アノネ、（漫画）のネタバレ解説・考察まとめ
『アノネ、』とは、今日マチ子によって秋田書店の『Eleganceイブ』の2011年4月号から2013年6月号にかけて連載された戦争漫画である。単行本は上巻が2012年12月に、下巻が2013年7月に、それぞれ秋田書店より刊行された。
『アンネの日記』から着想を得て描かれた物語。アンネフランクをモチーフとする少女・花子と、アドルフヒトラーをモチーフとする青年が不思議な四角い部屋で出会い恋をするというフィクションならではの展開と、2人が巻き込まれていく戦争の悲惨さが見どころである。
隠れ家の人々
三船さん （みふねさん）
花子の父が経営するジャム会社の社員。浅田家の隠れ家での生活をサポートする。花子たちが収容所に連行されたあと、花子の日記を見つけて保管し、生還した花子の父に手渡した。
藤原 浩 （ふじわら ひろし）
浅田家の隠れ家で共同生活を行うようになった藤原家の息子。猫の桃（もも）を飼っている。口下手で内気な性格から当初は真子と花子に馬鹿にされ、「ピロシ」というあだ名をつけられる。やがて花子と恋愛関係になり、屋根裏部屋でしばしば2人きりで過ごすようになる。
収容所に連行されたのちは、焼却炉で死体を火葬する係につき、知り合いの死体が運ばれてくるたびに心を痛めていた。雪の日、桃と雪で遊んだ日のことを思い出しながら命を落とした。
浩の父（ひろしのちち）
浅田家の隠れ家で共同生活を行うようになった藤原家の一員。気弱な浩を心配し、「このままでは兵隊にもなれない！」と叱っていた。強制収容所に先行された後は、花子の父とともに強制労働に従事するが、隠れ家のメンバーの中では最も早く亡くなってしまう。
浩の母（ひろしのはは）
浅田家の隠れ家で共同生活を行うようになった藤原家の一員。母の手伝いをよくする真子を見て、手伝いをしない浩のことを嘆いていた。
桃（もも）
浩の飼い猫。飼い猫のキティを自宅に置き去りにせざるを得なかった花子は、最初は浩と桃のことをよく思っていなかったが、次第に桃のことも受け入れていく。
気が滅入る隠れ家の生活で、皆に愛嬌を振りまいてくれる存在だったが、ある日隠れ家を脱走する。その後は、キティを拾ってくれた花子の小学校の頃の同級生に拾われた。
収容所の人々
原 麗子 （はられいこ）
花子と真子が連行された小屋で責任者を務める元有名女優。収容所で脱走を図る者やルール違反を犯そうとする者を厳しく取り締まり、上官からの評価を勝ち得ていた。
ブロック長に昇進した際には、自身の後任として花子を小屋の責任者に抜擢した。
ブロック長に割り当てられる部屋の床が土であったことから、脱出のための穴を密かに掘り進めており、真子と花子にもそれを手伝わせようとする。しかし姉妹によって麗子の計画は明るみになり、最終的には処刑されてしまう。
フミ子（ふみこ）
花子の同級生で、花子と同じく東方系の少女。花子からは「フミちゃん」と呼ばれている。みんなの人気者である花子をまぶしく思い、花子の女優になるという夢を応援している。
花子たちが隠れ家に移り住んでからは会うことがなくなっていたが、収容所で花子と真子と再会を果たす。フミちゃんは持っているすべての飴玉を花子に与え、花子たちと別れてまもなく息を引き取った。
太郎の家族
太郎の父 （たろうのちち）
太郎の父。太郎の回想シーンに登場するが、白い影のような姿で描かれている。
太郎が画家になることを反対し、時には暴力も使って太郎に夢をあきらめさせようとする。「父親が死ねば画家になれる」という太郎の願いが通じたのか、交通事故に遭って急死する。
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目次 - Contents
- 『アノネ、』の概要
- 『アノネ、』のあらすじ・ストーリー
- 東方系の花子の一家が隠れ家へ移住
- 隠れ家での暮らしと四角い部屋の幻想
- 花子の第2次性徴とはじめての恋
- 画家を目指す太郎のもとに現れたもう1人の自分
- 通過収容所での暮らしと原麗子との出会い
- 強制収容所での過酷な毎日
- 過酷な環境で衰弱していく人々
- 独裁者の道を歩む太郎
- 自分は主人公にはなれないと悟る真子
- 命を落としていく人々と破滅に向かう総統
- 脱走を企てた麗子の最期
- 真子の死と花子の物語の終わり
- 戦争の終焉
- 『アノネ、』の登場人物・キャラクター
- 主要人物
- 浅田 花子 （あさだ はなこ）
- 太郎 （たろう）
- 浅田家の人々
- 浅田 真子 （あさだ まこ）
- 花子の父 （はなこのちち）
- 花子の母 （はなこのはは）
- キティ
- 隠れ家の人々
- 三船さん （みふねさん）
- 藤原 浩 （ふじわら ひろし）
- 浩の父（ひろしのちち）
- 浩の母（ひろしのはは）
- 桃（もも）
- 収容所の人々
- 原 麗子 （はられいこ）
- フミ子（ふみこ）
- 太郎の家族
- 太郎の父 （たろうのちち）
- 太郎の母 （たろうのはは）
- その他
- 総統 （そうとう）
- 恵麻（えま）
- 『アノネ、』の用語
- 東方系（とうほうけい）
- 新制帝国 （しんせいていこく）
- 邦照国 （ね－でるらんど）
- 強制収容所（きょうせいしゅうようじょ）
- 『アノネ、』の名言・名セリフ／名シーン・名場面
- 浅田真子「花子がずっと夢をみつづけていられますように」
- 浅田花子「わたし、主人公じゃなかったの？」
- 浅田花子「あなたが永遠にひとりでも正しい道を歩めるように」
- 『アノネ、』の裏話・トリビア・小ネタ／エピソード・逸話
- 『アノネ、』は戦争をエンタメとして描いた作品
- 『アノネ、』の登場人物がすべて日本名なのはエンタメを強調するため
- 戦争とリンクする「お菓子」のモチーフ