狼と香辛料(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『狼と香辛料』(おおかみとこうしんりょう)とは、支倉凍砂によるライトノベル及びそれを原作とするアニメ、漫画、ゲーム。同作者のデビュー作であり、第12回電撃小説大賞の銀賞受賞作品である。中世ファンタジー風の世界を舞台に、行商人と狼の化身が旅をしながら商売にまつわる様々な問題を乗り越えていく様を描く。2011年に全17巻で完結したが、2016年から続編がスタートした。
行商人のロレンスは、賢狼を名乗る古き神ホロと出会う。彼女の知恵に助けられながら、ロレンスはホロの故郷である北の地を目指していく。
ノーラ・アレント
CV:中原麻衣(2008年版)
羊飼いの少女。純朴かつ温厚な少女で、牧羊犬のエネクと共に生活している。
若さに見合わぬ優秀な羊飼いで、このことが理由で同僚や教会から妬み混じりの疑念を向けられていた。
ロレンスたちに協力して、金の密輸に関わることとなる。
エーブ・ボラン/フルール・フォン・イーターゼンテル・マリエル・ボラン
CV:朴璐美
女商人。没落した貴族の娘で、ロレンス以上に貪欲かつ狡猾に金を稼いでいる。本名はフルール・フォン・イーターゼンテル・マリエル・ボランだが、現在はエーブ・ボランの名を使っている。
ロレンスとは同業者であり、競争相手であり、時に彼に刃を向けることもあったが、最終的には「良い商人だ」と互いに認め合う間柄となった。
トート・コル
ロレンスたちが旅の途中で出会った少年。聖職者を目指す旅の途中、騙されて破滅しそうになっていたが、咄嗟にロレンスに助けを求めたことで3人目の同行者となる。
異教徒の村の出身で、善良かつ純真な性格。ロレンスに対しては「命の恩人で優れた商人」、ホロに対しては「村人たちが崇めていた神の眷属」として、双方に強い敬意と信頼を抱く。2人から様々なことを学び、続編である『狼と羊皮紙』では主人公として活躍する。
ミューリ
CV:田中あいみ
ロレンスとホロの間に生まれた娘。天真爛漫な性格だが、両親譲りの賢さや抜け目の無さも時折発揮する。幼い頃から家族の一員として育ってきたコルのことを慕い、彼からも妹分としてかわいがられている。
ホロ同様に狼に変身する力を持つが、「狼の姿」が基本だった母とは異なり「人間の姿」が基本であるらしく、コツをつかむまでは変身することができなかった。
続編である『狼と羊皮紙』の登場人物だが、2024年版のアニメでは、1話冒頭で彼女と思しき人物がホロから「ロレンスとホロの物語」を聞く形で話がスタートしている。
『狼と香辛料』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
ロレンス「大きな商談には、厄介がついて回る」
物語序盤、行商人の心得についてロレンスが語ったのが「大きな商談には、厄介がついて回る」という言葉である。ただ剣を振るって魔法を唱えれば解決するわけではない、“商売”というものを相手にする本作の雰囲気と、商人としてのロレンスの身長さや賢さを感じさせるセリフとなっている。
ホロ「嘘をつく時、大事なのはその嘘の内容ではなく、なぜ嘘をつくかというその状況じゃ」
“銀貨の銀含有量の改定”にまつわる儲け話を持ち掛けられたロレンスは、これが本当に信用できる話なのかどうか判断に苦慮する。そんな彼に、ホロは「嘘をつく時、大事なのはその嘘の内容ではなく、なぜ嘘をつくかというその状況じゃ」と語り、「“嘘かどうか”よりも、“どうしてそんな嘘をつくのか”を考えるべきだ」と諭す。
賢狼の異名にふさわしいホロの賢さが垣間見える。
ロレンス「ずっと夢を叶えたいと思っていた。しかし、約束を守ることこそ、よき商人への第一歩だ」
ヤレイたちに追い詰められたロレンスとホロ。旧知の仲であることから、ヤレイは「お前を殺したくない、俺と一緒に組んで仕事をするつもりはないか」とロレンスに呼び掛ける。大きな利益を目の前にぶら下げられ、「これだけあればお前が念願にしていた自分の店を持つこともできる」と誘われたロレンスだったが、「ずっと夢を叶えたいと思っていた。しかし、約束を守ることこそ、よき商人への第一歩だ」と言って、“自分は先にホロと契約している”と主張。ヤレイの提案を一蹴する。
ロレンスの商人としての信念と、彼の誠実さがよく表れている。この時点でもロレンスのことを「見所のある人間」としてかなり気に入っていたホロだったが、大きな利益を前にしても自分との約束を優先してくれた彼を見て、ますます信頼を強くしていった。
ホロ「帰るのは、借りを返してからじゃ」
狼の姿を現してロレンスを守ったホロは、彼が自分に対して本能的な恐怖を感じて震えているのを見て、「これ以上一緒にいるのは無理だ」と判断して去ろうとする。しかしそれに気づいたロレンスが、「お前が変身する時に破った服がどれだけ高かったと思っているんだ」、「お前が北の果てにある故郷に帰ろうと、絶対に取り立ててやる」と叫ぶのを見て、「この男は、圧倒的な力の差を理解しながら、立場としてはあくまで自分と対等であろうとしている」と気づき、彼との旅を続けていくことを決める。
「帰るのは、借りを返してからじゃ」とは、ロレンスと再び顔を合わせた際にホロが発した言葉である。照れ隠しの1面もあるが、ロレンスとホロが真のパートナーとなったことを感じさせる名シーンだ。
ロレンス「誰かが理不尽に殺されるということが分かっていて、それを見過ごすことなんて出来ない」
金の密輸に関する騒ぎの中、ホロと合流して「自分たちが騙されて始末されそうになっていた」ことを知り、憤慨すると共に己の判断ミスを悔やむロレンス。自分以外の者も口封じに殺される可能性があることに気づいたロレンスは、「誰かが理不尽に殺されるということが分かっていて、それを見過ごすことなんて出来ない」と口にして、裏切り者たちを止めることを決意する。
ロレンスの誠実さとお人好しっぷりがよく表れている。
『狼と香辛料』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
Related Articles関連記事
2024年4月春アニメ(前々期アニメ)まとめ
2024年4月から放送を開始する春アニメを50音順に紹介する。2024年4月春アニメは、注目の新作アニメや人気シリーズの続編などが多数ラインナップされている。アニメのタイトルや放送情報、キャスト声優やスタッフなどの情報をわかりやすくまとめた。
Read Article
六花の勇者(ラノベ・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
「六花の勇者」とは2015年7月から9月まで放送された日本のテレビアニメ作品。アニメ制作会社のパッショーネが製作した。全12話。原作は同名の小説で著者は山形石雄。 世界を支配しようと復活を目論む魔神を倒すために選ばれたのは「六花の勇者」と呼ばれる六人の勇者たち。しかし集まったのは七人だった。王道のファンタジーとミステリーを絡めた異色作。
Read Article
ヨスガノソラ(ゲーム・漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ
『ヨスガノソラ』とは、2008年12月5日にCUFFSの姉妹ブランド、Sphereより発売された18禁恋愛アドベンチャーゲーム、およびそれを元にした漫画・アニメ作品であり、Sphereのデビュー作である。本作の企画がCUFFSでは制作が難しかったため、企画と共に新ブランドを立ち上げた。 不慮の事故で両親を亡くした双子の兄妹である春日野悠(かすがの はるか)と春日野穹(かすがの そら)は、それまで住んでいた都会から離れた山奥の田舎町にある父親の実家であり、亡き祖父の家で兄妹二人が生活を始める。
Read Article
戦争は女の顔をしていないのネタバレ解説・考察まとめ
『戦争は女の顔をしていない』とはスヴェトラーナ・アレクシエーヴィチによるノンフィクション小説、またこれを原作とした漫画。第2次世界大戦の独ソ戦争に参加した従軍女性のインタビューをまとめたものである。原作は1985年発行され、2015年にノーベル文学賞を受賞。その原作を元に小梅けいとが作画を担当した漫画が、2019年から電子コミック配信サイト『ComicWalker』にて連載を開始した。
Read Article
ひなこのーと(Hinako Note)のネタバレ解説・考察まとめ
『ひなこのーと(Hinako Note)』とは、三月による4コマ漫画。またそれを原作として2017年4月から6月まで、全12話にわたって放送されたアニメ作品のことである。漫画は4コマ漫画専門雑誌『コミックキューン』にて連載中。少女たちの同居生活や学生生活、また演劇に向き合う姿を可愛らしいタッチで描いている。アニメのキャッチコピーは『元かかし少女の演劇コメディ!』
Read Article
まおゆう魔王勇者のネタバレ解説・考察まとめ
『まおゆう魔王勇者』(まおゆうまおうゆうしゃ)とは、橙乃ままれによるライトノベル作品。もともとは登場人物のセリフのみで構成されたWEB小説だったが、その高いクオリティで絶賛され、エンターブレインから書籍化される。後に漫画やアニメも制作された。 中世ファンタジー風の世界。ついに魔王の下へと辿り着いた勇者は、「人類と魔族の戦いは食料不足が原因で、自分を倒してもそれは解決しない」と彼女に諭される。真の平和を手にするため、人類と魔族の双方の問題を解決するため、勇者は魔王と組む道を選ぶ。
Read Article
ビリオネアガール(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ
『ビリオネアガール』とは、支倉凍砂原作・桂明日香作画による、『good!アフタヌーン』に2009年9月から2013年12月まで連載されたラブコメディ漫画である。特徴として、株取引をテーマにした異色のストーリーが挙げられる。あらすじは、天才的な株取引の才能を持つ18歳の女の子・藤岡紫(ふじおかゆかり)が、家庭教師の青年・高遠恵(たかとおけい)と共に成長しながら、株の世界で成功を目指す物語だ。魅力は、株取引の緻密な描写と、キャラクターたちの成長と絆が描かれる点にある。
Read Article
まおゆう魔王勇者の名言・名セリフ/名シーン・名場面まとめ
『まおゆう魔王勇者』とは、橙乃ままれによるファンタジー小説、およびそれを原作としたアニメ、漫画、ドラマCDなどのメディアミックス作品。 人間と魔族が長く戦争を続ける異世界が舞台で、卓越した魔力と戦闘能力を持つ正義感の強い「勇者」が長引く戦争を憂い、単独で「魔王」を討ち取る為、魔王城へ乗り込み、魔王と対峙するところから物語は始まる。 本作は人間と魔族の対立を描いているだけでなく、様々な異なる立場の人間や魔族にも視点が当てられている為、考え方の違いから数々の名言が生まれている。
Read Article
【※ネタバレ注意】戦慄!黒幕が本性を現した瞬間【アニメ・マンガ】
アニメや漫画において高確率で存在し、物語を舞台裏から操作している未知の敵「黒幕」。ここでは”まさかこの人が黒幕だったなんて…”と主人公たちを愕然とさせた彼らが本性を現した瞬間、そして真実を知った主人公たちがどのようなリアクションを取ったのかをまとめています。
Read Article
アニメで町おこし狙い▶︎失敗した町まとめw
世界でも大人気の日本のアニメでは、その人気の高さから町おこしができるほど影響力が出ることもあります。現に、誰も知らない&誰も来ない町や村に、数多くのファンが訪れ、結果的にウン十億円の経済効果を出したところもあるのです。しかし当然ながら、その陰ではアニメが放送されたにもかかわらず、結局町おこしに失敗してしまった町が多々あるのです。
Read Article
思わず見とれてしまう「美男美女」の兄妹キャラまとめ!
「人は顔じゃない」と言いますが、何だかんだ言ってみんな美形の人には惹かれてしまうものですヽ(゜´A`゜)ノ。その悲しい現実が顕著に現れるのが、美形ぞろいのキャラクターが溢れる2次元の世界。という事で今回は、アニメにおける美男美女の「兄妹(姉弟)達」に迫っていきたいと思います!若干気色悪く感じる文面もあるかと思いますが、その点ご了承ください(´д`)ww
Read Article
タグ - Tags
目次 - Contents
- 『狼と香辛料』の概要
- 『狼と香辛料』のあらすじ・ストーリー
- 行商人と賢狼の出会い
- 銀貨と商売人の意地
- 羊飼いと金の密輸
- 新たな旅の仲間たち
- 北へと向かう旅の結末
- 『狼と香辛料』の登場人物・キャラクター
- クラフト・ロレンス
- ホロ
- ヤレイ
- ノーラ・アレント
- エーブ・ボラン/フルール・フォン・イーターゼンテル・マリエル・ボラン
- トート・コル
- ミューリ
- 『狼と香辛料』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- ロレンス「大きな商談には、厄介がついて回る」
- ホロ「嘘をつく時、大事なのはその嘘の内容ではなく、なぜ嘘をつくかというその状況じゃ」
- ロレンス「ずっと夢を叶えたいと思っていた。しかし、約束を守ることこそ、よき商人への第一歩だ」
- ホロ「帰るのは、借りを返してからじゃ」
- ロレンス「誰かが理不尽に殺されるということが分かっていて、それを見過ごすことなんて出来ない」
- 『狼と香辛料』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 一部キャラクターが入れ替えられた2008年版アニメ
- 『狼と香辛料』の主題歌・挿入歌
- 2008年版
- OP(オープニング):清浦夏実「旅の途中」(第1期)
- OP(オープニング):新居昭乃「蜜の夜明け」(第2期)
- ED(エンディング):ROCKY CHACK「リンゴ日和 〜The Wolf Whistling Song」(第1期)
- ED(エンディング):ROCKY CHACK「Perfect World」(第2期)
- 2024年版
- OP(オープニング):Hana Hope「旅のゆくえ」
- ED(エンディング):ClariS「アンダンテ」