ヒックとドラゴン2(映画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ヒックとドラゴン2』とは、イギリスの児童作家クレシッダ・コーウェル原作『ヒックとドラゴン』をドリームワークスがアニメ化した3D映画。前作の『ヒックとドラゴン』に続く2作目にあたる。
前作から5年後のバーク島を舞台に、相棒のトゥースとの絆が試される中、ヒックはドラゴンの秘密を知り成長していく。
2015年ゴールデングローブ賞のアニメ作品賞受賞、前作を超え世界37ヵ国で大ヒットを記録したが、日本では劇場未公開だった。2019年には、続編の『ヒックとドラゴン聖地への冒険』が公開された。

『ヒックとドラゴン2』の概要

『ヒックとドラゴン2』とは、2014年にイギリスの児童文学作家クレシッダ・コーウェルの同名の児童文学作品をドリームワークスがアニメ化した3D映画。前作の『ヒックとドラゴン』に続く2作目で、監督は前作に続きディーン・デュボア。
前作を超えて世界的に大ヒットを記録し、ゴールデングローブ賞では、『ベイマックス』を押さえて長編アニメ映画賞を受賞、またアニー賞長編作品賞を受賞するなど高い評価を得るも、日本での公開は未定となった。日本公開に向けてファンによる署名活動が行われ、7000名以上の署名が集まり、ディーン・デュボア監督自身も直接署名に参加した。デュボア監督は「日本のアニメーションは私に大きな影響を与えました。特に宮崎駿は私のヒーローです」と宮崎監督へのリスペクトを示したが、結局日本では一般の劇場公開に至らないという前代未聞の事態となった。
前作に続き、ドリームワークスが最新技術を駆使し作成した壮大な空中バトルシーンや驚異的な映像美は必見だ。

主人公のヒックがドラゴンのトゥースと運命的な出会いを果たしてから5年後、バーク島では人々がドラゴンと共存し、平和に暮らしていた。バーク島ではドラゴンレースを楽しむ人々で賑わっていたが、ヒックとトゥースはレースには参加せず、飛行訓練をしていた。その際、見たことのない島を発見するが、そこでは巨大なドラゴンを操り世界を支配しようと企むドラゴン軍団の一味がドラゴン狩りをしており、トゥースをとらえようと攻撃を仕掛けてきたのだった。そして、その一味にとらえられたドラゴンを開放して回っているドラゴンライダーこそ、生き別れになっていたヒックの実の母親であった。
巨大なドラゴン率いるドラゴン軍団の一味がバーク島に迫る中、仲間たちを守るため、ヒックとトゥースの新たな冒険が幕を開ける。

『ヒックとドラゴン2』のあらすじ・ストーリー

地図にない島の発見

バイキング達が住むバーク島では人々がそれぞれ自分のドラゴンをもち、平和に共存していた。この島の人々の楽しみはドラゴンレースで、この日もレースを楽しむ人々で賑わっていた。
ひ弱だが知恵があるヒックは、前作で相棒となったナイト・フューリーという種類のドラゴン、トゥースと共に飛行訓練をしていた。ヒックがトゥースと一緒に雲の上を飛行していると、突如岩の壁が現れる。降り立った場所は地図にない新しい島だった。

ドラゴン軍団の奇襲

新しい島の位置を確認していたヒックの元へ恋人のアスティが相棒のストームフライに乗ってやってくる。アスティになぜレースに参加しなかったのか聞かれたヒックは、父親からバイキングの長の座を譲ると言われ悩んでいることを打ち明ける。
その時、ヒック達の目の前の砦から煙が上がる。2人の前にドラゴン軍団の一味が現れ、ストームフライが罠にかかってしまった。ヒックはストームフライを返してもらうよう頼むが、ボスであるドラゴンハンターのエレットは、自分達が捕まえたドラゴンを盗んで逃がし、島を氷漬けにしているのはヒック達だと疑ってかかる。そして、自分達は明日までにボスであるドラゴ・ブラッドフィストに納めるためのドラゴンを集めなければならないという。ヒックは、自分達のドラゴンを返してくれたら帰ると話すが、エレットは希少価値のあるトゥースがナイト・フューリーであることに目を付け、奪おうと襲いかかる。その時、トゥースが炎を吐き、敵がひるんだ隙にストームフライを救出し、逃げることができた。逃げるヒック達にエレットは、「ドラゴ・ブラッドフィストがドラゴンを奪い返しに行く」と叫ぶ。

バーク島の閉鎖

バーク島ではバイキングの頭領でヒックの父であるストイックが息子の帰りを待っていた。そこへヒックが帰ってくる。ヒックはストイックに新しい島でおきたことを話そうとするが、ストイックは息子に長の仕事を教えることに躍起となり、話を聞こうとしない。しかし、ヒックがドラゴ・ブラッドフィストの名前を口にするや否やストイックは顔色を変え、すぐに非常事態宣言をし、ゲートを閉め島を閉鎖するよう通達する。ドラゴンも村人も島を出ることが禁止となる異常事態に、ヒックは、自分がドラコにドラゴンを狩るのをやめるように説得すると話すが、島の守りを固めるよう言われる。そしてヒックは独断でトゥースに飛び乗り、閉鎖しかけていたゲートをくぐり抜け行ってしまう。それを追いかけ、アスティもストームフライに飛び乗りギリギリのところでゲートを潜り抜け脱出するのだった。

ドラゴン軍団との交渉

その頃、エレット達ドラゴン軍団はバーク島を探して航海していた。そこへ、ヒックとアスティがやってくる。ヒックは自分達をわざと囮にし、彼らのボスであるドラゴのところへ案内させようとする。何が目的だと問うエレットに、ヒックはドラゴに会って話をし、ドラゴンに対する考えを変えたいと話す。ドラゴン軍団達はその話を嘲笑するが、ヒックは考えを変えて見せると告げる。
その時、仲間のスノットとその相棒のフックファング、フィッシュとその相棒のミートラグや、双子のラフとタフとその相棒のバフ、ベルチがヒックを助けるためにやってくる。ヒックの仲間とそのドラゴン達は、ドラゴン軍団の放つ罠を次々とよけていたが、ラフが自分たちを罠で狙うエレットを見て好きになってしまい、わざと捕まってしまう。
そこへ、相棒のグロンクルに乗ったゲップとスカルクラッシャーに乗ったストイックがやってくる。エレットを征服し、ヒック達に島に帰るように言うストイックにヒックは嫌だと告げる。無責任にもほどがあると責めるストイックに、ドラゴン達を守り戦争を止めたい、それのどこが無責任なのかと食い下がるヒック。
ついにストイックは、過去に長の会合の場に、ドラゴが現れたことを打ち明ける。現れたドラゴは、傷だらけの体にドラゴン皮のマントを被り、ドラゴンから守って欲しければ自分に従うよう告げた。そして、バイキング達がその提案を断ると、突如現れたドラゴン達が炎でその場を焼き尽くし、ストイックだけが生き残ったという。ストイックは理屈もなく人を殺すやつに説得は無駄だとヒックに言うが、ヒックは説得を諦めようとせず、トゥースに乗って行ってしまう。

母との再会

ヒックはトゥースに乗って雲の上を飛んでいたが、雲の下から覆面をしたドラゴンハンターが現れ、さらわれてしまう。さらに、ヒックを失いうまく飛行ができなくなったトゥースは海へ落下し、何とか流氷につかまるも、海にいる巨大ドラゴンに海の底へと引きずり込まれてしまうのだった。
さらわれたヒックは、自分のドラゴンを助けに戻るよう懇願するが、ドラゴンの巣窟へ連れていかれる。たくさんのドラゴンに囲まれたヒックは、剣でドラゴンを威嚇しつつ懐柔した。その様子を見ていた覆面のドラゴンライダーに、正体を尋ねるヒック。そこへ、海から助けられたトゥースがドラゴンに連れられてやってくる。ヒックがトゥースとの再会を喜ぶ様子を見ていたドラゴンライダーは、トゥースに近づくや否やトゥースを手なずけてしまった。次に、ヒックに近づいたドラゴンライダーはヒックの頬に手を近づけると「ヒック?」とつぶやく。覆面を外し、「ヒックなの?」と尋ねるドラゴンライダー。実は彼女こそヒックの実の母親だったのだ。
ヒックの母親であることを打ち明けたヴァルカは、ヒックを連れて自分が助けたドラゴン達の住処へ連れて行く。ヒックはいきなり現れた母親に戸惑うが、洞窟を抜け巨大な氷の中に現れた大自然に多種多様のドラゴン達が飛び交っている様子を見て息をのむ。ヴァルカは20年間ここでドラゴン達を助けながら共に暮らしていたのだ。それを知ったヒックは、驚きつつも現状を受け入れていくのだった。
ヴァルカはヒックがドラゴンと友達になったことをお父さんはどう思っているのか尋ねる。ヒックはストイックも、島中の人々もドラゴンに対する考えが変わったことを伝えた。しかし、ヴァルカは信じることができない。そして、ヴァルカは20年前に何が起こったか話し始めた。当時、バーク島ではドラゴンを殺すか殺されるかの世界だった。ある夜、一匹のドラゴンが家に入り込み、ゆりかごにいるヒックを見つけた。慌てて駆け寄るヴァルカが見たのは、ヒックを優しくあやすドラゴンの姿であり、まさにヴァルカの理想とする世界だった。そこには邪悪な猛獣ではなく、知能の高い優しい生き物がいた。その魂を自分とよく似ていると感じたヴァルカはドラゴンを殺そうとするストイックを制し、ドラゴンを守ろうとした。すると、ドラゴンもヴァルカを同胞と思い彼女を連れて逃げ去ったのだった。
ヴァルカの相棒となったクラウド・ジャンパーは、ヴァルカをここの住人だと思って連れてきたのだという。そしてこの地はドラゴンの王である巨大な白いワイルダービーストの住処で、自分達のために氷を吐き、巣を作ってくれたという。自分は20年間ドラゴンと共に暮らし、彼らの秘密を知ったと話すヴァルカ。これからドラゴンのために安全で素晴らしい世界を一緒につくろうと誘うヴァルカに、ドラゴを説得するにも2人なら安心だとヒックは話す。しかし、説得は無理だと拒否され、仲間を守るしかないと告げられる。

ドラゴの強襲

アスティ達はヒックを探す中、エレットの船を見つける。そしてエレットに案内させ、ドラゴの潜伏している場所にたどり着く。しかしアスティ達は襲われ、ドラゴン達も捕らえられてしまう。そこへドラゴが現れ、自分以外にドラゴンマスターがいることに腹を立て、バーク島に攻め入ってボスドラゴンを叩きのめし島を滅ぼしてやると宣言する。アスティ達は船上から冷たい海に落とされようとしていたが、、それまでドラゴに従っていたエレットがアスティに伏せるよう指示し、敵の武器を奪うとアスティ達を開放した。そして、ドラゴン達の開放へと向かう。
その頃、ヒックとトゥースは赤ちゃんドラゴン達に囲まれていた。そこへヒックを探してストイックがやってくるが、亡くなったと思っていた妻の姿を見て放心状態となる。ヴァルカから今まで帰らなかった理由を黙って聞いていたストイックは、妻が生きていたことを喜び、懐かしい思い出の曲を歌う。やがて2人は踊りはじめ、幸せなムードに包まれる。そして、ストイックはヴァルカに戻ってきてほしいと告げ、ヴァルカもそれを受け入れるのだった。
そんな中、トゥースが辺りを警戒し、たくさんのドラゴンが逃げ惑う。氷の要塞の氷が壊され、ドラゴが攻め入ってきたのだ。その時、アスティ達とエレットがドラゴンに乗ってヒック達を助けにやってくる。ついに、ドラゴンの王である白のワイルダービーストが姿を現すが、敵の罠にクラウド・ジャンパーがかかってしまい、ヴァルカとドラゴの一騎打ちとなる。ドラゴは自分達のドラゴンの王である黒のワイルダービーストを海中から呼び寄せ、対決させようとする。海中から突如現れた巨大な黒のワイルダービーストにその場は騒然となる。ヴァルカはワイルダー・ビースト達の元へ駆けつけるが戦いを止めることはできず、白のワイルダー・ビーストは黒のワイルダー・ビーストに倒されてしまう。そして、ついに黒のワイルダー・ビーストがすべてのドラゴンの王となり、すべてのドラゴンをその意志の力で操るようになる。そこへ、ヒックがドラゴを説得しにやってくる。ドラゴは自分の左の義腕を外して見せ、過去にドラゴンによって自分の村や家族を失い、その恐怖から人々を開放すると誓ったという。しかし、結局は人を従わせるためにドラゴン軍団を作り、ドラゴンを支配していたことが露見する。そして、ドラゴはワイルダー・ビーストの力でトゥースを支配する。突然、瞳が細くなったトゥースはヒックに襲いかかり、ヒックに向かって口から青い炎を吐こうとした瞬間、間に入ったストイックが炎を受け亡くなってしまう。
今やすべてのドラゴンは、ドラゴが操る黒のワイルダー・ビーストの支配下に置かれてしまった。トゥースもまた捕まり、操られ飛んで行ってしまう。残されたヒック達はドラゴン達を失い、その場から脱出することすらできなくなってしまった。亡くなったストイックを皆で弔う中、ヒックは何もできなかった自分を責め、自分は父親のようにはなれないと思っており、跡を継ぐのが怖かったと打ち明ける。父のように偉大で、勇敢で、献身的な長になれるかはわからないが、「長は民を守るものだ」と言い、ヒックはバーク島に戻る決意をする。

トゥースとワイルダービーストとの闘い

全てのドラゴンが敵の支配下にあるため、ヒック達は誰の言うことも聞かないドラゴンの赤ちゃん達の背に乗り、バーク島へと向かっていた。
その頃、バーク島では島のドラゴン達の様子が次々とおかしくなり、家から飛び去って行った。慌てて追いかける人々の前にドラゴが現れ、この島の長は亡くなりもう守ってくれる者はいないと告げる。
そこへ、ヒック達が赤ちゃんドラゴンに乗って帰ってくる。ヒックはトゥースの元へ行き、必死にトゥースに向かって話しかける。おぼろげに見えるヒックの姿と声にトゥースの意識は覚醒していき、ついに元に戻るのだった。意識が戻ったトゥースは背中に乗せていたドラゴを振り落とし、体勢を崩し落下するも、ヒックが水面ギリギリのところで捕まえ何とか体勢を立て直す。そして、ワイルダー・ビーストに立ち向かっていった。ドラゴに攻撃した直後、ヒックはあわやワイルダー・ビーストの尻尾に直撃しそうになるが、トゥースが飛行訓練では使っていなかった背中の突起を分割させ、ギリギリで回避した。飛行訓練では1度も成功したことのなかった飛行が成功し、喜ぶヒック。だが、油断したところへワイルダー・ビーストが現れ、ヒックとトゥースは厚い氷に閉じ込められてしまう。その時、氷の中でトゥースが青い光を放出し、ヒックとトゥースは無事に出てきたのだった。ヒックを危ない目にあわされたトゥースは、激しい怒りを顕にし、ヒックを守るためワイルダー・ビーストに立ち向かう。トゥースが青い炎でワイルダー・ビーストを攻撃すると、支配下にあったドラゴン達も目を覚ましトゥースの元へと集まっていく。ドラゴは、ワイルダー・ビーストを罵倒し命令を続けるが、もはやドラゴン達に支配は通用しない。完全に孤立したドラコに、トゥースに乗ったヒックは「これが自分達とドラゴン達との信頼関係だ」と告げる。そしてすべて終わりにするようドラゴに言うが、ドラゴはそれを断り、ワイルダー・ビーストに攻撃を命じるのだった。トゥースの攻撃を合図に、ドラゴン達が次々と炎を吐き、ワイルダー・ビーストを攻撃していく。次々と攻撃を受けたワイルダービーストは劣勢となり、ついにトゥースが放った炎によって、左の牙が折れて倒れるのだった。そして、ワイルダー・ビーストは負けを認め、海に帰っていった。

ドラゴンの王とバイキングの長

こうしてバーク島に再び平和が訪れた。ドラゴン達は皆トゥースの元に集まり、トゥースを新しいドラゴンの王と認め、敬意を示した。そして、ドラゴン達はそれぞれ自分の家族の元へ帰り、再会を喜びあった。そんな中、亡き父の相棒スカルクラッシャーを撫でていたヒックの元へエレットがやってくる。ヒックはエレットに、スカルクラッシャーの面倒を見てもらえないかと頼み、エレットは喜んで引き受けるのだった。
こうして、ヒックはバーク島のバイキングの長となり、皆の前で正式にお披露目された。
バーク島は以前にもまして、人々とドラゴン達が共存する平和な島となった。島ではいつも通り、人々がドラゴンレースに興じている。ヒックは、自分達は数は少ないが、世界中が束になってかかってきても決して負けないという信念を持ち、平和を叫び、そして少しずつ世界を変えようと誓う。相手にはないものが自分達にはあり、たとえ相手が軍隊や戦艦を持っていようとも、自分達にはドラゴン達がいると誇り、物語は幕を閉じる。

『ヒックとドラゴン2』の登場人物・キャラクター

主人公

ヒック

CV:ジェイ・バルチェル、日本語吹き替え:田谷隼

バイキングの長の一人息子で、ドラゴンライダー。前作では鍛冶屋で修業をしていたが、ドラゴンのトゥースと出会い、それまで敵対していたドラゴンと島の人々が平和に共存するようになった。バイキングとしては相変わらずひ弱だが、持ち前の知恵ととっさの機転で、トゥースと飛行訓練をしながら地図にない場所を冒険している。今作では、様々な装具を発明しており、作中で使用している。前作で恋人となったアスティとは良い関係を築いている。

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