自殺島(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『自殺島』とは2008年より森恒二が『ヤングアニマル』にて連載していた作品。政府によって、自殺未遂の常習指定を受けた者は自殺島に送り込まれてしまうという、近未来の日本を舞台に物語が展開されていく。島に流された未遂者のセイは、同じ未遂者と共に過酷なサバイバルや人間同士の争いに巻き込まれていくが、そこで生き抜くための覚悟を決めた時、本物の友情や、愛を手に入れるセイの成長を描いていく。また生きる意味、幸せとは、という生きていく上で誰もが一度は考えるテーマに、真っ向から問いかけてくる作品でもある。

自殺島から逃亡してくる人間を監視している。自殺島にいる未遂者が日本国近海に近づけば、不法侵入者としてみなされる。リョウも保護してもらうために乗っていたイカダから救助を要請したが、領海侵犯したとされ発砲されている。

ID

国民は全員IDで管理されており、自殺島に来ていた未遂者たちは死亡というかたちでIDを消滅させられている。

イキルの島

政府の特別自治区見直しにより自殺島は開放され、後にイキルの島として改名された。
特別自治を保ったまま島は自殺未遂者や不登校者による更生プログラムに活用されることで、国や各団体からの支援を受けてられている。

『自殺島』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

セイ「最期に…生きたいと言っていました 漁をした日から そう思うようになったって…」

島に来てからというもの、手探りで漁をしていた未遂者たち。だがそこでちょっとしたことで喧嘩が起き、その致命傷が原因で喧嘩したひとりは亡くなってしまった。皆が墓を作って埋めた時、セイが仲間に「最後に…生きたいと言っていました 漁をした日から そう思うようになったって…」と言って涙した。皆もまた死を悼み泣いたのは、仲間だったから。少しづつ仲間意識ができ、死ばかり願っていた彼らの心境にも変化が起きたことを示唆する場面だ。

セイ「奪うだけじゃなく 与えるだけじゃない この島に寄り添って…生きてていいんだ僕らは 廻る命の輪の中で」

自殺未遂者であるセイたちにとって、街で暮らしていた頃の人生は苦痛そのものだった。しかし死を選んだ自分に、生きる価値や意味があるのかと自問もしていた。だが島で増えすぎた山羊を捕食することで、島に調和が生まれると気づいたセイは「奪うだけじゃなく 与えるだけじゃない この島に寄り添って…生きてていいんだ僕らは 廻る命の輪の中で」と話し、ここでは人間もまた無くてはならない生態系のひとつだと捉えた。全ての命に不必要なものなんてないのだという、未遂者にとっての希望を象徴する言葉となった。

スギ「気がついたことがある 人生は1人では味わいにくいという事だ」

意中のナオを襲う荒くれ者の男に、逆上したケンが男を殺害。翌日集落近くで他殺体として発見されて以来、ケンは罪に苛まれ次第に周囲に当たり散らす。その時スギがケンを釣りに誘い、言った言葉。「気がついたことがある。人生は1人では味わいにくいという事だ」と言い、さらに「ケン、おまえみたいな素直なやつといると、いい事も嫌な事も共有できる。1人では大きく感じられなかった事も…。ありがとうな。オマエらは、オレの大切な一部だ。だから…な、オマエのやった事、オマエのつらい事も全部…共有するぞ」と言われ、ケンは涙する。思慮深く仲間思いのスギらしい発言に、心が打たれるセリフ。

セイ「僕は今幸せだ」

以前トモがセイに「人以外の生き物はただ生きる事のみで幸せを感じることが出来る」と言った言葉を受けて、セイはリヴに「人もそうなんだって今は思う 僕は今幸せだ」と、素直な心の内を告げる。セイは島に来る前、競争社会で勝つことが幸せ、何かを得ることが幸せだと教えられ、できない自分は駄目だと思っていた。しかし島に来て駄目とは何だろう、何故人は生きるのだと自問していた。だが今、鳥の声、水の音を聞き、空腹ではなく痛みもない、ただそれだけで幸せだし、幸せだと感じられるんだとセイは生きる喜びを実感する。幸せとは探すものではなく、幸せを感じる能力の事だ、というメッセージが伝わってくる。

リヴ「自分の命も私と同じくらい大切にして これから何があっても生きるって…どんな時も二つの命は一つだって」

セイ、リヴが山側のグループを抜けて2人で暮らす日々が幸せに感じるほど、不安がよぎるサワダの存在。問題解決のためにいつかはサワダ率いる海側グループと戦わなければならないが、リヴはその戦いでもしセイを失ったら…と不安がぬぐえない。リヴが「自分の命も私と同じくらい大切にして これから何があっても生きるって…どんな時も二つの命は一つだって」とセイに告げる。リヴのセイを想う真っすぐで深い愛ゆえの言葉に、彼女の本気の気持ちがグッと伝わる。

カイ「ひとつ君らと共感できた事がある この島の夕日は美しいよ。それは…本当だ」

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