「子供を殺してください」という親たち(漫画)のネタバレ解説・考察まとめ

『「子供を殺してください」という親たち』とは、押川剛のノンフィクションを原作に鈴木マサカズが漫画化した作品。現代社会の家族が抱える闇を追及しており、様々なメディアにも取り上げられた話題作である。病に蝕まれたそれぞれの登場人物達は、一歩間違えれば犯罪者になる可能性を孕んでいる。主人公の押川剛がそうなる一歩手前であらゆる伝手や手段を取り、救出を試みる話である。原作の『「子供を殺してください」という親たち』は2015年07月1日に発売。

宝田由伸(たからだ よしのぶ)

ゼミで知り合った川野えりか(かわのえりか)という女性と交際していた男子大学生。順風満帆の交際関係が突如終わりを迎え、話し合いをしようと試みるものの一方的に関係が絶ち切られた。納得が出来なかった由伸はストーカーと化していった。
彼女の新しい恋人だろうと思われる男性を切りつけて逮捕されるが、示談となり罰金刑のみの罰則で釈放された。だがストーカー行為は終わらず、彼女と共に自殺するという自殺願望に囚われるようになっていく。

吉原清(よしはら きよし)

幼少の頃から裕福な暮らしをしてきた男性(52歳)。年をとってもどこかお坊ちゃんのような雰囲気があり、所謂「オネエ」のような仕草やおしゃべりをする癖がある。バブル全盛期に両親から多額のお小遣いを貰い豪遊していた。20代の頃に大麻を摂取してしまった事をきっかけに、ドラッグの代用品として医療薬品の錠剤に依存するなど慢性的な中毒者となる。薬物依存症であるのに対して、医療機関は躁うつ病と診断している。

鶴山知記(つるやま ともき)

『依頼にならなかった家族たち』に登場する男性。キャリアアップする為、務めていた職場を辞め資格試験を受ける。しかし試験には落ち、それと共に再就職も軒並み不採用になる。芳しく無い再就職活動に和記は追い詰められていく。手をしつこく洗ったり、一日に何度もお風呂に入るなど過剰な潔癖症となっていく。自身がうつ病であるかもしれないとうっすら自覚しているが、病院に掛かる事は5年間一度も無かった。思うように事が運ばないストレスから、両親に対してヒステリーに接していると、一時期両親が家を出ていく。医療に繋げてもらうチャンスを、両親の自覚の無さから棒に振られる。結果、「立派な会社に再就職をして欲しい」という両親の無言のプレッシャーから解き放たれることは無かった。

黒澤美佐子(くろさわ みさこ)

患う前は清廉な美女だった女性。10年前に反応性低血糖という病気にかかってしまった事により急激に太ってしまった。当時婚約していた男性と破局してしまい、そこから心を患ってしまう。精神疾患状態であるにもかかわらず、一度も心療内科などの病院には掛かってはおらず、1人でひきこもる生活をしている。週に一回、娘の自宅へ訪問する母親以外の人間とは、交流が一切無い状態である。

依頼人

荒井伸介の両親

『精神障害か犯罪者か』に登場する依頼人。
自分の子-荒井伸介が挫折を期に変わり果て、奇怪な行動をするようになり、手に負えなくなる直前に押川に助けを求めた。父親は法律事務所を営んでいる業界屈指のエリート、母親は慎介と妹を育てた二児の母である。数十万円するバッグを購入させられて、それを殴りつける様子を見せられたり、猫を殴打し殺してしまった子・慎介に対し、「次は自分の番だ」と思う程に追い詰められている。

木村の父(きむらのちち)

木村則夫の父親。アルコール依存症を患う息子を救ってほしいと押川の事務所を訪ねた。
暴力的に酒を求める息子を諫めると、包丁を持って襲い掛かられ、手首から肘にかけて20針近く縫う切り傷を負う。息子が通り魔事件を起こすのではと思う程追い詰められている。
しかし息子が幼少の頃は、妻にはDV、息子には自尊心を殺すような言葉による虐待を行っていた。定期連絡を怠った為、押川に詰め寄られて咄嗟に出た言葉が「死んだ方がいい」だった。妻と息子に対して暴力的である自覚が一切ない男である。

木村の母(きむらのはは)

木村則夫の母親。息子の病気を思い悩み、旦那が切り付けられた事でトキワ精神保健事務所の押川剛のもとへ訪れる。押川の家族調査により旦那からDVをされていた事を告白し、今なお逆らえない状況が続いている。

和田朋子(わだともこ)

『母と娘の壊れた生活』」に登場する依頼人。
母親と連絡が取れなくなった事をきっかけに押川に助けを求めた女性。20代ごろから精神を病んでいた姉・晴美の妹である。
姉が精神疾患患者であり、家族に当たり散らすのを苦にした彼女は、高校の時に寮に入ることで辛い環境から逃げられた。それは母親の犠牲により叶えられた結果である。
姉の事はどうでもよいが、母親はどうにかして助けたいと思い、重い腰をあげ押川に救助の依頼をする。

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