ユキは地獄に堕ちるのか(漫画)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『ユキは地獄に堕ちるのか』とは、2014年から2016年まで漫画雑誌『LaLa』にて藤原ヒロが連載した少女漫画である。主人公の鳴滝ユキ(なるたきゆき)を中心に、鳥辺野天哉(とりのべたかや)、壬生秋羅(みぶあきら)、桂真夏斗(かつらまなと)、二ノ瀬呉葉(にのせくれは)、常盤春花(ときわはるか)の6人の幼馴染が不思議な能力で心の闇を食らう“外道”と戦い、800年前の宿敵“虚宿”を封印する物語。熱い友情や宿命に対する恐怖、恋愛の悩みなど、思春期の子供たちが奮闘する姿を描く。

『ユキは地獄に堕ちるのか』の概要

『ユキは地獄に堕ちるのか』とは、2014年から2016年まで漫画雑誌『LaLa』にて藤原ヒロが連載した変身ものの少女漫画である。
主人公の鳴滝ユキ(なるたきゆき)を中心に、鳥辺野天哉(とりべのたかや)、壬生秋羅(みぶあきら)、桂真夏斗(かつらまなと)、二ノ瀬呉葉(にのせくれは)、常盤春花(ときわはるか)の6人の幼馴染が地獄道、天道、修羅道、餓鬼道、畜生道、人間道といった六道の力で心の闇を食らう“外道”と戦い、800年前の宿敵“虚宿”を封印する物語。熱い友情や宿命に対する恐怖、恋愛の悩みなど、思春期の子供たちが奮闘する姿を描く。タイトルから少し大人向けであるが、ユキの恋心などは少女漫画としてキュンとできるものになっている。

『ユキは地獄に堕ちるのか』のあらすじ・ストーリー

六家を継ぐ者

鳴滝ユキ(なるたきゆき)は京都の山奥にある六辻村で生まれ育った15歳。彼女には同い年の鳥辺野天哉(とりべのたかや)、1つ年上の壬生秋羅(みぶあきら)、桂真夏斗(かつらまなと)、二ノ瀬呉葉(にのせくれは)、常盤春花(ときわはるか)という幼馴染がいた。しかし年上の4人は中学を卒業した翌日に「1年後に戻る」という書置きを残して突然消えてしまい、ユキは天哉と2人きりの1年を過ごすこととなる。

ユキと天哉は同じ高校に入学する。天哉は学校中から「天哉様」と呼ばれ、上の学年からも人気者となっていた。そんな中、天哉に彼女を取られたという男子学生が現れ、ユキは幼馴染ということで目を付けられてしまう。天哉のことを何とかフォローしようとするユキだが天哉は全く反省しておらず、女の方が寄ってくると言い始めて更に先輩を怒らせてしまう。その彼女も天哉に対して遊びであることを認め、彼氏に「つまらない」と言い放つ。これを聞いた男子学生は何やら黒い影のようなものに取り憑かれ、ユキに向かって攻撃を開始する。これには天哉も止めに入るが、男子学生は更に黒い影に覆われ全く歯が立たなかった。そこに1人の男子が現れ、ユキを救い出す。それはユキがずっと待っていた幼馴染の壬生秋羅(みぶあきら)だった。彼は「受け継ぎし力は 六道の一 “修羅道”」と言うと、男子学生に取り憑いた黒い影を祓い、気を失ったユキを連れて六辻村に帰るのだった。

その後ユキと天哉は、天哉の父親である和尚から“六道の守家”について説明を受けることになる。六辻村には昔から「天道」「人間道」「修羅道」「畜生道」「餓鬼道」「地獄道」を司る六家が存在し、幼馴染である6人がその六家を継ぐ者であった。特に「地獄道」を司る鳴滝家と「天道」を司る鳥辺野家は六家の二柱「宿命の子」と呼ばれ、輪廻から外れた“外道”をあるべき場所へ送る役目を背負っていた。突然の話についていけないユキをよそに、天哉は秋羅に残りの3人について質問する。特に天哉が思いを寄せている春花がどうしているのかを問いただすが、秋羅はもう天哉の言うことが聞かないと言って天哉のことを投げ飛ばしてしまう。秋羅に投げ飛ばされたことを根に持った天哉は、誕生日を迎えると覚醒するという言い伝えを無視して、宝剣で自身の手の甲を刺し強引に「天道」の力を覚醒させるのだった。

一方、ユキは自宅のお風呂につかりながら今日の出来事を振り返っていた。そんなユキに外道の影が近づき、ユキが気づいた時には変身した天哉が壁を蹴破って現れる。秋羅もすぐに駆け付けるが、天哉は秋羅や昼間に攻撃してきた外道に対してイラついていたため、1人で外道をあるべき場所へ還してしまう。本来なら六家揃って戦うことが望ましく、天哉は外道を1つ送ったたけで体力を相当消費していた。
そしてユキも覚醒の兆候が出始める。ユキが鏡で自分を見ていると、頭に角が3本生えていたのだ。見たことがない自身の姿にユキは不安を感じていた。

幼馴染たちの新生活

ユキと天哉が学校に行くと、校内は1つ年上の転校生が来たという話題で持ち切りだった。それは秋羅のことで、1年間修業をしていたためユキたちと同じ学年に転入したのだ。ユキ、天哉、秋羅が話していると、聞いたことのある声が聞こえてきた。声の主は幼馴染の1人、桂真夏斗(かつらまなと)であった。ゆるい雰囲気で修行の話をする真夏斗は、今日からみんなで暮らすという新しい情報をサラッとユキたちに伝える。

学校が終わり、六辻寮という京町屋にたどり着いたユキ、天哉、秋羅の3人。いつものように天哉と秋羅のケンカが始まると、泥だらけになった男の子が突如現れる。ユキは泣いている男の子を寮のお風呂に入れてあげることにするが、自分で洗えないという男の子のために自分も浴室に入ることになる。すると男の子は「昔もよく一緒に入ったね」と話し、ユキの名前も知っていた。ユキが困惑していると、突然窓から大きな狼のような生き物が現れる。その正体は二ノ瀬呉葉(にのせくれは)で、更に男の子の正体は真夏斗であることが判明する。

こうして六家のうち5人が揃い、六辻寮での新しい生活が始まった。しかし常盤春花(ときわはるか)だけが見つかっておらず、天哉は1人で探しに行くとユキに話し寮を出ようとする。ユキは自分の誕生日にはみんなで一緒にいてほしいと伝えるが、天哉に「ユキの誕生日より春花の方が大事」だと言われてしまう。それを聞いて傷ついたユキは覚醒の兆候を見せ始め、3本角が生えた姿に変身する。そして力強く天哉を押さえつけ、「誰に口をきいている」と全くの別人格で話し始めた。しかしすぐに意識が途絶えてしまい、天哉はユキを抱きとめてユキの宿命に思いをはせるのだった。

宿敵“虚宿”と遭遇

ユキの覚醒の兆候がないまま10日経ち、5人は春花を探すため鞍馬寺まで出向く。しかし春花は見つからず、貴船まで出てしまった5人は更に奥へと進み神社にたどり着く。そこで巫女として手伝いをする春花と再会することができ、ユキは6人が揃ったことへの安堵感と共に天哉の春花への態度を見て複雑な気持ちになっていた。

6人が鞍馬に戻る道中、突然何かの気配が近づいていることに気づく。現れたのは小鹿であったが外道に取り憑かれており、その小鹿は黒い空に飲み込まれてしまう。すると空に大きな目が現れ、六家の宿敵である大天狗“虚宿”であることが判明する。ユキは虚宿に対してとてもかなしい気持ちになり、涙を流すのだった。
虚宿がまだ完全に封印の解けた状態でないことが分かったため、ユキ以外の5人は変身して攻撃を開始する。しかしユキが狙われてしまい、秋羅が盾になって虚宿の攻撃を受け負傷する。そんな秋羅を見て、ユキは自分を責めて仮覚醒の状態となる。みんなに地獄道の姿を見せると気を失い、そのまま誕生日の翌日まで眠り続けてしまうのだった。

ユキの覚醒

誕生日を過ぎても覚醒しないユキは、仮覚醒の時に記憶が曖昧であることや別人格に体を乗っ取られている感覚に不安を覚えていた。

学校では春花の転入が話題となり、天哉はますます春花にくっついて行動するようになる。そんな中、ユキは屋上に少年が1人立っていることに気づき危ないと声をかけに行く。少年は空が黒く覆われ何かが近づいてくることをユキに伝える。ユキはそれが外道の集団であることに気づき、少年を助けようと駆け寄る。そして強く覚醒したいと願ったとき、ユキは鬼の姿に変身するのだった。覚醒が完了したユキは別人格となっており、圧倒的な力で外道の集団を一気にあるべき場所へ還してしまう。これには幼馴染たちも驚愕し、天哉も出る幕が一切なく戦いは終わりを迎える。
変身が解けるとユキは高熱を出して倒れてしまい、六辻寮に運ばれる。ユキが目を覚ますと、そこには先ほど助けようとした少年の姿もあった。彼は六辻寮の管理人、左近(さこん)で虚宿についてよく知っている人物だった。

その日の夜、まだ熱が続いているユキの元に天哉がやってくる。天哉は無理やり変身したユキに会おうとし、ユキは別人格になって天哉を押し倒してしまう。ユキが肌を露わにさせた時、秋羅も異変を感じてユキの部屋を訪れる。ユキの姿を見た秋羅は感情を抑えられなくなり、右腕に取り憑いている虚宿の一部が暴れ出してしまう。心が乱れると虚宿に乗っ取られてしまうことが判明した秋羅は、逆に虚宿の力を利用できるようになる必要があった。

その後、学校に登校した6人は、先日彼氏が外道に取り憑かれてしまったマユミが彼氏への不信感から外道に取り憑かれていることに気づく。秋羅は虚宿の力を利用できるようになるため、犬猿の仲である天哉とタッグを組み外道に立ち向かう。しかし天哉が勝手な行動をし始めたことで怒りを隠せなくなり、虚宿に取り込まれないように必死で戦うこととなる。虚宿の力を利用することに成功した秋羅は、右腕に黒い翼が現れ、天哉を殴っていつものケンカを始める。ユキと春花に止められた2人は力を合わせて外道を還すのだった。

交錯する恋心

満月の夜になるとそれぞれの力が強化され煩悩も強まってしまうのだが、特に理性を失って獣のようになってしまう呉葉と、そんな呉葉に対して色欲に溺れてしまう天哉を見てユキはどうにかしたいと右近に相談する。右近は冥土にある衣領樹の実があれば力を抑えられることを伝え、ユキは早速1人冥土に向かった。

翌日、ユキが六辻寮に戻ると、5人はユキが家出をしてしまったと思って探し回っていた。事情を説明し、ユキは断った天哉以外の4人に衣領樹の実を渡すのだった。
その後、満月の影響も無くなった6人はいつも通り、外道を還す仕事を進めていた。しかし秋羅だけは虚宿の力に苦しんでおり、ユキはとても心配する。2人きりで帰宅する途中、ユキは冥土に行く時に通った六道珍皇寺に案内する。秋羅が足を踏み入れると虚宿が暴れ出し、「行クナ」という声が響き渡る。秋羅を助けようと右腕に触れたユキは再びかなしい気持ちで胸がいっぱいになり、涙がこぼれてしまう。秋羅がユキのまぶたにキスをして涙を飲み込むと、右腕の暴走は静まるのだった。

寮では人間道の力を使って春花が2人の様子を見ていた。いつもの雰囲気の違う春花は、天哉が帰ってくると急にデートに行こうと誘う。しかしそれはユキと秋羅もいる「ダブルデートで、なぜか4人で水族館に行くことになった。いつもと異なる雰囲気のユキに動揺する天哉だったが、春花に指摘されるとあえてユキと行動を共にし、いつもと同じであることを証明しようとする。ユキは天哉が優しく接してくれていると思った矢先に冷たい態度を取られ、ショックで別人格に変わってしまう。そんなユキに「一体誰なんだ」と質問する天哉だが、ユキは「地獄道を司る者 鳴滝ユキ それが今の私だ」と言って、天哉にキスをしようとする。その様子を見ていた秋羅は、春花から2人は特別な絆で結ばれているのではと言われ動揺する。そして右腕がユキだけに反応することを指摘され、ユキと距離を置くように提案されるのだった。

一方、ユキは意識を乗っ取られている中で、傷ついた女性や手を差し伸べる僧侶、そして知らない風景を見ていた。目を覚ますと春花、天哉、秋羅がいたが、秋羅は右手を気にしてユキに近づこうとしなかった。

六辻の儀

ユキが自分の中にいる別人格によって涙が出るほどかなしい気持ちになることに気づき始めた頃、天哉も自分が責め立てると変身するユキのことを調べるため、実家の寺に戻って800年前の蔵書を手に取る。それは宝皇寺初代住職の日記だった。

その後、6人は右近から「六辻の儀」という儀式について説明を受ける。これは村を守る氏神と地蔵菩薩に覚醒したことを報告する儀式で、そのために6人は一度村に帰ることが決まる。
村に戻った6人は春花の実家である稲荷神社で儀式を行うこととなる。儀式の服に着替えたユキは、1人天哉に呼び出されていた。天哉はもう一人のユキを呼び出すため、突然ユキにキスをし、「用があるのはお前じゃない」と言う。ユキはショックを受け、別人格へと変身し天哉の動きを封じ込めてしまう。
そこへ秋羅が現れ、ユキは秋羅にも「私が憎くてたまらないのであろう」と話しかける。それに秋羅の右腕が反応して暴走しユキに襲い掛かるが、ユキはいとも簡単に虚宿を退ける。残りの3人も駆けつけ、ユキは別人格のまま儀式に参加することとなった。

一方、本当のユキは以前見た知らない記憶の中にいた。1人の僧侶が消えかけており、もう1人の僧侶がある女性に「お前のせいだ 雪」「兄さんを返せ」と責め立てていた。目が覚めると、そこは精神世界のような場所で、ユキは儀式の様子をそこから見ることとなる。
儀式を行っている途中、もう1人のユキは自分が虚宿を消滅させてやろうと話し、5人を人柱にしようとする。それを見ていたユキは誰も傷つけたくないと立ち上がり、もう1人のユキと入れ替わることに成功する。

その後、自力で変身できるようになったユキは別人格である雪と会話ができるようになり、ユキ自身の力で外道を還すことができるようになる。しかしユキは失敗を繰り返し、その度に雪から入れ替わることを提案されていた。ユキは自分の心の弱さのせいでみんなを苦しめてしまったことを後悔していたため、天哉の身勝手さにも怒りをぶつけ、雪と向き合っていくことを決意する。その揺るぎない気持ちで雪と共に外道を還すことに成功したユキは、過去の記憶や想いも全部分けてもらうと雪に語りかけるのだった。

春花の気持ち

夏休みに入り、6人は閻魔に呼び出されて冥土に投げ出され、バラバラになってしまう。ユキは天哉と合流することができ、紆余曲折ありながらもなんとか閻魔の元にたどり着く。そこには気を失った秋羅がおり、閻魔によって虚宿と引き離す実験が行われていたが失敗に終わっていた。その状況に閻魔は「“彼”を封印しなおしてもらうしかない」と告げる。

6人は無事現世に戻ることになるが、その間雪が秋羅のことを心配する様子に天哉苛立ちを隠せず、突然ユキは自分の彼女だと宣言する。
その後6人は虚宿の封印の場所を確認するために六辻村に帰省。そんな中、ユキは天哉の言葉を気にして春花の自宅に訪れていた。春花はユキのことをうっとうしいと思いながらも、天哉のことは友達として好きであることや、今夜は泊っていくように話す。安心しきったユキに対して複雑な感情がこみ上げてくる春花は、ユキへの恨めしい気持ちが抑えられず寝ているユキの首に手をかけてしまう。しかし本当はユキに恋心を抱いていることに気づき、涙を流しながらキスをするのだった。そして翌日、春花は他の4人の前でユキが好きだと宣言し四角関係が始まった。

雪と瞬良の過去

封印の洞窟にたどり着いた6人だったが、秋羅の右腕が暴走し始めたため雪の指示で右近の元に戻ることになる。右近曰く、秋羅は虚宿と魂が混ざり始めており、あまり良い状況とは言えなかった。
その夜、黒い羽根を生やした秋羅がユキの部屋を訪れ、ユキを押し倒す。すると雪は秋羅のことを「俊良」と呼び、過去の出来事を思い出す。

雪は六辻村で身寄りのない厄介者として扱われていた。山の神の生贄にされるためだけに生かされており、そんな雪の心は荒んでいた。そこに現れたのは俊良という修行僧だった。2人は徐々に恋仲となっていく。やがて子供が生まれ、孤独と戦っていた雪と僧として道を違えたと惜しまれる俊良も幸せを感じていた。しかし雪は予定通り生贄として捕まってしまう。必死に抵抗する雪に村人たちは子供を代わりにすると言い始め、怒った雪は儀式の剣で村人を刺してしまう。祭壇が壊れた部分には大きな穴が開き、黒い影が村人たちを襲い、雪は鬼のような姿に変わっていく。すると俊良が現れ、自身の命と引き換えに穴を封印したのだった。

雪の過去が判明したあと、6人の前には左近(さこん)という右近の対の存在が現れ、六辻村の大きな穴は800年前の出来事で神が消滅してしまったことが原因だと説明する。雪や修行僧たちは冥土で閻魔に俊良の魂を救ってほしいと懇願し、封印を重ねて魂だけは守るという選択をする。雪は人を殺してしまったため地獄行きを免れなかったが、俊良と共に修行をしていた僧侶たちは現世に戻ることとなる。その5人と雪と俊良の子が六家の先祖であった。雪の生まれ変わりであるユキがいるため、6人は完全に封印する方法を教えてもらうことになる。しかしその術は誰か1人が犠牲になるものだった。

封印の儀式

封印の儀式の日が訪れ、6人は封印の広場を目指して洞窟を進む。しかし春花、呉葉、真夏斗が外道に捕らわれてしまう。ユキと秋羅が3人の救出のためにその場に残るが、2人も外道に飲み込まれ、幸せな幻覚を見せられてしまう。何とか幻から抜け出した5人は、先に進む天哉を追いかける。

5人も広場に到着し封印の儀式を始めた途端、雪によって5人は動きを封じられる。雪は虚宿を解放して自身が新たな封印になると話し、それはユキも同意の上であることが判明する。そして雪は秋羅の中にいる虚宿の魂も戻そうとするが、秋羅は納得できず、更に俊良の人格が現れて雪を説得し始める。俊良は秋羅の体を使って封印を試そうとするが外道に襲われそうになり、それを天哉が庇って負傷してしまう。すると天哉に重傷を負わせた外道は外に飛び出してしまい、事態はどんどん悪化していく。ユキは自分が封印になると決めて走り出すが、そんなユキを押しのけて天哉が穴の中へ。天哉の犠牲により封印は完了するのだった。

最後の儀式

天哉が犠牲になったことに戸惑う5人の元に右近と左近が現れると、秋羅は天哉の魂を戻す方法を聞く。右近は天哉がいる人間界と外道界の狭間で六道の力を手放す儀式を行えば、天哉の魂は冥土に送られ転生でき、そして6人の宿命も終わると説明する。しかし失敗すれば全員が消滅するという危険な方法だった。

それを聞いた秋羅はすぐに飛び出し、呉葉と真夏斗もそれに続く。春花は憔悴してしまったユキに「このまま天哉くんを永遠にあきらめられる?」と声をかけて出発した。ユキは全員が犠牲になるかもしれない選択肢に対して、みんなで決めることだと前を向き、それでも天哉を救いたいという気持ちで飛び出すのだった。

閻魔の力で俊良の魂を解放した秋羅は、体の負担が無くなり外道を倒すことに成功する。そして、春花以外の4人はそれぞれ狭間の入り口を見つけて中に入っていく。春花だけは入口の井戸に向かっていた。自分の気持ちでぐちゃぐちゃな感情になっていく春花だったが、「ユキちゃんと一緒に生きたいだけ」という気持ちを思い出し、狭間に飛び込む。
5人が揃い、最後の儀式が無事成功すると、天哉の魂は冥土に送られ5人の宿命も幕を閉じた。

7年後、5人はそれぞれの人生を歩んでいた。ユキは大人になった今も天哉のことを想い、天哉の墓前で未来を奪ってしまったことを謝罪し「大好きだったよ」と語りかける。そして前を向いて歩き始めるユキをいたずらな笑みで見つめる少年の姿があった。

『ユキは地獄に堕ちるのか』の登場人物・キャラクター

chan53
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