自殺島(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『自殺島』とは2008年より森恒二が『ヤングアニマル』にて連載していた作品。政府によって、自殺未遂の常習指定を受けた者は自殺島に送り込まれてしまうという、近未来の日本を舞台に物語が展開されていく。島に流された未遂者のセイは、同じ未遂者と共に過酷なサバイバルや人間同士の争いに巻き込まれていくが、そこで生き抜くための覚悟を決めた時、本物の友情や、愛を手に入れるセイの成長を描いていく。また生きる意味、幸せとは、という生きていく上で誰もが一度は考えるテーマに、真っ向から問いかけてくる作品でもある。

最後のセイとカイの生死をかけた戦いで、カイはセイの放った矢が体を貫き、瀕死の状態に。その時にカイは自らの特殊な性質を、セイに息も絶え絶えに話しだした。カイは人が感じる喜びや悲しみを共感できない人間だった。だが絶命寸前でカイは夕日を見ながら「ひとつ君らと共感できた事がある。この島の夕日は美しいよ それは…本当だ」と言って、息を引き取る。唯一カイが共感できた自然の美しさだけは、カイを受け止め包み込んでくれたのだ。そしてカイもまた生にもがき苦しむ、悲しき未遂者の1人だったのだと思わせるワンシーン。

セイ「僕らの…この…命は…何百年いや 何万年 繋がれてきた…命 何人もの人の苦しみ…喜び…奇跡が!繋いできてくれた… 僕に渡してくれた…!」

ナオの出産を垣間見たセイは何故生きるのか、という問いにやっと答えを導き出せた。「僕らは…死んでは…やってはいけなかった…!自ら…命を断つ事は…」と、涙をこぼしながら「僕らの…この…命は…何百年いや 何万年 繋がれてきた…命 何人もの人の苦しみ…喜び…奇跡が!繋いできてくれた… 僕に渡してくれた…!バトンなんだ…それを 皆が持ってる!繋がれてきた命の…バトンを 僕らは…捨ててはいけなかった…」セイがその答えを見出したことが、この作品の最大の伝えたかった事を表現している様にも受け取れる。

『自殺島』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

サバイバル生活を体験した原作者

自殺島の原作者の森恒二氏は漁や狩猟の体験をしており、自殺島の漫画を読むと度々やり方なども掲載している。その経験があったからこそ、自殺島のサバイバルシーンを仔細に描く事ができたと語っている。また狩猟などの体験の中で様々な肉も食しており、蛇の肉まで食べているがその味は美味だそう。

実在する島に類似する自殺島

自殺島は日本国近海に位置していると作中にあるが、その島自体が八丈島と八丈小島にそっくりだと言われている。リョウが自殺島の脱出を図るときにスギは「東と西は進んじゃダメだ…太平洋沖に進めば助からない 北だ!!ここが沖縄もしくは伊豆諸島の海域だとして 北に進めば…」と話しているように、地理的にも八丈島と八丈小島に類似している部分がある。

登場人物の名前は作者の知り合いが由来

『日刊SPA!』にて、原作者の森恒二氏は自殺島などのキャラクターの名前を考えるときに、7~8割で知り合いの名前をつけると話している。キャラクターの名前を考えるのが億劫だからという理由ではなく、知り合いに似ているキャラクターを深堀した後、別の名前をあてがうとキャラクターが動きにくくなるからだそう。だから実在の人物の名前を使用することで「この時このキャラクターはこう動く」など、物語を円滑に展開していくためにそうしているのだそうだ。しかし物語の展開によっては、キャラクターに違う動きをして欲しい時には、あえて少し名前を変更する事もあると原作者は語っていた。

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