ビリオネアガール(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『ビリオネアガール』とは、支倉凍砂原作・桂明日香作画による、『good!アフタヌーン』に2009年9月から2013年12月まで連載されたラブコメディ漫画である。特徴として、株取引をテーマにした異色のストーリーが挙げられる。あらすじは、天才的な株取引の才能を持つ18歳の女の子・藤岡紫(ふじおかゆかり)が、家庭教師の青年・高遠恵(たかとおけい)と共に成長しながら、株の世界で成功を目指す物語だ。魅力は、株取引の緻密な描写と、キャラクターたちの成長と絆が描かれる点にある。

『ビリオネアガール』の概要

『ビリオネアガール』とは、支倉凍砂原作・桂明日香作画による、『good!アフタヌーン』に2009年9月から2013年12月まで連載されたラブコメディ漫画である。本作の特徴は、株取引をテーマにした異色のストーリーにある。天才的な株取引の才能を持つ女の子・藤岡紫(ふじおかゆかり)が、家庭教師の青年・高遠恵(たかとおけい)と共に成長しながら、株の世界で成功を目指す物語なのだ。
この作品の魅力は、株取引の緻密な描写と、キャラクターたちの成長と絆が描かれる点にある。株取引という一見難解なテーマを扱いながらも、読者にとって理解しやすく、かつ興味深い内容となっている。また、藤岡と高遠の関係性や、彼らが直面する困難を乗り越えていく姿が感動を呼ぶ。
『ビリオネアガール』は、株取引を題材にした作品として、読者に新たな視点を提供し、株や投資に対する興味を喚起した。「株取引」「成長」「絆」といったキーワードが、この作品を語る上で重要である。
世間に与えた影響としては、株取引や投資に対する関心を高めた点が挙げられる。特に若年層に対して、株取引の魅力や可能性を伝える役割を果たした。また、ラブコメディとしての要素も強く、幅広い読者層に支持された。

『ビリオネアガール』のあらすじ・ストーリー

家庭教師のアルバイト

縦教(じゅうきょう)大学に通う大学生の高遠恵(たかとおけい)は、生活するお金に困っていた。仕送りだけでは足りなく、バイトでもするかと考えていたところ、遠い親戚の大貫(おおぬき)教授に呼ばれる。高遠は教授のいる理論研究室へ行ってみると、大貫教授は割りのいいアルバイトがあるという。時給1万円というその家庭教師のバイトを高遠は訝しむ。大貫教授は年頃の一人娘なので、信頼のおけるものに任せたいからだと高遠に説明する。まだ躊躇していた高遠のいる部屋をノックする者がいる。入ってきたのは頭に似合わないカチューシャをつけた、ちょっと変なファッションをした女の子だ。この子こそが、大貫教授の姪で雇い主の藤岡紫(ふじおかゆかり)だった。彼女は最初、高遠のことを恵(めぐみ)と読み間違え女の子だと勘違いしていた。男だと知って驚いたが、藤岡はおじの大貫教授はちょっと悪戯好きだけどそんなに間違ったことはしないと、高遠のことを受け入れた。
別の日高遠が家庭教師をしに藤岡のところへ訪ねると、そこはタワーマンションであった。しかも超高層階に部屋がある。高遠はそのことに驚きつつ、藤岡に数学を教えた。時間になり、高遠が帰ろうとすると藤岡に電話がかかってくる。高遠が帰ろうとすると、藤岡に引き止められた。電話が終わり、高遠が藤岡から話を聞くと、久しぶりに友達から連絡が来て会いたいという。藤岡は自分が大学生だと嘘をついた。だから、あなたのことを教えてほしい。正確には、大学のことをいろいろ聞きたいという。高遠はあなたはなぜ身分を偽るのですかと聞くと、藤岡は私はデイトレーダーだと明かす。「デイトレーダーなんて引きこもりに毛が生えたようなものでしょ」と自虐的に言う。デイトレーダーとは、株式や為替などの金融商品を1日のうちに売買し、その日のうちに取引を完結させる投資家のことである。短期間で利益を得ることを目的とし、リスク管理がしやすいが、頻繁な取引による手数料や精神的な負担が大きい点が特徴なのだ。そして、持っている資産は170億だと言う。その言葉に高遠は「駄菓子屋のおもちゃのお札に100億円札がありましたよね」と場を和ませ緊張を解く。藤岡は総資産の額を聞いても引かない高遠が気に入り、「ありがと」と言ってきた。藤岡が高遠から数学を学ぶのは、株取引はギャンブルのようなものだがそこに何か法則のようなものを感じてそれを理解できるのは数学だからだと考えたからだという。

こうして高遠の平凡で退屈な日常が終わり、何やら賑やかで騒がしいものになりそうなのだった。

藤岡の大学体験とギャップ

藤岡は縦教大学の経済学の入門講座に、高遠と大量の生徒の中に紛れ込んでこっそり受講した。授業を受けた藤岡は、授業のレベルの低さに、この大学の基金運用も高が知れていると高遠に話す。大学の基金運用は、寄付金や投資収益を活用して、教育・研究活動を支援し、大学の財政基盤を強化することを目的とする。安全性、収益性、流動性のバランスを取りながら、多様な資産に分散投資し、専門的な運用チームが管理する。これにより、大学は安定した収益を確保し、持続可能な発展を目指すのだ。藤岡は次々に専門的な話題を話し、ハッと気がつくと「私ってオタクだよね」と恥ずかしがる。高遠は「夢中になれる何かがあって、一生遊べるだけの財産もある。言うことなしじゃないですか」と羨ましがる。すると藤岡は「じゃあ高遠さんは100億あったらどうする?」と聞いてきて、「プールつきの豪邸買って、ロールスロイス乗り回して…」という返答に、「まあそんなものだよね」と笑い、「普通は幸せだと思うよね」と寂しそうな顔で続けた。
それから数日後。友人とのバーベキューパーティーをどうしようか悩んでいる高遠に、大貫教授から藤岡と連絡がつかないと電話が来て、藤岡のマンションに行ってみた。高遠は部屋に死んだように天井を見ている藤岡を見つけた。死んだのかと思って近づいてみると、「何?」と藤岡は言ってくる。高遠が「何かあったの?」と聞くと藤岡は「特に何もなかったの。友達とライブへ行ったんだけど、ライブやっている人たちは輝いているなあって。それに比べ私の人生はなんなんだろう」と淡々と喋る。藤岡はふらふらと隣の部屋へ行き、たくさんのモニターが設置されたパソコンの前に座る。藤岡は実際の株取引を高遠に見せてくれた。株取引は、証券会社の取引システムを通じて行われる。投資家は、株価チャートや企業情報を分析し、売買のタイミングを見極める。藤岡は黙々と作業するようにパソコンに向かい、数分で取引が終わった。それだけで、藤岡は2億7200万円もの利益を得ていたのだ。この金額は、普通の人ならばいい学校へ行っていい会社へ入って老後の資金となるための最良のラインである。取引が終わって気が抜けた藤岡がよろめき、高遠が水を取ってこようとすると覆い被さってきて、「……1人にしないで。お金ならあるの」と吐露してくる。気まずい雰囲気になったが、高遠の携帯電話が鳴り、教授からだった。
高遠は電話に出て、藤岡に代わり無事を知らせる。

この後高遠は大貫教授から呼び出され、一緒に酒を飲みながら、藤岡が若いのに親よりも儲けてしまい反感を買い居場所がなくなったのを厄介だと言いつつも、くれぐれも手を出すなよと釘を刺したり、孫思いの強さを感じ取ったのだった。

同級生と恋の競い合い

高遠は藤岡をバーベキューパーティーに誘い、大学の同級生の白川弼(しらかわたすく)と永田美弥(ながたみや)、中谷公雄(なかたにきみお)と親しくなる。中でも白川は、藤岡に個人的に株のことを教えて欲しいと頼み込み、教えることとなった。高遠もそのことに触発され、株取引に興味を持つ。試しにデモ取引をやってみて、手応えを感じ本格的にやってみたいと思った。そこで藤岡に自分にも教えて欲しいと頼み、「もっと知りたい」と頼み込むと、藤岡は張り切って教え始めてくれた。白川と高遠が共に藤岡とよく会うようになったが、ある日白川が藤岡に「付き合ってください」と告白する。高遠ははじめは2人を応援していたが、2人が仲良くなるほど藤岡のことが気になり出してきた。中谷に「それは高遠が藤岡のことを好きだからだろ」と指摘され、やっと自分の気持ちに気づいた。
その頃、藤岡の両親の工場が資金繰りに困っていて、援助して欲しいと大貫教授を通して連絡が来た。藤岡は「自分のことは助けてくれなかったのに、今更助けてなんてどうかしてる!」と突っぱねた。マンションの前で白川が藤岡に会い「紫さんはご両親を助けるべきです」と言うと、藤岡は「高遠さんはそんなこと言わなかった!」と言い放った。
白川が「高遠のことが好きなんですか?」と聞くと、何も言わずに藤岡はその場から去った。
高遠は白川と藤岡のことで話し、白川が「藤岡の気持ちが分からずに好きでいるなら君は身を引くべきだ」と言うと、その言葉をきっかけにモヤモヤしていた気持ちがまとまって「藤岡さんのことが好きなんだ」とはっきり言って藤岡のところへ行く。高遠は合鍵で藤岡の部屋へ入り、パソコンに向かっている藤岡に高遠が「ここに引きこもっていたら同じことの繰り返しですよ」と言うと「私にできるのはお金を稼ぐことなの。馬鹿なことだって思われてもいいよ」と言う。高遠は「お金を稼ぐことは馬鹿なことじゃないですよ。俺は今も無一文の藤岡さんでもいいと思っています」。そして「一番好きなのは自分の好きなことに夢中になれる藤岡さんです」と告白し、彼女のハートをグッと掴み、射止めたのだった。

「人はそうとは知らず値札のついた商品の中で暮らしている。だから多かれ少なかれ人生はお金に左右される。でも僕たちが本当に欲しいものの価値は金額では測れない。必要なのはきっと外へ出て触れてみることだ」

『ビリオネアガール』の登場人物・キャラクター

主要人物

高遠恵(たかとおけい)

平凡な学生。癖っ毛の強い髪の毛が特徴。友人曰く「面倒臭がりでぼんやりマン」。大貫教授の勧めで藤岡の数学の家庭教師のアルバイトをすることになるが、時給1万と聞いて、最初はまともなバイトか怪しんだ。藤岡と接するうちに、彼女に惹かれ、好きになっていく。株取引の勉強もし始める。白川との恋の競い合いをした末に、藤岡に告白することになる。

藤岡紫(ふじおかゆかり)

18歳だが学校には通っていなく、長髪が特徴で世間知らず。デイトレードの才に恵まれ、若くして巨万の富を築いた娘。だが、それゆえに一人ぼっちで寂しい思いをしている。株取引にはなんらかの法則があるのではと思い、それが分かるのは数学ではないかと、大貫教授を通して高遠に家庭教師を頼む。高遠を結構信頼していて、段々と親密になり、やがて高遠から告白されることになる。

縦教(じゅうきょう)大学

大貫(おおぬき)

大学教授。紫のおじであり、保護者。遠い親戚である恵とも親しい。悪戯好きだが、深い考えの持ち主。

白川弼(しらかわたすく)

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