マッシュル-MASHLE-(漫画・アニメ)のネタバレ解説・考察まとめ

『マッシュル-MASHLE-』とは甲本一(こうもとはじめ)によって2020年から『週刊少年ジャンプ』で連載された、ファンタジー漫画及びそれを基にしたアニメ作品である。日常的に魔法が使われる世界で唯一魔法が使えない主人公マッシュが、ひょんなきっかけからイーストン魔法学校に入学し、魔法を使わずに鍛え上げた筋肉で強引に問題を解決していく様を描いている。魔法が使えないにも関わらず、魔法を使っていると錯覚させるコメディ要素が見どころ。

『マッシュル-MASHLE-』の概要

『マッシュル-MASHLE-』とは甲本一(こうもとはじめ)によって2020年から『週刊少年ジャンプ』で連載された、ファンタジー漫画及びそれを基にしたアニメ作品。日常的に魔法が使われる世界で唯一魔法が使えない主人公マッシュが、魔法を使わずに鍛え上げた筋肉で強引に問題を解決していく。「次にくるマンガ大賞2020」では11位、「全国書店員が選んだおすすめコミック2021」では3位を受賞した話題の漫画。2023年4月にはアニメ化も決定しBSや中京テレビなどのテレビでの放送、NetflixやHuluなどの配信プラットフォームでも放送。

魔法を使う者はみな顔にアザがあるが、マッシュは魔法が使えないためアザがない。そのことが魔法警察にバレてしまい、追われる身となる。魔法警察のブラッドはマッシュが魔法を使えないことを黙る代わりに、イーストン魔法学校に入学して神覚者になり、金品や権利を自分に渡すように持ちかけた。魔法が使えないマッシュがイーストン魔法学校に通う物語が始まる。魔法が使えないにも関わらず、力技で魔法を使っていると錯覚させるコメディ要素が見どころ。

『マッシュル-MASHLE-』のあらすじ・ストーリー

魔法学校入学

魔法で動き回るテストの文字を圧力でおとなしくさせるマッシュ

魔法の強さによってすべてが決まる魔法界において一切の魔力を持たない少年マッシュ・バーンデッドは、赤ん坊の頃レグロ・バーンデッドに拾われ、森の中でひっそりと暮らしていた。魔法を使えないものは処分されてしまうという決まりがあったため、レグロは「自衛のため」マッシュに毎日筋トレを行うよう言いつける。素直に守っていたマッシュはいつの間にか人並外れたパワーを手に入れていた。

ある日マッシュはレグロの「町に出るな」という言いつけを破り、大好物のシュークリームを求めて町へ出かける。無事に購入することができたが、マッシュは魔力の量を示す痣が頬に入っていなかったため、魔法警察に目をつけられてしまう。すぐにレグロがマッシュを連れて森へと帰ったが、魔法局長ブラッド・コールマンによって追跡されていた。

外出の罰として再び筋トレを言いつけられたマッシュが5分で終わらせて家へ戻ると、マッシュの居場所を聞き出そうとするブラッドがレグロを拷問していた。マッシュはレグロを助けに家に飛び込むと、ブラッドと対峙する。ブラッドはかなりの実力者だったがマッシュは筋肉による力業でブラッドに負けを認めさせる。ブラッドは「魔法を使えないことをばらさない代わりに、神覚者に選ばれろ」と取引を持ち掛け、マッシュは「じいちゃんと平和に暮らすため」承諾した。

神覚者になるため、マッシュは偽の痣を頬に入れて魔法界の中枢を担う名門校「イーストン魔法学校」の編入試験に挑んだ。試験官のクロード・ルッチは周囲の受験生が道具の手入れや予習を行う中、マイペースに筋トレをしているマッシュを見つけて「あいつは絶対落ちる」と予想する。しかしマッシュは筋肉による力業で次々試験を突破していき、ルッチは「次の試験で確実にアイツを落としてやる」と企んだ。

最終試験の巨大迷路に入ったマッシュは、「レモン・アーヴィン」という女子に「協力してゴールを目指しましょう」と強引に言い寄られる。しかしレモンは次々と罠にはまってマッシュの足を引っ張り、彼女を見限ったマッシュは1人ゴールを目指そうとした。レモンは「諸事情により足止めしていました。ゴールさせるわけにはいきません」と言うとマッシュを魔法で拘束したが、強引に魔法を破ったマッシュは姿を消した。そこへ迷路の番人がレモンに襲い掛かる。パニックになってけがを負ったレモンは「だました罰だ」と覚悟を決めるが、レモンの「諸事情」が自分のようだったら可哀そうだと思いなおしたマッシュに救われ、強引に迷路の壁を破っていったマッシュと共にゴールした。

他の受験生が「卑怯だ」とブーイングを浴びせるなか、レモンはルッチから「マッシュの足止めの見返りに合格させてやる」と取引を持ち掛けられた事を明かし、マッシュを庇う。開き直ったルッチがマッシュとレモンを不合格にしようとしたとき、校長のウォールバーグ・バイガンが現れてその場を引き受ける。ウォールバーグとの最終面談に挑んだマッシュは「自分より強いものが現れたらどうする?」という問いかけに身体を張って覚悟を示し、魔法が使えないながらも合格を認められた。

本当の友達

イーストン魔法学校のアドラ寮生となったマッシュは、内部進学生のフィン・エイムズと同室になる。フィンは様々な問題を起こすマッシュのマイペースさを見て「関わり合いになりたくない」と感じていたため戸惑いを隠せなかった。しかし丁寧に挨拶をしてくれるマッシュから「神覚者になるにはどうしたらいいの?」と尋ねられると、フィンは「普段の生活態度や授業の成績が優秀な生徒に与えられるコインを集めていくんだよ。学年末に金のコインを5枚持っていると神覚者の選抜試験に参加できる」と教えた。

翌日マッシュが教室で何故か教科書がボロボロになっていることに困惑していると、ロイド・キャベルという学生に声を掛けられる。ロイドは魔法局の高官の息子で教頭とも親密な仲であり、気に入らない生徒を次々退学に追い込んでいたのだった。マッシュに目をつけたロイドは「教頭とのコネ」をちらつかせてマッシュを好き放題こき使う。素直なマッシュは黙って従っていたが、またもやマッシュの教科書がボロボロになっていた。マッシュは断るフィンに強引に教科書を見せてもらい、「君と友達になれて本当にうれしい」とフィンに告げる。しかしその後マッシュの教科書を破っていたのは、ロイドに脅されたフィンだったことが判明した。

良心の呵責に耐えられなくなったフィンはロイドに反抗するもリンチされてしまい、偶然現場に通りかかったマッシュに助けられる。マッシュは怒りのままに一撃でロイドを叩き潰すと、一部始終を見ていた教頭も生き埋めにした。ウォールバーグに呼び出されたマッシュは「魔法局から呼出し命令が出ている」と言われるも、権力者がものを言う世界を変えたいと考えていたウォールバーグはマッシュを庇い事件をもみ消した。

マッシュは魔力が無いにもかかわらず、箒に乗って闘うスポーツ「デュエロ」で歴代1位の好成績を収めたことがきっかけで、銀のコインをゲットする。「デュエロ」のスター選手である先輩のトムやレモンに囲まれてワイワイと騒いでいるところ、編入試験1位の成績を収めたランス・クラウンが現れ、レモン、トム、フィンをいきなり瓶に吸い込んで拉致していった。

ランスからコインを賭けた決闘を持ち掛けられ崖の上で戦っていたマッシュは、強力な重力魔法に苦しめられつつも何とかランスに一撃を入れる。その拍子にランスの首からロケットが外れ、中を確認すると一人の少女が写っていた。ランスは突如魔力を失う病に侵された妹のアンナを救うため、神覚者を目指していたのである。ランスは「崖から瓶を落として更に重力を掛ける。お前は瓶を拾いに崖を駆け下りるだろうから、その隙に攻撃させてもらう」と宣言した。しかしマッシュは持ち前の筋力を活用して、ランスが魔法をかける前に瓶を取り戻す。マッシュは瓶がダミーだったこともあり「君はそんなに悪い奴じゃない」と判断すると決闘を終了させる。ランスは「約束だ」としてコインを投げ渡し去っていった。

レアンの中枢

マッシュの所属するアドラ寮は、レアン寮との合同授業を行うため森の入り口に集合していた。するとアドラ寮の1年生であるドット・バレットが、仲睦まじくレモンと会話しているマッシュに因縁をつけてくる。ドットは女性にモテない体質で、マッシュに嫉妬していた。そんな中レアン寮の男子生徒もマッシュに近づいて来ると「お前調子乗ってんだろ」と彼に声をかけた。一触即発の空気のなか教師が現れ、「1人ずつ森に入り、森サソリを退治してくること」と課題を言い渡す。

姿を消したレアン寮生を見送るマッシュに、ランスは「あいつはシルバ・アイアンという2年生で、実力は高いが素行不良で進級差し止めになっている。関わるな」と警告し、「危険だからともに行動しよう」と声をかける。しかしボーっとしていたマッシュはすぐにランスとはぐれてしまった。その後マッシュは偶然再会したドットから授業そっちのけで決闘を挑まれるが、助けを求める女子生徒の悲鳴を聞きつける。現れたのはローレン・キャバスという名の魅力的な女子生徒だった。彼女は「シルバという男に付きまとわれている」と事情を説明しつつ、こっそり「相手を魅了する魔法」でドットを陥落させる。

そこへシルバが現れ、ドットはローレンの為シルバに戦いを挑むのだった。シルバは「俺の魔法に5回耐えきれればローレンから手を引くし、コインも渡してやる」と持ち掛け、ドットはそれを受ける。しかしシルバの「5回」には無関係のマッシュも含まれていたため、ドットはマッシュを巻き込まないため「10回」の攻撃に耐えた。ところがローレンは態度を一変させ、ドットを蔑んだ目で見降ろす。2人は初めから組んでおり、コイン狩りを行っていたのである。

黙って見ていたマッシュだったがドットの気持ちを踏みにじる態度に怒りを爆発させ、シルバに「10回勝負」を持ち掛ける。余裕の表情を浮かべるシルバだったが攻撃を見切ったマッシュに2発でノックダウンさせられ、更にマッシュが超大型サソリを一撃で倒したのを見ると完全に戦意を喪失した。マッシュは森サソリ討伐の成果もあり、銀コインを5枚獲得する。するとコインが合体して1枚の金コインに変化した。するとランスが「レアン寮の中枢『七魔牙(マギア・ルプス)』がコイン狩りをしている。マッシュも狙われる可能性が高いから一人で行動するな」と警告した。

一方マッシュに敗北したシルバは、とある部屋で白髪の男に謝罪を申し入れていた。男はアベル・ウォーカーといい、「七魔牙」のNo.1の実力者だった。アベルはシルバの言葉を遮って彼を魔法で人形に変化させる。するとそこへ道に迷ったマッシュが扉を壊して乱入し、常に抱えている人形に「母さん」と話しかけていたアベルに「それ人形ですよ」と親切に忠告した。

アベルはマッシュが金のコインを持っていることを確認すると、人形を操って攻撃を仕掛ける。難なく倒したマッシュだったが、人形は魔法が解けてシルバの姿に戻っていた。アベルは先ほどよりも強い人形を操ってマッシュを拘束し、金のコインを懐から奪う。マッシュは踏みつけていたシルバに気が付くと部屋を辞することをアベルに伝えた。「コインは諦めるのか?」と問いかけたアベルを鋭く睨みつけながら、マッシュは「優先順位がある」と言いつつシルバを抱えて部屋を出ていった。残されたアベルは何か違和感を感じて人形を観察すると、人形のボタンが一つとれていた。マッシュはボタンで金コインを弾き飛ばしてすり替え、驚異的な肺活量でコインを取り戻していたのである。

七魔牙との戦い

後日マッシュはウォールバーグから「度重なるトラブルの罰」としてフクロウ小屋掃除を言い渡された。マッシュを心配しつつ、あわよくばレアン寮からのコイン狩りを企んでいたランスと共に作業していると、「第7魔牙」のアンサー・シンリと「第6魔牙」のオロル・アンドリューが襲撃してくる。オロルは魔法で発生させた水中にマッシュを引きずり込んでランスと分断させると、マッシュを追って姿を消した。

シンリと対峙したランスはフクロウが気になって重力魔法の腕が鈍り、シンリの放つ手裏剣に苦戦するが、フクロウを1か所に集めることでシンリの攻撃を打ち破り彼を倒した。一方のマッシュも初めての水中に慌てていたが、やがて自分が泳げることに気が付くと、オロルを圧倒的なパワーで殴り飛ばしノックアウトする。フクロウ小屋に戻ってきたマッシュを見てランスがホッとしていると、突如仮面を被った男が現れて倒れた「七魔牙」を回収した。ランスは男と向き合ったとたん何故か魔法が発動できず、マッシュの攻撃も躱される。仮面の男は「またすぐ会えますよ」と呟くと姿を消した。

その後アドラ寮生が次々と魔力を封じられて倒れるという事態が発生し、ランス、マッシュ、ドット、フィンはレアン寮のアジトを突き止める為、就寝時間後校内の捜索を開始した。すると敵の手に落ちて人形化されたレモンを見かける。レモンが消えた場所は魔法がかけられており、地下への扉が隠されていた。マッシュが強引に扉を破って中に突入すると、足止め役のレアン生シュエン・ゲツクが待ち構えていた。彼のイケメン具合に嫉妬したドットが勝負を引き受ける。

爆発魔法を扱うドットに対し、シュエンの攻撃はいばらの操作だった。ドットはシュエンの足元に「通常魔法の5倍」の威力を持つ条件付き魔法を展開させる。シュエンは魔法陣を踏まないよう遠距離から攻撃してくるが、ドットの魔法の発動条件は踏むことではなく時限爆弾だった。ドットの勝利もつかの間、突如地面が泥に変わり、ランス、マッシュ、ドットとフィンはそれぞれ待ち構えていた「七魔牙」と対戦することになった。

ランスは2本線を持つ泥の魔法使いであるワース・マドルと対峙する。ワースはエリート家系に生まれ、常に一番になることを求められてきた人物だった。ワースは泥の攻撃でランスを追い詰めるも、魔法の特徴を見抜いたランスは、冷静に攻撃に対処していく。追い詰められたワースは学生から抽出した魔力の濃縮液を飲んで強力な魔法を展開したが、ランスの魔法に太刀打ちできなかった。敗北を認めたワースは「自分は価値が無い人間だ」と落ち込むが、ランスはワースが落とした参考書を投げ返し、「お前も俺も大差ない環境で育ったんだろう。だが周りからの評価ではなく努力する姿勢が大切だ。その努力は認めてやる」と声をかけ先へ進んだ。

一方マッシュはフクロウ小屋に現れた仮面の男、「第2魔牙」のアビス・レイザーと対峙していた。アビスの片目は「イヴル・アイ」と呼ばれ、魔力を封じてしまう性質から「悪魔の目」として恐れられていた。アビスは幼少期から孤独に過ごし、実の両親から殺されそうになるなど壮絶な人生を送っていたのである。アベルに拾われたアビスは、「たとえ利用されていたとしても、この命はアベル様のものです」と、彼に尽くすことを固く誓っていた。

アビスは「イヴル・アイ」が通じないマッシュ相手に矢印の魔法を展開して猛スピードで攻撃を仕掛けるが、わざと攻撃を受けてアビスを捕まえたマッシュは「フルマスクルズ魔法」と唱えながら強烈な連撃を叩きこみ、アビスを倒した。マッシュはアビスに「友達になろう」と誘いかけるも、アビスは「いつか君の考えも変わってしまう」と、感謝しつつ申し出を断る。お礼代わりに「アベルにはかなわない。引き返せ」と警告を発したが、マッシュは警告を感謝しつつ「僕の気持ちは変わらない」とアビスに告げると、アベルの元へ向かった。

ドットとフィンは竜巻魔法を操る「第5魔牙」のラブ・キュートと対峙していた。ラブは「女の子に優しくできない男は死んでいい」という考えを持っており、ラブの事を「可愛い」と即答しなかったドットを痛めつけていた。猛攻に耐えるドットだったが、ラブは「第4魔牙は石化魔法を扱える。対象は地下の扉を開けた者。あと30分以内に自分を倒して第4魔牙を相手にしなければ、キノコ頭は石化されて終わる」と冷酷に告げた。

意識が飛びかけるドットだったが、自分の事を助けてくれたマッシュを馬鹿にされて怒りが頂点に達し、魔力を爆発させてラブの魔法を打ち消す。ドットは感情が一定のラインを超えると封じられた魔力が増幅する戦闘魔族「イーラ・クロイツ」だった。ドットはラブの足元を狙って攻撃を仕掛けると、ラブに負けを認めさせた。勝利もつかの間、隠れていた「第4魔牙」のマイロ・ジェーニアスが不意打ちを仕掛け、ドットは重傷を負う。追い詰められたフィンとドットのもとに、ウォールバーグから依頼を受けて地下にやって来たレイン・エイムズが姿を現し、マイロを完膚なきまでに叩きのめす。レインはフィンの実の兄で、神覚者の1人だった。

マイロから事情を聞きだしたレインはウォールバーグの指示で「無邪気な深源(イノセント・ゼロ)」の手下を捜索していた。すると異様な圧力を放つマッシュに遭遇する。レインはマッシュの正体を探るべく数度攻撃を仕掛けるが、筋肉による力業ですべて防がれた。マッシュの名を尋ねたレインは、彼がウォールバーグから紹介された学生だと知ると、お詫びとして当てるだけで傷が癒える「魔法のハンカチ」を渡す。そして「死んでも神覚者になれ」と発破をかけるとマッシュを送り出した。

最終決戦

レインと別れたマッシュはアベルの部屋のドアを壊して対峙する。アベルは魔法を使えない者や、それを庇う人間を排除しようと考えていた。その考えを受け入れられないマッシュはアベルとの戦いを開始した。酸の入った人形の攻撃をボウリングの要領で簡単にいなしたマッシュだったが、捕らえられて人形化されたフィンに一方的に攻撃される。「金のコインを渡せ」と迫るアベルに対し、マッシュは懐から取り出したコインで操り糸を引きちぎってフィンを元に戻すと、コインの回転をコントロールして手元に戻した。

徐々に追い詰められたアベルはマッシュに人形化の魔法を仕掛けるが、マッシュは懐に入れたシュークリームを取られまいとする防衛反応で強引に魔法を解く。そして周囲の人間すべてを人形化する魔法を超人的な身体能力で防ぐと、アベルを地面にたたきつけて決着をつけた。

アベルは「自分たちはたまたま恵まれた環境に生まれただけ。その分恵まれていない環境の人たちを助けましょう」という優しい考えを持つ母親のもとで育っていたが、母親は支給した食料を独り占めしようとした男に刺されて死亡した。そこからアベルは「弱者」を徹底排除するという考えに囚われてしまったが、事情を知ったマッシュに「お母さんの為ってことは、あなたもそんなに悪い人じゃないんですね」と言われ、肩の力が抜けたように表情を和らげた。マッシュとの約束通り人形化した生徒たちを元に戻したところ、突如「無邪気な深源」の手下であるセル・ウォーが姿を現したのである。地下を探っていたレインはランスに化けたセル・ウォーと対峙していたが、取り逃がしていた。

セル・ウォーはアベル殺害を目論んでいた。間一髪のところをアビスが庇い、代わりにマッシュがセルと対峙する。セルはもう一つの目的である「探し物」がマッシュであると確信すると、マッシュを捕らえるために猛攻撃を仕掛けてきた。何とか耐えるマッシュだったが徐々に押され気味になる。そんな中アビスやマッシュの行動、母親の言葉を思い出したアベルはマッシュに協力し、何とかセルを追い返すことに成功した。

しかしセルとの対戦中マッシュが魔法が使えないことがばれてしまい、マッシュは後日魔法局での尋問を受けることとなった。魔法局の副局長であるブレス・ミニスターは「魔法不全者は処刑」という考えを崩そうとしなかったが、そこに「光の神覚者」ライオ・グランツが姿を現す。ライオは「魔法を使わず火をつけろ」という難題をマッシュに出し、彼の実力や人間性を見極めようとする。自力で火をつけたマッシュを気に入ったライオだったが、他の神覚者たちはマッシュの処刑に賛成の意を示していた。

特に強硬姿勢を示したのはオーター・マドルだったが、突如ブレスが「無邪気な深源」に乗っ取られ、「マッシュは貰っていく」と宣言する。神覚者たちが慌てるなかマッシュは身体を張ってブレスを救い出した。その後オーターは再びマッシュを処刑すべきと主張すると、ウォールバーグとレインが姿を現し、マッシュの助命を懇願する。ブレスの口添えもあり、「マッシュが神覚者になる事」を条件に処刑は延期された。

選抜試験

「無邪気な深源」の襲撃予告などのトラブルの影響もあり、その年の神覚者選抜試験は「金コイン3枚所持者」と条件が緩和された。マッシュは「七魔牙」との闘いで獲得したコインの内3枚ずつをフィンとドットに託す。結果アドラの1年生からはマッシュ、レイン、フィン、ドットが出場することとなった。魔法が使えないことが周囲に知られてしまったマッシュが大ブーイングを受けるなか開催された第1試験で、マッシュはマックス・ランドという名の3年生に声を掛けられ、彼と協力してクリア条件となる鍵を手に入れた。

マッシュは「マックスのおかげ」だと彼に鍵を渡そうとしたが、マックスは「先輩の言うことを聞くのも後輩の大事な役目」と諭してマッシュを先に進ませる。そしてマッシュたちをつけ狙っていたカルパッチョ・ローヤンと1人で対峙したのである。カルパッチョにボコボコにされたマックスは親友のレインの事を思い、「少しは役に立てたかな」と呟いて倒れた。

第2試練では3人一組のチーム戦が開催されることとなり、マッシュ、ドット、フィンが同チームになった。ルールは1人一つ渡された水晶を割らずに守り抜くことだったが、ドットとマッシュは早々に割ってしまい、更にバラバラのスタート位置に転送される。フィンはびくびくしながらマッシュたちを探してさまよっていると、カルパッチョが他の生徒を執拗に痛めつけている現場に遭遇した。そっと立ち去ったフィンだがあっという間にカルパッチョに発見され、傷を負う。カルパッチョは「13本の杖」に選ばれた「マスター・ケイン」という存在で、彼の持つ杖に宿った女神が全ての痛みを吸収して相手に付与するため、カルパッチョは痛みを感じたことが無かった。

ザクザクと体を刺してフィンに痛みを与えていくカルパッチョだったが、危ういところでマッシュが救出に入る。身体を張って護ってくれたフィンに感謝しつつ、マッシュは怒りを爆発させてカルパッチョに向きなおった。マッシュは神覚者試験の前にみんなで遊びに行った町で手に入れていた「鉄の杖」を使い、女神にダメージを与えていく。許容量をオーバーした女神はついに破壊され、カルパッチョは生まれて初めて痛みを味わい敗北した。

第3試合は1対1のバトルで、マッシュの相手は「最も神覚者に近い」と評価されているオルカ寮生のマーガレット・マカロンだった。更にマカロンはオーターから「マッシュを神覚者にさせるな」と依頼されており、全力でマッシュを潰しにかかる。音速で攻撃を仕掛けてくるマカロンに苦戦するマッシュだったが、わずかな空気の振動を察知することで攻撃をかわし、マカロンに一撃を入れる。

するとマカロンは「デスゴング」という強力な魔法を発動させる。これは1分以内にマカロンを捕らえて魔法を解除しない限り、半径2キロにいるものを全員ノックアウトさせるというものだった。マッシュは音速で逃げ回るマカロンを制限時間ギリギリで捕らえて魔法を解除させる。マッシュを認めたマカロンが自ら負けを宣言した瞬間、突如「無邪気な深源」が現れて周囲一帯の時間をストップさせてしまった。

無邪気な淵源襲来

時間を止められている中唯一魔法を破ったウォールバーグは一部の生徒の魔法を解いて学校を護るよう言い残すと、戦いの場を空中へと移す。一方マッシュは再びセル・ウォーと対峙し、襲撃の目的を問いただす。セル曰くマッシュはイノセント・ゼロの血を引く実の息子であり、マッシュ含む6人の兄弟の心臓を使って、イノセント・ゼロが不老不死になるために生み出された存在だった。マッシュは炭素化の魔法を使うセルを爆発的な腕力で締め上げて、彼を気絶させた。

一方イノセント・ゼロと対峙していたウォールバーグだが、2人ともアダム・ジョブズという偉大な魔法使いの弟子だった為実力は拮抗していた。しかしウォールバーグが命がけで強力な魔法を発動させると、イノセント・ゼロは時間を止めてウォールバーグの魔力を奪い彼の半身を老化させた。絶体絶命の状況に陥るも、マッシュの介入でどうにか命を救われる。

イノセント・ゼロはいったん引くことを宣言すると、巨大な魔物を召喚しイーストン魔法学校を破壊しようとする。イノセント・ゼロが去ったことで魔法が解けた生徒たちは突然の危機的状況にパニックになるが、マッシュは持ち前の超常的な力を発揮して魔物と力比べをし、敵を倒して事態を鎮静化させた。

『マッシュル-MASHLE-』の登場人物・キャラクター

主人公

マッシュ・バーンデッド

CV:小林千晃
魔法を使えることが当たり前になっている魔法界で唯一魔法が使えない少年。魔法が使えないという理由で親に捨てられていたところをレグロ・バーンデッドに拾われ育てられる。ひょんなきっかけから魔法学校に通うことになり、持ち前の筋肉で他の魔法使いを凌駕していく。大好物はシュークリーム。あまりにも常人離れした身体能力を兼ね備えているため、ドットたちのような身近な友達でも魔法が使えないことを知られていなかった。マッシュの正体は無邪気な淵源が不老不死の心臓を得るために作った六人の息子のうちの一人。

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