スター・トレック(TMP)のネタバレ解説・考察まとめ

『スター・トレック(TMP)』とは、1979年公開のアメリカのSF映画で、名作テレビシリーズ『宇宙大作戦』の劇場版第1作である。地球に接近する謎の巨大生命体ヴィジャーに対し、エンタープライズ号のクルーが挑む物語。艦長に復帰したカークと仲間たちが、その脅威を解明し、地球を救うために奮闘する。壮大な映像美と、テクノロジーと人間の関係性を描く深いテーマが、この作品の魅力である。

カークたちがヴィジャーの中心部に到達し、探査機「ヴォイジャー6号」であったことを発見する。人間の創造物が、宇宙を旅する中で進化し、感情や目的を持つようになった展開は、SF作品として非常に深遠だ。

このシーンでは、技術や科学が予期せぬ方向に進化し、その結果、創造主である人間を探し求めるという壮大なテーマが描かれている。また、ヴィジャーが「感情」を理解できないために「不完全」と感じていたことが、人間の持つ感情や経験が「完全性」においていかに重要であるかを強調している。

スポックの涙のシーンと合わせて、このヴィジャーの正体が明らかになる場面も、作品全体のテーマである「人間らしさ」や「感情の重要性」を象徴していると言える。

アイリーアとデッカーの融合

ヴィジャーに融合される中、見つめ合う二人

アイリーアとデッカーがヴィジャーの一部となり、融合の瞬間にお互いを見つめ合うシーンは、感情と理性、そして人間と機械が融合する象徴的な場面だ。二人は物理的には機械生命体であるヴィジャーと一体化するが、その瞬間に見つめ合うことで、彼らの人間的なつながりや感情がまだ残っていることを示している。

アイリーアとデッカーは、互いに対する思いを共有し、最後に感情的なつながりを確認し合うことで、ヴィジャーの「完全性」の追求が単なる機械的な進化だけでなく、感情や愛という要素が含まれていることを暗示している。

特に印象深いのは、デッカーの自己犠牲が、単なる任務や使命感だけではなく、アイリーアへの深い愛や人間的な感情が関わっている点である。彼らがヴィジャーの一部として進化しながらも、感情という人間的な要素を最後まで持ち続けていることが、物語全体に深みを与えている。

『スター・トレック』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

役作りのために髪を剃ったパーシス・カンバッタ

アイリーアを演じた、パーシス・カンバッタは、この配役の決定に伴い、実際に髪の毛を完全に剃り上げた。この彼女の姿勢は当時、非常に話題となった。

ロバート・ワイズ監督を含む制作陣のトラブル

スター・トレック(TMP)の制作中、いくつかのトラブルが発生した。

制作スケジュールの問題

本作はもともとテレビシリーズとして企画されていたため、劇場映画に変更されたことで制作期間が極端に短縮された。このため、特殊効果の作業がギリギリまで行われ、映画の完成が非常に切迫した状態で進められた。ワイズ監督自身、作品のクオリティに納得がいかず、2001年の「ディレクターズ・エディション」で再編集を行っている。

特殊効果チームとの衝突

映画の制作で最も大きな問題となったのは、特殊効果チームとの調整だった。当初、選ばれていた特殊効果の会社が、要求されていたクオリティに応えることができず、制作中にチームが変更された。映画の特殊効果を担当したジョン・ダイクストラ(スター・ウォーズの特殊効果で有名)は、新しいチームとして呼ばれたが、この交代が制作の遅延や予算の増加を引き起こした。

脚本の問題

映画の脚本も、制作中に何度も書き直された。特にヴィジャーの扱いについて、ワイズ監督やプロデューサー、脚本家の間で意見が分かれたと言われている。映画が持つ哲学的なテーマ(機械と人間、感情と理性の対立など)が中心に据えられるべきか、もっとエンターテインメント性を重視するべきかで議論があったとされている。

レナード・ニモイ(スポック役)との対立

スポック役のレナード・ニモイも当初、この映画に出演するかどうかで難しい決断を迫られていた。彼は『スター・トレック』シリーズが続く中で、自分がスポックとしてのイメージに固定されてしまうことを懸念しており、出演契約についてもワイズ監督やスタジオとトラブルがあった。最終的に出演が決まったが、出演交渉は難航したと言われている。

実際の宇宙計画にインスパイアされた作品

映画の製作にあたって、NASAの実際の宇宙計画が影響を与えています。ヴィジャーの設定は、NASAが打ち上げた無人探査機「ヴォイジャー」が由来となっています。この探査機が遠く離れた宇宙で進化し、創造主を探し求めるというストーリーは、現実の宇宙探査に対する人類の夢や好奇心を象徴しています。

2001年にリリースされたドキュメンタリー

「スター・トレック: The Motion Picture」に関連するドキュメンタリーとしては、2001年にリリースされた「Star Trek: The Motion Picture - The Director's Edition」の特典に含まれるドキュメンタリーが有名です。このドキュメンタリーでは、監督のロバート・ワイズやキャスト、製作スタッフがインタビューに応じ、映画の製作過程や、当時の技術的な挑戦、キャラクターの描写について深く掘り下げています。

特に注目すべき点は、映画が当初予定していた予算やスケジュールが膨らんでいった理由、そして映画が持つテーマ性についてのディスカッションです。製作にあたっての苦労や、当時の特殊効果がどれほど革新的だったか、また、映画の中で表現された技術と人間性の対立など、作品の奥深さを理解するための興味深い視点が多く含まれています。

さらに、パーシス・カンバッタの髪を剃る決断や、ヴィジャーのコンセプトなど、映画の制作の裏側を知ることができる内容も充実しているため、ファンや映画制作者にとっても貴重な資料となっています。

このドキュメンタリーは、映画のリマスター版などとともに販売されているため、視聴することで『TMP』の製作背景やその後の評価をより深く理解できるでしょう。

『スター・トレック』の主題歌・挿入歌

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