ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋(ドラマ)のネタバレ解説・考察まとめ

『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』とは、ギレルモ・デル・トロがエグゼクティブ・プロデューサーを務めた、Netflixのホラーアンソロジーシリーズ。ギレルモ・デル・トロを始めとするプロデューサーが監督を指名した、1話完結型で全8話の短編ホラードラマ集だ。原作はH・P・ラヴクラフトなどの、ゴシックやグラン・ギニョールの流れを汲む作品が中心。
レビュー収集サイト「Rotten Tomatoes」では、調査対象の批評家47人のうち94%が本作に好意的な評価を与え、平均評価は7.6/10となっている。

観覧

ライオネル・ラシター(演:ピーター・ウェラー)

『観覧』の主人公で、世界的な大富豪。主治医の美女・ザーラと暮らしており、高純度のドラッグを日常的に摂取している。
邸宅に自分のお眼鏡にかなった人材を招き、いかなる技術でも正体を暴くことができない謎の石を観覧する。

ざわめき

ナンシー(演:エッシー・デイヴィス)

ハマシギの観察と研究をしているナンシー(左)と夫のエドガー(右)。

『ざわめき』の主人公。大学という社会で男性ばかりが実権を握る中、鳥類の研究で成果をあげている。子どもを亡くしてから心を閉ざしてしまい、共に研究に取り組む夫との関係が上手くいかなくなっている。
ハマシギの観察のために訪れた離島の古い屋敷で、怪音や人影などの怪奇現象に遭遇する。ナンシーは屋敷に残された写真や手紙などから、かつて屋敷に何があったのかを調べていく。

『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』の名言・名セリフ/名シーン・名場面

ステイシー「そう思うのはあなたが男だからよ!」

激昂したステイシーによって頭にメスを叩きこまれたキース。

『外見』の主人公ステイシーは、同僚にもらった高級美容クリームが肌に合わないにも関わらず、なんとか美しくなろうとクリームを使い続ける。夫のキースは体中を赤く爛れさせるステイシーを止めようと、説得を試みる。
「君は素晴らしい人だし、そのままの君を愛している」と訴え、ステイシーのどんなところを愛しているか伝えるキース。だがステイシーは「そう思うのはあなたが男だからよ!」と叫ぶ。「太ってても毛深くても不細工でも老けても、誰も気にしない。皆変わらず接してくれる。けど、女は違う。私は変わるの。変化してる。だから私を支えてよ」と、ステイシーは変わろうとしている自分を肯定して支えてほしい気持ちをキースにぶつける。しかし、キースが考えを変えることはなかった。
ステイシーはキースを殺害し、剥製に変えてしまう。キースは彼がステイシーに求めたように、「変わらないもの」になったのだ。そしてステイシーは彼女の望み通りに美しく変身し、同僚の女性たちから認められる存在になる。
愛しあっているにも関わらず、決して理解しあえないふたりの決裂の場面だ。

『ギレルモ・デル・トロの驚異の部屋』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話

第6話『魔女の家での夢』の主人公は『ハリー・ポッター』のロン役で知られるルパート・グリント

『魔女の家での夢』の主人公を演じているルパート・グリント。

第6話『魔女の家での夢』の主人公ウォルター・ギルマンは、映画『ハリー・ポッター』シリーズのロン・ウィーズリー役で知られているルパート・グリントが演じている。ロンを演じているときの明るくひょうきんな雰囲気は皆無で、不健康で偏執的な、オカルトにのめり込む青年が見事に表現されている。
ウォルターは最終的に魔女の手下の小悪魔に肉体を奪われて別人と化してしまう。ウォルターを演じていたときの憂鬱そうな表情が一変し、まんまと肉体を奪って人間の生活を満喫できる喜びが漲る。

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