悪魔のリドル(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『悪魔のリドル』とは高河ゆん(原作)、南方純(作画)による漫画・アニメ作品。ミョウジョウ学園に存在する、特別な時期にしか開講されないクラス・10年黒組。一ノ瀬晴は自身の一族の試練として黒組に転入する。その試練とは「自身の命を狙う12人の暗殺者がいるクラスを生きて卒業すること」だった。そんな中、刺客の1人・東兎角は暗殺対象の一ノ瀬晴に心を惹かれ、彼女を守ることを決意。兎角と晴は、11人の暗殺者達との戦いに身を投じて行く。登場人物のほとんどが女子高生であり百合描写も描かれている。

『悪魔のリドル』の概要

『悪魔のリドル』とは高河ゆん(原作)、南方純(作画)による漫画・アニメ作品。KADOKAWA 角川書店の『月刊ニュータイプ』にて2012年9月号より2016年11月号まで連載され、単行本は5巻まで発売されている。また、ディオメディア制作によるテレビアニメ版が2014年4月から6月まで放送された。

本作のタイトルである「リドル(Riddle)」とは英語で「なぞなぞ」を意味しており、タイトルロゴには「riddle story of devil(リドル・ストーリー・オブ・デビル)」と英語名が記載されている。アニメでは「世界は□□」に満ちている」や「籠の鳥を外に出すには?」のような、エピソードと関連したなぞなぞ形式のサブタイトルになっている。

「クラスメイト全員が暗殺者で、1人のターゲットを狙う」というコンセプトで、女子高生の暗殺者が戦闘を繰り広げるアクション漫画だが、女性同士の友情や百合展開も魅力の1つ。

全寮制のマンモス校であるミョウジョウ学園。この学園には特別な時期にしか開講されないクラス・10年黒組が存在した。女子高生・一ノ瀬晴(いちのせ はる)は自身の一族の試練として黒組に転入する。その試練とは「自身の命を狙う12人の暗殺者がいるクラスを生きて卒業する」ことだった。一方、12人の女子高生達は「望む物がなんでも1つ与えられる」という暗殺成功報酬を得るために黒組に編入する。

主人公・東兎角(あずま とかく)は暗殺者の名家としてミョウジョウ学園へ送り込まれるが、暗殺対象である晴の明るく優しい性格に心を惹かれ、暗殺者としてクラスに編入してきたにも関わらず、彼女を守ることを決意する。兎角は晴を守るために暗殺者11人達と熾烈な戦いを繰り広げいくのだった。

標的暗殺については「暗殺を実行する前に予告票を出し、48時間以内に殺害すること」・「黒組生徒以外の人間を巻き込んではならない」・「暗殺機会は1人1回のみで、暗殺失敗または黒組生徒以外を巻き込んだものは退学」、そして「暗殺成功者には報酬として望むものが1つ与えられる」とルールが設けられている。

『悪魔のリドル』のあらすじ・ストーリー

東兎角と一ノ瀬晴の出会い

惹かれ合い愛し合う、兎角(左上)と晴(右下)。

小中高大学一貫教育のミョウジョウ学園では、10年生(高校1年生)の中で特別な時期にのみ開講される「黒組」が存在していた。黒組は学園理事長・百合目一(ゆりめ いち)が、強大な武力と権力を持つ自身の一族の出身である女子に対し、「一族の未来を担う力を持っているか」を測るために設けられたクラスだった。一族の女子は「クラスメイト全員が暗殺者のクラスを生きて卒業できるか」という試練を課され、女子高生・一ノ瀬晴(いちのせ はる)は試練の対象として黒組に編入。そして、彼女を殺すために12人の刺客が集められた。

暗殺者を養成する学園、私立17学園に在籍している東兎角(あずま とかく)は、教師・カイバの指名で「学校間留学生」としてミョウジョウ学園・10年黒組へと送られる。彼女の任務は他の暗殺者よりも早くそのターゲットを殺すことだった。出発の直前、兎角はカイバにある問題を出題される。それは「世界は□□に満ちている」という謎めいた問いだった。その答えを出せなかった彼女は、学園でその答えを見つけ出すようにと課題を出されるのだった。

初登校日、黒組のクラスメイトである犬飼伊介(いぬかい いすけ)、走り鳰(はしりにお)、番場真昼(ばんば まひる)、一ノ瀬晴(いちのせ はる)と担任・溝呂木辺(みぞろぎ あたる)に自己紹介を済ませた兎角は、クラスメイトの出席番号が五十音であると気づき、1人だけ五十音順の出席番号ではない晴がターゲットだと推測する。一方、晴は皆と距離を縮めるため手作りのストラップを配り始める。兎角は、彼女から貰ったそのストラップに妙な愛着を覚え、自身の心境に違和感を抱くのだった。

黒組に在籍する生徒は寮生活を送ることになり、兎角は晴と同室になる。他のクラスメイト達からは暗殺者特有の嫌な臭いを感じる兎角だが、晴からは日向の匂いを感じ彼女に興味を抱く。寮長の仕事を押し付けられた兎角は晴と共に見回りをしていく中で、真昼のもう1つの人格・番場真夜(ばんば しんや)、転入してきたばかりの生田目千足(なまため ちたる)と桐ケ谷柩(きりがや ひつぎ)と挨拶を交わす。

部屋に戻った兎角は、ふとしたきっかけで晴の脚に残された痛々しい傷跡を発見する。それは、彼女が幼い時に負った傷跡で、それでも前向きに生きようとする晴の様子から、カイバの問いの答えは「世界は“傷跡”に満ちている」ではないかと推測するのだった。

その日の夜、兎角は夜の点呼で寒河江春紀(さがえ はるき)と出会い、翌日には残り4名のクラスメイト剣持しえな(けんもち しえな)、武智乙哉(たけち おとや)、首藤涼(しゅとう すず)、神長香子(かみなが こうこ)が黒組に合流する。その際、香子は真面目な性格から学級委員長・寮長に立候補し、兎角は自身の役職を彼女に引き継がせるのだった。

一方、兎角はカイバからの問いが一向に当たらないことにイラついており、晴に助言を求める。彼女の回答は「世界は“赦し”に満ちている」と予想外な言葉であり、それは「反省した人の罪や間違いを無限回許す」というものだった。暗殺者として育てられた兎角にとって、彼女の言葉を受け入れることはできなかったが、試しにその回答をメールで送ったところ、正解となり予想外の答えに驚くのだった。

11人の刺客と1人の守護者

カイバからの問いに対し、予想外の正解を得られ驚く兎角だが、一方で晴は伊介にお茶会に誘われていた。伊介の来訪を歓迎する晴だが、彼女も晴の命を狙う暗殺者であり、紅茶に睡眠薬を盛られ眠りに落ちてしまう。伊介は意識を失った彼女を風呂場で溺死させようと試みるが、間一髪で兎角が駆けつける。伊介の傍には服を脱がされた晴が倒れており、彼女の全身に残る傷跡を目にするのだった。
兎角は晴を守るために伊介と交戦、彼女を圧倒するが、止めを刺す寸前に手が震えだし仕留め損ねてしまう。兎角は暗殺者として高い技能を持ちながら、まだ誰も殺したことがない「暗殺処女」だったのだ。伊介を退けた兎角は気を失ってしまい、夢の中で幼い頃の記憶を思い出す。その記憶とは、謎の人物に祠の前に連れていかれた記憶で「誰かを殺そうと思ったらこの祠のことを思い出すこと」と告げられる。そうするとどうなるのか問う兎角に対し、その人物は「殺せなくなるよ。祠の中で□□□□が見てるから」と答えるのだった。

意識を取り戻した兎角は、晴に対し全身の傷跡や彼女の出自に対し疑問をぶつける。しかし、晴から逆に「なぜ自分を守ったのか?」と問われ動揺。晴は、黒組の皆が自身を暗殺するために転校してきたことを知っていたのだ。彼女の一家は世界を動かせる資本と権力を握っている巨大な一族の一部で、その出自故に幼い頃から命を狙われ、その最中で母と父と弟を失い、全身の傷跡もその襲撃から逃れる際に負ったものだと告げる。その上で絶対に生き延び、黒組を卒業すると宣言するのだった。

兎角は過酷な状況の中でも希望を失わず前向きに生き延びようとする彼女に惹かれ、晴の守護者として彼女を11人の刺客達から守ることを決意する。兎角の言葉を聞いた晴は、彼女を優しく抱きしめるのだった。

一方、その日の夜、11人のクラスメイト達の間で裏オリエンテーションが行われていた。学園から黒組の裁定者を任命されていた鳰は、暗殺対象が一ノ瀬 晴であることと、3つのルールを明かす。

ルール1「暗殺に成功した者は報酬として望む物が何でも1つ与えられる」
ルール2「どのような手段を用いても構わないが黒組生徒以外の人間を巻き込んではならない」
ルール3「暗殺に失敗並びにルール2に反した者は退学」

さらに、暗殺に挑戦できるのは1人1回のみで、予告票を出してから48時間以内に実行することが黒組のルールだった。一方、晴暗殺に失敗した伊介だったが、裏オリエンテーション前の出来事だったこともあり、退学は免れる。クラスメイト達に予告票が配られる中、突如クラスメイトの前に姿を現した兎角は、予告票を破り捨て、彼女達に宣戦布告するのだった。

クラスメイトとの攻防

裏オリエンテーションが行われた翌日、黒組に最後のクラスメイト・英純恋子(はなぶき すみれこ)が合流する。クラス全員が揃い授業が始まる中、晴は自身の机の引き出しに手紙が入っていることに気づく。兎角は、その手紙が暗殺予告票だと晴に悟られないようにするため、手紙を渡すように要求する。それは、乙哉から出された予告票であった。
乙哉の行動を警戒する兎角だが、乙哉は晴に友好的な態度を見せ彼女に取り入ることに成功。兎角にバレないよう、放課後、学園の植物園に彼女を誘う。兎角は晴に対しもっと危機感を持つようにと叱り、何かあった時のために連絡先を交換する。

放課後、晴は乙哉と共に植物園へ向かうが、その中でついに乙哉が本性を表す。彼女は今まで多くの人を殺してきたシリアルキラーで、警察から隠れるために逃げ込む形で黒組に転校してきたのだ。そんな彼女は暗殺報酬として「自身の殺人を尻ぬぐいしてくれる”シリアルキラー保険”」を望み、晴に襲い掛かる。晴は乙哉の魔の手から逃れるべく毒草園に逃げ込むのだった。
そんな中、晴の行く先を聞いていた兎角は植物園にて乙哉と応戦。乙哉の得意武器である鋏の攻撃を防ぎ、彼女の身勝手な凶行に怒りを覚える。戦闘が膠着する中、突如乙哉の背後に晴が現れ、毒草園で入手した麻酔系の花を吸わせることで彼女を戦闘不能にするのだった。翌朝、暗殺に失敗した乙哉は報酬はいらないから黒組に居させてほしいと鳰に要求するが、鳰は彼女の要求を一蹴。ルールに則り退学を命じた。

また、別の日には委員長である香子が爆弾による暗殺を試みるがこれも撃退。わずか数日で2人のクラスメイトが脱落する。そんな中、ミョウジョウ学園の文化祭「金星祭」の開催が近づき、黒組は「ロミオとジュリエット」の舞台を行うこととなり、黒組の生徒達は束の間の平和な学園生活を送るのだった。

金星祭

「ロミオとジュリエット」において、ロミオ役には長身な千足、ジュリエット役には小柄な柩が抜擢される。黒組転校前から仲の良かった彼女達は、監督を務めるしえなの指導の元、芝居の稽古に励む。しかし、千足は不慣れな芝居で思うような演技が出来ず苦労するのだった。文化祭が近づく中、兎角は早朝のトレーニング時に偶然千足と遭遇し、彼女から芝居の練習相手になってほしいと依頼される。その時、千足は兎角に自身の目的が晴の暗殺ではなく”エンゼルトランペット”と呼ばれる暗殺者を殺すことだと明かす。エンゼルトランペットとは「ダチュラ」という毒物を用いた暗殺集団の一員であり、千足は恩師の仇を討つために黒組に転校してきたのだ。

一方、これまで周囲と友好的に接していた春紀が突然不穏な動きを見せ始める。彼女は「晴を縛っているすべてから、あの子を解放させないか?」と兎角に提案。それは死によるしがらみからの解放であり、その日の夜春紀は兎角と晴を襲撃。彼女は貧困にあえぐ家族を守るため、暗殺を成功させ家族が一生困らないほどの資金援助を目的としていたのだ。ワイヤーによる攻撃を得意とする春紀は天井の照明器具を落下させ晴達を道連れにしようとするが目論見は外れ3人とも生き残る。晴は重傷を負った春紀に対し「生きてるってことは赦されてるってことだから。いまここにいることを」と励ますが、暗殺に失敗した彼女は黒組を退学となってしまうのだった。

金星祭前日、しえなと柩の2人が同時に予告票を出す。しえなは「集団下校」と呼ばれるいじめられっ子達が集まった暗殺集団に所属しており、暗殺報酬は「所属するグループで決める」というものだった。一方、柩は「しえなが千足に憧れを抱いている」と知り、毒針でしえなを排除。兎角と晴は偶然その現場を目撃しており、兎角は柩の攻撃手段から彼女の正体がエンゼルトランペットだと看破する。柩は自分自身で千足に正体を明かすため、兎角達にこのことは彼女に黙っていてほしいと依頼するのだった。

金星祭当日、柩は千足になぜ”エンゼルトランペット”を追っているのかと尋ねる。その理由とは”エンゼルトランペット”が千足の恩師の娘を殺し、心に傷を負った恩師は廃人と化してしまったのだ。その事実を知った柩は彼女に自身の正体を明かす。そして、本物の短刀を渡し、自身を許せないならこれで刺してほしいと告げる。

共に過ごす内に柩に惹かれていた千足は、恩師の仇を討つという正義感と柩への想いで苦悩する。葛藤の末、千足は柩に短刀を突き刺す。しかし、個人的な感情で自身の正義を貫けなかったことと、柩を刺してしまった罪悪感から自身にも短刀を突き刺し、彼女の後を追うのだった。

一方、黒組の舞台は観客達から大絶賛され、金星祭は幕を下ろすのだった。

襲い来る刺客達

7月14日、涼は晴の暗殺に動き出し、香子が残していった首輪型の爆弾を晴に仕掛ける。爆弾は7月15日の深夜0時になると起爆し、解除するためには4ケタの数字のパスワードの入力が必要となる。涼はゲームと称しヒントの書かれた予告票を兎角と晴に渡し、パスワードの数字となる4枚のトランプをプール施設から探し出すようにと告げる。

兎角と晴は7と0(ジョーカー)と1のカードが見つけるが、最後の1枚を見つけられなかった。そんな中、担任の溝呂木がプールに現れる。7月14日は涼の誕生日で、彼女を祝いに訪れたのだ。一方、涼は自身の望みが「病の治療」だと打ち明ける。彼女の肉体は非常に老化しにくい体質であり、臨界点に達した時には一気に肉体が老化し崩壊する病気だったのだ。自分だけ年を取らず愛する人を何度も失ってきた涼は、普通に老いて、普通に死にたいという望みを抱えていた。起爆時間が迫る中、晴は涼の「普通の人間として年を取りたい」という想いを見抜き、誕生日の翌日である7月15日の「0715」がパスワードだと推測し爆弾の解除に成功。涼は彼女達の健闘を称讃し学園を去るのだった。

黒組に残った生徒が残り6人になった中、真昼(真夜)と伊介は同盟を結び同日に兎角と晴を襲撃。伊介は兎角の「人を殺せない」心理を見抜き圧倒。兎角を校舎から突き落とし戦闘不能にする。一方、真昼に狙われた晴は校舎内を逃げ回り、視聴覚室に隠れるが、真夜に居場所がバレてしまう。殺されそうになる中、伊介が真昼との同盟を破り、彼女のトラウマである光を浴びせる。真昼は幼い頃に誘拐された末に真っ暗な部屋に長い間閉じ込められ、カメラでその姿を撮影された経験から光にトラウマを抱くようになったのだ。伊介の行動に憤る晴だが、彼女との力の差は圧倒的で徐々に追い詰められる。止めを刺される寸前、意識を取り戻した兎角が現れ形勢逆転。靴のかかとに仕込んだスタンガンで彼女を戦闘不能にするのだった。伊介と真昼が脱落する中、これまで静観を決め込んでいた純恋子がついに動き始める。彼女の望みは、以前から惹かれていた真昼の身柄をもらい受けることだった。

一方、兎角は伊介戦をきっかけに幼い頃の記憶を取り戻していた。記憶に残っている祠の扉が開き、その中から彼女の母が現れたのだ。東家の暗殺者として活動していた兎角の母は、出産を機に心境に変化があり、彼女に東家を継がせたくないと思うようになる。その後、彼女は自身の姉に兎角を託し病死。姉は兎角を母の墓である祠に連れて行き「この祠のことを覚えておいて。誰かを殺そうと思ったら思い出して。あそこからお母さんが見てるから、殺せなくなるよ」と暗示をかけていたのだ。兎角は幻の中で母と再会し、その力を大事な人を守るために使うように諭されるのだった。

女王蜂(プライマー)の力

犬飼と番場が脱落し、黒組は残り4人となる。そんな中、兎角と晴は純恋子にお茶会へ招待される。晴は純恋子と友人になりたいと申し出るが、彼女は「わたくしたちが最も似ている所は女王であるということ。女王は孤独に耐えなければならないのだから」と晴の提案を拒否。実は純恋子は幼い頃から晴のことを知っており、彼女も自身と同じように命を狙われ、その過程で家族を失っているという似た境遇だったのだ。純恋子は同じ境遇を過ごした者同士、どちらが強いのかを証明するため晴と兎角に勝負を挑む。

純恋子は部屋に大量に用意した銃火器とサイボーグ化させた肉体で兎角を圧倒。その様子を見ていた晴は逃げるフリをすることで油断した純恋子を手榴弾で攻撃し、彼女を屋上へおびき寄せる。さらに、彼女の武器であるワイヤーを逆手に取り屋上から突き落とすことに成功し純恋子を退けるのだった。

純恋子が脱落した翌日、黒組は鳰・兎角・晴の3名となり、鳰は彼女達に黒組真オリエンテーションを告知する。暗殺者全員が脱落し黒組の終了を予想する兎角だったが、カイバから「最後のひとり残ってんじゃん」と意味深な発言を受けるのだった。真オリエンテーションに参加した兎角達は、そこで黒組主催者兼学園理事長・百合目一と邂逅。さらに、彼女から黒組と晴の特性が明かされる。実は、晴は遠いながらも百合目と血縁者であり、彼女達の一族の女子は「女王蜂(プライマー)」と呼ばれる人を魅了するカリスマ性を持っている。その力は所有者が危機にあるほど磨かれていくため、15歳になった時に「黒組」に入れられ、生き延びられるか試される通過儀礼(イニシエーション)だったのだ。百合目は、兎角が晴を助けたのも女王蜂の力によるものだと説明するが、そのことを聞いた晴は動揺し逃げ出してしまう。晴を追うべきか迷う兎角に対し、鳰は再び暗殺状を渡すのだった。オリエンテーション後、晴は鳰に見せたいものがあると学園の地下へ案内される。その場所は、晴達の一族のために犠牲になった人が弔われた地下霊廟であった。

一方、晴の真実を知った兎角は、彼女の力を知ってもなお晴のことが好きだと自身の気持ちを自覚し、ある計画を立てる。

卒業

鳰に地下霊廟に案内された晴だが、彼女の前に暗殺状を手にした兎角が現れる。刀で晴を斬りつける兎角だが、そこに拳銃を所持したもう1人の兎角が現れ晴を救出する。実は、刀を持った兎角は鳰の幻術であり、彼女の正体は葛葉という幻殺集団に所属する暗殺者だったのだ。兎角は晴が女王蜂の力を使っていないことを信じることを選び、鳰を撃退。しかし、本当に晴が自身を操っていないのであれば、自分の意志で晴を殺せるはずだと、彼女に銃口を向ける。兎角は晴に「おまえが好きだ。だから、おまえを殺す」と宣言、晴は「殺してごらん」と兎角の決意を受け入れる。銃弾を受けた晴は、死の間際で自身の女王蜂の力を自覚し、後追い自殺を図ろうとする兎角を制止。彼女の言葉に従った兎角は銃を捨て、意識を失った晴を抱きしめるのだった。

すべての決着がついた後、黒組でただ1人卒業式に参加する生徒がいた。それは、兎角に殺されたはずの晴であった。兎角の銃弾に倒れた晴だったが、銃弾が重要な臓器を傷つけていなかったこと、ミョウジョウ学園の医療技術が高度だったことで一命を取り留めていたのだ。暗殺に失敗した兎角はミョウジョウ学園を去っていたが、百合目は彼女を黒組の勝者と認め、望みの報酬を与えると告げる。兎角は報酬として晴と共に生きることを望み、百合目はそれを了承。その後、兎角は17学園に戻り、カイバから「おまえが本当に欲しいものは何か、それを手にするために何ができるのか」と期限なしの宿題を与えられ、学園を卒業し晴と共に暮らし始める。また、黒組に所属していた生徒達も全員生還しており、それぞれの人生を歩み出すのだった。

『悪魔のリドル』の登場人物・キャラクター

10年黒組生徒

東兎角(あずま とかく)

CV:諏訪彩花 演:島﨑信長、江口拓也、木村良平

本作の主人公。出席番号1番。15歳。暗殺者養成組織「私立17学園」から「ミョウジョウ学園」10年黒組に送り込まれた暗殺者。クールな顔立ちをしており、青色のショートカットが特徴。半袖のYシャツに青色のネクタイを着用している。身長は160cmくらいで、胸のサイズはBカップほど。好きな食べ物はカレーで「完全食」と称し学園内でも専らカレーばかりを食べていた。

常に無表情で他人とのなれ合いを好まない性格。匂いに敏感で悪意や殺気などの「嫌な臭い」を鋭く感じ取ることができ、本人は「腐った海の匂い」と独特な表現をしている。暗殺者の名家「東のアズマ」の跡取りとして生まれる。「兎角」という名前は「ありえないもの」という意味で、一族の頭領である祖母によって名付けられた。

幼い頃からナイフの投擲術や体術といった暗殺の技術を叩きこまれており、ナイフによる近接格闘を得意とする。しかし、実際に殺人を経験したことは無く、幼い頃のある出来事が原因で人を殺す直前になると手が震えてしまうという暗殺者として致命的な欠点がある。

黒組にはカイバの命令によって参加しているだけであり、希望する暗殺報酬はなかったが、暗殺対象の晴と寮で同室となり徐々に彼女に惹かれ心境が変化。晴の唯一の守護者として11人の暗殺者と戦う決意をする。

物語終盤では、夢の中で死別した母と再会することで人を殺せない呪いを克服する。しかし、晴を守っていた自身の行動が彼女の女王蜂の能力に操られていたことが原因ではないかと疑念を抱き、自分の意志と彼女への好意を証明するためあえて晴の暗殺を決意。黒組の暗殺者全員を退けた後、晴を暗殺しようとする。

原作とアニメでは晴の殺害方法が異なっており、原作では拳銃で晴を撃ち後追い自殺を図ったところを彼女の説得により思い止まっている。アニメ版では晴の心臓にナイフを突きたて自身の思いが本心だと確信したが、瀕死の晴を抱きしめながら涙を流した。なお、原作とアニメいずれも晴は生還を果たし、黒組卒業後は彼女と共に暮らしている。

一ノ瀬晴(いちのせ はる)

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