片田舎のおっさん、剣聖になる(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『片田舎のおっさん、剣聖になる』とは、佐賀崎しげるによるファンタジーライトノベル、およびそれを原作とした漫画、アニメ作品である。小説投稿サイト「小説家になろう」にて2020年より連載を開始した。田舎で剣術道場を開いていた中年剣士ベリル・ガーデナントが、大成した弟子たちの推薦によって騎士団の指南役に指名され、無自覚ながらその実力を周囲に知らしめていくというストーリー。自己評価は低いが実は凄腕なベリルのギャップや、ベリルと彼を慕う弟子たちとの温かい交友が見どころの作品。

『片田舎のおっさん、剣聖になる』の概要

『片田舎のおっさん、剣聖になる』とは、佐賀崎しげるによるファンタジーライトノベル、およびそれを原作とした漫画、アニメ作品である。小説投稿サイト「小説家になろう」にて、2020年11月17日より連載を開始した。原作の正式名称は『片田舎のおっさん、剣聖になる 〜ただの田舎の剣術師範だったのに、大成した弟子たちが俺を放ってくれない件〜』である。単行本はSQEXノベルより2021年4月7日から刊行されている。イラストは鍋島テツヒロ。
コミカライズ版は乍藤和樹作画で、秋田書店の電子雑誌「どこでもヤングチャンピオン」にて2021年9月号より連載している。漫画版は2023年5月に「ピッコマAWARD 2023」のマンガ部門を受賞。翌2024年には「全国書店員が選んだおすすめコミック2024」にて13位を獲得した。
テレビアニメはパッショーネ、ハヤブサフィルム制作により、2025年4月にTV朝日系列にて『片田舎のおっさん、剣聖になる』のタイトルで放送開始。

片田舎で道場で剣術師範をしている中年剣士のベリル・ガーデナントのもとに、王国騎士団長に出世した元弟子の一人、アリューシア・シトラスが10年の時を経て来訪する。アリューシアは、ベリルを騎士団付きの特別指南役として推薦しており、無事に承認されたと言う。突然大役に抜擢されてしまったベリルに、ベリル本人だけでなく周囲の人間も疑問を感じていた。しかし止めることをしなかった剣術の鍛錬は、人々が「片田舎の剣聖」と呼ぶほどの高みへと彼を引き上げていたのだった。

『片田舎のおっさん、剣聖になる』のあらすじ・ストーリー

片田舎から首都へ

アリューシア(右)にレベリオ騎士団の指南役を務めてほしいと依頼されるベリル(左)

ベリル・ガーデナントは、王政国家レベリス王国の片田舎の道場で剣術の師範を務めている。年齢は中年に差し掛かっているというのに、結婚相手もいないことに対して、父親から小言を言われている。
ある日、彼のもとにかつての教え子である女性騎士アリューシア・シトラスが訪れる。彼女は首都で王国最強と名高い「レベリオ騎士団」の団長に就任しており、ベリルをレベリオ騎士団の指南役として迎えたいと言う。
ベリルは父であり師匠であるモルデア・ガーデナントに一度も勝てなかったために、自己評価が低かった。有無を言わさず首都へ連行されるベリルだったが、王国には彼の実力を疑問視する者も多い。多数の騎士たちに歓迎されていないことを感じ、戸惑いを覚えるベリル。しかし、騎士団副団長を務めるヘンブリッツ・ドラウトに手合わせを願い出られ、部下たちの前で演じた模擬戦でベリルは圧勝した。そのことを期に、自分自身も周囲も、少しずつ実力を認めていくようになる。

ベリルはかつての弟子や彼を知るものから「片田舎の剣聖」と呼ばれており、王国屈指の実力者だったのだ。

弟子たちとの再会

住居を首都へと移したことで、ベリルはアリューシア以外のかつての弟子たちにも再会するようになっていく。竜双剣のリサンデラと呼ばれる最高ランクの冒険者スレナ・リサンデラ、騎士団員クルニ・クルーシエル、魔法師団のエース、フィッセル・ハーベラーもベリルを尊敬し、彼のもとに集まってくる。
徐々に認められ出したベリルは、冒険者スレナと共にダンジョンの探索依頼を与えられる。若い冒険者たちと共にダンジョンへ向かったベリルは、探索中に「ネームド」と呼ばれる特別個体に遭遇。命の危機に晒されるも、弟子スレナとの共闘で何とか討伐に成功した。
しかし、この戦いで剣を失ったベリルは、これもかつての弟子だったバルデル・ガスプに新しい剣を鍛えてもらうことにし、完成までは木剣で戦うこととなる。
倒した敵はベリルが想定していたものを遥かに超えた大物であったため、ベリルは冒険者ギルドでも信頼度を高めることに成功したのだった。

謎の組織の暗躍

そんな折、魔力持ちの幼い少女、ミュイ・フレイアが騎士団に攻撃を仕掛けてくる。
ミュイの攻撃は阻止したものの、彼女の裏に組織の動きがあり、彼女の行動も彼女の姉を利用して黒幕から脅迫されたものだった。そのことを知ったベリルは、魔法師団長のルーシー・ダイアモンドと協力して黒幕を探し始める。
黒幕と思われる男、宵闇にたどり着いた2人。宵闇は全身を覆う魔装具の様々な効果でルーシーを攻めるが、結局彼女が何枚も上手だったため、捕まえることに成功する。
男の後ろには更に大きな組織があることは分かったものの、男は魔法の力で組織について話すことが封じられており、組織の襲撃によって死亡してしまった。
また、組織には酒場でベリルが遭遇した男・シュプールが関わっており、ベリルと同等レベルの実力者かも知れないことが示唆される。

敵は逃がしたが、レビオス・サルレオネ司教という男がこの事件に深く関わっていることが分かった。証拠がないため騎士団は動けずにいたが、その会話を盗み聞きしたミュイは単身教会に向かう。ベリルもまた単独で教会へ潜入していた。
合流した2人は事件の真相へ迫るものの、ミュイがシュプールに捕まってしまう。ベリルも侵入者とバレてしまい、教会騎士団3人と戦闘になる。ベリルは戦闘を有利に進めるが、ここに仮面をしたシュプールが合流したことで状況は緊迫する。
それでも善戦するベリルの前に、姉の生存を信じていたミュイにとって最悪の現実が訪れる。
突然乱入してきた住民の中に、ミュイによく似た女性がいた。しかしこれらは人間ではなく、死体を操っているものだった。たった一人の肉親である姉は、既に死んでいたのだ。
混乱に紛れ、ミュイを連れて教会騎士団は逃亡した。ベリルは戸惑いながらも操られた死体を倒し、増援に来た弟子たちと共に教会騎士団を追うのだった。

教会騎士団との直接対決

ミュイを連れて逃げ出した教会騎士団を追ったベリル達は何とか追いつき、奇襲をかけることで敵の分断に成功する。

最初に動いたのはフィッセルと教会騎士団のウロだった。ウロは教会に常駐していた教会騎士団の一人で、自身の膨大な魔力量を利用した身体強化と治癒を駆使しながら戦う強者である。
フィッセルは苦戦を強いられるが、魔術も剣術もウロより圧倒的強者から教わっていたフィッセルの連携術がウロを内側から破壊し決着。

続いて、クルニと教会騎士団のロバニーが戦闘になる。ロバニーは邪魔と感じた味方を殺すなど、残忍で卑怯な小技を得意としている。
ロバニーは卑怯な戦い方を繰り出すことで逆に実力を隠して油断を誘おうとするが、素直なクルニは全く油断しない。また、彼の毒を使った戦法にも怯むこと無く立ち向かっていった。その真っ直ぐさに圧倒され、こちらも王国騎士が勝利する。

最後がベリル対シュプールだった。実質両軍のナンバー1同士となった戦いは、当然最も高いレベルのバトルになるが、シュプールはこれまで王国内でベリルが戦ってきたどの騎士よりも強かった。

シュプールが何故ここまで強くなったか。これには悲劇的な理由があった。
かつて彼は、死にかけたところを貴族の娘ラフィ・アイレンテールに救われた過去があった。シュプールはラフィのもとで隊長を務めるようになっていたが、ラフィは貴重な治癒のスキルを持っていた。それを聞きつけた教会は私物化しようとしたが、それを断ったため、教会の幹部が騎士団を使って屋敷に奇襲をかけたのだ。
何とか賊を退けようとするシュプールだったが間に合わず、しかもラフィは自身ではなく、シュプールの傷を治癒するという選択をしたため、死亡してしまう。
これをきっかけに、シュプールは復讐の鬼と化したのだった。

そんな彼の強さに対し、最大限のリスペクトをしながら戦ったベリルは、負傷しながらも辛くも勝利する。そして次へと進もうとするベリルだったが、直後に気を失ってしまったのだった。

『片田舎のおっさん、剣聖になる』の登場人物・キャラクター

主人公とその弟子たち

ベリル・ガーデナント

本作の主人公。片田舎の道場で師範をしている中年男性で、師匠である父に一度も勝てないまま引退されたこともあり、自分自身を過小評価している。
実際は王国の副団長が手も足も出ない程の実力で、彼が鍛えた弟子たちはいずれもそれぞれの分野でトップクラスの実力者に育っており全員がベリルを尊敬している。
弟子たちに対して否定をすることは絶対せずに優しく接するため、最初は壁を作っていた弟子たちもみんな心を開いていった。
人生の大半が田舎暮らしだったが、元弟子の推薦で首都での暮らしが始まる。

アリューシア・シトラス

ベリルの弟子。「神速」の異名を持つレベリス王国の現騎士団長。王国随一の実力者だが、師匠に心酔しておりベリルが首都へ赴くことになったのも彼女が王へ剣術指南役に推薦したため。
王国への貢献も考えているが、ベリルはもっと表舞台で活躍して知られるべき存在という思いのほうが強い。強すぎるゆえに孤独を感じることが多く、その点でもベリルの存在は彼女にとって大きい。

スレナ・リサンデラ

ベリルの弟子。この王国で冒険者ランク最高位であるブラック級の冒険者で竜双剣の異名を持つ。
家族を殺されたところをベリルに助けられ世話になったため、ただの弟子以上の強い感情を持っている。
同じベリルを尊敬する者同士、アリューシアとはお互い比べ合う犬猿の仲。
ネームドクラスとの戦いでは師匠に遅れをとったことを悔やむが絶体絶命のベリルをサポートし初めての共闘でネームドクラス討伐という偉業を成し遂げる。

クルニ・クルーシエル

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