コーヒートーク(Coffee Talk)のネタバレ解説・考察まとめ
『コーヒートーク』とは、2020年に発売されたノベル&シュミレーションゲーム。舞台はアメリカのシアトルで、夜のみ営業するカフェ・コーヒートークで、プレイヤーは店主となり、店を訪れる客の話を聞きながら、リクエストされた飲み物を提供する。人間だけでなくサキュバス・エルフ・オークなど、多様な種族のキャラクターが店に訪れ、彼らと話をして交流することで、彼らそれぞれのストーリーの結末を見届けることができる。ゆったりとしたカフェの雰囲気を味わいながら楽しめるのが魅力である。
『コーヒートーク』の概要
『コーヒートーク』とは、2020年1月30日(日本時間)に発売された、コーヒーを淹れながら心をかよわせるノベル&シュミレーションゲームである。
インドネシアのインディーゲームスタジオToge Productionsが開発し、日本版パブリッシャーはコーラス・ワールドワイド合同会社。
本作は、ディスク版とデジタル版の2種類で販売されている。
プラットフォームは多数あり、PlayStation 5、PlayStation 4、Nintendo Switch、Xbox One、Microsoft Windows、macOSなどでプレイが可能である。
ディレクター・ライター・ゲームデザイナーを務めたのはモハメド・ファーミ、CEROレーティングはBに区分されている。
本作は、LEVEL UP KL 2018 ”Best Storytelling”受賞、BIC Festival(朝鮮語版)2019 ”Excellence in Narrative”ノミネート、TGS 2019”ゲームの電撃アワード”ノミネートなど、各ゲームメディア媒体で話題となった。
また続編として『コーヒートーク エピソード2:ハイビスカス&バタフライ』が、2023年4月20日に発売されている。
『コーヒートーク』の舞台は、アメリカのシアトル。
夜のみ営業するカフェ・コーヒートークで、プレイヤーは店主となり、店を訪れるさまざまなお客さんの話を聞きながら、リクエストされた飲み物を提供する。
本作の舞台であるシアトルは現代とはちがい、人間だけでなくサキュバス・エルフ・オークなど、多様な種族のキャラクターが共存している。プレイヤーは店主として、彼らと話をして交流したり、キャラクターが好むあたたかい1杯の飲み物を提供したりして、彼らの人生を変えるきっかけを選択する。一軒のカフェを舞台に、彼らと交流して悩みを解くことで、キャラクターそれぞれのストーリーの結末を見届けることができる。
衝撃的な展開は少なく、カフェの雰囲気を味わいながらゆったりとストーリーを楽しめる内容となっている。
本作では、ファンタジーでは定番の種族がいくつも登場し、現代人と変わらない苦悩や希望を抱えている。たとえばゲーム内の種族は平等ではなく、職業の選択が難しかったり、外見で差別される種族も存在する。人種的ステレオタイプ・偏見・差別など、現実でも直面する問題が、ゲーム内でも種族の違いとして表現されている。
『コーヒートーク』のストーリーは、ライターを務めたモハメド・ファーミ自身や、彼らの友人が実際体験したことも反映されているという。インドネシアという多くの人種が入り混じる多様社会で生まれたゲームだからこそ、製作陣が今まで感じた人種的問題を、ストーリーの中で実体験のように表現できている。
またゲーム内では種族問題以外にも、結婚の価値観、会社雇用の問題、自身の目標など、いろいろな葛藤を持つキャラクターが登場する。現代を生きる人間と同じような悩みを持つキャラクターたちの話を聞き仲を深めることで、彼らに大いに共感して感情移入することができる。
本作では、登場キャラクターの物語を通して「こんな葛藤を抱えているのは自分だけじゃないんだ」と、まるでプレイヤーが自分のことのように共感できる魅力がある。ストーリーは冗談を交えた軽快な会話で進んでいき、またくすっと笑える部分もあったりと、ゆったりと心を癒されるゲームである。
『コーヒートーク』のあらすじ・ストーリー
カフェ・コーヒートークの日常
雨の降るシアトルの街の一角に建つ、小さなカフェ・コーヒートーク。この店は夜にだけ開いている珍しいカフェで、店主が1人で経営している。
夜も更け、開店したカフェ・コーヒートークに1人の客が入って来た。彼女はこのカフェの常連であるフレイヤだ。フレイヤは新聞にコラムを書くライターで、いつもこのカフェで執筆作業するのが日課だった。
彼女は本を出版したいと考えており、親会社の重役に頼み込んでみたという。そして「一か月で原稿を書き上げること」という条件を出されたが、小説の題材さえまだ決まっておらず、途方にくれていた。
次に来店したのは、サキュバスの女性・ルア。彼女が一服していると、待ち合わせていたエルフの男性・ベイリースが来店した。種族がちがう彼らは、お互いの家族から交際の理解が得られていなかった。そして今日ベイリースは、ルアを侮辱した父と喧嘩をして家を出てきたと言う。ベイリースは家族との縁を切ると言うが、ルアは彼に家族と仲違いしてほしくない。話は平行線を辿り、我慢できなくなったルアは店を後にしてしまった。ベイリースも悲しげな表情で店を出て行く。
小説テーマの決定
次の日、店にはフレイヤと、警察官の男性・ジョルジが来店していた。フレイヤはジョルジに、この店で見たり聞いたりすることに基づいたストーリーを小説のテーマにすると話す。フレイヤは、昨日のルアとベイリースの悩みを聞いて、今まで大勢の人が体験したであろう種族や文化の違いについて執筆しようと考えたのだ。
その後まもなく、以前から店を訪れていた医療事務で働く大柄な人狼の男性・ガラと、彼が連れてきた表情が読めない吸血鬼の男性・ハイドが来店し、カウンターに座った。
ハイドはガラに変身の苦痛を減らす方法は見つかったかと尋ねる。人狼には変身を抑えるための抗変身薬があるが、ガラは合わず困っていたのだ。ガラはとある飲み物が特効薬がわりになると聞いたと答え、必要な材料を3つ挙げる。店主は万が一のため、その材料をメモしておいたのだった。
それぞれの苦悩
フレイヤと共に、猫耳族の女の子・レイチェルが来店した。レイチェルは、最近所属していたアイドルグループを卒業し、ソロで活動し注目されているアイドルだ。そんなレイチェルの父親は彼女の仕事に反対しており、言い争いをして家を飛び出してきたという。
そこへ夜勤休憩中にやってきたジョルジも話に加わる。ジョルジは彼女の気持ちを肯定しながらも父親とよく話し合うようアドバイスする。そして彼は気持ちの落ち着いたレイチェルをパトカーに乗せ、家まで送って行った。
翌日、ハイドとフレイヤが来店。この間ぶりにルアも来店し、元気のない様子で悩みを打ち明ける。
ルアとベイリースは、ここ最近ずっと家族のことで揉めていた。ルアの家族は皆が仲が良いが、エルフに良い印象がなく、ベイリースとの交際を応援してくれない。ルアはベイリースと結婚をしたいと思っているが、彼が家族を捨ててまで自分と結婚することを喜べなかった。そして、彼がいつか自分との結婚が失敗だと思ったり、家族を捨てたことを後悔する未来が来るのではないかと不安だった。
悩むルアに、ハイドはすべてを思いどおりに手に入れることはできない、ときには犠牲を払ってでも大切なものを選ばないといけないと切り捨てる。現実を突きつけられたルアは、言葉に詰まる。
奇妙な来店客
今日のカフェ・コーヒートークには、宇宙服を着た変わった客・ニールがやってきた。彼は異星人で、地球人の女性と交配するという任務を受け、最近地球に来たらしい。
そこへ大柄なオークの女性・マートルが来店した。ニールはマッチングアプリの女性と待ち合わせしていたため、マートルがその女性だと勘違いする。しかしマートルは顔をしかめ、彼女が欲しいのならクラブにでも行けとひと蹴りする。ニールはクラブに興味を持ったようで、場所を聞くと急いで店を出て行った。
次に来店したフレイヤは、店主に書き上げた原稿を渡し、改善点を挙げてほしいと頼む。そこにひれとエラが特徴の海棲人の女性・アクアが来店する。
店主は原稿に興味を持つアクアに気づき、フレイヤを紹介する。小説家になるのが夢ったというアクアは、今は大学の専門研究員として働き、余暇にゲームを作っているという。話を聞いていたマートルは、先日読んだ論文の作者がアクアだと気づき、会話に割り込んでくる。ゲーム会社に勤めているマートルは、とあるゲームシリーズのためアクアの論文を参考にしたという。アクアとマートルの2人は意気投合してメールアドレスを交換し、その場はお開きとなった。
店はフレイヤと店主の2人きりになった。約束通り、店主はフレイヤに原稿の細かい改善点を伝えていき、夜が明けていったのだった。
父親の気持ち
翌日、猫耳族の年老いた男性が来店した。彼はレイチェルの父親のヘンドリーで、レイチェルを自宅へ送ってきたジョルジと知り合い、彼をこの店に呼び出していたのだ。
来店したジョルジはヘンドリーと並んでカウンターに腰を下ろす。ヘンドリーは、同じ年頃の娘を持つジョルジにレイチェルのことを相談した。ジョルジは心配事が尽きないヘンドリーを落ち着かせるように、彼女の決断を信じてやれと励ます。
種族差別と判断
数日後、カフェ・コーヒートークでは、フレイヤと店主が顔を見合わせていた。フレイヤは小説に特性を持たせるため、小説の舞台を「人間しか存在しない世界」にするというのだ。フレイヤは、人間という1種族しか存在しない世界でも差別は起きる。それらを現実の種族や文化の違いにリンクさせたいと考えていた。
そこへガラとベイリースが来店する。ルアから話を聞いているというフレイヤに、ベイリースはすべての元凶である自分の家族について打ち明ける。
ベイリースは厳格なエルフ一家の出身で、家族は息子がアートという悪の道を選んだのはサキュバスであるルアのせいだと差別したという。家族を憎むベイリースは、ルアがなぜそんな家族を気にするのか理解できなかった。
すると話を聞いていたガラが種族の価値観を説く。そして、もし君がルアのために家族を捨てたら彼女の立場はもっと悪くなるし、今は思いもしなくても将来どちらかが君の判断を後悔するかもしれないと諭す。
ベイリースはガラの言葉を噛み締め、お礼を言って店を出て行った。
雇用のいざこざ
今日は開店直後、不機嫌顔のレイチェルと彼女の後を追ってヘンドリーが来店した。レイチェルがフェスのリハーサルしていたところ、ヘンドリーが彼女のマネージャーに絡んで騒ぎを起こしたのだというのだ。レイチェルは二度とスタジオには来ないでと言い、店を出ていく。
肩を落とすヘンドリーに、店主は暖かい飲み物を差し出した。ヘンドリーは、自身が20年前ガールズグループのマネージャーをしていたこと、彼女らを襲う芸能界の闇やたちの悪いファンに心をすり減らし、妻との結婚を機会にマネージャーを辞めたことを打ち明けてくれた。
翌日、突然店に現れたニールがここで雇ってほしいと交渉してきた。店主は今日限定で、ニールに店の接客を手伝ってもらうことにする。
いつものようにフレイヤが店にやってきた。フレイヤは仕事中に小説を書いていることが上司にバレ、仕事を干されてしまったのだという。
彼女は小説を書いても売れなかったらどうしようと頭を抱える。ニールはフレイヤの悲しみを汲み、彼女に温かい飲み物を差し出す。飲み物を飲んで一息落ち着いたフレイヤは、この店が温かい飲み物しか出さない理由がわかったと、少し元気になったのだった。
休暇の計画
今日は店にマートルとアクアが一緒に来店し、盛り上がっている。ゲームを完成させたアクアはゲームイベントへの出展を誘われていたが、まだ返事をしていないという。そのことを聞いたマートルが出展を手伝うことを提案し、2人は詳しい話を進めていった。
そこへ来店したフレイヤは、アクアのゲーム完成を聞き、未だ小説を書き上げられていない自分の現状にため息をつく。
実はマートルもフレイヤと同じジレンマを抱えていた。マートルは新作ゲームシリーズの開発を担当していたが、成果が出ず、今は燃え尽きた状態らしい。マートルが入社して以来、長い休暇をとっていないことを知ったアクアは、この週末は一緒に休むことを提案。2人は週末の計画を立てながら店を出て行った。
休暇は君にも必要だと、店主はフレイヤをうながす。しかしフレイヤは、仕事も失ったのに原稿が間に合わなかったら人生おしまいだと、自分を鼓舞して執筆に向かった。
2人の結末
別の日、店にやってきたベイリースは、ぐったりとした様子のフレイヤに驚く。ライター仲間から書き上げた原稿に対してダメ出しされたらしい。フレイヤはカフェイン強めの飲み物を注文したが、店主は温かい飲み物を差し出す。フレイヤは渋々、飲み物を手にいつものすみっこの席へ引っ込んでいった。
そこへルアが来店し、ベイリースとルアは喧嘩ぶりに対面することになった。ルアは話を切り出し、先日ハイドにあったことで自分が認めたくなかった現実を突きつけられたことをと打ち明ける。するとベイリースも自分の覚悟を打ち明ける。そして、不死の人生なんて望まない、君がいない人生なんて生きるに値しないと本心を伝える。2人は明日ルアの家族に会いに行くことを決め、仲よさげに店を出て行った。
ハプニングの連続
翌日、上機嫌なフレイヤが店にやって来た。彼女は店主特製の温かい飲み物のおかげでぐっすり眠れて、体調が回復したそうだ。また昨夜、ルアとベイリースのやりとりを聞き、自分がこの小説を書いている理由をあらためて思い出してやる気を出していた。
そこへ神妙な顔のガラが来店し店主に謝る。実は昨夜、突如狼化したガラが店に現れたのだ。店主は以前ガラから聞いた、抗変身薬の効果がある飲み物を彼に差し出し、窮地を逃れた。
ガラが昨晩狼化してしまったのは、病院での騒動が原因だった。昨日、抗変身薬の公的支給が始まるとニュースで取り上げられ、多くの人狼が病院に押し寄せた。ガラは凶暴化した彼らの対応に追われ、自身の対策が間に合わず、狼に変身してしまったという。
今日はさらに、頬を膨らませたレイチェルがやって来た。どうやらまた父親と揉めたそうだ。今日は国内最大級フェスの本番だったのだが、ヘンドリーが楽屋でマネージャーと言い合いになったという。レイチェルがフレイヤに不満を漏らし続けていると、力なく扉が開き、猫化してボロボロになったヘンドリーが現れた。レイチェルは悲鳴をあげヘンドリーに駆け寄り、ガラが救急車を呼ぶ。さらにガラは猫耳の専門医を呼びよせ、レイチェルと共に救急車に乗って病院へ向かっていった。
次の日レイチェルが来店し、ヘンドリーの無事を報告した。だがレイチェルは全部私のせいだと落ち込んでいた。実は昨晩ヘンドリーを襲ったのは、レイチェルのマネージャーに雇われたチンピラたちだったのだ。落ち込むレイチェルに、フレイヤは一番大切なのはあなたが無事ということだと励ました。
店には店主とフレイヤだけになった。フレイヤはこの店でさまざまな刺激を受けたことで、今日中に小説を書き上げられそうな気がしていた。フレイヤは店主に感謝をして、本を完成するべく、いつもの席で執筆を始めたのだった。
『コーヒートーク』のゲームシステム
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目次 - Contents
- 『コーヒートーク』の概要
- 『コーヒートーク』のあらすじ・ストーリー
- カフェ・コーヒートークの日常
- 小説テーマの決定
- それぞれの苦悩
- 奇妙な来店客
- 父親の気持ち
- 種族差別と判断
- 雇用のいざこざ
- 休暇の計画
- 2人の結末
- ハプニングの連続
- 『コーヒートーク』のゲームシステム
- ストーリーを楽しむ
- 客のリクエストに応える
- Tomodachill(トモダチル)
- Brewpad(ブリューパッド)
- The Evening Whispers(ザイブニングウィスパーズ)で新聞コラムを閲覧する
- ドリンク作りを楽しむ
- 基本のドリンク作り
- フリーサーブ
- チャレンジモード
- ラテアートを楽しむ
- 『コーヒートーク』の登場人物・キャラクター
- プレイヤー
- 店主
- カフェに来店する客
- フレイヤ・ファティマ
- ルア・ミラー
- ベイリース
- ジョルジ・ウィリアムス
- ガラ
- ハイド
- レイチェル・フロレンシア
- ヘンドリー・ファーロング
- ニール
- マートル
- アクア
- エージェント
- 『コーヒートーク』のアイテム
- 材料
- ベース材料
- メイン材料・サブ材料
- ドリンク
- トリプルエスプレッソ
- ガラハッド
- 『コーヒートーク』の用語
- 場所
- カフェ・コーヒートーク
- シアトル
- 種族
- サキュバス族
- エルフ族
- 人狼族(じんろうぞく)
- 吸血鬼族(きゅうけつきぞく)
- 猫耳族(ねこみみぞく)
- オーク族
- 異星人(いせいじん)
- 海棲人(かいろうじん)
- 『コーヒートーク』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- ゲームの舞台をシアトルにしたのはコーヒーで有名な地だから
- ゲーム開発の始まりは抹茶ラテで一息ついた体験
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