僕らが恋をしたのは(オノ・ナツメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『僕らが恋をしたのは』とは、2021年より『Kiss』にて連載された、オノ・ナツメによる恋愛マンガである。平均年齢70歳の男女が織りなす山奥での悠々自適な暮らしと、穏やかでしっとりした大人の恋愛模様をリアルに描いている。ある日山奥の田舎で暮らす四人の老齢の男たちの元へ一人の女性「お嬢」がやってきたことにより、恋という久々のスパイスを得た男たちの日常は少しずつ移ろいで行くのであった。

ある日男たちが暮らす「楽園」へやってきた美しい女性。本名は不明。ドクが作ったログハウスで暮らしている。老齢ではあるが先住民である男たちよりは幾分年若い。何事にも興味津々な性格で、自給自足の「楽園」での暮らしを日々楽しんでいる。どこか謎めいた雰囲気を持ち、話す人によって自分の性格や過去を演じてしまうという癖があり何度かトラブルを起こしている。これについて本人は「またやっちゃった」と後に悔いている。実際キザと大将に語った己の過去は全く正反対のもので、後ほど男たちはこの話を酒のアテにしていた。あだ名の由来はキザが彼女を「お嬢さん」と呼んだことから。
高校三年生の時、見に行った大学の学園祭で発表されていた演劇にいたく感激することとなる。このことをきっかけとして、「今まで親の決めてきたレールの上で生きてきたが初めてやりたいことが見つかった」と女優を志すようになった。学園祭で見た演劇の脚本を書いたのは当時大学生だった教授で、女優デビュー後知り合った脚本家の男性が教授のかつての友人だったという繋がりがある。その縁があったため、後ほど脚本家の男性より教授あての手紙を託されることとなり「楽園」へ教授を探しに来たのであった。妹がいる。

教授

物語開始の一年前より「楽園」にカバン一つで移住してきた老齢の男性。本名は不明。大将が売りに出していた平屋の一軒家で暮らしている。家には本が大量にあり、ジャンルにこだわりはなく何でも読む。時々町に出て古本を大量に買い込んでいる。口数が少なく物静かな性格で観察力が鋭い。自然や人間などあらゆるものを観察する癖があり、その延長線上で日記をつけている。あだ名の由来は雰囲気から付けられたもので、実際に教授をしているわけではない。
大学時代は脚本を書いており、その頃書いた作品の一つが高校時代のお嬢の心を深く掴むこととなった。脚本家の道を志していたが、当時一番懇意にしていた友人に新作の構想を話したところ、そのアイディアを盗作される形となった。友人が書いた作品を見た教授は「あれは僕の作品じゃない」と友人に告げ、友人が書いた脚本の舞台を見た後大学を辞め姿を消した。大学を辞めた後は演劇から離れ日雇いの仕事などをして無味乾燥な暮らしを送っていたが、飲み屋で知り合ったドクに誘われて「楽園」へ移住を決めた。姉がいる。

大将

六年前に田舎の土地を相続し、定年を機に土地を「楽園」として暮らしている老齢の男性。妻とはその頃に死別しており、いつも仏壇に花とお菓子を欠かさず供えている。本名は不明。
お人好しで押しに弱い性格。キザとは中学の時からの腐れ縁で女性関連で浮かれるキザのブレーキ役。「楽園」の管理人として暮らす傍ら木の伐採や薪売りを行っており、手伝いとして友人のドクを雇っている。あだ名の由来は本人曰く「意味はない」。薪売りの際は息子家族も手伝いに来る。

キザ

大将が田舎への移住を決めた時に「マンション暮らしは味気ない」と共に移住を決めた老齢の男性。本名は不明。大将とは中学時代からの付き合い。ロマンチストで、昔映画で見た英国の景色に憧れ、自然が好きということもあり大将の土地を購入しジョージアン様式の家を建てて暮らしている。「楽園」のリンゴ畑は大将の親が育てていたがそれを譲り受けている。リンゴ畑で育てているリンゴは特に紅玉が多く、知人の菓子屋に納品している。料理上手で台所に立つことが多い。ドク手製の石窯でパンを焼くこともある。
女性がらみで失敗をし離婚をしているが家族仲は良好で、自らの死後も娘夫婦が家の面倒を見ることになっている。あだ名の由来は言動が気障めいていることと、苗字の「キザキ」から付けられている。

ドク

大将の友人で、木の伐採などでよく「楽園」に出入りしている山男。本名は不明。本来はお嬢が暮らしているログハウスが完成したら次の場所へ行くつもりだったが、しばらくの間大将に雇われる形で「楽園」に暮らすこととなった。自分の家は持っておらず、大将の家やキャンピングカーで寝泊まりをしている。ログハウスや家具まで一通り自分で作ることが出来る。キザがパンを焼く石窯も彼の手製。あだ名の由来は傷の手当なども自分でしてしまうため「ドクター」を省略したもの。野草に詳しい。
昔アラスカで暮らしていた時狼に遭遇し、額には今も傷が残っている。世界各国に友人や知人がおり、教授とは全国を放浪していた際福岡の飲み屋でたまたま知り合った。「楽園」にやってきたお嬢には何か目的があるのでは、といち早く気付いていた。

メインキャラクターを取り巻く人々

脚本家の男性

教授の大学時代の友人で、売れっ子脚本家としてブレイクした男性。本名及びあだ名は不明。自分の劇団を立ち上げており、劇団に来ないかと教授を誘っていた。教授が暮らす寮に入り浸って二人でよく創作の話に花を咲かせていた。しかしある日、教授が構想していたアイディアを聞いた際にシーンが頭に舞い降り、書きたいという衝動を抑えられず脚本として完成させてしまう。これを見た教授は「骨格は同じだがこれは違うものだ」と、自分の才能の限界を感じ打ちひしがれることとなった。この作品は本来捨てるつもりだったが劇団の仲間に見つかり、教授が自分の名を出すことを拒んだことから男性の作として世に出ることとなった。その後教授が行方をくらましたことから疎遠となり、行き先を教授の姉に聞いても教えてもらえなかったということであった。
お嬢とは彼女が若手女優の時代に知り合い、戦友としてなんでも語り合う仲だった。教授の構想を盗作したことについては最後まで悔いており、謝罪の言葉を綴った手紙をお嬢に託して病死した。

キザの長女。本名は不明。キザと母親の離婚の際、北海道へ母親と次女と共に移住している。離婚後もキザとの関係性は良好で、手紙や写真、野菜などを送ったり毎年「楽園」までキザに会いに来ている。
作中では本来会いに来る予定はなかったが同窓会のついでに来訪、お嬢に鼻の下を伸ばしているキザを心配していた。あだ名はキザが彼女に「自分にもあだ名が欲しい」と言われたため付けたもの。

『僕らが恋をしたのは』の用語

楽園

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@enunoheyaa9

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