KAN(木村和)とは【徹底解説まとめ】

「KAN(カン)」とは日本のシンガーソングライターである。本名は木村和(きむらかん)。ピアノを弾いて歌うスタイルのミュージシャンである。1987年にシングル『テレビの中に』でデビューした。1990年に発表した『愛は勝つ』が大ヒットし、200万枚を超えるCD売上を記録。その後も『言えずのI LOVE YOU』『まゆみ』といったヒット曲がある。オリジナルアルバムは17枚を発表している。2023年3月にメッケル憩室癌を患っていることを発表したが、同年11月12日闘病の甲斐なく病没した。

Mr.Childrenとスキマスイッチから影響を受けた曲「SCENE」

デビューしたての頃は歌詞を書くことを苦手としており、作詞家に書いてもらった曲もあったが、今ではすべての曲で詞を書いている。
歌詞には自分の実体験が色濃く反映されており、1人の女性を一途に思い続ける歌やスピード違反で捕まった歌、近所に住む人妻に憧れる歌などバラエティに富んでいる。中でもアルバム『カンチガイもはなはだしい私の人生』に収録されている「REGIKOSTAR 〜レジ子スターの刺激〜」では、近所のスーパーでレジ打ちをしていた女性に抱いたほのかな恋心をキャッチーなメロディに乗せて、ほろ苦く描いている。

作曲方法としては、その演奏スタイルからピアノを弾きながら作曲すると思われがちだが、基本的なメロディーとアレンジまではすべて頭の中で完成しているそうだ。ピアノの前に座るのはその確認とデモ音源を作るときだけだという。
楽曲のイメージを完成させるデモ音源づくりでは、まずリズムマシンでドラムのパターンを録音し、それに合わせてピアノで演奏したベースやシンセ、ストリングスなどのフレーズを重ね取りしたあと、ボーカル録音まで行う。その様子がCDの特典DVDに収録されている。
用いる機材はどれも約20年前の機材で、特にリズムマシンはKANが大学生の時に購入したものが40年近く使用されている。

また前述の通り、ビリー・ジョエルやスティーヴィー・ワンダーなどの洋楽アーティストの曲をリスペクトして作られた曲も多い。もちろん国内アーティストに影響を受けた曲も多くある。わかりやすい例を挙げるとMr.Childrenの曲を分解して再構築し、スキマスイッチ風の歌詞を乗せた「SCENE」という曲がある。デモ段階の仮タイトルは「全力箒星」であったこの曲の、成立過程は、KAN本人がラジオや様々なところで語っている。

女性に対する憧れが昂じて作曲された「フェチソング」も多数あり、「夏は二の腕発情期」「丸いお尻が許せない」「胸の谷間」などがそれにあたる。「Oxanne –愛しのオクサーヌ–」のライブバージョンでは「おっぱい」が連呼され、客席にはおっぱいバルーンが飛び交う。
エッチな曲ばかりだがKAN特有の品の良さがあるため、女性ファンにも受け入れられている。

KANのライブは「音楽ギャグエンターテイメントショー」

KANのライブには大きく3つの柱がある。
バンドを率いての「バンドライブ」、単身で弾き語りで行う「弾き語りばったり」、弦楽4重奏とピアノで行う「弦楽カルテットライブ」の3つである。

2001年までは大きいホールで行われるコンサートツアーが行われていたが、2001年以降は会場をライブハウスに移し、バンドライブツアーに変化していった。
バンドライブは基本的に「音楽ギャグエンターテイメント」を目指して構成されている。観客を楽しませることはもちろんだが、一番楽しんでいるのは本人らしい。
ふざけることが大好きで、初期のコンサートツアーでは曲の間奏部でコントが行われたし、ステージ上でメンバーによるビールの銘柄を当てる効きビールが行われるなど、アイデア豊富な演出であった。
他にもステージ中央に置いてあるニセグランドピアノの上にギターやKANが乗り、下からスモークや風を当てる演出や、『DISCO'80s』のイントロと同時にキャノン砲でアフロヅラが発射され、幸運な観客はヅラをかぶれるというものがある。近所に住む人妻のおっぱいに対する憧れを歌った『Oxanne−愛しのオクサーヌ−』では巨大なおっぱいバルーンが客席を飛び交う。
一番の見どころといえば、ライブ後半に必ず演奏される「全曲つなげ」である。これは今回のライブで演奏された曲をワンフレーズずつ繋げて演奏するというものだ。それだけでもファンにとってはうれしいのだが、毎年その中に全然関係ないその年のヒット曲が紛れ込んでおり、ファンは大爆笑に包まれる。
またアーティストのaikoが始めたとされるコールアンドレスポンス「男子!女子!〜」を行うが、これは同じコールアンドレスポンスをやっているaiko、Perfume、中川翔子、きゃりーぱみゅぱみゅの仲間に入りたいがためだと語っている。

「弾き語りばったり」は本人は「修行」だと語っている。開演時間になって出ていくのは緊張するという理由で、開場時間より前にステージで1人でピアノの前に座りウォーミングアップをしている。初めてライブに参加する客はびっくりするが、慣れているファンは温かい目で見守っている。
「お通夜みたいな」「1人では何もできない自分を突っつくような」ライブとKAN自身は語っている。
ライブの途中で「ピンクカードタイム」というコーナーがあり、観客が開演前に質問やKANと話したいことを書いたピンクカードをKANが選び、観客とのコミュニケーションをとる時間もある。

「弦楽カルテットライブ」はある意味KANによる音楽教室ともいえるかもしれない。バイオリン、ビオラ、チェロといった楽器の解説に始まり、観客に馴染みのあるKANの楽曲を題材に、弦楽4重奏にアレンジする過程が説明されていた。
もちろん笑えるネタも満載で、観客は十分に満足できる内容になっている。

舞台衣装は意表を突くコスプレショー

KANはライブ時の衣装についても、ありきたりなものは着用しない。
自身が結婚した年のライブではウェディングドレスを着て演奏し、芸能生活23周年逆特別ライブでは金色のスーツ、他にも背中に羽をつけたサンバの衣装を着用した年もあった。
イベントに参加した時はさらに拍車がかかる。特にap bank fesに出る時は毎年変わった衣装で登場するのが恒例となっていた。アメフトのユニフォーム、バグパイプ奏者、おまわりさん、学生服、甲冑といったコスチュームで毎回登場し、こちらも話題となった。両国国技館でスキマスイッチらとイベントを行った際は、「ここがどこかを考えれば、着るものはコレかアレしかないはずです」と行司の衣装で演奏した。

旅行に行ってもダジャレを忘れない

クアラルンプールでコアラルンルンプール

KANは旅行好きとしても知られている。フランスに移住していたこともあり、ヨーロッパにも多数行っていたが、好んで行っていたのが中国やロシアといった共産圏や、トルクメニスタンアゼルバイジャンといった、旧ソ連の構成国であまり知られていない国々であった。
旅行先でKANが行っていたのが「ワールドワイドダジャレフォト(WWDP)」である。旅行先の国や都市の名前をダジャレにして写真を撮るというもので、クアラルンプールに行った際の「クアラルンプールでコアラルンルンプール」やタジキスタンの首都ドゥシャンベで撮った「ドゥシャンベでカトちゃんペ」などがある。
同好の士としてジャズピアニストの塩谷哲氏がいる。

他アーティストとの交流

aiko

女性シンガーソングライター。
本人曰く「痛いファン」。高校生の頃にKANの音楽に出会い、恋するようにファンになった。
ライブに行くときは、終わってもそれを認められずに「帰りたくない」と泣き崩れていたとTVで語っていた。

ASKA

CHAGE&ASKAのメンバー。
小学生の時に近所に遊びに来ていた、幼稚園時代のKANと遊んだ事があるらしい。
ASKAの歌う『はじまりはいつも雨』に衝撃を受け、J-POPに興味を持つようになったとKANは語っている。
後にASKAのような曲を作りたいと「MOON」という曲ができた。

桜井和寿(さくらいかずとし)

Mr.Childrenのボーカル・ギター。
Mr.Childrenのデビュー前に『愛は勝つ』や『言えずのI LOVE YOU』を聴いてファンになったと語っている。
デビュー後はラジオでの共演や、KANと結成した「パイロットとステュワーデス」というユニットでイベントに参加している。
Mr.Childrenの『OVER』は『言えずのI LOVE YOU』に、『終わりなき旅』は『MAN』の影響を受けているとインタビューで語っていた。

佐藤竹善(さとうちくぜん)

SING LIKE TALKINGのボーカル。
イベントなどで数多くの共演がある。
KANとはゴルフ仲間でもあった。

塩谷哲(しおのやさとる)

ジャズピアニスト。
佐藤竹善とのユニット「Salt&Sugar」のゲストにKANが参加していた。
KANと同じワールドワイドダジャレフォトの会員で、ローマのコロッセオで撮影した「坂本ローマ」という作品がある。

スキマスイッチ

日本の音楽ユニット。
KAN、スタレビ、秦基博と結成したユニット「星屑の隙間に木村基博」略して「ホスキモ」のメンバー。
メンバーの大橋卓弥(おおはしたくや)はKANとは呑み仲間、常田真太郎(ときたしんたろう)はKANの弾き語りライブのタイトルを選考する「タイトリスト」を務めていた。

杉山清貴(すぎやまきよたか)

katushi_nawataa3
katushi_nawataa3
@katushi_nawataa3

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