世界の終わりの魔法使い(せかまほ)のネタバレ解説・考察まとめ

『世界の終わりの魔法使い』とは、西島大介による漫画作品である。略称は「せかまほ」。2005年から刊行され、第1巻から3巻までは描き下ろし漫画として発表されているが、第4巻以降は漫画雑誌、同人誌、pixiv等様々な方法で発表されている。また、ラジオドラマ、オーディオブック等へのメディア展開もされている。魔法使いのサン・フェアリー・アンと魔法を使えない少年ムギが織りなすファンタジーラブストーリーである。ポップでキュートな絵柄ながら恋愛や戦争が複雑に絡み合うストーリーが多くの人を魅了している。

アン「プー」

恋に落ち、悪魔として覚醒するアン

プーとは魔法の言葉で好きという意味。悪魔族はどんな犠牲を払っても、どれだけの時がかかっても恋する一人を見つけ出すことが使命。つまり、プーと思える相手を探し続ける。広大な多元宇宙の中でムギと出会ったアンは、その勇敢さに恋に落ちる。しかし、魔法使いの攻撃により命を落とすムギ。アンは「プー(好き)」という言葉共に悪魔族としての力を覚醒させる。

アンとテオドールの出会い

悪魔の彗星の中で眠っていたアンが目を覚ます

惑星ノロに悪魔の彗星と呼ばれる彗星が落ちる。クリスパン・ノロの攻撃によって彗星の中で眠っていたアンが目覚め、テオドール・ノロの前に降り立つ。アンとテオドールの出会うことで全ての物語が始まり、やがて終わりへと向かっていく。テオドールにとって生涯忘れられない瞬間であった。

黒きドラゴン「母(ママン)よ」

自分の出自の秘密を明かす黒きドラゴン

惑星ノロに発生した魔物の王・黒きドラゴンを生み出したのは、テオドールの影の魔法ではなく、アンによるものだった。時の無い惑星の刑務所に囚われ、影を作り続けることでいつしか巨大な魔物を生み出していた。長きに渡りアンを待ち続けていた黒きドラゴンは惑星ノロに再び降り立ったアンに「母(ママン)よ」と自分の出自の真実を告げる。そして、アンに与えられた永遠の命による退屈を解消するため、アンと戦う。

『世界の終わりの魔法使い』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

続編の可能性あり

世界の終わりの魔法使いシリーズは第六部のあとがきで語られているとおり第六部で完結とされている。しかし、当初は九部作で想定されていた。第六部のあとがきでも物語が完結していないような含みを持たせた語り方で終わっているため、続編の可能性は十分に考えられる。

出版社による第三部原稿紛失事件

第三部原稿の入稿後、原稿の一部67ページが出版元である河出書房新社によって紛失してしまう。結局紛失した原稿は見つからず、出版社との交渉の結果描き直すこととなった。しかし、既に講談社の雑誌モーニング・ツーで第四部の連載が決まっていたため、描き下ろしである第三部刊行前に第四部がスタートすることとなった。また、第三部を講談社の編集者に見せたところ様々な指摘が入り、当初の原稿から大幅に修正を加えられた。そのため当初の原稿より第四部の影響を大幅に反映した内容となっている。なお、当件については「魔法なんて信じない。でも君は信じる」というタイトルで単行本にまとめられている。

描き下ろしの原稿料は11,208円

第三部の原稿紛失事件により、紛失原稿分の補償額を河出書房新社が作者の西島大介へ支払っている。その際、両者の間で1ページ当たりの原稿料の交渉が行われている。「世界の終わりの魔法使い」シリーズは第一部から第三部まで描き下ろし刊行という特殊な形態をとっており、連載作品のような原稿料が設定されていなかった。そのため、単純に解釈してしまうと1ページ当たりの原稿料はそもそも発生せず、補償額が0円となってしまう。そこで、当初河出書房からは1ページ当たり6,605円の原稿料を提案される。しかし、作者の西島はシリーズ続編の雑誌連載が決まっており、原稿料の相場が分かっていたため再交渉を行う。既刊の第一部、第二部の売り上げをもとに再度算出することを提案。最終的には1万1208.8円となった。なお最終的な補償額は、謝罪金や予定していたイベントの補償額等を含めて851万886円となっている。

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