リブラブ(livelove)とは【ネタバレ解説・考察まとめ】

『リブラブ(livelove)』とは、小田ゆうあによる漫画で「ユーレイ女子」と「仲良し主婦3人組」の友情物語。『office YOU(月刊オフィスユー)』にて連載された。生きることが嫌になり、自ら命を絶った主人公・水上素直はなぜかユーレイとなって、職場仲間だった3人の主婦の前に現れる。お互いに戸惑いながらも、4人の不思議な交友関係が始まった。初めて友達ができた素直は、3人と触れ合うことで「人のためになりたい」という、本来なりたかった自分へと成長していく。生きることの素晴らしさを描いた作品である。

『リブラブ(livelove)』の概要

『リブラブ(livelove)』とは、「自殺して幽霊となった主人公」と「仲良し主婦3人組」の不思議な友情を描いた、小田ゆうあによる漫画作品。『office YOU(月刊オフィスユー)』にて2017年2月から連載され、単行本は全7巻。代表作『斎藤さん』、大人の恋愛を描いた『ふれなばおちん』に続く、生きることの素晴らしさをテーマとした物語である。
主人公・水上素直(みなかみすなお)は不器用な性格のせいで周囲に馴染めず、仕事もプライベートもうまくいかない日々を過ごしていた。誰からも必要とされていないことに絶望し、ついに自ら命を絶ってしまう。しかし、なぜか成仏できず元同僚の大河内伊佐子(おおこうちいさこ)・五条環(ごじょうたまき)・円山実代(まるやまみよ)の前に現れ、奇妙な交友関係が始まる。生きている頃にはいなかった友達ができたことで、周りの人の役に立つという、本来なりたかった自分へと成長していく。生きてさえいれば、どんなこともできると思わせてくれる作品である。

『リブラブ(livelove)』のあらすじ・ストーリー

幽霊になった素直

外食委託チェーンの本社で働く水上素直(みなかみすなお)は、同僚の嫌がらせによって仕事でトラブルを起こし、地方に左遷された。新しい職場はゴルフ場「ありたカントリークラブ」に併設されたレストランである。年配の常連客と、パート主婦の同僚に囲まれ、刺激のない毎日を過ごしていた。だが、実はともに働く主婦・大河内伊佐子(おおこうちいさこ)のきめ細やかな接客や、周囲への気配りに憧れを抱いている。また、伊佐子はパート仲間の五条環(ごじょうたまき)・円山実代(まるやまみよ)と仲が良く、友達のいない素直は羨ましく感じていた。
ある日、素直は同僚たちが自分のことを扱いづらいと話しているのを聞いてしまい、さぼって吸っていたタバコが原因でボヤ騒ぎとなる。ますます周囲から嫌われ、自暴自棄になった彼女は、自ら命を絶ってしまうのだった。その後、伊佐子と実代は遺品の中から日記を見つけ、不器用にしか生きられなかった素直の本音を知って涙する。すると突然、伊佐子の前に幽霊となった素直が現れた。驚く伊佐子だが、一緒にいた実代も自分と同じ状態になったことから、自分が触った相手は素直を認識できるようになることがわかる。
そんな中、ゴルフ場の常連客・姉小路(あねこうじ)がプレー中に突然倒れ、亡くなってしまう。特に彼と親しかった環は大きなショックを受けるが、素直を通じて姉小路の遺志を聞き、気力を取り戻した。こうして、素直・伊佐子・環・実代の不思議な交友関係が始まった。

素直に救われる伊佐子・環・実代

パート仲間の伊佐子・環・実代は、それぞれ悩みや問題を抱えていた。
環には2年間浪人生活を送っている息子・五条一志(ごじょうかずし)がいる。思うように成績が伸びないストレスから暴れることもあり、環は栄養のある食事を作るくらいしかできないことに、無力感を抱いていた。だが、一志の志望大学が素直の母校であることがわかり、環は彼女に息子の合格のため力を貸してくれと頼む。一志は素直と関わるうちにやる気を取り戻し、精神的に安定したことで暴れることもなくなり、環にも穏やかな日常が戻った。
一方、実代は不妊治療を続けるがうまくいかず、焦っていた。周りを羨ましく思ってしまう自分にも嫌気がさしていたが、素直が現れたことによって気持ちが和らぎ、自然と笑顔が増える。
また、単身赴任をしている夫・大河内慎悟(おおこうちしんご)の浮気を疑う伊佐子は、素直とともに夫の職場を訪れ問いただす。すると、浮気相手だと思っていた女性は、慎悟の部屋の掃除をしてくれていただけだった。2人の話し合いを見守っていた素直も、慎悟に対する怒りが消え、伊佐子の悩みが解決したことを嬉しく思うのだった。
伊佐子たちは、親身になって寄り添ってくれる素直に感謝していた。また、素直は自分の行動が人の役に立っていることに気づき、喜びを感じ始める。

素直の復讐

伊佐子たちと触れ合い、いろいろな出来事が起こる中で、素直は少しずつ心を開いていく。明るさを取り戻す一方で、前の職場で自分に嫌がらせをした皆川えり(みながわえり)たちに復讐したいという気持ちが沸きあがるのだった。
そんな中、伊佐子と実代は、素直の以前の勤め先でもある外食委託チェーン本社での研修に出向く。同行していた素直は、食堂で休憩中、大声で同僚たちと話すえりを見つけたのだった。その会話は自分を馬鹿にする内容だったため、素直は怒りを抑えきれなくなる。感情を実体化させた「怒り玉」をえりに向かって投げようとする素直だったが、そこに窪田道孝(くぼたみちたか)が現れ、えりたちに会話をやめるよう、厳しく注意した。好意に応えることはできなかったが、仕事ができて真面目な素直のことを窪田は認めていた。そんな彼女が死後も悪く言われることが許せなかったのである。
素直は、窪田がかばってくれたことで復讐心を消化することができ、彼への気持ちにも区切りをつけることができたのだった。

素直と弾

新幹線で単身赴任先に戻る夫・慎悟を見送っていた伊佐子は、大人気バンド「リブラブ」のボーカル・相島弾(あいしまだん)を見かける。彼の大ファンである素直に、なんとか話をさせてあげたいと思った伊佐子は弾に触り、素直の姿を認識させた。素直を普通の人間だと思って会話する弾だったが、バンドについて厳しい意見を言う彼女に腹を立て、言い争いになってしまう。だが、それは図星を突いており、弾は逆に素直のことが頭から離れなくなるのだった。
ある日、弾は人気モデル・藤枝マリカ(ふじえだまりか)との密会を週刊誌にスクープされそうになる。その場に居合わせた素直は、記者の存在を弾に知らせようとするが、伊佐子がいないため姿を現すことができない。だが、感情を実体化させた「怒り玉」を使って弾と意思疎通し、危機を救うことができた。

ライブチケットを賭けたゴルフ勝負

ある日、伊佐子はプロゴルファーの今野美波(こんのみなみ)と再会する。2人はかつて、ともにプロを目指すライバルだった。先に夢を叶えた美波だったが、本当は人気も実力も上だった伊佐子に対して、劣等感を抱いている。タレントとしても活躍している美波は、芸能界にツテを使って「リブラブ」のライブチケットを入手し、条件付きでそれを譲ってもいいと話す。その条件とは、ゴルフ勝負で伊佐子が勝利することだった。美波と関わることに気がすすまない伊佐子だったが、もう一度素直と弾を会わせてあげたいという思いから、勝負に向けて自主練習に励む。
勝負当日、伊佐子の応援に多くの人が駆けつける。幽霊となった姉小路も、素直とともに勝負を見守っていた。だが、結果を見るのを恐れた素直は「自分は何も頼んでいないのに、迷惑だ」とその場を去ろうとする。そんな素直に、姉小路は「臆病なのは自分のことしか考えていないからだ」と言い、最後まで見届けるように諭すのだった。
そんな中、美波は以前と変わらず皆から慕われる伊佐子への嫉妬心から、ミスを連発する。こうして、2人の勝負は伊佐子の勝利で幕を閉じた。

弾との再会

美波に勝利し「リブラブ」のライブチケットを手にした伊佐子だったが、弾に素直の姿を認識させるために、もう一度彼に触れる必要があった。そこで、マネージャーの石黒(いしぐろ)を通じて弾と会う機会を得ようとするが失敗し、そのままライブ当日を迎える。伊佐子は、弾がライブ会場に入るタイミングを狙おうとするが、ここでも近づくことができなかった。しかし、大勢のファンに押されて足を負傷したため、見かねた石黒に応接室に案内される。そこで弾を発見した伊佐子は彼に触れ、ついに素直と弾は再会を果たした。
ライブで弾は素直に向けて歌を披露する。いつしか弾にとって彼女は大切な存在となっていた。しかし、素直はすでに死んでしまった自分は、もう何もできなくなってしまったことに気づく。自ら死を選んだことを心から後悔し、「死ななきゃよかった」と思いながら、素直は旅立っていった。
また、伊佐子以外、幽霊になってからの素直のことは誰も覚えていなかった。伊佐子は、なぜ自分だけが覚えているのかわからないが、ずっと彼女のことを忘れないでいようと誓うのだった。

『リブラブ(livelove)』の登場人物・キャラクター

主要人物

水上素直(みなかみすなお)

本作の主人公。リブラブという音楽グループが好きな、25歳の独身女性。成績優秀で有名大学を卒業している。融通がきかないほど、真面目すぎる性格の持ち主。仕事もプライベートも自分なりに頑張っているのに、空回りしてうまくいかない。職場では同僚から嫌がらせを受けていたが、本当は友達も欲しいし、いい人間関係を築きたいと思っていた。
外食委託チェーンの本社で働いていたが、仕事でのトラブルをきっかけに地方に左遷された。新しい職場であるゴルフ場では、タバコの不始末でボヤ騒ぎを起こしてしまい、周囲からますます孤立してしまう。
何もかもが嫌になって自殺を図ったものの、なぜか成仏できずに幽霊となって彷徨うこととなった。だが、ゴルフ場の同僚だった、大河内伊佐子・五条環・円山実代の3人だけには存在を認識してもらえるようになり、次第に友情が芽生える。生前はできなかった「人の役に立つ」ということを実現していくうちに、本来なりたかった自分に近づくことができた。

大河内伊佐子(おおこうちいさこ)

素直の元同僚で、ゴルフ場「ありたカントリークラブ」の併設レストランで働いている。ゴルフ好きで実力もあり、プロを目指していたという過去を持つ。よく食べる高校生の息子・大河内新太と暮らしており、夫・大河内慎悟は単身赴任中である。明るい性格で、周囲にきめ細やかな配慮ができることから、同僚やゴルフ場の常連客からも親しまれている。
新しく同僚となった素直に対しても、たびたびフォローするなど、早く馴染めるように気遣っていた。彼女の死後、遺された日記から不器用な人生だったことを知って涙する。それによって幽霊となった素直と心が同調し、彼女の姿が見えるようになった。また、自分が触った相手も素直が見えるようになることがわかり、パート仲間の五条環、円山実代とともに、素直との交流が始まった。

五条環(ごじょうたまき)

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