あさきゆめみし(大和和紀)のネタバレ解説・考察まとめ
『あさきゆめみし』とは、大和和紀によって1979年から月刊『mimi』で連載された漫画作品。のちに『mimi Excellent』に移り、1993年に完結した。紫式部の『源氏物語』を漫画化した作品で、帝の子である主人公・光源氏を通して、平安時代の貴族社会における恋愛模様や権力闘争、栄光と没落を描く。少女漫画として、当時の現代的な解釈や独自のエピソードを盛り込みつつも『源氏物語』全54帖をほぼ忠実に描いている。海外向けに多言語に翻訳されているほか、小説化や舞台化など、多方面で展開されている。
朱雀帝、光源氏、蛍兵部卿の宮、八の宮らの父。
桐壺の更衣を寵愛し、光源氏が誕生した。
桐壺の更衣の死後は、彼女に瓜二つである藤壺を入内させ、寵愛する。
桐壺の更衣(きりつぼのこうい)
光源氏の母。
父は大納言だったがすでに亡く、有力な後見もないまま入内した。
桐壺帝の寵愛を一身に受け、桐壺帝の第二皇子となる光源氏を生むが、そのため他の女御、更衣たちから疎まれ、数々の嫌がらせを受ける。
この心労により体調を崩し、源氏が3歳のときに亡くなった。
朱雀帝(すざくてい)/朱雀院(すざくいん)
桐壺帝の第一皇子。母は弘徽殿の女御。光源氏の異母兄。
桐壺帝から譲位され、即位する。温和な性格で源氏に引け目を感じつつも優しく接する。
右大臣家出身の朧月夜を寵愛するが、彼女は源氏とも関係を続けていた。桐壺院が亡くなると、右大臣勢力からの圧力もあり、源氏を須磨に隠棲させてしまう。
右大臣が亡くなり、自身も眼病を患うと、弘徽殿の女御の反対を押し切って源氏を復権させる。自身は譲位し、冷泉帝が即位した。
譲位後は六条の御息所の娘でのちに梅壺の女御・秋好中宮となる斎宮に執心するが、養父である源氏は彼女を冷泉帝に入内させてしまう。
やがて出家を考えるようになるが、母が早く死に、有力な後見人もいない第三皇女の女三の宮の行く末を案じ、源氏に降嫁させる。
冷泉帝(れいぜいてい)/冷泉院(れいぜいいん)
表向きは桐壺帝の第十皇子となっているが、実は光源氏と藤壺との不義の子。
兄である朱雀帝の皇太子となり、譲位されて冷泉帝として即位する。
六条の御息所の娘で源氏の養女である梅壺の女御を寵愛し、秋好中宮とする。
藤壺の没後に自身の出生の秘密を知り、思い悩んだ末に本当の父である源氏に譲位しようとするが、固辞された。
源氏が40歳になった際に准太上天皇の位を贈る。
夕霧(ゆうぎり)
光源氏の表向きの長男。母は葵の上。頭の中将は叔父になり、その子たちである雲居の雁や柏木、紅梅らはいとこにあたる。
実は冷泉帝が源氏の長男であり、夕霧は次男だが、本人はその事実を知らない。
源氏譲りの美貌の持ち主だが、恋愛には不器用なところがある。
生まれてすぐに母の葵の上を亡くし、祖母のもとで育てられる。ここで雲居の雁とともに育ち、密かに愛を育む。しかし雲居の雁との仲を知って怒った内大臣である頭の中将によってその仲は引き離される。
その後数年たち、ようやく内大臣の許しを得て雲居の雁と結婚。多くの子をなす。
生真面目な性格で、長らく妻は正妻の雲居の雁と側室の藤典侍だけだった。
しかし、親友の柏木が亡くなるとその未亡人である落葉の宮に執心するようになり、なかば強引に結婚する。その後は毎月15日ずつ均等に雲居の雁と落葉の宮のもとを通うようになった。
のちに右大臣、左大臣と昇進する。
明石の姫君(あかしのひめぎみ)/明石の女御(あかしのにょうご)/明石中宮(あかしちゅうぐう)
光源氏と明石の上の娘。紫の上の養女として育てられる。
東宮妃として入内し、深い寵愛を受け、男子を産む。
紫の上が亡くなる際には側におり、その最後を看取った。
薫(かおる)
終盤の主人公。
表向きは光源氏の次男だが、実の父は柏木。母は女三の宮。
生まれつき体に芳香を帯びる特異体質の持ち主で、匂宮と並んで当代きっての貴公子とされ、世間では「匂う兵部卿、薫る中将」と称される。
幼い頃から自分の出自に疑問を抱いており、仏教に救いを求める。
宇治に住む源氏の弟・八の宮が出家せずに仏道修行をしていると知り、八の宮邸に通うようになる。ここで見かけた八の宮の姫である大君に思いを寄せるが、受け入れられぬまま大君は病で亡くなった。
やがて大君の生き別れの妹であり、彼女に瓜二つの浮舟を見初め、宇治の邸にかこう。
匂宮(におうのみや)
帝の第三皇子で、母は明石の中宮。光源氏の孫にあたる。
薫に対抗心を持ち、彼の体の芳香に対抗して着衣に薫物を焚き染めていることから「匂宮」と呼ばれている。
源氏に憧れて自由な恋愛を好み、正妻と持とうとしない。
ある日、薫から宇治の八の宮の姫君の噂を聞き、興味を持って宇治を訪れる。やがて中の君に惚れ込み、明石の中宮の反対にあいながらも妻として迎える。
しかし、夕霧の娘・六の君を正妻として迎えると、彼女に興味を移してしまう。
中の君の妹である浮舟が薫の恋人であることを知りながら、強引に契りを交わし、浮舟が自殺を図る要因を作った。
蛍兵部卿の宮
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目次 - Contents
- 『あさきゆめみし』の概要
- 『あさきゆめみし』のあらすじ・ストーリー
- 光源氏の誕生
- 須磨への隠棲
- 都での栄光
- 玉鬘の流転
- 女三の宮の降嫁
- 源氏の死
- 宇治十帖
- 『あさきゆめみし』の登場人物・キャラクター
- 主人公
- 光源氏(ひかるげんじ)
- 光源氏の血縁者
- 桐壺帝(きりつぼてい)/桐壺院(きりつぼいん)
- 桐壺の更衣(きりつぼのこうい)
- 朱雀帝(すざくてい)/朱雀院(すざくいん)
- 冷泉帝(れいぜいてい)/冷泉院(れいぜいいん)
- 夕霧(ゆうぎり)
- 明石の姫君(あかしのひめぎみ)/明石の女御(あかしのにょうご)/明石中宮(あかしちゅうぐう)
- 薫(かおる)
- 匂宮(におうのみや)
- 蛍兵部卿の宮
- 八の宮(はちのみや)
- 光源氏の妻・恋人
- 藤壺の宮(ふじつぼのみや)/藤壺の女御(ふじつぼのにょうご)
- 葵の上(あおいのうえ)
- 紫の上(むらさきのうえ)/若紫(わかむらさき)
- 女三の宮(おんなさんのみや)
- 明石の上(あかしのうえ)/明石の君(あかしのきみ)/明石の御方(あかしのおんかた)
- 六条の御息所(ろくじょうのみやすどころ)
- 夕顔(ゆうがお)
- 花散里(はなちるさと)
- 末摘花(すえつむはな)
- 源の典侍(げんのないしのすけ)
- 朧月夜(おぼろづきよ)
- 槿の君(あさがおのきみ)
- 空蝉(うつせみ)
- 左大臣家
- 左大臣/左の大臣(さのおとど)
- 頭の中将(とうのちゅうじょう)
- 柏木(かしわぎ)
- 紅梅(こうばい)
- 玉鬘(たまかずら)
- 近江の君(おうみのきみ)
- 右大臣家
- 右大臣/右の大臣(めのおとど)
- 弘徽殿の女御(こきでんのにょうご)
- 夕霧の関係者
- 雲居の雁(くもいのかり)
- 藤典侍(とうのないしのすけ)
- 落葉の宮(おちばのみや)/女二の宮(おんなにのみや)
- 明石の君の関係者
- 明石の入道(あかしのにゅうどう)
- 明石の尼君(あかしのあまぎみ)
- 六条の御息所の関係者
- 梅壺の女御(うめつぼのにょうご)/秋好中宮(あきこのむちゅうぐう)
- 空蝉の関係者
- 伊予の介(いよのすけ)/常陸の介(ひたちのすけ)
- 玉鬘の関係者
- 大夫監(たゆうのげん)
- 髭黒(ひげくろ)
- 真木柱(まきばしら)
- 八の宮の関係者
- 大君(おおいぎみ)
- 中の君(なかのきみ)
- 浮舟(うきふね)
- 光源氏の家来
- 藤原惟光(ふじわらのこれみつ)
- 大輔の命婦(たゆうのみょうぶ)
- 『あさきゆめみし』の用語
- 地位・官職
- 中宮(ちゅうぐう)
- 女御(にょうご)
- 更衣(こうい)
- 御息所(みやすどころ)
- 尚侍(ないしのかみ)
- 典侍(ないしのすけ)
- 命婦(みょうぶ)
- 准太上天皇(じゅんだじょうてんのう)
- 太政大臣
- 名称
- 主上(おかみ)
- 東宮(とうぐう)
- 公達(きんだち)
- 若宮(わかみや)
- 乳母(めのと)
- 斎宮(さいぐう)
- 北の方
- その他
- 入内
- 内裏(だいり)
- 『あさきゆめみし』の名言・名セリフ/名シーン・名場面
- 葵の上「愛に言葉などいらないのだ…愛したら…ただやさしくほほえむだけでいい…」
- 頭の中将「…きたよ とうとう」
- 玉鬘「これ以上なにものにも流されることなく…自分の足でここに立ちたいのです…!」
- 紫の上「ああ…この女の自由のないこの世から…わたしは早く去ってしまいたい…」
- 光源氏「そしてさようなら…わたしの愛したすべてのすばらしい女人たちよ…」
- 『あさきゆめみし』の裏話・トリビア・小ネタ/エピソード・逸話
- 『源氏物語』とは
- 古典の入り口としての『あさきゆめみし』
- 幻のアニメ化
- 平安時代当時の結婚制度
- 原作『源氏物語』との相違点