一緒に前哨地へ行き、セリが来た道を戻り韓国へ返すためだった。
前哨地に到着し、暗くなるまで隊員たちと別れを惜しむセリ。夜が明けそうになる頃、ついに境界線にたどり着いた。ここからは一歩も越えられないと言うジョンヒョク。泣きながら鉄線を越え歩いて行くセリだったが、鉄線を越えセリの腕を掴んだジョンヒョクは、一歩くらいはいいだろうと言ってセリにキスをする。

何度でもあなたを見つける

ジョンヒョクがセリの寝室にやってきてペアリングを渡した。セリは、何があってもジョンヒョクを忘れないと誓った。
セヒョンの妻サンアは、極秘でセリズ・チョイスの代表交代を進めようとしていた。そこにジョンヨンが現れ、セリが北にいたこともセヒョンの悪事もユン会長は知っていると伝える。
ジョンヒョクは橋の上で、むかしスイスの橋の上から飛び降りようとしていた人がいてタイプだったからずっと記憶に残っていたと話し、セリにボイスレコーダーを差し出した。橋の上の女が自分だったと驚くセリ。
韓日戦のサッカーの試合を応援しながら食事していたセリたち。外へ出たマンボクの目の前にチョルガンが現れ、息子の命と引き換えに協力するよう脅す。

セヒョンは父が呼んでいるとセリを実家に呼び出した。実家へ向かったセリは3台の黒い車に包囲されてしまう。チョルガンを見つけ出したジョンヒョクは、倉庫で男たちと応戦していた。実は、マンボクがチョルガンに脅された夜、マンボクはジョンヒョクに全てを話していた。チョルガンにはずっと嘘の会話を盗聴させ、セリが男たちに囲まれた時も隊員たちがセリを守り、ジョンヒョクに加勢したのだった。チョルガンはジョンヒョクに銃を向け車の影から狙っていた。それに気づいたセリは、車を発進させジョンヒョクの背後に回り込む。チョルガンの撃った銃弾が車を貫通した。泣きながらセリの名前を呼ぶジョンヒョク。血だらけのセリに、駆けつけた隊員たちも呆然とする。
意識が戻ったセリ。危険なマネをしたセリを責めるジョンヒョクだったが、愛してると伝えることができた。マンボクはセリのベットの下に盗聴器を仕掛け、会話を盗聴し見守っていたと話し、セリが聞くべき話も入っているとレコーダーを渡した。

セリは病室に家族を集め、録音を聞かせた。それはセヒョン夫婦がチョルガンとのやり取りについて話していた内容だった。
ジョンヒョクはついにチョルガンの隠れ家を突き止めていた。両手を上げ降参するように見せかけたチョルガンは、突然ジョンヒョクに発砲した。発砲したチョルガンは外にいた狙撃手に撃たれ息絶えた。乗り込んできた捜査官たちはジョンヒョクを連行する。尋問が始まり、韓国への不法侵入の理由を問われたジョンヒョクは、セリを北に連れていくためだと答えた。証言の食い違いで対面調査をさせられるジョンヒョクとセリ。ジョンヒョクは無表情のままセリと目も合わせない。部屋を出たセリは崩れるように倒れてしまう。

北ではスンジュンが村に現れ、ジョンヒョクの家に隠れようとしていた。ダンが家に駆けつけると、スンジュンは質屋で買い戻した指輪をダンの指にはめた。ヨーロッパに行くスンジュンを空港に送ったダンは、目も合わせないまま去っていった。するとスンジュンに電話があり、ダンを捕まえたと脅迫される。スンジュンは覚悟を決めダンを助けに向かうが、肩を撃たれ倒れ込む。スンジュンは、自分が死ぬ時に泣いてくれる人がいてくれて嬉しいと微笑む。

心配蘇生の甲斐あり、セリの脈は戻った。意識を取り戻したセリを見届けたジョンヒョクは、病院から立ち去った。
1週間後、非公式で南北の送還対象者の交換が行われることとなった。セリはジョンヨンにそのことを聞き、急いで後を追った。セリは到着すると、ジョンヒョクのもとへ走り出す。ジョンヒョクはセリに走るなと叫びながら走り出す。二人は抱き合い、ジョンヒョクは、セリに愛してると伝える。
家に戻ったセリは、ジョンヒョクが家に残したものを見て涙する。本棚には愛してるという言葉が残してあった。
ダンはジョンヒョクにカメラを修理に出したことを話す。カメラの中には橋の上で撮ったセリの写真が残っていた。

1年後、セリはスイスに来ていた。セリは、自分がどこにいても必ずジョンヒョクが見つけてくれると信じ諦めない決意をした。そして、何度目かのスイスでパラグライダーで飛んだセリ。絡まったパラグライダーをよけると、目の前にはジョンヒョクが立っていた。セリはジョンヒョクを抱きしめ、私を見つけてくれると信じていたと告げる。
ジョンヒョクとセリは、スイスの広大で美しい自然の中、共に過ごした。

『愛の不時着』の登場人物・キャラクター

主要人物

リ・ジョンヒョク(演:ヒョンビン)

第5中隊の中隊長。実は総政治局長の息子で身分を隠し入隊していた。軍人になる前はピアニストになることが夢で、スイスに留学していたが兄の死をきっかけに帰国。失意の中、事故死として処理された兄の死の真相を密かに調べていた。突然出会ったセリを初めはスパイかと疑うが、通報後のセリの身を案じて自らかくまい帰国の手助けをしようとする。しかし、何度となく手を尽くすが失敗し、セリと一緒の時間が増えるにつれてどんどん惹かれ、いつも命がけでセリを守ろうとする。

ユン・セリ(演:ソン・イェジン)

財閥の令嬢で実業家。義母を実の母のように愛するも愛されず二人の兄にもライバル視され、不遇の子供時代ではあったが、小さい頃から選択を誤ることなく、自分の夢の実現のためにひたすら努力し頑張って生きてきた。突然の事故で北朝鮮に不時着し一刻も早く帰国したかったが、一緒に過ごすジョンヒョクや隊員たちとの時間の中、セリの心はどんどん癒され変化していく。

ク・スンジュン(演:キム・ジョンヒョン)

セヒョンから金を騙し取り逃亡している詐欺師。過去にセリと見合いをしたがそれはユン家への復讐作戦の中の一つだった。セリと北朝鮮で再会し、親切にしたり助けたり騙そうとしたりする。偶然知り合ったダンを徐々に意識し、愛するようになる。自分を守るためセリを帰国させないようにしたが、ジョンヒョクに協力しセリを韓国へ帰還させる。拉致されたダンを命がけで守り抜き命を落とす。

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