何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?』とは、原作井出圭亮、作画藤本ケンシによる『週刊ヤングマガジン』(講談社)で連載されていた漫画。天正10年(1582年)、織田信長(おだのぶなが)は、本能寺において、最期の時を迎えようとしていた。そこにクマを名乗る謎の生き物が現れ、死の原因まで時を戻し、やりなおしをさせてやると告げる。信長は自身の死の運命を変えるべく、時をやり直し、天下布武への道を再び歩み出す。

『何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?』の概要

『何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?』とは、原作井出圭亮、作画藤本ケンシによる『週刊ヤングマガジン(講談社)』で連載されていた漫画。天正10年(1582年)、織田信長(おだのぶなが)は、本能寺において、最期の時を迎えようとしていた。明智光秀(あけちみつひで)の謀反により、火が放たれ、死んだかに思われた信長であったが、気がつくと、本能寺とは別の空間におり、目の前にはクマ(くま)を名乗る謎の生き物が現れた。クマ曰く、本能寺で信長が死を迎えることは、歴史の必然であり、その原因は信長の言動にあるとしたうえで、死の原因となった時まで時を戻し、やりなおしをさせてやるとのことであった。何が何だか分からない信長であったが、自身の死の運命を変えるべく、時をやり直し天下布武を再び目指すことを心に誓う信長であった。本作は、歴史的な事件をユーモラスに描きつつ、キャラクターの成長や人間関係の深まりを通じて、運命に抗う力を描いている本作は、緊張感とコミカルな要素が絶妙に融合している。

『何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?』のあらすじ・ストーリー

やり直しの始まり

天正10年(1582年)、織田信長(おだのぶなが)は、本能寺において、最期の時を迎えようとしていた。明智光秀(あけちみつひで)の謀反により、火が放たれ、死んだかに思われた信長であったが、気がつくと、本能寺とは別の空間におり、目の前にはクマ(くま)を名乗る生き物が現れた。クマ曰く、本能寺で信長が死を迎えることは、歴史の必然であり、その原因は信長の言動にあるとしたうえで、死の原因となった時まで時を戻し、やりなおしをさせてやるとのことであった。次の瞬間、信長は、何事もなかったかのように本能寺の変の7年前の時に戻っていた。記憶が曖昧となっていた信長であったが、光秀に裏切られたことを断片的に思い出し、思わず光秀を斬殺してしまう。次の瞬間、信長は、炎が舞い上がる天正10年の本能寺に再び立っていた。ただし、今回は、光秀が7年前に信長が斬り殺したとして歴史が進行し、謀反人が柴田勝家(しばたかついえ)に変更されていた。柴田勝家に殺された信長は、再び謎の空間に飛ばされ、クマと応対する。そこでクマから、本能寺で死を迎えると謎の空間に飛ばされること、そこで本能寺での死の原因がある時点まで時を戻すこと、原因を解決し、本能寺で死ぬ運命を変えるまで、繰り返されること、などの説明がなされた。何が何だか分からない信長であったが、クマから「生き延びるためには人を殺してはいけない」とのルールを教えられ、生き延びるべく、何度も時をやり直す物語が始まった。

本能寺の変の原因究明

どうも光秀が陰腹をしてまでも伝えたいことがあることを掴んだ信長は、先手を打って光秀の話を聞くこととした。光秀の話によると、土佐の長宗我部家と敵対しないよう忠言することを考えていたとのことであった。信長は、光秀に対して、光秀自身が織田家と長宗我部家との間を取り持つことで、敵対関係にさせないように命令した。すると、時空が歪み、明智光秀が覇権を握り、燃えていない本能寺にて敵に囲まれている時空に到着した。敵に囲まれていることには変わりがないが、本能寺が燃えていないことに今までとの違いを感じとった信長は、この時空で少しでも長く生き延びること、長宗我部家への想いを汲んでまでも光秀が謀反を起こしている原因を探るため行動を開始する。しかし、すぐに絶体絶命のピンチに陥った信長を助けたのは、鎧武者の格好をした侍女のお遥(およう)であった。この時空のお遥は、悪事が発覚することを恐れた信長に、口封じとして金平糖を与えられ続け、それを恩に感じ、信長を守るため武者修行で強くなっていたのであった。お遥の活躍により、ピンチを退けた信長一行は、一般市民に扮し、明智光秀が待つ須弥城に乗り込むこととなった。

須弥城への潜入

須弥城に入る一般市民の列に紛れることに成功した信長一行であったが、須弥城に入るにあたって雑賀孫一による踏み絵の検問を潜り抜ける必要があった。絵を踏むことのできなかったお遥は、孫一に処刑される寸前までいったが、そこに羽柴秀吉が現れ、処刑は回避できたものの、秀吉に正体がばれ、城内の有力な武将たちを呼ばれてしまった。再びの絶体絶命のピンチに一度は命を失った信長は、時を戻し、松永久秀が謀反の計画を立てていることを秀吉達に伝え、そのドタバタの中で城の中に潜入することに成功した。潜入した信長とお遥であったが、ひょんなことから明智光秀の娘の玉姫と共に光秀が待つ部屋に向かうこととなった。光秀と相まみえることとなった信長は、光秀と膝を突き合わせ、話をすることとなった。一度は意気投合した信長と光秀であったが、信長のお遥に対する優しさを見て光秀が怒りをあらわにし、お遥と斉藤利三との一騎打ちに突入することになった。一騎打ちの最中、光秀の殺意の根源を探る信長は、光秀が濃姫のことで怒りを覚えていると理解した。その後、斉藤利三とお遥との戦いは、斉藤利三の勝利で終わり、お遥は切り捨てられ、死が目前に迫っていた。光秀に命は取られなかった信長であったが、死を待つお遥を残して逃げることは良しとせず、共に死を迎え、この時空を後にすることとなった。

伊達家との同盟

天正10年を経て、再び元の時空に戻ってきた信長は、今までの経験を元に、光秀の長宗我部家への派遣、長宗我部家との同盟関係の構築、本願寺派の木津砦への強襲、本願寺派との和睦などを行った上で、奥州出羽統一のため、伊達家に出発した。途中ハプニングに見舞われたものの、無事に伊達家についた信長は、信長のやり直しに巻き込まれた結果、人間になったクマに遭遇した。クマから、新たに信長が行った行動の結果が記される巻物を渡され、やり直しに勢いがつくかに思えた信長であったが、本来死んでいるはずの上杉謙信から猛攻を受ける未来が確定したことを知り、絶望感に苛まれた。謙信という強敵に恐れをなし、天下布武を諦めかけた信長であったが、濃姫との約束を思い出し、謙信と戦い、天下布武を目指すため、ひとまず様子見をすることとなった。伊達家において骨肉の後継者争いが行われていることが判明したり、巻物の力によって本能寺に戻らずともやり直しができるようになるなど色々あって、着々と対謙信戦への準備を進める信長。そんなとき、お遥の様子がおかしくなり、話を聞くと天正10年のお遥の記憶が今のお遥に共有されているようであった。苦しむお遥であったが、気合を入れなおし、未来の自分を受け入れることで、特異点として時空を股にかける存在となった。

再びの天正10年

お遥が特異点となったのもつかの間、再び天正10年の本能寺に飛ばされてしまう信長。今までとの違いは、特異点となったお遥も一緒に飛ばされたようであった。本能寺は敵に囲まれており、ピンチであったが、そこに伊達政宗と政道の兄弟が駆けつけて来て、ピンチを切り抜けることに成功した。政宗達の話によると、この時空では信長が上杉謙信を打ち倒しているとのことであり、その方法を知るため、また、濃姫を大事にしていてもなお戦を挑んできている光秀の戦の理由を知るため、信長は行動を開始することとなった。本願寺の宗主となった羽柴秀吉などにより、ピンチに陥る信長であったが、伊達政宗、政道、玉姫の命をかけた献身により、なんとか本能寺にたどり着いたかに思われたが、寸前のところで本願寺が壊されてしまう。本願寺が壊されてはやり直しができないと絶望する信長であったが、実はこの時空では第2の本願寺を建設しており、そこから時をやり直せるかの賭けにでることとなった。強敵に追い立てられ、第2の本願寺に着くのを邪魔される信長であったが、なんとか第2の本願寺で死ぬことに成功し、無事やり直しが成功した。

上杉謙信攻略戦

再び天正3年に戻ってきた信長は、対上杉謙信の攻略に向け動き出した。武田勝頼との同盟、前田利家の伊達家合流、伊達家お家騒動の終結、越後上布のヘイトスピーチを画策した上で、いよいよ上杉謙信と川中島にて決戦を行うこととした。しかし、武田との同盟は結べず、伊達もお家騒動が決着がついていないため、戦力が整えられず、序盤から厳しい戦いになると思われた。小手始めに上杉は、かつて川中島で武田信玄にやられた啄木鳥戦法を繰り出すが、信長の策により失敗に終わる。実は信長は、巻物の未来を体験できる効果により、川中島の戦いを体験できるだけ体験して戦に臨んでおり、そのため敵の戦略への事前準備がばっちりとなっていた。また、上杉謙信を攻略するに当たり、上杉謙信の策を全て受け止め看破することとするもてなしの戦を行うこととしていた。喜ぶ謙信は次々と強力な策を繰り出すが、その全てに応対する信長。宿命のラスボス明智光秀も駆けつけさせ、全力で謙信に応じるのであった。しかし、数々の体験をした信長にも予想ができない事態が発生し、ピンチに陥る信長であったが、伊達家が二君制を取ることでお家騒動が終結し、戦に参加することができた。伊達家の強襲により、一気に優勢となった信長は、撤退する上杉軍と最後の戦いに挑む。総力戦となり、最後は謙信対信長の一騎討ちで勝敗を決めることとなった。深手を負う信長であったが、辛くも勝利を得ることができた。

東の魔王VS西の覇王

見事上杉謙信を倒し、なおかつ仲間に引き込んだ信長は、東の信長連合軍と西の光秀連合軍が天下分け目の大戦を繰り広げる天正10年の京に移動した。謙信を仲間に引き入れ、伊達家の全面協力を得てもなお互角の戦いを演じる光秀であったが、もはや魔王ではなく英雄ともいえる活躍を見せた信長に対し、背後に迫る光秀軍の殺意が低下する。背後の憂いを払った信長は、全身全霊で明智光秀が待つ本能寺に向け進軍を開始した。燃える本能寺の玄関には、主君を守るべく獅子奮迅の活躍を見せる斉藤利三の姿があった。信長の命をも狙う利三であったが、そこをかつての別の時空における弟子お遥が立ちふさがる。旧師弟の戦いを尻目に、信長は自刃をしようとしている光秀のもとに急ぐ。そして、光秀のもとにたどり着いた信長が見たのは、血を流して倒れる光秀と、返り血を浴びた濃姫の姿であった。光秀を生かすつもりであった信長は、死を煽った濃姫を罵倒する。すると、濃姫は、感情を顕にしたかと思うと、自身が時を繰り返していたことをカミングアウトし、世界の崩壊を願った。その瞬間、時空が大きく歪み、気がつくと信長は、若かりし頃の自分の姿で浜辺に寝そべっていた。

時空の平定

何が何だか分からない信長は、突然暴徒に襲われ、命を落とすと燃える本能寺に飛んだ。そして、本能寺でも命を落とすと、再び知らない浜辺で寝そべっていた。再び暴徒に襲われるが、そこには若かりし頃の濃姫もおり、生き残らなければ永遠にこの時空が続くようであった。そこで、濃姫を怒らせ、濃姫の手で暴徒を始末させることに成功した。すると何も無い時空に飛ばされ、そこには概念となった濃姫がいた。濃姫曰く、濃姫のせいで現在全ての時空が壊れてしまっており、時空を修復し、元の時空に戻すためには飛ばされる時空にて、課題をクリアする必要があるとのこと。信長は全ての課題をクリアすることを心に決め、次の課題に向かうのであった。途中、玉姫の姿となっていたクマ、お遥と合流し、数々の困難な状況にやられながらも、なんとか最終試練の超本能寺からの脱出に挑むこととなった。様々な強敵からの妨害を受けつつも、濃姫を救い出し、なんとかゴール付近まで来た信長は、そこで宿命の明智光秀と絶対的な味方であったはずの徳川家康に出会った。ラスボスとして君臨する両者の、猛攻が始まるかと思われたその時、突如明智光秀が徳川家康を裏切った。光秀は、全ては覚えていないにしても、信長との因縁から過去のやり直しの記憶を断片的に覚えており、それゆえ信長に与することに決めたのであった。光秀の助力もあり、なんとか超本能寺から脱出することに成功した信長は、無事に時空を元に戻す事ができた。そして、時は天正3年に戻り、信長が天下を取る物語が進み出す。

『何度、時をくりかえしても本能寺が燃えるんじゃが!?』の登場人物・キャラクター

主要キャラクター

織田信長(おだのぶなが)

尾張国の大名で主人公。天正10年(1582年)、当時、最も天下布武に近い有力者であったが、道半ばで部下の明智光秀の謀反により、本能寺で倒れた。しかし、突如現れたクマを名乗る謎の生物に本能寺の変の原因を探るためやり直しをするよう機会を与えられた結果、その原因となる天正3年の軍議の場に飛ばされた。そこから明智光秀の謀反の原因を探り、それを阻止し、再び天下人として人生を全うするため、何度もやり直しを繰り返すこととなる。信長が人を殺すなど失敗するたびに天正10年の本能寺に飛ばされ、そこで必ず謀反に遭い最期を迎える。冷徹で無人情な性格であり、目的のためには他人を利用しつくし、大量虐殺をも辞さない非人道的な性格。しかし、やり直しを繰り返すたび、自身の苛烈な性格が謀反を引き起こすことを理解し、また、お遥、濃姫との関わりの中で、他者を思いやることの重要性を知ることとなる。ゆくゆくは、非情に徹する強さを持ちつつも、他者を思いやり、部下の士気を高めたり、和平や懐柔を駆使して他国と協調するなど、剛柔合わせ持った英雄とも呼べる人物に成長する。

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