鵺の陰陽師(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『鵺の陰陽師』(ぬえのおんみょうじ)とは、陰陽師と幻妖の戦いを描いた川江康太によるファンタジー漫画。青春ラブコメ要素も多く、迫力あるバトルパートとギャグ調子の日常ラブコメパートの緩急が読者を引き込む。バトルシーンは細部まで書き込みがされており、迫力も満点。「次に来るマンガ2024」のコミックス部門で第7位となるほど人気がある。
主人公の矢島学郎は、学校で鵺という幻妖(妖怪のような存在)と出会う。封印されて思うように発揮できない鵺の代わりに、矢島は幻妖との戦いに身を投じることになるのだった。

『鵺の陰陽師』の概要

『鵺の陰陽師』(ぬえのおんみょうじ)とは、陰陽師と幻妖の戦いを描いた川江康太によるファンタジー漫画。現代の学園を舞台に、幻妖(げんよう)と呼ばれる妖怪のような存在と陰陽術を使う人間の戦いを描いた陰陽師譚である。青春ラブコメ要素も多く、迫力あるバトルパートとギャグ調子の日常ラブコメパートの緩急が読者を引き込む。バトルシーンは細部まで書き込みがされており、迫力も満点。「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」で11位を、「次に来るマンガ2024」のコミックス部門では第7位を獲得した。

主人公の矢島学郎(やじま がくろう)は、北高に通う男子高校生。ある日矢島は学校で人間の女性の姿をした鵺(ぬえ)という幻妖(妖怪のような存在)と出会った。北高に封印されて思うように発揮できない鵺は、矢島に自分の代わりに学校に巣食う幻妖と戦ってほしいと願い出た。矢島はそれを受け、幻妖と戦う力を手にする。やがて矢島は陰陽師と幻妖の大きな戦いに身を投じることとなるのだった。

『鵺の陰陽師』のあらすじ・ストーリー

夜島学郎と鵺の出会い

封印された鵺(左)と出会った主人公の夜島学郎(右)。

主人公の夜島学郎(やじま がくろう)は、篝弥市(かがりやし)の北高に通う男子高校生。夜島は普通の人には見えない幻妖(げんよう)という怪異が見える特殊な体質を持っている。そんな夜島はある日、学校内で鵺(ぬえ)という美しい女性の姿をした幻妖に出会う。人に悪影響をもたらす幻妖でありながら人が好きだという鵺は、北高に封印されており、本来の力を発揮することができない。そこで素質がある夜島に自分の代わりに学校に集まってくる幻妖を倒してほしいと鵺は夜島に頼んだ。しかし夜島はそれを断る。夜島は幼い頃に目の前で父・夜島拓郎(やじま たくろう)を幻妖に殺されており、以来、臆病で日和見な性格になってしまったのだ。しかし夜島はその後、クラスメイトが幻妖い襲われる場面に直面する。夜島はクラスメイトの膳野忍八(ぜんの じんぱち)が自分をいじめていたクラスメイトまで救おうと立ち向かっている姿を見て、自分を奮い立たせた。「俺に力を下さい」と夜島は鵺に願う。鵺はそれに応えて夜島に力を授けた。そうして夜島は鵺と契約し、幻妖を倒す戦いの日々を送り始めるのだった。

陰陽寮 討伐隊 第6支部設立

夜島は学校に巣食う幻妖を退治する日々を過ごす。幻妖と戦う陰陽師の組織・陰陽寮から派遣されて学校に通う学生陰陽師・周防七咲(すおう かずさ)と出会い、幻妖を退治することを目的としたオカルト部を立ち上げた。夜島は周防と共に学校の幻妖を倒し始めた。そんなある日、北高に転校生がやってきた。藤乃代葉(ふじの しろは)と名乗る少女は、陰陽師の中でも歴史が古く、影響力がある二大旧家(にだいきゅうか)・藤乃家の人間だった。藤乃の目的は矢島が契約している鵺と契約を結ぶことだった。

幻妖と契約することは誰もが簡単にできることではない。天性の才能が必要であり、藤乃にはその素質があった。藤乃家に長年協力をしている狂骨(きょうこつ)という幻妖と契約を結んでおり、その力を持って鵺を夜島から奪うのが目的だった。鵺は1,000年以上生きる大妖怪であり、鏖(ひょう)と呼ばれる幻妖の始祖の1人だった。鏖は全部で6体おり、その全てが篝弥市に封印されている。鏖の1つ1つに陰陽寮の討伐隊が警護についている状態だった。鏖はかつて人口の2/3を灰にしたという強大な力を持つ幻妖であり、その封印が近々解けるという。しかし陰陽寮は鵺が封印されている場所だけはずっとわからなかった。その情報をいち早く知った藤乃家が藤乃代葉を送り込んできたのだ。夜島は藤乃と戦い、なんとか勝利する。しかし今度は藤乃家No.2の陰陽師・藤乃双斧(ふじの もろよき)が襲撃してきた。夜島と鵺は力を合わせて辛くも勝利する。

陰陽寮の本部では鵺への対策を本格的に始まった。鵺が封印されている北高に討伐隊の隊長達が集まり、その警護などに当たる第6支部の人員選出のためである。鵺はそこに直接乗り込み、夜島を隊長とした6番目の部隊の設立を進言。その第6支部を警護として北高に配置するように要求した。素性もわからない、実力もない夜島を隊長にすることに隊長達は反対。そもそも鵺を信用できないと言う。幻妖は人に仇なす者であり、人間の敵。そんな幻妖の祖の1人である鵺を信用しろというほうが確かに無理なことだった。鵺はそれならばと自身の「真名(まな)」を明かす。「真名」とは幻妖は本当の名前で、弱点でもある。真名を知られるということは、鏖にとって自身の命を差し出したも同意義だった。討伐隊の隊長達は鵺の誠意に応えて、条件付きで夜島を第6支部の隊長として任命するのだった。

レベル4との邂逅

第6支部のメンバーは周防、藤乃代葉は、そして新しくやってきた女性隊員の留袖四衲(とめそで しとつ)が所属。留袖は夜島の生き別れた妹だった。血の繋がりはないが幼い頃は一緒に生活をしていた仲である。留袖は父親・拓郎が幻妖に殺された時に復讐の道を選んで陰陽師になるために夜島の元を去った。しかし夜島は戦うことをやめ、一緒に平和に暮らすことを望んでいた。そのため留袖は夜島のことをあまり良く思っておらず、最初は第6支部で一緒に行動するのを嫌がっていたが、なんとか普通のコミュニケーションを取れるほどの仲にまで回復した。

そんな第6支部の初任務はおつかい。鍔女山(つばめやま)の美執村(みとりむら)に行き、鵺が復活するのに必要な道具を取ってくることだった。美執村には特殊な結界が貼られており、幻妖は一切いない。行って帰ってくるだけの簡単な任務のはずだった。しかし夜島達が着いた美執村は幻妖の襲撃に遭って危険な状態だった。人間を殺すようになるレベル2の幻妖でさえ珍しいというのに、美執村はレベル4の人型で知性がある幻妖に襲われていた。護衛の陰陽師もほぼ壊滅。北高に封印されている鵺の助力も期待できず、陰陽寮への連絡も取れない状況で、夜島達は絶体絶命だった。

しかしなんとか夜島達で耐え凌ぎ、鵺や隊長達が応援に駆けつける。しかし鵺の復活に必要な道具は半分持ち去られ、夜島以外の隊員は重症。誰も死なずに済んだのが奇跡的な状況だった。

祭祀刀を巡って

美執村でコテンパンにやられた夜島達はそれぞれ修行に明け暮れる。その間、鵺は自身復活のために動いていた。鏖を復活させようとしているレベル4の幻妖の集団の存在が確認された今、1分1秒でも無駄にすることはできない。

修行が始まってから7日目。祭祀刀(さいしとう)の保管場所に幻妖の侵入する気配を鵺は感じた。祭祀刀とは鵺が復活するために必要な道具であり、それを破壊されてしまうと鵺は復活することができなくなる。鵺は修行中の夜島達を集め、すぐさま保管場所へ向かおうとした。しかし北高にもレベル4・白沢(はくたく)がやってきていた。白沢の足止めは藤乃代葉と留袖が請け負い、夜島と周防は祭祀刀の保管場所へと向かう。夜島達はそこにいた輪入道(わにゅうどう)というレベル4の幻妖と戦い、なんとか勝利する。そして祭祀刀を守りきった。

祭祀刀を守りきったことで鵺の力が復活する。その力で鵺は白沢を圧倒し、封印を施した。と、そこへ今度は儡脊(らいせい)と呼ばれる顔で布を隠した謎の人物が現れる。儡脊は鵺のことをよく知っていた。それもそのはずで、鵺を北高に封印したのは儡脊だったのだ。討伐隊の隊長達も駆けつけ、儡脊を取り押さえる。しかし儡脊は切り札を使った。儡脊は鏖の一角である火車(かしゃ)と契約を結んでいたのだ。火車の絶大な力で辺り一帯が消し飛ばされそうになるが、鵺がそれに対抗。土地は散々に荒れ果てたが、誰一人死なせることなく、儡脊と火車を撤退させることに成功するのだった。

『鵺の陰陽師』の登場人物・キャラクター

主要人物

夜島学郎(やじま がくろう)

CV(ボイスコミック):伊月登宇聖、藍谷早咲(幼少期)

『鵺の陰陽師』の主人公の少年。北高に通う高校1年生。過去に目の前で幻妖に父親を殺されており、それによってとても臆病で日和見な性格になってしまっていた。鵺に幻妖退治を頼まれた時も一度断っている。しかし友達や仲間を守るために己を奮い立たせて、鵺の契約者として幻妖との戦いに身を投じていくようになった。

鵺(ぬえ)/夜島沙鵺子(やじま さやこ)

CV(ボイスコミック):沼倉愛美

夜島の通う北高に封印されている幻妖。鏖(ひょう)と呼ばれる幻妖の祖の1体である。人のことが大好きであり、全ての鏖を誰も死なせることなく殺すことが目的。お茶目で自由奔放。夜島と出会ってから学校内を出歩けるようになり、日々学生に紛れて女子高生ライフを楽しんでいる。学内では夜島沙鵺子(やじま さやこ)という名を名乗っており、夜島と血が繋がっていない姉という設定を通している。

夜島学郎の仲間

周防七咲(すおう かずさ)

CV(ボイスコミック):鈴代紗弓

陰陽寮に所属する女子高生陰陽師。夜島の先輩であり、幻妖の発生が多い北高に派遣されていた。後に夜島が隊長を務める第6支部に所属するようになる。桜楼晴日(おうつき はるひ)というとても優秀な陰陽師の許嫁がいたが、幻妖によって殺されてしまっている。その過去のせいか明るい性格の中、どこか暗い表情を落とすことが多い。いつも付けているリボンは許嫁からのプレゼントで形見。

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