まおゆう魔王勇者とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『まおゆう魔王勇者』(まおゆうまおうゆうしゃ)とは、橙乃ままれによるライトノベル作品。もともとは登場人物のセリフのみで構成されたWEB小説だったが、その高いクオリティで絶賛され、エンターブレインから書籍化される。後に漫画やアニメも制作された。
中世ファンタジー風の世界。ついに魔王の下へと辿り着いた勇者は、「人類と魔族の戦いは食料不足が原因で、自分を倒してもそれは解決しない」と彼女に諭される。真の平和を手にするため、人類と魔族の双方の問題を解決するため、勇者は魔王と組む道を選ぶ。

『まおゆう魔王勇者』の概要

『まおゆう魔王勇者』(まおゆうまおうゆうしゃ)とは、橙乃ままれによるライトノベル作品。もともとは2009年にインターネット掲示板の「2ちゃんねる」に掲載された、登場人物のセリフのみで構成されたWEB小説だった。
剣と魔法が登場する、いわゆる「中世ファンタジー」的な世界観の物語だが、政治や経済を主な題材として扱っている。登場人物が個人名でなく、「勇者」や「魔王」、「メイド姉」といった役職名で表記されているのも特徴である。

その高いクオリティで絶賛され、エンターブレインから全5冊で書籍化される。後に漫画やアニメも制作され、登場人物の1人を主人公にしたスピンオフ作品も作られた。
「インターネットで発表した作品が書籍化、漫画化、アニメ化される」という、2010年代頃から盛んになった新たなライトノベルの潮流を作った初期の作品ともされている。

中世ファンタジー風の世界。ついに魔王の下へと辿り着いた勇者は、相手が若く美しい娘の姿をしていることに驚きつつ、平和のために彼女を討とうとする。しかし魔王は彼を制し、「人類と魔族の戦いは食料不足が原因で、自分を倒してもそれは解決しない」と説明。理路整然としたその言葉が嘘ではないと感じた勇者は、真の平和のために、人類と魔族の双方の問題を解決するため、魔王と組む道を選ぶ。
彼らの活動は少しずつ実を結んでいくが、戦争状態の維持によって富を得ていた者、意地や憎悪がために戦争を続けようとする者たちにとっては目障りなものだった。いつか平和な時代が来る時を信じて、勇者と魔王とその仲間たちは戦い続ける。

『まおゆう魔王勇者』のあらすじ・ストーリー

勇者と魔王の同盟

真の平和を手に入れるため、勇者(左)と魔王(右)は手を取り合う道を選ぶ。

中世ファンタジー風の世界。ついに魔王の下へと辿り着いた勇者は、相手が若く美しい娘の姿をしていることに驚きつつ、平和のために彼女を討とうとする。しかし魔王は彼を制し、「人類と魔族の戦いは食料不足が原因で、自分を倒してもそれは解決しない」と説明。理路整然としたその言葉が嘘ではないと感じた勇者は、真の平和のために、人類と魔族の双方の問題を解決するため、魔王と手を組む道を選ぶ。
手始めに彼らが取り掛かったのが、人類圏の農業改革だった。それぞれに身分を隠すため、「白の剣士」と「紅の学士」を名乗り、新たな農作物や風車の開発を進めていく勇者と魔王。2人の努力は次第に実を結び、人類側の食糧難は解決の糸口が見えていく。

勇者と魔王のこの動きは、普段から共にいる仲間たちなどの周囲の者にはあっさりとバレてしまう。2人の人柄を知る者の多くは、戸惑いながらも見守ることを選択するが、「魔王が異性として彼に惹かれている」ことにも感づく。もともと勇者に秘めた想いを抱いていた彼の仲間の女性陣は、「狙っていた男を獲られてたまるか」と魔王に張り合うように勇者に積極的に迫り始める。
この頃、魔王は人間の奴隷商人に売られそうになっていた姉妹を引き取る。魔王付きのメイドとしての仕事を与えられたこの姉妹は、魔王から様々なことを学び、成長していく。

中央諸国の暗躍

武力と経済の双方を用いて勇者と魔王が様々な問題をクリアしていく様を、戦争によって巨万の富を集めていた者たちは目障りだと感じるようになる。やがて彼らは「紅の学士」を“異端の存在である”として捕らえ、彼女を処刑しようとする。
実はこの時、魔王は別件で出掛けており、捕まったのは魔法で姿を変えたメイドの姉だった。勇者たちはなんとか彼女を助けようとするも、人類圏で絶対的な権力を持つ聖光教会が“異端の存在”とした人物を武力で奪還すれば、自分たちが人類の敵と見なされてしまう。そうなれば真の平和を目指すどころの話ではなく、動くに動けない状態だった。

紅の学士として処刑台の上に連れ出されたメイド姉は、絶望に屈することなく、「自分はかつて奴隷として売られていた」ことを明かす。その上で“とある人物”から学問を学び、様々なことを知って自分がいかに世間を知らなかったかに気づいたと言葉を続ける。
「農奴よ立ち上がれ、神が我らに与えた自由を手放すな」とのメイド姉の訴えは、彼女を“異端の存在”と決めつけた教会の権威を大きく損なわせ、同時に人類圏の諸国を大きく揺るがす事態へと発展する。

忽鄰塔の招集

メイド姉の訴えは、人類圏の南部諸王国で特に大きな反響を呼び、農奴解放が宣言される。自由を求める農民が次々と押し寄せ、勇者と魔王が進めていた農業改革がこれに合わさった結果、これまで弱小扱いされていた南部諸王国の国力は中欧諸国も無視できないほどに増大する。
勇者と魔王の動きに注目し、「利益を分け合える相手」と見て協力していた青年商人は、この流れを見て小麦の先物取引に手を付ける。これにより中央諸国ではすさまじいインフレーションが発生し、国力がさらに落ち込んでいく。全ては、魔族との戦争を主導する中央諸国からその力を奪うための策略だった。

人類圏の覇者である中央諸国が力を失っていく中、良い意味でも悪い意味でもこれまで世に出ていなかった者が頭角を現していく。中央諸国の中枢である聖王国の王弟元帥もその1人で、魔王が研究し「強力過ぎる」として破棄したマスケット銃のサンプルを手に入れた彼は、この新兵器を利用して魔族たちの暮らす魔界への侵攻を計画していく。
一方、魔王は魔族たちの間の諸問題の解決に着手。魔族の各種族のトップだけが参加できる「忽鄰塔」(クリルタイ)という会議を開催し、人類との戦争の終結に向けて魔族たちの説得を開始する。しかし意地や利益や憎悪のために人類根絶を唱える魔族は少なくなく、彼らによって魔王は廃位されそうになる。結果としてこれは失敗し、魔族は“反魔王”を強く掲げた蒼魔族という一派を除いて結束を強める。

『まおゆう魔王勇者』の登場人物・キャラクター

主要人物

勇者(ゆうしゃ)

CV:福山潤

人間の青年。剣技と魔法の双方においてすさまじい実力を持つ若き英雄。あまり物事を細かく考えるタイプではないが、頭が悪いわけではなく、「どちらに理があるか」、「相手の言っていることは正しいかどうか」についてはかなり正確に見抜く。
人類の希望を背負って魔王に挑むが、彼女から「人類も魔族も全てを救おう」と誘われ、手を取り合う道を選ぶ。身分を隠して活動する際は「白の剣士」、魔界では「黒騎士」と名乗る。

魔王(まおう)

CV:小清水亜美

当代の魔王。歴代魔王の中では魔力が低く、戦闘能力は高くないが、聡明かつ博識。初めて登場した時は頭に角が生えていたが、これはただの飾りで取り外すことができる。
勇者が自分の城に乗り込んでくる前から彼に惹かれており、「共にまだ見ぬ理想へ歩んでいこう」と提案する。人類圏で活動する際は「紅の学士(くれないのがくし)」を名乗っている。

人間

メイド姉(メイドあね)

CV:戸松遥

奴隷商人に売られそうになっていたところを魔王に保護された姉妹の姉。魔王直属のメイドとなり、彼女から様々なことを学んで成長していく。

メイド妹(メイドいもうと)

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@BOTAnNABE

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